NO.616
「TITAN タイタン」
著者:野﨑まど
読了日:2020年12月21日

テーマ:
“ 仕事 とはいったい何なのか?”

物語:
時は100年後までいかない、まあまあ近い未来
人々は「至高のAIタイタン」の恩恵を受け
貨幣経済もなくなって、働くことも争いもなくなった世界で平和に暮らしています
この世界では働いている人は一握りで、その他の人は無職でも普通に生きていけるのです
主人公はそんな世界で暮らす大人の女性、彼女は趣味で心理学を学んでいる心理学博士
彼女も仕事として学者をしているわけではありません、あくまでも、趣味で
そんな彼女が、ある日なかば強引な形で「仕事」を依頼されるのです
その依頼とはAIである「タイタン」のカウンセリングでした
その後、主人公がタイタンとの出会いから話がエスカレートして全世界を巻き込む事態に発展するのですが、内容としては終始一貫として、「働くとは?」「仕事とは?」という問題を、あえて働くことがなくなった未来人の視点から考えてみるというものです

果たして、「働くこと」が当たり前に生きている「過去人」の我々が得るものとは?


感想:
作品で登場するのはAIの心の病だが、現代に生きる自分の心と向き合わざる得ない
人類の歴史上「働く」ことが当たり前ではない時代などない
成長の過程で、どんな仕事をするかを考える時期はあっても、どうして働くのかを考えるのは十代の一時だけだろう
この機会に「働くこと」でもなんでも、気になることがあるなら考えるのもいい
この作品を読み終わって「現代人よ、少し立ち止まって考えてみるのもいいのかもよ」と言われているようにも思う

ページ数
377(単行本)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
2(満点3)
私個人の好み
2(満点5)
合計
14(満点20)

2020年48作品目

つぶやき:
仕事、働くことを考えるとき、生きること、人生とは、命とはのように
どんどん当たり前に深いテーマになって、この年代の私には辛いね

次に読む本:
市川憂人 著「ジェリーフィッシュは凍らない」