ぶらっくまーさん
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投資のいろは(PERについて)

月曜日の市場は見ものです。

 

それは良いのですが、ここ最近のエントリーで日経平均のPERの上限が16倍だということについてバブルが始まった時のことについて検討しようと思います。

 

アメリカ市場や中国市場のようにPERが18.5倍程度になったのだ、というような言葉を使っていました。中国だとハイテク株の多い深圳は30倍程度まで買われます。アメリカ株も今は20倍を超えて買われます。

 

日本もそういうPERになるのだ、ということです。

 

どう思われますか?

 

私はこれら3市場全てに投資をしています。株を買う時にはどの市場でもファンダを見てからテクニカルを分析します。ファンダで何を重視しているのかはこの3市場で当然異なります。日本では最終的な利益に重きを置くことになります。アメリカと中国だと業績が赤字でも投資CFが大きなマイナスである限りは、もちろんその内訳を精査しますが、買っていくことがしばしばあります。

 

それからここで話しているのは個人のことではありません。個人は市場での価格形成には基本的にニュートラルに作用します。買った人が次に売るわけなので。

 

ここで話しているのは大口と呼ばれる人たちの投資の基準の話です。

 

もちろん、例えばアメリカでも年金基金のような大きなところは業績が赤字だったり無配の企業をアセットの中で大きな比率で持つことはありません。けれどもそれなりに大きなファンドなどがこうした企業の株を買っていきます。

 

そうした市場に参加する人たちの投資の基準が大きく日本と異なるからこそ日本よりPERが歴史的に高い水準なんだと思います。

 

だから市場に参加するこうした大口の投資の原則が変わらない限り、市場の歴史的PERが変動することはあり得ないと思っています。

 

ちなみに、もうしばらくするとこのブログも読者が大きく入れ替わりそうなので私の好きな投資の言葉をここで述べておきたいと思います。

 

新しく読者が増えてくるときも、おそらくちょうど26年の3月頃にこの言葉を残しておくと、何に気をつけるべきなのかが良く分かると思います。

 

このブログでは繰り返し現れていますが、

 

 

 

逆境に耐えられる投資家は結構多い。

順境に耐えられる投資家はほとんどいない。

投資のいろは(下値目途)

前回のエントリーから少し経過して、戦争が泥沼になってきています。

 

古今東西共和政であれ寡頭政であれ君主政であれ、国家が良く治められている時期には戦争をあまりしませんでした。そしていざ対外戦争をするとなったら最初から国の全ての力をもって戦争に臨むことがよくありました。

 

前回のエントリーには思うところのある人も多いかと思います。けれども最初から事前警告をした上でホルムズ海峡北岸に核兵器を何十発か投下して、尚且つその後にアメリカ軍を主体とする連合国軍を上陸させていれば、今頃原油価格は急減し、日常経済が戻っていたはずです。

 

イランに対して全面降伏を求めなくとも、妥当な講和を図れたことでしょう。

 

事前警告をしていれば人的被害も少ないわけで、今のようにだらだらと戦闘による死傷者が軍民にわたって発生することも無かったように思います。

 

日本は祝日だった昨日ですが、先物オプション市場は動いていました。世界の市場は当然開いていました。日経平均先物は中東での戦争後のザラ場の安値を下回って引けていますので月曜日の市場は底が抜けたような形になります。

 

ところで前回のエントリーでは日経225のEPSから計算される調整の目処について述べました。既に原油の供給がグローバルで30%程度減少していて、これも前回のエントリーで書いた通りですが、新興国では計画停電やリモートワーク、それから官庁や企業の終業時間の繰り上げが実施されています。

 

グローバルサプライチェーンを展開している企業にも当然影響が出てきます。そうなれば前回のエントリーで書いたEPSに基づく日経平均の下値目途についても意味が無くなってきます。

 

そこで試みに以下のような図を用意しました。

 

 

こちらは日経平均日足の1年チャートです。横に黄色と赤の直線がありますが、これらは木曜日時点の日経平均採用銘柄のEPS、2731円に対してPER16倍と15倍の水準に引いています。こうして見ると昨年10月以降に金融資産や投資用不動産を売却し始めたタイミングは結果として悪くなかったかと思います。

 

そして業績が下方修正されてEPSが今の8割となった場合の図が次です。

 

 

これだとPER16倍で35000円、そして15倍で32000円ちょっとという数字となります。日本で報道されているのか知りませんが、日本に本社を置く世界的な大企業で生産拠点を新興国においている企業には既に影響が出始めているようです。

 

今時、少なくともここを読んでいる人では日本語のメディアを中心にニュースを見ているなんて人はマイノリティーだと思いますので釈迦に説法でしょう…

 

とにかく企業業績はこの上の図の想定であるところの、20%の業績悪化では済まないかもしれません。

 

