お久しぶりです。

 

気分が乗らないと全く話書かないですみません…

 

今というか今年の初めからハマったものがありまして。

 

小さい頃金曜のゴールデンタイムに放送していた頃から

好きだったんですが

生で見る機会は無かったんです

 

たまたま遠方の友人の側で開催される機会があり

友人誘って行ったんです…

 

そうしたら。

 

見事にどハマりしました

 

 

新日本プロレスに。

 

 

元々TVや動画では見ていたんです

でも

生で見たら!

 

 

プロレスってごっこでしょ?

ホントは痛くないんでしょ?

ぴょんぴょん飛んだりするのも

ヤラセなんでしょ?

 

そう言う人案外多いですよねぇ

 

 

生で見たらねそんな思い吹っ飛ぶから!

張り手の音だけでそんな風に思ってた事

謝りたくなるから!

(あ、自分はそうは思ってないので誤解なきよう)

 

 

友人もすっかりファンになるほどでした

 

 

それをキッカケに

久しぶりに暴走モード突入しました←

 

 

今年は我慢しない。

もう子供も手が離れるし

 

 

やりたいことはやる

見たいものは見る

行きたい所へは行く

 

 

ちょっと仕事中心になっていた

自分の毎日を

少し自分の好きな事に時間使おうかと思います

 

 

一応自制かけて

 

試合見に行くのは月に一度くらいとする

 

と決めて楽しみたいと思います

 

 

これからはプロレスの話が多くなりそうですが

相変わらず脳内は妄想でダダ漏れですから

そちらも宜しくお願いします←

mad dog -final- 12

 

学校に戻った俺は今まで以上に真剣に授業を受けた

今までなら台湾に戻っていた短い休みにも

俺は戻らず授業に没頭した

 

台湾からの連絡は度々あったが

サラの居場所は未だにわからないままだった

 

俺は早く学校を卒業して台湾に戻るんだ

そしてサラがいつ戻っても迎えられる様に

迎えに行けるようにするんだ…

 

俺はその思いだけで授業を受けていた

 

「朱 孝天!今度の課題はもう仕上げたの?」

同じクラスを受ける女子から声をかけられた

名前…何だっけか…

 

「もう仕上げたよ…絵コンテだろ?」

「前から熱心だとは思ってたけど凄いよね」

「…要件は?」

無駄な時間を過ごしたく無い俺は話を切り上げた

 

「今度何人かで組んで課題に取り組むでしょ?

   一緒にやらないかと思って…どう?」

「…は?もう組んでる仲間居るから」

「成績が良い人と組んだ方が良くない?」

その言葉に俺は苦笑いが浮かんだ

 

「…名前は?」

俺の言葉に憮然とした顔で答える

「名前も知らないで話してたの?随分と失礼なのね

   高詩…シーシーって呼ばれてるわ」

 

「高詩…ガオ・シーね…あぁ…こっちの女優だっけ?

   いつも課題で優を貰ってるので有名だっけか…

   で?俺と組む理由は?

   別に俺は成績が君より優秀って訳じゃないだろ?」

 

「謙遜でもしてるの?自分だって優を取ってるのに

   しかも台湾のキャリアの有る俳優なのに」

「別に…今は俳優でも何でも無いからな

   悪いけどもう組む仲間は決まってるんだ

   他の優秀な人材に声かけて貰えるかな?」

 

俺はそう答えると歩き出した

 

「あなたの扱うテーマは一般受けしないわよ

   もっと大衆に受けるテーマを扱うべきよ!」

その言葉に俺は歩みを止めて振り向いた

 

「…一般受け?大衆に受ける?

   別に俺はそんなのに興味無いんだよ

   撮りたいものを撮るそれだけだよ

   俺の仲間はそういう考えで集まってる連中ばかりでね

   華やかな女優も要らない受けるストーリーも必要ない

   ありのままを撮りたいそういう仲間だよ

   だからアンタと組む理由は無いよ」

 

俺はそう言うと歩き出した…

 

大衆受け?何だそれ

俺がずっと撮りたいのは…

 

「…その被写体は今どこで何してるんだか

   早く卒業して被写体を探さないとな…全く」

 

早く卒業をしてサラを台湾のいつもの場所で

待たないと

 

サラからの連絡は勿論行方さえも未だにわからない

本部でも色々な支部に声をかけて

どこか他の国にいるのではないかと探しているようだが

依然サラの情報は皆無だった

 

何処に居るんだか…全く

「見つけ出したらきっちりと説明して貰うからな…」

 

サラは未だに何処に居るのかも解らない

でも俺は待って居るんだ

サラは必ず戻ってくる…信じて居るんだ

 

そんな俺の思いは叶わず

いつまで経ってもサラは戻って来る事はなく

 

気がつけば俺は映画学校を卒業し

サラの居ない台湾へと戻る事となった

 

台湾に戻った俺はしばらくは店に顔を出して

料理を作ったりして過ごして居たが

サラの居ないあの場所は俺にとって辛い場所になっていた

 

そんな時だったB.Pがある日俺に言ったんだ

「話がある…皆に…ケンにもユンフェンにも聞いてもらいたい」

 

…嫌な予感がする

 

「…単刀直入に言う

   アジア支部の責任者をサラがいない今

   そのまま俺がいつまでもって訳にいかない

    韓国にアジア支部を移す事にした」

 

「ココは引き続き存続するんですよね?

