先日(11月7日)、日経平均株価はバブル経済崩壊後の戻り高値を更新しました。
7日の日経平均株価の終値は2万2937円。
これは1992年1月以来、25年ぶりの水準です。
■ここ10年の日経平均の推移(Yahooファイナンスより)
景気が良いという実感は薄いものの、経済指標と企業業績は概ね良好といったところです。
ただ、日本は、日銀の金融政策が予定通りに進んでいないという懸念が残っています。
日銀は2013年4月4日、異次元緩和を公表し、物価上昇率2%の達成を目標としてきました。
目標達成時期は当初、2018年頃と設定した日銀ですが、これがなかなか成果が表れず、
2017年7月の金融決定会合語、この達成時期を2019年頃へと1年先送りすることを公表しました。
個人的にも日銀の緩和策は残されている手段があまりなく、非常に厳しい状況に置かれていると考えています。
もはや金融政策だけでできることはほとんどなく、
外部環境の好転に頼るというアンコトロールな域に達しているのではないかということです。
ブルームバーグの調査でも半数以上のエコノミストが日銀の物価目標達成が不可能と答えているようです。
日本銀行は20日の金融政策決定会合で、物価上昇2%達成時期を「2018年度ごろ」から「19年度ごろ」に先送りした。企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっていることが背景。物価目標達成時期を先送りするのは昨年11月の会合以来となる。長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針は維持する。
ブルームバーグがエコノミスト43人を対象に7-12日に実施した調査では全員が現状維持を予想。黒田総裁の任期中に長期金利の目標を引き上げるという予想は4人と、6月の前回調査から減少した。「安定的に2%を超える状態が将来的に実現するか」と聞いたところ、6割が「実現しない」と答えた。
(引用:Bloomberg 「日銀:物価目標2%達成「19年度ごろ」に先送り、政策は現状維持」)
唯一の希望は米国経済と米国の株式市場でしょうか。
つまりこれが外部環境ということになります。
米国は経済指標、とくに雇用が好調で、それに呼応する形で
株式市場(NYダウ・S&P500指数)も安定上昇の推移を見せています。
それこそ、史上最高値の更新が続く勢いです。
■ここ10年のNYダウの推移(Yahooファイナンスより)
本日(11月9日)の終値は23,563ドルです。
22,000ドルあたりで天井かと思われたこともありましたが、
そのタイミングでトランプ大統領による税制改革の公表により、株価の上昇を後押しする形でここまできました。
トランプ氏は税制改革の狙いとして、中間層向け減税、制度の簡素化、雇用創出、企業が海外に蓄えた資金の米国への環流の4点を上げた。所得税の基礎控除を約2倍にすることで非課税の世帯を増やすほか、法人税率を現行の35%から20%に引き下げ、企業に雇用拡大や賃上げを促すとしている。
(引用:産経新聞「トランプ米大統領、税制改革の枠組みを発表 法人税率35%→20% 民主党に協力呼びかけ」)
米国の株式市場が好調で、経済・家計が潤い、これが企業業績に反映され、さらに雇用が良くなる...
そして、FRBが上手に金利を上げながら物価を安定推移させることが、もし仮にできれば、
このままNYダウが、例えば30,000ドルくらいのバブル的水準へと上昇することがあるやもしれません。
もし、そうなってくれれば、日経平均も追いつけドンドンとついていくことでしょう。
こうなれば物価目標の2%達成もあり得、ようやく日銀は緩和策からの脱却を開始することができ、
中央銀行としての金融調節機能を取り戻す作業に移ることができるでしょう。
これは好シナリオです。
◆
しかし、残念ながら反対に、史上最高値圏のNYダウがここらで天井をうち、
ついに下落トレンドを形成しはじめる可能性も頭にいれておかなければいけません。
今日は詳細は記述しませんが、
そのリスクとして、仮想通貨市場の崩壊や世界的戦争の勃発などが引き金となる可能性を私は考えています。
また今の私たちには見えていないブラックスワンがいつ発生するやもしれません。
※ブラックスワンとは、マーケットにおいて、事前にほとんど予想できず、起きた時の衝撃が大きい事象のことをいいます。
市場とはいつも崩落のリスクを考えて付き合っていかないといけない、というのが
トレーダーとしての私のリスク感覚なので、「今日それが始まるかも...」
というリスクをいつも頭の片隅に起きながらトレードを行っています。
株式市場はバブルが起きているのか、これからさらにバブるのか、見物ですね。