そうなると、後はPBR1倍で31000円あたりが想定されます。

 

とにかく新興国の原油備蓄が厳しいのと、それから日本でも原油そのものよりガスです、例えばヘリウムなんかはあまり備蓄されていなくて、それらは半導体製造にクリティカルな要素です。色々考えると日本でも来月あたりには大きな工場での操業停止や労働者の一時帰休なども報道され始めるかもしれません。

 

実体経済がそこまで影響を受ければ労働者の賃金にも影響が出るだろうし、これも多数派の日本人の金融リテラシーが幼稚園児並みだからなのでしょうか、未だに利上げをせよと言ってますが、4月に利上げをすれば市場にはそこそこ大きな動揺が走ると思います。なお悪いことに景気が減速する局面でも日銀は緩和方向に動かないと思います。それは過去のオイルショック時に海外の中央銀行や日銀自身が行った金融政策で現実にスタグフレーションを発生させたという重い教訓があるからです。おそらく今回日銀(や諸外国の中央銀行)は物価上昇を止めるために実体経済の悪化を傍観すると思います。

 

アメリカ経済も既にリセッションを織り込む形になってきています。チャート的にっていうこともありますが、先物やオプションの玉です。それで分かります。

 

プライベートクレジットファンドも銀行にその影響が波及するか否かというところまでやってきています。最近日本でもプライベートクレジットが広告を出し始めていますが、最後に収奪できるところから可能な限り収奪して会社を畳もうって算段ですね。なかなな良いと思います。

 

とりあえずまともな投資家なら今の状況でリスクアセットを持つようなことはしません。今年の年末には古くからのここの読者の大半もいなくなっていると思うので、また新しく何か始めようかと思ってます。

 

生き残って損失を出さずに傍観してた方は後でコメントでもください。個別に夏ごろに有望銘柄なんかをお伝えしようと思いますので。

 

ちなみに私はリーマンショック後にTESLAを20USDで1000株買ってますが、そのころ長期投資目的で金融機関の株もいくつかの銘柄を仕入れています。今回も二匹目のどじょうじゃないですが、事が終わった後には市場では様々な企業の株がバーゲンセールで売ってるはずです。

投資のいろは(投資を再開するタイミングについて)

投資を再開するタイミングについて考えてみました。

 

私は日本の株式市場は日経平均で46000円台までは最低でも調整すると思っていて、その根拠は225採用銘柄のEPSとこれまで十数年間の東証の平均PERの上限での計算にあります。

 

今回の中東での戦争は株価の下落の主因ではない、というのはまったく変わらず揺ぎ無い確信を今でも持っています。けれどもこれが市場の調整をより深刻化させる要因になるだろうというのもまた確信をもって言えます。

 

日本は原油の備蓄量が250日近くあるようです。それでなんとか向こう数ヶ月はやっていけるのでしょうか。私はそれほど時間的な猶予は無いように思います。現在のようにグローバルサプライチェーンを展開している企業ばかりである場合、そうした企業が工場や他の拠点を置いている国々のうち、もっとも原油備蓄量の少ないところで備蓄が尽きた段階でサプライチェーンが破綻すると思います。

 

そこで日本のこうした企業が多く進出しているところの原油備蓄量を調べてみました。すると例えばベトナムが30日、タイも30日、インドネシアは20日、インド10日という具合です。Al JazeeraやWION、SCMPのような新興国のメディアを見ていると、これらの国々の人々は今回の戦争を我々より深刻に捉えているように見えます。私たちはことの深刻さに気が付いていないように思います。

 

もし、これらの国々で原油の供給が本格的に滞り、経済活動が大幅に後退し始めるとそれは先進国にもあっという間に波及するでしょう。それは当然企業業績に大きな影響を与えます。

 

大体結論が見えてくると思いますが、私が冒頭に述べた日経平均が46000円程度までは調整するという根拠の指標のひとつであるEPSが大幅に変動する可能性があるということです。これは日本に限らず先進国はどこでも起こることでしょう。

 

イランは当然それを読んでいると思います。案外先進国の経済は供給不良に脆弱だということを見抜いて戦っていると思います。なので率直に言って本当に深刻な状況まであと数日という時には事前警告をすることはもちろんですが、ホルムズ海峡北岸に対する限定的な核の使用などもあって然るべきと思っています。

 

けれどもそれはこのエントリーの主旨ではありません。

 

投資を再開するタイミングはこの戦争の行方が明らかになったときだと思います。今のところは原油価格は落ち着いていますが、現状は原油が実際に供給されなくなっているので最終局面では原油のスポット価格や先物の価格が跳ね上がってもあまり意味が無いかもしれません。現物の原油が実際に無いわけなので。

 