   台湾にはまだ必要ですよね?」

陳がB.Pに尋ねるとB.Pは腕を組んだまま答えた

 

「…正直2人だけでココを続けるのは厳しいと

   本部は考えている…俺個人としては…」

 

「ココを閉めたらサラが戻ってきた時にっ」

王が話を遮る様に声を上げた

 

「王の言いたい事もわかるが…

   サラが戻らなくなってもう3年だ…」

 

「…まだ3年です!第一サラは…」

途中で陳が俺の顔を見て一瞬言葉を止めた

 

「…確かにサラの死亡報告は本部にも報告がされていない

   ただ報告が来ていないっていう事実だけだ

   正直今までの経験からすると半年…長くても1年

   それ以上見つからない場合には…死亡している可能性が高い」

 

…何言ってるんだ?サラが死んでいる?

 

「死亡してれば…サラのtattooで判別できるようになってるが

   本部にまだその報告が来てないからな…

   俺たちも諦めた訳じゃ無いんだが」

 

…さっきから何言ってるんだ?

サラが死んでたらとか…tattooで報告とか…

 

「…ひとまず陳と王には本部に一度戻って貰う

   そこでココを2人で存続するために必要なスキルを

   学んで貰うつもりだが…どうだ?」

 

「…それはもうサラはココには必要ないって意味ですか?」

「いやそうは言ってない…サラ抜きでも2人がやれないと

   ココを存続できないだろ?

   サラが戻って来るこの場所を守っていく為には

   2人は今のままじゃダメなんだよ…わかるだろ?」

 

「…俺達がそのスキルを身につければ…」

「この台湾支部は存続できるんですね…」

王と陳の気持ちは決まっているようだ

 

「あくまでも存続の可能性が上がるとしか

   今の段階では答えられないがな

   でも何もしないで今のままよりはマシだろ…」

 

「わかりました俺達本部に戻ります

   その間ちょっとだけ店開けないけど

   ユンフェン…戻って来たらまた手伝ってくれるか?」

陳の言葉にユンフェンも力強く頷いた

 

「判ってるよ!店開けたら仕入れ頑張るよ

   だから必ず台湾に戻って来てよ?

   孝天兄ちゃんと待ってるよ

   ね?孝天兄ちゃん」

ユンフェンの問いかけに俺は頷く事しか出来なかった

 

暫くしてサラの戻らないまま

J.R.C台湾支部は閉じられる事となった

 

誰も居なくなり俺はある事を考えていた

サラを探す為に…サラを知る人達と会おう

そしてサラの事を忘れない様に記録に残そう

そう考えたんだ

 

サラを知る人を辿って行けばきっとサラに辿り着く

俺は信じてるサラはきっと何処かで元気で居ると

 

こうして俺はカメラを手に台湾を後にした

mad dog -final- 11

 

「Hello…ケンの携帯で合ってるか?」

 

聞き覚えのある声が電話から聞こえてきて

久々に聞く英語に戸惑いながらも俺は

声の主と話を始めた

 

「ケンですが…失礼ですが…」

俺の言葉に安心したのか

声の主が話を始めた

 

「B.Pだ…久しぶりだな…今話して大丈夫か?」

「大丈夫ですよお久しぶりですどうしたんですか?

   今そちらは…俺今台湾に居ないんですよ」

俺の言葉に驚いた様子も無くB.Pは話を続けた

 

「今俺も台湾に来てるんだ

   ケンはいつこっちに戻る予定だ?」

その言葉に俺は嫌な予感だけが頭をよぎる

 

「サラに何か…あったんですか?

   まさかサラはまだ戻って無いんですか?」

話をしながら俺はすぐにでも台湾に戻れる様に

使い慣れたバッグに最低限の荷物を纏める

飛行機は探せば何かしら見つかるはずだ…

 

「これから急いで空港向かいます

   今日中には台湾に戻れると思うんで」

「慌てなくても事務所に俺も居る予定だから

   そっち優先で大丈夫だからな…」

そんな言葉が耳に入る余裕もなく

 

俺は曖昧に返事して電話を切ると

急いで空港に向かい直ぐに取れるチケットで

台湾へ向かいサラの事務所へと向かった

 

 

サラがあれから戻っていないの?

何かトラブルに巻き込まれたのか…

でもB.P達と一緒の仕事だって言ってたはずだ

 

その話さえ嘘だったのか?

サラが俺に嘘をついて居なくなったのか?

