mad dog -final- 7

 

結局ユンフェン達の不安をよそに

俺がいた2週間の間に

ヴァネスも仔仔も店にフラっと現れて

 

俺が連絡もせず帰ってきていた事で

二人からかなり文句を言われた

それからは二人から連絡が流れ

旭兄や周董まで店に来ては

遅くまで飲んでお互いの近況報告をした

 

「まだ3か月だろ・・・俺が向こうに行きだして」

「それでも連絡くらい入れてよ!帰ってきてるならさ」

「悪かったよ・・・仔

 どうせココに顔出すだろうと思ってさ」

「そうだけどさ!で?どうなの?学校は」

「ん?どうって?」

仔がのんびりと俺に尋ねてくる

 

「面白いよ・・・ま、課題だので大変だけどな

 それでも知らなかった事や

 今まで何となくしか知らなかった事を

 詳しく学べるから毎日充実してるよ」

 

「孝天は最初っから言ってたもんな・・

 演じる側より裏方に興味があるって」

ヴァネスが俺の言葉にそう返した

 

「まぁな。

 でも演じる側の経験があったから

 キャリア積んだから今になって

 好きな事が出来てるって感謝してるよ」

 

「無事映画監督になったら

 何か作りたい作品とかあるのか?」

周董がふいに尋ねてきた

 

「ん?そうだなぁ・・・ノンフィクションかな

 ドキュメンタリーとか」

「昔ドラマでやったような少数部族とか?」

旭兄が思い出したように答える

 

「別に遠くに行かなくてもすぐ側に

 撮りたい素材がいるからなぁ・・・」

 

俺の言葉に皆が納得したのか頷いている

 

「サラを撮りたいから学校に入ったとか?」

仔がニヤニヤしながら俺に尋ねてきて

隣のヴァネスが肘で小突いていた

 

「そういう訳じゃないけどな・・・

 サラは絶対に嫌がるだろうから無理だろうな」

俺の言葉に周董も頷いた

 

「まサラに限らず人を撮りたいと思ってるよ」

「そっか・・・孝天の作品見れるの楽しみにしてるよ」

旭兄が笑顔で俺にそう言った

 

サラが許してくれるなら俺は

ありのままのサラをフイルムに収めたい

この店の中で皆でのんびり過ごすサラも

狂犬と呼ばれる時のサラも

 

誰にだって色々な顔がある

 

一部だけ見てその人なりを決め付けるのは

やはり違うと思うから

サラに限らず俺はそんな作品をいつか撮りたいと思っている