名作を読もう 読書日記 -3ページ目

名作を読もう 読書日記

名作を読んで、内容や感想をまとめていきます。その他、日常の雑感など。

イギリス!
何年ぶりかで帰ってきたイギリス!
おれは果たしてイギリスが好きになれるだろうか。

船から桟橋に渡したタラップを降りながら、ルーク・フィッツウィリアムはそんな疑問を自分に投げた。(P9)

殺人は容易だ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ・クリスティー
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彼女はまっすぐ彼に近づいてきた。

「あなたはルーク・フィッツウィリアムでしょ。あたしはブリジェット・コンウェイですわ」


彼は彼女の差し出した手をとった。幻想にとらわれた瞬間がすぎて、いまは彼女をありのままに見ることができた。しなやかな長身、ほお骨がややくぼんだ面長な優美な顔立ち、皮肉っぽい黒い眉毛、黒い目と髪。彼女は迫力のある、美しい、きめの細かな版画のようだと彼は思った。


彼は帰国の旅行中、ずっとある正統派的な絵を心の隅に抱いていた--日焼けした、見るからに健康そうなイギリスの若い女が、馬の首をなでていたり、腰をかがめて花壇の草を取っていたり、腰をおろしてたき火に手をかざしていたりする絵だった。それは心温まるような優雅な光景だった。


しかしいまや彼は---ブリジェット・コンウェイが好きなのかどうかはわからなかったが--その秘密の絵がはげしく動揺して砕け、そして無意味なばかげたものになってしまったことだけはわかった。


彼はいった。

「はじめまして。押しつけがましいお願いをして恐縮です。あなたは気になさらないだろうとジェミーがすすめるものですから、ついその気になって」(P46-47より)
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☆クリスティ三昧な日々。今日は、ポワロでもマープルでもなく、植民地帰りの元警察官ルークの登場。例によって、最後まで謎ときに翻弄されながら、ドキドキ、ハラハラ。あいまのそこはかとないユーモアも楽しい。


主要な登場人物が紹介される最初の場面も好きです。特に、(お約束ですが)主人公がヒロインに出会う最初の場面は、クリスティ作品はどれも印象的で、楽しいです。まさにドラマの幕開け。型にはまっているのだけど、その型の正統派なところが好きです。

久々に、会社の方に借りて少女マンガを一気読みしてしまいました。ハートフルでとても面白かったです。

日本刀砥ぎ師の高校生が主人公。彼は、生まれたときから、日本刀の本体が、霊のように見えて、話もできてしまう。たとえば、龍とか、ぼろぼろのお侍さんとか。そうして、刀をめぐるさまざまなトラブルに巻き込まれつつ、すっきり砥ぎあげることで刀を浄化、事件を解決していく物語。

KATANA (7) 剣相の疵 (ホラーMコミックス)/かまた きみこ
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この漫画の大人気で、備前長船刀剣博物館の若者入場者が記録的に増えているそうです。友人も、お子さん二人連れて夏休みに行ってきたそうで。確かに、 この漫画を読むと、実際の日本刀をみてみたくなります(笑) 備前長船刀剣博物館、行ってこようかなー。
著者の前書き

『ナイルに死す』は私がエジプトから帰ってすぐに書きあげたものです。いま読み返しても、自分がふたたびあの遊覧船に乗ってアスワンからワディ・ハルファまで旅をしているような気持ちになります。


船上にはたくさんの船客がおりましが、いまではそうした船客たちよりも、この作品の中の人物たちのほうがリアルな、身近な存在になってきていて、私は彼らと共に船旅をする思いです。


この作品には多くの人物を登場させ、筋も非常に念入りにつくりました。この作品の中心になるトリックは非常に興味深いものだろうと私は考えています。 (中略)


自分では、この作品は”外国旅行物”の中で最もいい作品の一つと考えています。そして探偵小説が”逃避的文学”だとするなら、(それであって悪い理由はないでしょう!)読者はこの作品で、ひとときを、犯罪の世界に逃れるばかりでなく、南国の陽差しとナイルの青い水の国にも逃れていただけるわけです。(p4-5より)