頭の中でグルグルと色々と浮かんでくる中

俺の乗ったタクシーがサラの事務所の前に止まった

 

少しでも落ち着こうと扉を開ける前に

小さく息を吐いて扉を開けた

 

「孝天さん…飛んできてくれたんですね」

陳が俺を迎えてくれたが挨拶も返さず

俺は本題に入る

 

「B.Pが来てるって…2階か?」

「おぅ…早かったな

   本当にあれからすぐに飛行機飛び乗ったのか」

くわえタバコで2階から下りてきたB.Pが

坊主頭を掻きながら声をかけてきた

 

「サラが戻ってきて居ないってどういう事ですか?

   一緒に仕事するって…」

「とりあえず荷物置いて落ち着いて話そうや…」

俺はその言葉に何も答えず荷物を乱暴に置くと

グラスを見せるB.Pに話を続けた

 

「サラに何かあったんですか?

   こんなに連絡なしでおかしいでしょう」

「…俺の口から言えることは

  …サラはこのまま戻らないかもしれない

   それだけだな」

その言葉を聞いて俺より先に陳と王が慌てて

駆け寄ってきた

 

「どういう意味ですか!サラは戻らないって

   戻れないじゃなくて戻らないって!」

「…言葉の通りじゃねぇの?

   俺も正直困ってるよこんな事になって」

「一緒に仕事してたんでしょ?

   それなら今どこにいるかも解らないんですか?」

王が冷静に訪ねて陳に座れと促した

 

「確かに俺達は一緒に仕事してたよ

   俺達の本部にも関わる重要な案件だったからな

   手こずったけど何とか解決したけどな」

B.Pは新しいタバコに火をつけ大きく吸い込んだ

 

「ま、2週間程で仕事が終わったんだが

   そこそこの相手だったからまぁ1週間ほど

   休んでたんだよ

   俺は本部でサラの昔の仲間はL.Aでな

   それぞれが自分の場所で

   で、また落ち着いたら報告に集まる予定だったんだ

   今までもそうしてたから今回も何も問題無いと思ってな」

 

「てっきりこっちに戻って来てるとばっかり思ってたんだよ 

   アイツもHOMEはもうこっちだって言ってたからな…

   そうしたら陳から連絡貰ったらまだ戻って無いっていうだろ?」

話を聞いていた俺は随分のんびりしてたものだと

イライラしながらも黙っていた

ここでそれを責めた所でサラが見つかる訳じゃ無い

 

「心当たりは有るんですか?サラの居そうな場所は?」

俺の言葉にB.Pの口から出た答えは予想外なものだった

 

「今のところ見当もつかないな…

   なぁ…サラは探して欲しく無いんじゃないか?

   少なくとも俺はそう思ってる…」

 

「何言ってるんですか!サラがここに戻りたく無いとか

   俺達や…孝天さんに会いたく無いとか…

   ありえないでしょう!」

陳が声を荒げてそう言い返していたが

俺の耳には殆ど入ってこなかった

 

 

サラは自らの意思で俺たちの前から姿を消した…

何か理由が有るはずだ

理由も無くサラが消える訳がないんだ

俺と2人で出かけようって約束したんだ

…あれだけ嬉しそうに楽しみにしてたんだ

 

「サラがコッチに来る前に何か様子がおかしい所とか

   無かったか?

   俺達からの連絡以外に他から何か…」

B.Pの言葉に陳と王が顔を見合わせた後に

思い出した様に話を始めた

 

「居なくなる前ずっとサラの所に病院のファン先生から

   連絡があった記憶が…何回かあったよな?」

王が陳に確認すると陳も頷いていた

 

「…病院から?俺は聞いてないぞ?ケンは聞いてるか?」

俺は顔を歪ませ首を横に振った

 

「どこか具合が悪かったんですか?

   最近はそんなに怪我した事も無かったし

   以前ほど仕事にも出ていなかった感じも…」

俺の言葉に陳も王も頷いていた

 

「まぁ…アイツの場合はリスクが高い部分が多いからな

   普通に生活するにも気を使わないといけない事もあるしな

   まぁ、俺達の方でもただ戻って来るのを黙って待っているつもりは

   無いからな…他の国の支部にも声かけてみるつもりだ」

 

「コッチに連絡来たら直ぐに本部に連絡します」

陳の言葉に俺も頷いたが内心はショックを受けていた

 

俺とサラの関係は今までの積み重ねて来たモノは

何だったんだ…

2人だけで生きる為にと入れたTattooも意味無かったのか?

 

何も言わずにしかも俺の帰る日を聞いた上に

2人で何処かに行こうって決めたのも嘘だったのか?

…もう何が本当で何が嘘だったのかわからなくなる

サラの言葉の全てを疑ってしまうんだ…

 

俺は下を向き髪をかき乱しため息を吐いた…

「…大丈夫ですか?」

 

陳が強い酒を入れたグラスを俺の目の前に差し出した

 

「…正直言って大丈夫じゃ無いな

   ショックでどうにかなりそうだよ」

隠す事なく自分の気持ちを陳に吐き出した

 

「俺とサラの関係って案外大した事無かったんだな…」

自分で言った言葉にショックを受けてグラスの酒を

一気に煽り咽せて咳き込んでしまった

 

「何言ってるんですか!そんな訳無いでしょう!

