mad dog -final- 6

 

「帰ってくるなら来るって言ってくれよ~

 俺すぐに学校から戻ってきたのに!」

 

「2週間居るから別に慌てなくても良かったろ?

 ユンフェンもシャオランもあいつ等を

 可愛がってくれてありがとな」

 

「俺よりシャオランの方が懐かれてるよ

 あいつ好きだからさ・・・

 家で飼えないから凄い嬉しいんだよ」

 

そう嬉しそうに妹のシャオランを見ながら

荷物をキッチンへと運び入れる

 

出会った頃より身長も伸びて

少しずつ男らしい姿になりつつあるユンフェンは

学校に通いながらもサラの仕事を手伝っている

 

妹のシャオランも今では時折

サラの厨房の手伝いもしているようだ

 

「最近じゃ俺たちの夜食とか家で作ってくれたりするんですよ

 シャオラン家でもお母さんの手伝いして」

 

陳が優しい眼差しをシャオランに向けながら

俺にそう教えてくれた

 

「サラの作る料理は母さんのとまた違うから

 教えて貰って楽しいの

 孝天兄さんの猫ちゃんとも会えるし」

 

「可愛がってくれてるんだって?ありがとな」

 

シャオランも幼さが少し抜けてきてはいるが

俺にとってはまだまだ可愛い子供だ

 

「んじゃ俺がもう作らなくても大丈夫だな~」

「え?結構楽しみにしてたんだけど・・・孝天の手料理」

サラが料理を仕上げながら俺にそう言いだした

 

「は?俺に帰ってきて早々に作らせるつもりか?」

 

「さすがに今日は勘弁してあげるよ

 ま、帰るまでには一度くらいはね・・・」

 

サラは出来上がった料理を俺に手渡しながらそう言った

 

「さてと!それじゃ皆で食べようか!」

 

厨房からシャオランとサラも出てきて

ようやく皆で食事をすることとなった

 

 

 

「そういえばさ・・・帰ってきてること言ってあるの?」

サラに言われて俺は首を横に振った

「いや、短い期間だし

 特には誰にも言ってないな」

 

「そんなもんなの?」

ユンフェンは驚いた顔で俺を見た

「ん?相変わらず来るんだろ?

 あいつ等も」

 

「うん。フラっと時間が空いてる時に

 軽く飲みに来たり食事しに来るよ」

 

「ならタイミングが合えばあいつ等と会えるさ

 俺と違って仕事忙しいだろうし?」

 

「事前に連絡すればいいのに・・・」

ユンフェンは納得がいかないのかそう呟いている

 

そんなユンフェンを見てサラはクスっと笑った

「事前に連絡しなくてもさ会える時には会えるよ

 暫く会わないからって駄目になる間柄じゃないんだし

 会えば直ぐに会わなかった時間なんて関係無くなるほど

 付き合いが長いんだからさ・・・皆」

 

「サラもそういう人いるの?」

シャオランがサラに尋ねた

 

「ん?居るよ

 何年も会ってないけどフラっと立ち寄った時に

 顔を出すと会ってない時間なんて関係無い位に

 すぐに昔のまんまワイワイ馬鹿話をしたりするよ」

サラはシャオランにそう答えるとニッコリ笑った

 

「会わないと不安じゃない?

 自分の事・・・忘れてたらどうしようって」

ユンフェンがサラに真剣な顔で尋ねる

 

「勿論会って自分の事忘れてるなぁって人もいるけどさぁ

 本当に自分が大切だって思う人だったり

 仲良くなりたいって思う人には自分から連絡したりして

 自分がどういう人間かわかって貰うのに頑張るでしょ?

 仕事や学校で毎日過ごしてる時間の積み重ねから

 仲良くなる人もたくさんいるでしょ?ユンフェンにも」

ユンフェンが頷く

 

「お互いが本当に大切だって思う相手なら

 会わない時間があったとしても

 きっと忘れないよ・・・そういう相手に

 きっとユンフェンにもシャオランにも出会えるよ」

 

サラはそう二人に言った

 

「まだまだ二人はこれから出会う人も沢山いるさ」

俺もサラの言葉に頷きながら二人に答えた

 

人との縁なんて不思議なものだ

 

サラとの出会いだって・・・

 

サラともし会えない時間が長くなったとしたら

俺はサラを忘れるんだろうか

 

サラは俺の事など忘れてしまうんだろうか

 

ふとそんな風に頭に過ったが

 

・・・ありえないな

 

サラは俺と約束したんだから

 

・・・俺はそう安心してたんだ