アガサ・クリスティ


ナイルに死す (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ クリスティー

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(裏表紙の紹介文より)


美貌の資産家リネットと若き夫サイモンのハネムーンはナイル河をさかのぼる豪華客船の船上で暗転した。突然轟く一発の銃声。サイモンのかつての婚約者が銃を片手に二人をつけまわしていたのだ。嫉妬に狂っての犯行か?・・・だが事件は意外な展開を見せる。船に乗り合わせたポアロが暴き出す意外な真相とは?


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☆”外国旅行と、探偵小説は、逃避的という意味において似ている” というクリスティ。なるほど、たしかにそうかも。そして、はい、たっぷりと逃避させていただきました。うーん、面白かったー。


訳者からも、冒頭に、”最初はゆっくり読んで、登場人物たちとその暮らし、人となりを、しっかり頭に入れてから、先に進んでください” と但し書きがあったりして。こんなことを言われると、いやおうなく、本編への期待感が高まります。


言われたとおりに、最初はゆっくり読んで、たくさんの雑多な人々の生活の短い断片を読み、それらの人々が寄り集まって、1つの船にのり、物語の展開していく楽しさ。


私は例によってラストまで犯人がわからず、読み終わった時は、またもや、クリスティって天才!と思いました。数時間の現実逃避を楽しみたい方、おすすめですよ。結末がわかってから、ゆっくり落ち着いて2回目を読むのも楽しいです。


ナイルに死す (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ クリスティー

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チップス先生さようなら (新潮文庫)/ヒルトン
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ある満月の夜のことだった。チップスが四年下級にラテン語を教えていると、空襲警報が鳴り出した。(中略)


そこで、彼はかまわずにラテン語を続けていった。ドカンドカン響き渡る砲声と高射砲弾の耳を貫くような唸りに、ともすれば消されそうになる声を大きくして。生徒は苛々して、勉強に身を入れているものはほとんどなかった。彼は静かに言った。


「ロバートスン、世界歴史のこの特別な瞬間に、・・・・・・あーム、・・・・・・二千年前ガリアで、シーザーが何をしようと、そんなことは、・・・・・・あーム・・・・・・何となく二義的な重要性しかなく、また、・・・・・・あーム・・・・・・、『tollo(トルロ)』 という動詞が不規則変化をするなんてことは、・・・・・・あーム・・・・・・どうでもいいと、君は思うかも知れない。しかし、わしははっきり言っておくが、・・・・・・・あーム・・・・・・ロバートスン君や、真実(ほんとう)はそんなもんじゃないんだよ」


ちょうどその時、凄まじい爆発の音が、それもすぐ近くで、爆発した。


「・・・・・・いけないんだ、・・・・・・あーム・・・・・もの事の重大さを、・・・・・・あーム・・・・・・その物音で判断してはな。ああ、絶対にいけないんだ」


クスクス笑いが聞こえた。


「二千年も長い間、大事がられてきた、・・・・・・あーム・・・・・・このようなことは、化学屋(ばけがくや)が、実験室で、新種の害悪を発明したからといって、そんなもので、消し飛んでしまうもんではないんだよ」 (P84)


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古ぼけて、ボロボロになった教師服(ガウン)、危うく躓(つまず)きそうな歩きぶり、鉄縁(てつぶち)の眼鏡越しにこちらをのぞく優しい眼、それに妙におどけた話しかたなど、彼のブルックフィールドにおける在りかたは、それでなくては通用しなくなった。(P87)


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彼(チップス先生)は洒落の名人だということになってしまい、皆はいつもそれを聞きたがった。会に出席して挨拶に立つ時はもちろん、部屋でテーブルを挟んで話す時でも、彼と接するほどの人は、心ででも顔ででも彼の口から冗談が飛び出すのを待ち構えた。そして、笑おうという気持ちで聞き耳をたてたから、テもなく満足させられたし、肝心のポイントにまだ来ないのに笑い出すものさえあった。