イランがそこまで考えているのなら、完全にイランを無条件降伏させるためにホルムズ海峡北岸に事前警告をしたうえで十数回程度の核による攻撃を実施する以外にないようにも思えます。そして次はテヘランだ、と言えば間違いなくイランは降伏します。それより前にイランが降伏することを願いますけれど。

 

トランプ氏は最近TACOのような弱腰のイメージがありますが、私は核の使用も躊躇うべきでは無いと思う。実際にホルムズ海峡北岸でいくつもの核爆発が起これば、アメリカに敵対することが何を意味するのか、どんな愚か者でも分かると思います。

雑感

もしかしたら2027年のアメリカの地図は

 

 

こんなふうになっているかもしれませんね。

 

 

この国の初代国王、アメリカ王トランプ1世です。

 

投資のいろは(下落のターン)

ようやっと市場に向き合いたくなる情勢になってきました。

 

ここの昔からの読者の方々は元気にやっているでしょうか。昨年の後半のここのエントリーではその時の水準ですらバブルだと指摘していました。

 

本日の下落が単なる調整なのか、大きな局面の変化なのか、それはまだ断定的に言うことは出来ませんが私は局面の変化がやってきたのだろうと思います。

 

何かのキーワードでこのHPに辿り着いた方々だと、あまり良く分かりませんが巷間ではこの下落を原油価格の高騰、その背景となるアメリカ・イスラエルとイランの戦争に起因していると大勢が騒ぎ立てているSNSや何かを見ている人もいるのかもしれません。そうなんでしょうかね。

 

前回のエントリーで書いたように、この調整は戦争や原油価格の高騰とはほとんど関係が無いと思います。ゼロじゃないでしょう。世の中、森羅万象はみな繋がっていますから。そこで最大限大きく影響を見積もったとして、例えば日経平均2890円の下落の内、多分100円とかそんな感じでしょう。

 

何が下落の主因でしょうか。予想外のアメリカの雇用統計でしょうか。

 

それも多分違います。古強者の個人投資家はアメリカの雇用があまり良くないだろうというのは昨年来コンセンサスになっていましたから。

 

主因は昨年11月21日に書いたエントリーの通りです。

 

その時はMETAを例示して問題点を指摘しましたが、ここに来てOracleの方が危険性が大きいと思えてきました。もっとも4ヶ月前と問題のエッセンシャルな部分は不変です。ですから私の結論では本日の下落はちょっとした調整ではなく非常に大きなトレンドの転換の嚆矢だと思っています。

 

戦争は問題を想定より早く顕在化させるきっかけだったかもしれません。でもそれもあまり関係ないと思います。以下で書くことは11月21日に書いたことをほぼトレースするような形になりますが、それだけ問題が以前から多くの人に認知されていたということでもあります。

 

キーワードは“ハイパースケーラー(Hyper Scaler)”と“プライベートクレジットファンド”です。最初の方が長期の社債を起債して、そうして得られた資金にプライベートクレジットファンドが倍する資金を提供してAIのデータセンターを構築して、競争に勝ち抜こうとするスキームです。

 

もしかすると最近このブログを知った方も閲覧しているかもしれないので予め断っておきますが、これから順を追って色々説明していきます。おそらく6000字程度のエントリーになると思います。ここだと結構普通のことですので、手っ取り早く結論を知りたい方はXとかどこかのポータルサイトの掲示板に行けば分かりやすい結論がいくらでも書いてあるのでそちらに行った方が儲かるし、時間も節約できるしメリットがここを読むより100倍あります。すぐに移動しましょう。

 

本日のエントリーではテクニカル分析はあまりしませんので、チャートはアップしません。上で局面が変わったのだ、と強気に述べていてテクニカル分析をするというのは自分の発言に自信が無いと認めているようなものです(どういうことか分からなければプロが「調整」という言葉をどういう意味で使っているのかAIでも使って自分で調べましょう)。そのかわりもっと面白いチャートをいくつかアップします。

 

まずは上のハイパースケーラーの巨額の起債が何をもたらしたのか。

 

こうしたことを論理的に考えていくと何故私がこの度の暴落に戦争や原油高の影響がほとんどないと結論に達したのかが分かると思います(ちなみにこれは私の独自の見解というよりもJPMorganのダイモン氏や、ヘッジファンドの大物、ダリオ氏などが昨年から指摘していることで、日本でも私の周囲の古強者の個人投資家は昨年末のオフ会あたりではこれが中心的なテーマでワイワイガヤガヤ・・・

 

まぁ、それはどうでも良いのですが、もし最近投資を始めた方々で、こうした情報に昨年の時点で触れることがなかったとするのなら、それは情報の取り方に問題があります。今回は上手くいったとしてもいつか破産するので勉強しましょう。