   きっとサラさんに何かあったんですよ!」

「連絡もしないでか?!何も言わず消えなくちゃいけない程の事がか!」

陳に八つ当たりしてもどうにもならない事も判ってる…

 

「まぁ…こっちに連絡来るなり何か判ったら直ぐ知らせるよ

   ケンは学校に戻った方が良い…

   俺はサラを待ちながらここの仕事引き継ぐから

   アジア支部は他にも有るからな…閉める訳にはいかないからな」

B.Pがそう言いながら俺の肩に置いた手を跳ね除けた

 

「何言ってんだ?学校に戻れ?学校なんてっ!」

俺が言い終わらない内にB.Pが俺の襟首を掴み

無理矢理立たせてそのまま壁へと押し付けた

 

「あ?学校なんてだ?の程度の思いでココを離れたのか?

   それなら何で行かないでサラの側にずっと居なかった!

   離れてでもやりたい事があったんだろうが!!」

 

「…サラは俺達が絶対に見つけてやる

   だからお前は自分がやるべき事をやれよ…

   サラが戻った時に自分のせいでお前が途中で

   夢諦めたなんてなったアイツが責任感じるだろ…

   だから学校に戻れ…」

B.Pは俺にさっきとは違ういつもの飄々とした表情で言った

 

「俺達が必ず見つけますから!」

王も陳も俺にそう言うとクシャクシャな笑顔で笑った

 

「判ったよ…早く映画監督になって戻ってくるから

   何か判ったら直ぐに連絡くれ…

   些細な事でも構わないので…お願いします」

B.Pに頭を下げて俺は無理に笑顔を返した

 

サラは戻ってくる…

今はそう信じるしか無い…

 

俺は学校に戻る事にした

 

 

 

 

 

mad dog -final- 10

 

年の瀬に俺は予定通り台湾へと

また戻ってきていた

 

今回はサラと二人で少しのんびりと

出かける予定もある

二人が出会いもうずいぶんと経つが

初めての事だった

 

俺は今回学校の授業で使っている

カメラを一緒に持ち帰ってきていた

 

今までも何度か趣味で写真を撮っていたし

サラにカメラを向けると露骨に嫌がられて

レンズを手で覆い隠されたり

撮れたとしてもとてもじゃないが

使える代物では無かった事が多かった

 

それでもサラの気が付いていない隙に

ふと見せる表情をカメラに収めたりして

後から苦笑いされたり中指を立てられたりした

 

ほんの短い時間でもサラの姿を

映像に残せると良いな

俺はそう考えながらいつものように

サラの待っているだろう店へと向かった

 

いつものようにドアを開けて

店内に入る

「あ・・・孝天さん・・・おかえりなさい」

 

いつものようにカウンターにいる陳が

俺を出迎えてくれた

 

「ただいま・・・サラは?」

 

姿の見えないサラはきっと二階だな

俺はそう思いながら尋ねると

 

陳からはいつもと違う答が返ってきた

 

「サラさん・今留守にしてるんです」

 

「あぁ・・・買い物か?」

 

俺は何の気無しにそう尋ねると

 

「今・・・本部に呼ばれて留守なんです」

 

「え?いつ頃戻るって?」

まぁ仕方ないよな仕事の用事なら

でも俺と出かける予定もあるんだから

たいしてかからないだろうと思っていたんだ

 

「今回はいつまでって言って行かなかったんですよね

   普段も言って行かない事が殆どだから

   あまり心配しないでも大丈夫ですよ」

陳の言葉がいつもならすんなり耳に入るのに

今日に限ってかえって不安を煽られていく

 

「今回はタイミングが合わないかもしれないですけど

   戻ったら連絡一番に孝天さんにしますよ」

王も俺に気を使ってなのか明るい表情で俺に言った

 

「そうだな…今度会ったらサラから直接話を聞くよ」

俺はこれ以上2人に心配をかけない様に

明るく振舞って答えた

 

きっと戻ってきて俺に悪かったと電話してくる

そう思いながら俺は台湾を後にした

 

学校に戻ってからもサラからの連絡を待っていたが

 

いつまで待ってもサラからの連絡は来なかった…

 

今直ぐでも飛んで帰りたかったが

しばらく長い休みは取れず

ただヤキモキとした気持ちでただ待つしかなかった

 

そしてようやく連絡が来たのは2ヶ月過ぎた頃で

電話を取った俺の耳に聞こえたのは

待ちかねていたサラの声ではなく

思っても見なかった人からだった

 

 

 

 

mad dog -final- 9

 

休みの度に戻る事は流石に出来なかったが

長い休みがあると

俺は台湾に戻っていた

 

戻れば俺をすんなりと受け入れて

容赦なく料理を作らせたりしているが

それは俺にとっても心地よい事だった

 