「チップス大人(だいじん)、すこぶるご機嫌だったね」と、皆は後でいつも話し合った。


「が、それにしても、あの男のように物の可笑しな面をいつも見逃さないというのは、ちょっと類がないね・・・」(P92)

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☆ 霧深い夕暮れ、炉辺にすわって瞑想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド中学での六十余年の楽しい思い出が去来する。腕白だが礼儀正しい学生たちとの愉快な生活、美しく聡明だった亡き妻、大戦当時の緊張した日々・・・。愛情に満ち、しゃれの名人でもある英国人気質の老教師と厳格な反面ユーモアに満ちた英国の代表的なパブリックスクールの生活を描いて絶賛された名作。(裏表紙の紹介文より)


☆ 薄くて、すぐ読める短編。第一次大戦前後の古き良き時代の英国の雰囲気を楽しめます。砲撃のなかを、ラテン語の授業を続ける場面は、チップス先生の面目躍如。


名作を読もう 読書日記


今日のおやつは、会社で上海出張に行ってきた人からのお土産、中国のお菓子たち。


といっても、なじみ深い日本メーカーのお菓子たちですが。


オレオは「奥利奥」、プリッツは「百力滋」、ポッキーは「百奇」、コアラのマーチは「小熊餅」です。へえー。なんだか面白いな。 味は、日本のものと大体同じでした。若干、しっけていたかも?

車で30分ほどのグループ会社へ、PC設定へお出かけ。


パソコンを使っているご本人は、設定のとき、いらっしゃいますか?


はい、いると思います。出かけることがあるかもしれませんけど。


あの、パソコン起動するときに、パスワードはかかっていますか?

もしご本人が不在なら、そのパスワードがわからないと作業できなくなりますが。。


(受話器を外して、たずねる声)○○さん、PC立ち上げるとき、パスワードってかかってる?

ないわ、そんなもん、覚えられんし、わははは。


・・・・というやりとりをへて、現地へ。


そして、到着してみると、ご本人不在。


「台風やいうんでね、船を沖に出しに行かれましたわ」


・・・・・この会社って、船を持ってるんだ。なぜに。それとも、個人の趣味の船かしら。


「パスワードはない、言うてましたから、大丈夫でしょう?」



大丈夫だといいなー。そして、現物マシンをみてみると。

パスワードは設定がないようですが、指紋認証がかかっていました。。

指紋認証か! おじさん、意外に最新PCでした。びっくり。盲点つかれました。


事務のお姉さんが、いろいろパスワード破りもトライしてくれたりしましたが、はあー。残念。

というわけで、ご本人のおじさんが帰っていらっしゃるまで、のんびり30分ほど、お茶をいただきながら、会社のみなさんと雑談などしながら待ち。手製の梅ジュースも頂いて、これが美味しかったです。


設定自体は10分かからずに終わる話なので、さっと行ってさっと帰ってきて、この会議出て、あれとこれを片付けるつもりでしたが、そんな私の素敵なプランは、あっけなく崩壊。


次回から、電話で尋ねるときに、パスワードのことだけでなく、「指紋認証もかかっていませんよね?」と聞こうと、固く決意して帰ってきたのでありました。


しかし、梅ジュースがおいしかったので、よしとしよう。



以下、いいな、と思いましたので、ダイレクト出版さんからの宣伝文を掲載します。


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メソポタミヤの殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ クリスティー
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1 序章

 バクダットの<チグリス・パレス・ホテル>の広間では、ひとりの看護婦が手紙を書き終えようとしているところだった。彼女はよどみなくペンを走らせた。


 ・・・これで、お知らせすべきことはすべて書きつくしたようです。今まで、英国しか知らなかったわたしですが、おかげで今度は世界の一部を見ることができました。(中略)

