シュヴァンクマイエルさん その40〜ある俳優の話〜 | チェコチェコランドのイベント・商品情報ブログ

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本日もシュヴァンクマイエル監督のエピソードです。
 
 
これもずいぶん前の話ですが、
シュヴァンクマイエル監督が来日されていた時の話です。
 

ある俳優さんの事務所から連絡があり、

その俳優さんが
すごいシュヴァンクマイエル監督のファンで
監督が来日していることを何かで知って、
お会いする機会を作ってくれないか、と
という内容でした。
 
ただ監督の日本でのスケジュールは
かなり詰まっていましたし、
そして、
そういうお問い合わせは結構多く、
全て受け入れると元々のスケジュールに
支障をきたしそうなので
「あいにくスケジュールが埋まっておりまして…。」
という感じでやんわりと
いつもお断りしておりました。
 
業界の偉い人からは
「少しでいいから会わせてやってくれよ。」と言われたりもするのですが、
私は、合理的と言いますか、ドライと言いますか、
融通が効かないと言いますか、
監督には”仕事”で来日してもらっていますので、
その時の”仕事”に関連すること以外は
スケジュールに入れないようにしていました。
 
…ロシアの巨匠と会わせようと
画策したこともありましたが…。(笑)

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12779479427.html

 

また

タレントさんの事務所からの

問い合わせ電話が横柄な感じで

「うちの○○が会いたいって言っているんだよ。」など

いかにも”光栄だろ?”的な感じで

言ってくるところには、どんなに食い下がられても

「恐れ入ります。スケジュールがいっぱいで…。」

と頑なに断ったことがあります。

(何度かこういうことがありました。)

 

何より、監督自身が

そういう日本の俳優さんやタレントさんに

会うことに興味を示していないので、

「仕事以外で余計な負担をかけたくない。」と

思い、全て断ってきました。

 

そういうことなので、

上記の事務所は

とても丁寧な態度でしたが、

監督を煩(わずら)わせるのもなんなので、

丁重にお断りをしましたら、

電話を切ってから数分経ってから

なんと俳優さん本人から

連絡がありました。

 

その俳優さん曰く、

シュヴァンクマイエル監督に

オーディションをしてもらいたい、ということでした。

自分が将来、シュヴァンクマイエル作品に

出演できるような俳優なのか、

監督に判断してもらいたい、との内容でした。

とても礼儀正しく、

謙虚で何度も

「ご迷惑は重々承知なのですが…。」

とおっしゃるのですが、

とても情熱的で

気圧されてしまい、

「監督に確認して

折り返します。」と

言ってしまいました。

 

その俳優さんは

今は俳優活動はあまりされておらず

実業家としてご活躍されている方で

当時は日本のみならず、

海外でも俳優活動をされていた方なのですが、

そもそも

みなさまご存知の通り、

監督の作品は

必ずしも

人が出るとは限らないわけです。

 

こんなオーディションを受けても

”何も確約される”わけではないので、

どうなんだろう?と

考えましたが、

それよりも

このことを

シュヴァンクマイエル監督に

どう伝えようかと

思いました。

 

「日本の俳優がオーディションを受けたいと

言っています。どうされますか?」

と聞いても

煩わしく思われるだけだと思い、

何と監督に言うべきか、

考えました。

 

でも、ややこしいことを言うより、

ご飯でも食べてるついでに

俳優さんの芝居を見てもらって

「どう思います?」みたいに伺うのが

早いかな、と思い、

その俳優さんの事務所に

何か動画がないか、電話で言いましたら、

事務所の方が

すぐにその俳優さんが出演されているDVDを

持ってきてくれました。

 

俳優さんの熱意、

事務所の迅速な行動を見て、

「無下(むげ)にはできないな。」と思い、

監督に彼の演技をDVDで見てもらうことにしました。

 

その晩、

監督と宿泊している近くの”牛タン屋さん”に

ご飯を食べに行きました。

監督は初めての”牛タン”にご満悦でした。

 

食後の

監督のご機嫌のいいうちに

私は

その俳優さんの”動きの多い”シーンを

見せて、

「この俳優さんが

監督の作品に出演を希望されています。

どう思いますでしょうか?」と

聞きましたら、

「おお!素晴らしい演技だ!