本部に行くと以前言っていたサラは

陳の話によれば直ぐに戻ってきたらしい

「なんだかそれ程の案件だったみたいですけどね

   でもサラはあんまり詳しく話してくれなかったから

   ちょっと気にはなってるんですけどね」

 

「上の立場しかわからない話もあるだろうよ

   サラはそれでも割と隠さずに話してくれるよな」

王も陳の言葉に頷きそう話を続けた

 

2人はすっかり逞しくなったのもあって

最近は以前ほど直接サラが仕事に出る事も

無くなっているらしい

 

「でもこの先B,PやHarry達と大きな案件で

 集まるって言ってたなぁ

 俺達はこっちで留守を守るんだろうけど」

王が思い出したようにそう呟いた

 

「そうか・・・」

俺は不安を覚えたがあえて気にしなかった

 

大丈夫だ

いつだってサラは戻ってきた

 

俺と約束したんだから

一人で居なくなる事は絶対にない

 

俺はそう信じていたんだ

 

 

それでもこっちに帰って来る度に

サラは今まで以上に情熱的に

俺を欲しがった

会えない期間が長いからなのか

俺自身もそれに応えていた

 

サラはまるでこれが最後になるかのように

時折切なそうな表情を見せた

サラの中にそのまま全ての熱を吐き出した後

その度に俺にしがみついたまま

愛してると言うだけだった

 

その度に俺も愛してると返し

これが最後じゃないのにと

彼女をからかってはいたが

あまりにも今までの彼女とは違っていたので

俺は不安を感じ始めていた

 

翌朝になれば昨晩の姿が嘘だったかのように

いつもと変わらない淡々とした態度に戻っていて

その姿に俺はやはり気のせいだったかと

思うばかりだった

 

「孝天は次戻って来るのはいつ頃?」

 

「ん?もう次の話か?

 まだ俺しばらくいるけど?」

 

「わかってるけど一応ね・・・

 次に休みにたまには二人で

 どこかに行くのも悪くないかなって

 だから大体で聞いておきたくて」

 

サラの言葉に俺は驚いていた

 

今まで二人でどこかに出かけるなんて

一度も無かったし

サラからそんな話を持ち掛ける事なんて

一度も無かった

 

「なんかあったのか?」

 

「ん?どうして?」

 

「いやサラからそんな風に話持ち掛けるなんてさ」

 

「失礼な!もう陳も王も心配ないし

 自分が何日か仕事抜けても大丈夫かなって

 思っただけだよ・・・

 嫌ならいいけどさ無理にとは言わないし」

 

「嫌じゃないよむしろ嬉しいよ」

 

俺の言葉にサラは嬉しそうに笑った

 

俺はサラのその言葉に何も疑問も疑いも持たなかったんだ

 

そして次の長い休みの取れる年末を

本当に楽しみにしていたんだ

 

 

 

mad dog -final- 8

 

2週間の休暇を終えて俺はまた北京の

学校へと戻っていた

 

また毎日の課題や講義で忙しい中

俺はサラに違和感を感じていた

 

その違和感はきっと周りは気がつかないと思う程

些細な事だったが俺には引っかかっていた

 

その些細な違和感を感じたのは

台湾の最後の夜を二人で過ごしていた時のサラの様子

その時に違和感を感じたんだ

 

その日のサラはまるでもう俺と抱き合うのが

最後になるかのような烈情的なサラだった

 

「孝天・・・ピル飲んでるからそのままで・・・きて・・・」

しっとりと潤んだ目で俺を見つめて俺に強請るサラの姿に

俺はいつもより欲情した

 

サラの中の体温を感じながら

俺の吐息とサラの吐息が交じり合う

ザラついたサラの中を感じながら

思い切り引いた腰を押し込むと

サラの背中が仰け反り小さく声を上げた

 

俺の首に腕を回しお互いの身体が離れないようにと

必死にしがみつくサラの耳元のTattooに舌を這わせると

サラの口元から甘い吐息が零れ落ちる

本能のまま動き息を切らす俺に合わせ

サラも小さく声を上げていく

 

堪えきれなくなったサラが今までより少しだけ大きく声を上げ

身体を震わせイクと俺は休まずサラの腕を首から解き

サラの身体をうつ伏せにした後両手で支えるように促す

背中のTattooに舌を這わせた後少しキツめに歯を立てると

シーツに顔を埋め感じたのか尻を浮かせ小さく震えた

 

まださっきの快感が残っているサラの中へと

俺は後ろから覆い被さり差し込んでいく

「っ・・・まだ・・・イったばっか・・り・・・っ・・・ぁ・・・」

快感で染まっていくサラの肌は仄かに色付いて

背中のTattooも命を吹き込まれたように動き出す

 

揺り動かす度に逃げ出しそうに感じて

サラの腰を両手で押さえお互いの肌がぶつかる音に混じって

小気味良く聞こえるサラの声を聞きながら

突き刺すように腰を動かし続けた

 

