午後から雨が降り出した。山で暮らす動物たちを観察していると、雨の日と晴れの日で行動を変えているように見える。雨の日と晴れの日で姿を見る時間帯などが違い、何を基準に行動を変えているかを考えると、人間の活動が影響しているのではないかと思っている。雨の日は人の活動が低下し、山付近に脚を運ぶ人は少なくなる。野生動物たちはしっかりとわたしたちの様子を観察し、身の安全を確保しつつ慎重に行動をしていることだろうと思う。

 

人間にとても遠慮しながら生活している野生動物たちにひどい仕打ちをすることなく、静かに見守ってほしい。

 

ナショナルジオグラフィックにラッコの研究結果について書かれてある興味深い記事があった。

 

ラッコが暮らすアマモ場には、ラッコが食料を探して海底を掘ることで、ところどころ草が生えていない空き地があり、ラッコがいないアマモ場は通常一面に草が茂っているという。

 

このことを聞いてどう思うだろうか?

 

「ラッコがアマモ場を荒らした」と思うだろうか?「草が生茂っている方が海底環境はよいのでは」と思うだろうか?

 

学術誌「Science」に掲載された論文によると、「ラッコがいるアマモ場の方が安定しており、以前氏の多様性も高いことが明らかになった」という。

 

ラッコの捕食行動により、アマモの開花や種子の形成が促され、種子が発芽成長するために必要な場所や日光も確保されるということだ。

 

ラッコという一つの種が捕食関係以外に生態系に影響を与えているのだ。

 

アマモは海中生物の産卵場所になったり、身を隠す場所になったりする。そして海中だけでなく大気中のCO2を吸収する。

 

このようなことから、一つの種が生物が生存できる地球自然環境に貢献していることがよくわかる。

 

現在、個体数が多いと「見られる」種や「外来生物」の駆除が行われているが、それがどれほど地球自然環境に悪影響を及ぼしているか想像できるのではないだろうか。

記事には「今回の研究は、大型動物が消えることで、一体何が失われる可能性があるのかも明らかにしている。『例えば、たくさんの遺伝子の相互作用です。この点については調査を始め、再発見できれば、とてもすばらしいことだと思います』」と書かれている。

 

ラッコは、キーストーン種(個体数は少ないが生態系に影響を及ぼす影響が大きい)と言われているが、そうでない種もこの地球自然環境の健康に貢献し、それぞれの関係性を生みだしている。

 

これから研究が進むにつれ、さらに様ざまな重大なことが発見されるだろう。最新の科学的知見からも野生動物の個体数管理による捕殺や外来種駆除は生態系を混乱させ衰退させることはわかっている。なので、その科学に耳を傾け、本来やるべきこと(野生動物が生存できる生息地の回復・拡大など)に力を使い、本来の意味の共生を目指してほしい。

 

目に見えることだけで勝手に結論付けたり、判断したりするのではなく、情報収集し倫理的価値判断をも含め包括的に考えていかなくてはいけない。

 

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●鹿たちを保護してからしばらくブログを書いてきて、多くのことを学んできました。もちろん、これからも野生動物や自然環境、社会と動物の関係性について学んでいきたいと考えています。

 

人間活動が拡大していく中で、野生動物とのかかわりについてこらから特に課題となってくることから、わたしが鹿たちを保護・レスュキーしたことから経験し学んだことを、少しでも多くの方たちと共有をしたいと思っています。

 

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