日本語はわからないが、

彼がグッド アクターだと言うことは

十分わかるよ。

是非とも私の作品に出てもらいたい。

何なら次回作にも出てもらいたいものだ。」

 

…何とオーディション合格されました。(笑)

 

思わぬ結果に

すぐに彼に伝えようと思いましたが、

監督の”言うこと”は

”秋の天気”よりも変わりやすいことを

知っている私は

彼を”ぬか喜び”させても良くないので、

とりあえず

 

「この俳優は監督の面談を望んでいますが、

どうされます?」

 

と聞きましたら、

 

「今度の食事会に呼べばいいじゃないか。」

 

この翌々日に
監督の作品を上映してくださる映画館や
作品を紹介してくださった媒体の方などと
一緒に監督を囲んで
中華料理店で食事会をすることになっておりました。
監督は中華料理が大好きなので、
とても楽しみにしていらっしゃいました。
 
そこに招待しろ、ということなのですが、
”個人面談”という形にはなりせんが、
ご招待してみようと思いました。
 
お声がけしますと
その俳優さんはとても喜ばれて
参加されました。
 
そのレストランには
スクリーンがあり、
そこに
その俳優さんの演技の動画を流しましたら、
監督は「素晴らしい演技だ!
稀に見る才能だ!」
とても褒めていらっしゃいました。
その場にいた皆さんも
「初のシュヴァンクマイエル作品出演俳優か!」と
拍手で喜んでくださいました。
 
その俳優さんも
その事務所の方も
大喜びで
監督に何度もお礼を言っていました。
 
その俳優さんは
言いました。
「特にどの作品で出られる、ということが
確約されたわけではありませんが、
シュヴァンクマイエル監督に評価されたことは
自分の人生において
とても大きな自信になりました。
こんな機会を作ってくれて
マナベさん、本当にありがとうございました!」
 
 
そして

1年ほど時は流れ…

私は仕事でチェコに来ていました。

 

その滞在中のある日の午前に

なんと上記の俳優から

携帯に連絡がありました。

 

彼は仕事でオーストリアに来ており、

可能であれば

シュヴァンクマイエル監督に会えないか、と

聞くために

私に電話をしてきたのですが、

私が偶然、チェコにいたので、

びっくりされていました。

 

これも偶然ですが、

その日の夜に監督と

食事をすることになっていたので、

監督と約束の時間までに

来れるなら

一緒に食事をしましょう、と言いました。

 

事前に監督に許可をもらうべきなのですが、

監督も知っている人物だし、

とても絶賛していた俳優なので、

問題ないだろう、と思って誘いました。

 

彼は、「ぜひ、伺います。」と言い、

車を飛ばしてだと思うのですが、

約束の時間に現れました。

 

監督も笑顔で彼を歓迎し、

談笑しながら、

食事を楽しみました。

彼は

自身の近況を話し、

監督も機嫌よく聞いていました。

 

1時間ぐらいで食事は終わり

彼は急いでオーストリアに戻りました。

 

監督はニコニコしながら、

「なかなか感じのいい青年だね。

一体、誰なんだい?

君の友人か?」

 

!!!!!!!!!!!!

 

この日も

中華料理店に来ていたので、

監督はとても機嫌は良かったのですが、

まさか、覚えていないとは…。

 

それにしても

知らない日本人と

1時間もよくお話ししてくれました…

よほど、中華料理に満足されていたのでしょうか…。

監督には悪いことをしたかもしれません。

 

でも、

私は監督に言いました。

 

「昨年、日本に来られた時、

DVDで彼の演技を見せたら、

大絶賛していたの、覚えていませんか?」

 

監督「覚えていないなあ。」

 

私「中華料理店で

たくさんの皆様と食事会をしたのを

覚えていませんか?」

 

監督「それは覚えているよ。

エビチリ美味しかったなあ。」

 

私「いや、その、

その時、スクリーンに

彼の演技シーンを映して監督は

絶賛されていたのを覚えていませんか?」

 

監督「あっ、そういえば、

あの時女性は、どうしてる。

とても明るくて美人だったなあ。」

 

監督の言っているのは

その食事会の時、

みなさんから監督に挨拶をしてもらったりしたのですが、

その時、仕切ってくださったある出版社の女性のことを言っています。

監督はその女性を

「とてもハキハキして

進行もスムーズで優秀な美人だ。」と

絶賛されていたのですが、

その女性は覚えていたのですね…。

 

監督「彼女は、非常に聡明で美人だ。

彼女は来ていないのか?」

 

私「いや、来てないですね…。」

(なぜ来ていると思うのだろうか?)