「あっ・・・また・・・イくっ・・・っ」

そう言いながらサラはシーツに顔を埋め背中を丸め

大きく身体を痙攣させた後自分の身体を支えきれなくなり

ベッドに身体を投げ出していた・・・

 

俺はサラの背中に覆い被さるように倒れこみ

乱れている呼吸を整えた

汗がサラの背中に落ちていく

もう俺も限界が近づいている

 

力の抜けているサラの体を抱き起こし

そのまま自分の膝の上に座らせた後

サラの中へ挿し入れた

「待って・・・っ・・まだイってる・・・っ・・・あっ・・・」

 

その言葉に聞こえないフリをして

サラの身体を支えながら揺り動かし続けると

今までよりも声を上げていくサラの中も

キツくなってきた

 

抱きしめていた身体から片手を外し

サラに顔が見たいと頬をなでると

快感からか今にも涙が零れ落ちそうな瞳をしたサラが

俺を見つめどちらからともなく唇を重ねた

 

そのまま最後の力を振り絞り動き続けると

舌を絡ませたまま吐息と声を上げ

耐えられなくなった俺はサラの中へと全て吐き出した

 

サラは背中を反り顎を上げ身体を痙攣させ

その身体を俺は強く抱きしめて二人動く事も出来なかった

 

酷く息を切らせ二人肩で息をして少しずつお互い落ち着きを取り戻した後

二人でベッドに体を投げ出した・・・

 

ようやく話ができる程度まで呼吸が整った俺は

汗で肩に張り付いたサラの髪を整えながら訪ねた

 

「・・・今日はどうした?いつもと何か・・・違ったな・・・」

 

「・・・また暫く会えないから・・・」

 

「そっか・・・」

 

「うん・・・こっちもちょっと仕事で本部に行かないと行く予定があるんだ」

 

「・・・N.Yの本部に?」

 

「うん。何か呼び出されたの・・・」

 

そう答えるとサラは俺の髪にそっと触れたあと微笑んだ

 

「お互いやらなきゃいけない事があるから・・・寂しくないよ」

 

「しっかり勉強して戻ってくるよ・・・」

 

俺はそう答えるとサラを抱きしめた・・・

俺の言葉にサラは何も答えずただ頷いて俺を抱きしめ返していた

 

 

mad dog -final- 7

 

結局ユンフェン達の不安をよそに

俺がいた2週間の間に

ヴァネスも仔仔も店にフラっと現れて

 

俺が連絡もせず帰ってきていた事で

二人からかなり文句を言われた

それからは二人から連絡が流れ

旭兄や周董まで店に来ては

遅くまで飲んでお互いの近況報告をした

 

「まだ3か月だろ・・・俺が向こうに行きだして」

「それでも連絡くらい入れてよ!帰ってきてるならさ」

「悪かったよ・・・仔

 どうせココに顔出すだろうと思ってさ」

「そうだけどさ!で?どうなの?学校は」

「ん?どうって?」

仔がのんびりと俺に尋ねてくる

 

「面白いよ・・・ま、課題だので大変だけどな

 それでも知らなかった事や

 今まで何となくしか知らなかった事を

 詳しく学べるから毎日充実してるよ」

 

「孝天は最初っから言ってたもんな・・

 演じる側より裏方に興味があるって」

ヴァネスが俺の言葉にそう返した

 

「まぁな。

 でも演じる側の経験があったから

 キャリア積んだから今になって

 好きな事が出来てるって感謝してるよ」

 

「無事映画監督になったら

 何か作りたい作品とかあるのか?」

周董がふいに尋ねてきた

 

「ん?そうだなぁ・・・ノンフィクションかな

 ドキュメンタリーとか」

「昔ドラマでやったような少数部族とか?」

旭兄が思い出したように答える

 

「別に遠くに行かなくてもすぐ側に

 撮りたい素材がいるからなぁ・・・」

 

俺の言葉に皆が納得したのか頷いている

 

「サラを撮りたいから学校に入ったとか?」

仔がニヤニヤしながら俺に尋ねてきて

隣のヴァネスが肘で小突いていた

 

「そういう訳じゃないけどな・・・

 サラは絶対に嫌がるだろうから無理だろうな」

俺の言葉に周董も頷いた

 

「まサラに限らず人を撮りたいと思ってるよ」

「そっか・・・孝天の作品見れるの楽しみにしてるよ」

旭兄が笑顔で俺にそう言った

 

サラが許してくれるなら俺は

ありのままのサラをフイルムに収めたい

この店の中で皆でのんびり過ごすサラも

狂犬と呼ばれる時のサラも

 

誰にだって色々な顔がある

 

一部だけ見てその人なりを決め付けるのは

やはり違うと思うから

サラに限らず俺はそんな作品をいつか撮りたいと思っている

 

 

 

 

mad dog -final- 6

 

「帰ってくるなら来るって言ってくれよ~

 俺すぐに学校から戻ってきたのに!」

 

「2週間居るから別に慌てなくても良かったろ?