 またお便りします。さようなら。 エイミー・レザラン



 彼女は手紙を封筒にいれ、ロンドンの聖クリストファー病院、カーショウ看護婦と宛名を書いた。

 万年筆のキャップをはめたとき、現地人のボーイが近づき、声をかけた。


 「ライドナー博士がお見えになりました」


 レザラン看護婦はふりかえった。

 褐色の顎ひげをはやし、優しげな疲れたような眼をした、中背でややなで肩の男が立っていた。
 
 ライドナー博士の眼に映ったのは、背すじがまっすぐにのび、自信に満ちた三〇代の女性の姿だった。


 少し突き出た青い眼、艶のあるとび色の髪の快活な女性だった。神経を病む患者にふさわしい看護婦だ、と彼は考えた。明るく、頑健で、頭の回転が早く、しかも実務的な女性らしい。


このレザラン看護婦なら、きっとうまくやってくれるだろう、と彼は考えた。(P15-17より)



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5 ヤミリア遺跡


 (中略)


 だが、そこにいたのは想像と正反対の女性だった! 


 まず第一に、彼女は本当に美しい女性だった。


 夫とはちがってスウェーデン系ではないが、外見はそれを感じさせるものだった。まれにしか見ることのできないスカンディナヴィア系の見事なブロンドの髪。


 もう、若いとはいえない。三〇代半ばというところだろう。顔は少しやつれ、美しいブロンドの髪は少し白いものが混じっていた。


 だが、眼は若々しく、愛らしかった。すみれ色の瞳という形容があるが、それを見たのはこれがはじめてだった。眼は大きく、その下にはかすかなくまができている。


 かぼそく、華奢な体つきで、強い倦怠の雰囲気をただよわせながら、同時に生気にあふれている、といったら矛盾していると思われるかもしれない---だが、それが私の受けた印象だった。


 そして、彼女は本当のレディだと感じた。レディというものは大切な存在だ。たとえ、現代のような時代でも。

 

彼女は手をさしのべ、笑いかけてきた。声は低く優しく、ちょっとアメリカ人的なものうげな響きが混じっていた。


「はるばるおいでいただいて、ありがとう。お茶はいかが?

 それとも、まずあなたのお部屋に行ってみましょうか?」 


(P53-54より)


メソポタミヤの殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ クリスティー
 
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☆クリスティ。やっぱり最高です。


”考古学者と再婚したルイーズの元に、死んだはずの先夫から脅迫状が舞いこんだ。さらにルイーズは寝室で奇怪な人物を目撃したと証言する。が、それらは不可思議な殺人への序曲にすぎなかった・・・。過去から襲いくる悪夢の正体をポワロは暴くことができるのか?中近東を舞台にしたクリスティー作品の最高傑作” (裏表紙の解説より)



2時間で読みきれて、楽しい別世界へ連れていってくれる、この名手ぶり。冒頭の書き出しから、静かな緊張感があふれていて、次に何が起こるのか、ゆったり始まる物語に、もう、どんどんひきこまれていきます。


有名な本作は、皆さん、どこかでトリックを聞いたことがあるかもしれませんね。しかし、物覚えの悪い私は最後まで犯人がさっぱりわからず、結末で大変おどろきました。ええー。びっくりしたー。そんな、まさか!? うーん。そうきたかーーー。



気分転換の楽しみ読書にぴったり、おすすめです。


クリスティの描く殺人事件は、なんというか、よい具合に現実味がなくて、ほのぼのと楽しめるところが大好きです。さりげなくユーモアも散りばめられていて。結末がわかったあと、ゆっくりもう1回、最初から読み返すのも楽しい。


現代ミステリーだと、とっても現実感がありすぎて、悲惨さに、PTSDというか、読後に後遺症が残ってしまって立ち直れないときがあるのですが、ミステリーの女王、クリスティならそんな心配はまったくなし。ソファに寝転んで、ポテトチップでもかじりながら、安心して楽しめます。本作を読んで、クリスティーの、人々を楽しませる、エンターテイメントに徹するその姿勢、手腕に、改めて感心しきり。