 

監督

「君も友人を呼ぶなら、

ああいう有能な人物を呼ぶべきだ。

制作進行をぜひ、彼女に任せたい。

それに

美人で明るいから、

現場が明るくなるよ。」

 

監督の中では

彼(俳優さん)は

私の”一友人”になってしまいました…。

 

これは

完全に私のミステイクです。

 

彼を監督に会わせるべきではなかったのです。

 

監督の元には

チェコにいても

多くの俳優などが

直接売り込んでくることが多いようです。

 

監督の”処世術”として

そういう場合は

”褒(ほ)めて帰らす”ことだそうです。

 

正直に”ダメ出し”をすると

ショックを与えすぎたりして

波風を立てるので

”適度に褒める”のがいいそうです。

 

でも、

私と二人っきりの時の

”牛タン屋さん”でも

DVDで彼の演技を見せて

絶賛されていたから、

本当に評価していた、と思ったのですが…。

 

でも、これも

”牛タン”に満足して

いい気分だったのと、

私がDVDを見せるなど

煩(わずら)わしいことをするから、

そんな煩わしい行為を早く終わらせるために

”褒めて終わらせた”気がします…。

 

ただ、私のファインプレーは

彼(俳優さん)に

「次の作品に抜擢したい、と監督が言っていた」とは

伝えなかったことです。

 

”評価をしていた”というだけにとどめて

”変な期待”をさせなかったのは

よかったと思います。

 

彼は

今は事情があって

別の仕事をされていますが、

今も監督から

”褒められたこと”を胸に

生きているのでしょうか。

そうであれば

ミステイクもあながち、無駄ではなかったと思うのですが…。

 

 
 
シュヴァンクマイエルのエピソードを
もっとお聞きになりたい方は
ぜひ、
「チェコのアニメと絵本の店」お越しください。
私、常駐しております。
今月は
29日と30日に上映会を行います。
 

また「チェコのアニメと絵本の店」と

「銀座直売会」では

シュヴァンクマイエル監督のDVD(短編集、「ルナシー」、

「悦楽共犯者」)や

36種類のポストカード、

8種類のポスターも販売しております。

↓詳しくは↓

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≪銀座直売会≫

<「銀座直売会」日程>

◼︎12月22日(木)、23日(金) 17時〜20時

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12777270551.html

 

 

≪チェコのアニメと絵本の店≫ 

12/29・30上映会(30日は予約受付終了)

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12780083568.html

 

 

↓今まで書いたシュヴァンクマイエル監督のエピソードです!

①商談に犬

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12754524615.html?frm=theme

②地べたに絵を置く

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12754689145.html?frm=theme

③ペットについて

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12755208096.html?frm=theme

④シュヴァンクマイエルさんの笑顔

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12755386056.html?frm=theme

⑤神様の嫌なこと

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12755918795.html?frm=theme

⑥シュヴァンクマイエル攻略法

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12756059700.html?frm=theme

⑦オトラントの城の巨人

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12756243292.html?frm=theme

⑧シュヴァンクマイエル監督に引退について

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12757360355.html

⑨政府からの招待は…

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12757360371.html

⑩南の島の出来事

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12757919591.html

11子煩悩なシュヴァンクマイエルさん

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12758268486.html

12シュヴァンクマイエルとポヤル

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12758449487.html

13シュヴァンクマイエルさんを激怒させた話

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12758618583.html

14百聞は一見にしかず

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12758798026.html

15自動車

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12758989943.html

16シュヴァンクマイエルさんとの初対面

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12759164470.html

17君は正しい

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12759673913.html

18 I love bone!

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12759822496.html

19シュルレアリストと呼ばないで

https://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryupdateinput.do?id=12760036955

20今も昔も…

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12760197292.html

21超人シュヴァンクマイエル

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12760708437.html

22トム・ヤン・クン

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12761217400.html

23陥し穴と振り子

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12762731638.html

24シュヴァンクマイエル・ミュージアム

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12764118203.html

25ついに公開!シュヴァンクマイエルのコレクション

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12764514508.html

26アルチンボルド

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12765327137.html

27どうやってポスターとポストカードを仕入れたか

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12765981005.html

28シュヴァンクマイエルの復讐

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12767008483.html

29急所を狙え!

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12768089597.html

30ハッピーエンド?

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12768936568.htm

31デビュー作
https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12770213592.html

32まさか、ご自身の代表作を…

33アッシャー家の崩壊

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12770533079.html

34シュヴァンクマイエルに出会った…

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12770671530.html

35シュヴァンクマイエル監督と”ある問題”について話しました…

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12771492413.html

36シュヴァンクマイエルのマネージャー

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12778066648.html

37犬をどうするのでしょうか?

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12778516508.html

38シュヴァンクマイエルvsロシアの巨匠

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12779479427.html

39シュヴァンクマイエルvsマネージャー

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12780530948.html

 

 

 

大阪の十三のシアターセブンにて

チェコアニメの上映とトークのイベントを行います!

“ザ・チェコアニメショー!”

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▼劇場HP

 

≪チェコのアニメと絵本の店≫ 

12/29・30には上映会を行います。
 

≪銀座直売会≫

<「銀座直売会」日程>

◼︎12月15日(木)、16日(金)17時〜20時

◼︎12月22日(木)、23日(金) 17時〜20時

https://ameblo.jp/a-a-agallery/entry-12777270551.html

 

 

 

 

≪You tubeチャンネル≫

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