 ユンフェンもシャオランもあいつ等を

 可愛がってくれてありがとな」

 

「俺よりシャオランの方が懐かれてるよ

 あいつ好きだからさ・・・

 家で飼えないから凄い嬉しいんだよ」

 

そう嬉しそうに妹のシャオランを見ながら

荷物をキッチンへと運び入れる

 

出会った頃より身長も伸びて

少しずつ男らしい姿になりつつあるユンフェンは

学校に通いながらもサラの仕事を手伝っている

 

妹のシャオランも今では時折

サラの厨房の手伝いもしているようだ

 

「最近じゃ俺たちの夜食とか家で作ってくれたりするんですよ

 シャオラン家でもお母さんの手伝いして」

 

陳が優しい眼差しをシャオランに向けながら

俺にそう教えてくれた

 

「サラの作る料理は母さんのとまた違うから

 教えて貰って楽しいの

 孝天兄さんの猫ちゃんとも会えるし」

 

「可愛がってくれてるんだって?ありがとな」

 

シャオランも幼さが少し抜けてきてはいるが

俺にとってはまだまだ可愛い子供だ

 

「んじゃ俺がもう作らなくても大丈夫だな~」

「え?結構楽しみにしてたんだけど・・・孝天の手料理」

サラが料理を仕上げながら俺にそう言いだした

 

「は?俺に帰ってきて早々に作らせるつもりか?」

 

「さすがに今日は勘弁してあげるよ

 ま、帰るまでには一度くらいはね・・・」

 

サラは出来上がった料理を俺に手渡しながらそう言った

 

「さてと!それじゃ皆で食べようか!」

 

厨房からシャオランとサラも出てきて

ようやく皆で食事をすることとなった

 

 

 

「そういえばさ・・・帰ってきてること言ってあるの?」

サラに言われて俺は首を横に振った

「いや、短い期間だし

 特には誰にも言ってないな」

 

「そんなもんなの?」

ユンフェンは驚いた顔で俺を見た

「ん?相変わらず来るんだろ?

 あいつ等も」

 

「うん。フラっと時間が空いてる時に

 軽く飲みに来たり食事しに来るよ」

 

「ならタイミングが合えばあいつ等と会えるさ

 俺と違って仕事忙しいだろうし?」

 

「事前に連絡すればいいのに・・・」

ユンフェンは納得がいかないのかそう呟いている

 

そんなユンフェンを見てサラはクスっと笑った

「事前に連絡しなくてもさ会える時には会えるよ

 暫く会わないからって駄目になる間柄じゃないんだし

 会えば直ぐに会わなかった時間なんて関係無くなるほど

 付き合いが長いんだからさ・・・皆」

 

「サラもそういう人いるの?」

シャオランがサラに尋ねた

 

「ん?居るよ

 何年も会ってないけどフラっと立ち寄った時に

 顔を出すと会ってない時間なんて関係無い位に

 すぐに昔のまんまワイワイ馬鹿話をしたりするよ」

サラはシャオランにそう答えるとニッコリ笑った

 

「会わないと不安じゃない?

 自分の事・・・忘れてたらどうしようって」

ユンフェンがサラに真剣な顔で尋ねる

 

「勿論会って自分の事忘れてるなぁって人もいるけどさぁ

 本当に自分が大切だって思う人だったり

 仲良くなりたいって思う人には自分から連絡したりして

 自分がどういう人間かわかって貰うのに頑張るでしょ?

 仕事や学校で毎日過ごしてる時間の積み重ねから

 仲良くなる人もたくさんいるでしょ?ユンフェンにも」

ユンフェンが頷く

 

「お互いが本当に大切だって思う相手なら

 会わない時間があったとしても

 きっと忘れないよ・・・そういう相手に

 きっとユンフェンにもシャオランにも出会えるよ」

 

サラはそう二人に言った

 

「まだまだ二人はこれから出会う人も沢山いるさ」

俺もサラの言葉に頷きながら二人に答えた

 

人との縁なんて不思議なものだ

 

サラとの出会いだって・・・

 

サラともし会えない時間が長くなったとしたら

俺はサラを忘れるんだろうか

 

サラは俺の事など忘れてしまうんだろうか

 

ふとそんな風に頭に過ったが

 

・・・ありえないな

 

サラは俺と約束したんだから

 

・・・俺はそう安心してたんだ

mad dog -final- 5

 

3か月振りの台湾

やはり地元は気楽で良い

勿論人の目は相変わらずだが

それでも以前程では無くなっていた

 

次から次へと新人が出ては

消えていく業界

運が良かったのか大分長く続けていた

 

空港でも顔は知られたが

昔から人を寄せ付けない方法には

長けていたので

一人タクシーに乗り込んで

真っ直ぐサラの店へと向かった

 

「いらっしゃい・・・孝天さん!

