NO.616
「ジェリーフィッシュは凍らない」
著者:市川憂人
読了日:2020年12月26日

物語:
飛行船内で起きてしまった前代未聞の殺人事件
クルーの全員が死亡......
さらに、全ての遺体が他殺体だった
犯行は内部犯か外部犯か?
死者たちには後ろ暗い過去とはいったい

感想:
死者全員が他殺体だったことや、殺害のトリック
過去に起きた事件の真相も気にはなったけど
一番の驚きは、真犯人の動機と過去の被害者との関係せいでしょうね

ページ数
331(単行本)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
2(満点3)
私個人の好み
2(満点5)
合計
14(満点20)

2020年49作品目

つぶやき:
今年最後かな

次に読む本:
未定 著「未定」

 

NO.616
「TITAN タイタン」
著者:野﨑まど
読了日:2020年12月21日

テーマ:
“ 仕事 とはいったい何なのか?”

物語:
時は100年後までいかない、まあまあ近い未来
人々は「至高のAIタイタン」の恩恵を受け
貨幣経済もなくなって、働くことも争いもなくなった世界で平和に暮らしています
この世界では働いている人は一握りで、その他の人は無職でも普通に生きていけるのです
主人公はそんな世界で暮らす大人の女性、彼女は趣味で心理学を学んでいる心理学博士
彼女も仕事として学者をしているわけではありません、あくまでも、趣味で
そんな彼女が、ある日なかば強引な形で「仕事」を依頼されるのです
その依頼とはAIである「タイタン」のカウンセリングでした
その後、主人公がタイタンとの出会いから話がエスカレートして全世界を巻き込む事態に発展するのですが、内容としては終始一貫として、「働くとは?」「仕事とは?」という問題を、あえて働くことがなくなった未来人の視点から考えてみるというものです

果たして、「働くこと」が当たり前に生きている「過去人」の我々が得るものとは?


感想:
作品で登場するのはAIの心の病だが、現代に生きる自分の心と向き合わざる得ない
人類の歴史上「働く」ことが当たり前ではない時代などない
成長の過程で、どんな仕事をするかを考える時期はあっても、どうして働くのかを考えるのは十代の一時だけだろう
この機会に「働くこと」でもなんでも、気になることがあるなら考えるのもいい
この作品を読み終わって「現代人よ、少し立ち止まって考えてみるのもいいのかもよ」と言われているようにも思う

ページ数
377(単行本)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
2(満点3)
私個人の好み
2(満点5)
合計
14(満点20)

2020年48作品目

つぶやき:
仕事、働くことを考えるとき、生きること、人生とは、命とはのように
どんどん当たり前に深いテーマになって、この年代の私には辛いね

次に読む本:
市川憂人 著「ジェリーフィッシュは凍らない」
 

NO.615
「崩れる脳を抱きしめて」
著者:知念実希人
読了日:2020年12月19日

物語:
主人公は研修医で、一か月の期限付きでホスピスのある病院で働くことになった
そこで彼は運命的な女性と出会う
その魅力に少しづつ心を奪われながらも、患者との距離を保とうとしていた
その後、彼の抱える問題について話をするようになり、問題の解決の糸口が見つかって二人の距離は急速に縮まるのだったが......別れの時が来てしまうのだった

感想:
久しぶりに、最後にホッとできる作品に出会えて感謝
作品自体は二部構成、前編は主人公とヒロインの出会いの恋愛物語を描き
後半部分で、核心部分の謎解きが待っている
この作品の中で一番好きな人物は、主人公でもヒロインでもない主人公の元恋人で、今は同じ研修医仲間で「親友」ということになっている主人公にとっては都合のいい女性である
その女性は、さばさばとした語り口調で主人公を影で支えるべく完全な理解者だ、心を開くべきはその彼女にだろう、背中を押し続ける彼女はすごい
さり気なく、そして力強く、その男に帰ってくる場所としてありつつ、健気に送り出す
きっと主人公がうまくいかなかったとしても、又迎え入れてくれる懐がありそうだった
絶対に、主人公は気づいていないだろう、本当に報いてあげるべきなのは、その元彼女だということを

ページ数
290(単行本)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
3(満点3)
ストーリー
3(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
2(満点3)
私個人の好み
4(満点5)
合計
18(満点20)

2020年47作品目

つぶやき:
脇役の人が魅力的な作品ってハズレがない


次に読む本:
野﨑まど 著「TITAN タイタン」