クリスティー、やっぱり大好きです。それを全部、図書館で無料で読めるのも幸せですね。図書館さん、ありがとうー。いつもお世話になっております。

メソポタミヤの殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ クリスティー
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拭ってよ雨よ心をお願い悲しき思いを晴れやかにして (8/24作)


☆たかちゃん、やっと掲載しました。遅くなってごめんね。調子悪い言ってたけど、歌、いいね。うん、雨でざーざー、さっぱり洗い流してほしいよね。

インターネットのカタチ―もろさが織り成す粘り強い世界―/あきみち
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1.4 インターネットの強さの秘密


さまざまな「壊れた」が発生するインターネットですが、「ではインターネットは弱くて使い物にならないのか?」というと、そうではありません。インターネットは世界中に普及していますし、いまだに拡大し続けています。


むしろ、多くの「壊れた」事例が表面化していることは、インターネットの強さの裏返しともいえます。


筆者は、インターネットの強さは以下の四つの項目によって実現していると考えています。


・「ゆるさ」による粘り強さ

・原因を調査できること

・オープンな精神

・仕様の柔軟性


これらは、壊れることを許容すること、壊れたことを知ることができること、壊れたことを共有すること、直す方法を皆で考えて良くしていくこと、と読みかえることもできます。



1.4.1 「ゆるさ」による粘り強さ


インターネットには、その設計が持つ「ゆるさ」が実現している粘り強さがあります。


絶対に壊れないシステムを目指して、細かい部分的な障害や不具合を許容しないシステムを設計してしまうと、部分的には壊れなくても、障害のレベルがある一定の閾値を超えた時点で全体として動作不能になる可能性があります。


できるだけ耐えるけど、耐えきれなくなったら全部一気に崩壊するというモデルです。


一方、細かい部分的な障害を許容することによって、可能な範囲内で代替の手法で通信を維持するという設計があります。この方式では、障害が発生すると一時的に通信が停止する場合があり、いとも簡単に部分的な不具合が表面化します。


しかし、障害が発生した部位を認知した次の瞬間に代替の手段で通信を行うこともできますし、不具合が表面化することで障害の発見や対策が行われやすくなります。インターネットの設計方針はこちらです。


障害発生箇所を切り捨てて代替手段を探るという思想にこそ、インターネットの粘り強さがあります。



「多少は壊れてもいいや」という「ゆるさ」は、ある意味、障害に対する「ゆとり」とも表現できます。


インターネットの設計思想には、常に障害発生に対処できるように「ゆとり」を持ち続けて、可能な限り柔軟に対処するという精神があります。


「ゆとりがある」というのは、「ところどころ壊れる」という意味でもあります。



インターネットの問題に対する関心は、壊れることそのものよりも、壊れてから迅速に代替の手法へと移行できるかどうかにあります。 


(以上、P5、6より引用)



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☆知り合いの知り合いが出版された本ということで、早速読んでみました。難しい技術的なところは飛ばしても、読み物としてとっても面白かったです。


物理的なケーブルが盗まれてしまって大規模な障害がおこる話とか、南アフリカで通信状態のあまりの悪さに怒ったユーザが、伝書鳩の足にメモリカードをくくりつけて飛ばして、ハトのほうがインターネットより速いじゃないか、とアピールした話とか。私にもわかる小話に色々笑ってしまいました。その他いろいろ、勉強になります。

特に、上記引用の設計思想の話は、なるほど、と思いました。”ゆるさによる粘り強さ”、って、いいなあ。 


壊れやすい自分の体を抱えて、月曜の朝から体調不良でぐったりしている現在(うーん、いかんよ、やらんといけん仕事ができん、気力体力不足・・・ そして仕事しているフリして、こんなブログを書いております)、何だか、とっても励まされました(笑)。 お、ちょっと元気がでてきたかも。