 いつ台湾に戻ったんですか?!」

 

店番をしていた陳が俺の姿を見て

驚きながらもすぐに笑顔で迎え入れてくれた

 

「空港から真っ直ぐ来たんだ」

 

「今サラ呼びますね!」

 

陳は嬉しそうに答えながら

サラを呼びに二階へと駆け上がって行く

 

「サラ!お客さんだよ!」

 

「ん~?誰?こんな早くから・・・」

 

相変わらずのダルそうな声がして

のんびりと階段を下りる音がする

 

「あらま・・・いつ戻ったの?」

 

「空港から真っ直ぐココに来た」

 

俺の言葉に驚きながらもクスっと笑うサラ

 

「…その恰好で来たの?」

 

「何か可笑しいか?」

 

「だってラフ過ぎるでしょ・・・

 無精ひげだし・・・

 まぁ孝天らしいっちゃぁらしいね」

 

そうサラは言いながらも

俺の前に立ち

「おかえり。少しはのんびりできる?」

そう尋ねた

 

「2週間くらいかな・・・こっちにいるのは」

 

「そっか。とりあえず荷物上に置く?

 一旦家寄ってくれば?

 洗濯物とか預かるけど?」

 

サラらしい素っ気ない態度で

俺を歓迎してくれた

 

「とりあえず少し休んだら家に寄って来るよ

 その前に・・・あいつ等は?」

 

俺の言葉を聞いたサラは上に視線を向けた

「すっかり我が家同様リラックスしてるよ皆」

「そっか・・・助かる

 ちょっと顔見てくるよ」

 

台湾を出る時にサラに頼んだことがある

サラにしか頼めないことだった

 

久しぶりの再会に俺は鼻歌まじりに

二階へと上がる

そしてそっと部屋を覗き込むと

すっかりリラックスしてサラのベッドに寝転んでたり

お気に入りなのかソファーの下で寛いでいる

懐かしい顔があった

 

足音で気がついたのか

一斉に視線が俺に向けられると

ベッドから飛び降りて

俺の足元に集まってきた

 

「・・・良い子にしてたか?お前たち」

しゃがみ込み頭を撫でれば

機嫌良く喉を鳴らしてすり寄って来る

 

「何日かは警戒されててさ

 姿も見せてくれない子もいたりして

 餌も水も飲んでくれない子も居て心配したよ

 ま、諦めたのかじきに慣れてくれたけど」

 

サラが後ろからそう言いながら

一番の人見知りを抱き上げながら

俺に答えた

 

「こいつが懐いてる位だから心配ないな」

俺はサラに抱かれたまま目を細めているコを

撫でながらサラに笑いかけると

 

サラはあきれ顔をしながらも頷いた

 

「ま、この子達のお陰で寂しいなんて思う暇も無かったから

 こっちも良かったよ・・・

 ユンフェン達も可愛がってくれてるし」

 

「そっか。助かる

 ちょっと悪いけど・・・お前は下りてくれるか?」

 

俺はそうサラの手から預かり下ろすと

サラをじっと見つめた

 

「・・・なに?」

 

「・・・まぁ良いか。あとでゆっくりと・・・」

 

俺はひとまずサラを覗き込むと

すかさず軽くリップ音を立ててキスをした

 

サラは一瞬驚いて目を丸くしたが

すぐに呆れ顔をしながら

「まったくもう・・・後でゆっくりなんでしょ?」

 

そう言いながら今度はサラが

軽くキスをした

 

 

mad dog -final- 4

 

学校での授業は俺にとって

聞くもの見るもの全てが魅力的だった

 

今まで被写体だった自分は

ある程度撮られる側の立場は

理解できているし

それをふまえて撮る側の立場で

技術や表現方法を学んでいた

 

何を表現したいのか

どの様にアプローチしていくのか

自分の頭の中にあるイメージを

映像に起こしどの様な流れで

表現するための絵コンテの作成など

俺は毎日の授業と課題で

忙しい毎日を過ごしていた

 

自分の以前の仕事を知っている人は

多数いたし単なる芸能人の暇つぶしだろうと

偏見を持たれる事はあったが

それも暫くすると収まって

自分を単なる一個人として

見てくれる人が多くなっていた

 

グループでテーマを決めて

作品を作る事もあった

学生として充実した毎日を送っていた

 

「朱はこの休みの予定は?」

 

同じグループの仲間が明日からの

休みの予定を聞いてくる

 

「ん?しばらく地元に戻ってないから

 久しぶりに長い休みだし

 戻るつもりだよ」

 

「台湾だっけ?」

 

仲間の言葉に俺は頷いた

 

「わざわざ戻る用事なんてあるのか?

 まぁ、仕事休んでるとはいえ

 こっちに残る方がまだ気楽じゃないか?」

 

「まぁな。でも知り合いが居るし

 休みに戻るって約束してるからさ」

 

・・・皆相変わらずだろうな

 

俺は戻った後の事を考えると

笑みが自然と零れた

 

ユンフェンとシャオランにも何か土産を

買って帰るかな

 

その時の俺はそんな風に

何も変わってないって思っていたんだ