 

さて本題に戻ります。

 

 

これはなんでしょうか。随分動きの少ないチャートです。右の目盛りを見れば少し投資をしている人なら気が付くところでしょう。アメリカの政策金利です。1年チャートですね。25年9月のFOMCから3回25BPの利下げをしています。

 

 

これはなんでしょうか。右の目盛りが上のチャートと似ていることからすぐに分かる人もいると思います。こちらはアメリカの10年債の金利です。こちらは市場で日々取引されているので政策金利のようにはなっていません。

 

これを見るとどんなことが分かるでしょうか。クラウディングアウトという経済学の用語がヒントです。大学学部生だとクラウディングアウトは国債を発行した時にそれ以外の債券の金利が~、なんて教科書の模範解答を言う人もいるかもしれませんが、私たちは実際に市場で大金を動かしているので、もっと広く考えていきましょう。

 

最初の利下げの前から10年債の金利は弱い下降トレンドを描きます。これは少し先の利下げを織り込む動きで私たちがこれを見てもよくある話だ、という程度以上の感想は持ちません。

 

昨年最初の利下げは9月の中旬だったと思います。上のチャートで9月上旬に10年債の金利が急降下していますが、利下げが確定的になったときだったと思います。このブログのその頃のエントリーをさっと見ると8月下旬から調整が始まって9月3日にテクニカル的な目処を割ったかなんかでした。ところがその後市場が持ち直したんですね。記憶が少し曖昧ですが、利下げが確定的になって市場が買い一色になったというようなことだったと思います。

 

いずれにせよ、それは今日の話の中心的な部分ではありません。10月下旬に10年債の金利は底を打ちます。そこから金利は上昇に転じます。私は今でも覚えています。10月下旬のFOMCで利下げが行われて、市中の10年債の金利がさらに下がるかもしれないと思っていたら、そこから金利が上昇しだします。

 

実はこの頃バブルの気配を嗅ぎつけていて、現物株や不動産などを処分していました。そうして得た資金をどうやってやがて来る嵐から守るかで、私が考えたのは、明らかに過小評価されているCNYにいくらかを振り分け、同時にアメリカ国債にしておこうと考えていました。こうした資金の移動はこのブログでのレベルとは少し異なるのでそれをここで解説するわけではありませんが、とにかくそうしたわけでアメリカの債券の金利の動きを注視していました。

 

その頃ちょうどハイパースケーラーたちの起債の話が分かってきました。しかもそのスキームはエンロンの時やリーマンショックの時と同じで、これまで何度も手を変え品を変えて最終的に市場の崩壊で幕を閉じる、「いつか来た道」だったわけです。

 

そこについてもう結果が出始めていますが、もう一度最初にリンクを貼った11月21日のエントリーと読み比べていきましょう。上のチャートで分かるように、10月下旬のFOMCでの利下げ後の10年債金利の動きは極めて不可解でした。

 

実際、その頃私の周囲の個人投資家達は異変を察知していました。情報を収集してハイパースケーラーとプライベートクレジットファンドの共犯で大変な事態を招来することも話題になりました。

 

しかしこうした古強者の個人投資家はある出来事で全力買い/売りとか、そういうことをしないものです。もちろん物理的に出来ないってこともあります。まず資金は通常世界中に広く分散されていて、それも株式や債券、時には不動産や美術品など様々なものに分散投資されています。そしてもうひとつは特に小型株程度だと、私の親しい個人投資家達だと全力で行動したら数日は相場を一方に張り付かせるぐらい簡単なほどの資金力を持っています。だからそもそもしないわけです。そしてそういう極端なことをしないからこそそれだけの資金を積み上げ、相場で生き残れるわけです。従って10月下旬の奇妙な金利の動きに対しても、異変を察知してもその段階では注視することに留めている人も多かった。

 

私は一方で、11月21日のエントリーを書いた時点で26年の2Qあたりまでに問題が顕在化する可能性を見ていました。ブログの更新を停止したのはバブルがそれなりに継続するため、毎回のエントリーで書くことが、今はバブルだ、ということ以外になくなるからです。ずっとここを読んでいる方は分かると思いますが、11月21日の時点で現物株は全部手放し、オプションの方も最後のプット側のクレジットスプレッドを持っていただけ(それも僅かの損失で損切りしました。これについては25年の成績を後日アップするところで詳述します)で、口座は現金がほぼ100%の状況でした。

 

崩壊が始まるまで現物株を買うことはしないつもりでしたので、エントリーを更新しても書くことはありません。そこで思い切ってブログを休止したわけです。

 

ここまでで3000字ですが、この後ふたつのテーマについて述べていきます。

 

ひとつはここまでに関連してのハイパースケーラーとプライベートクレジットファンドのスキームについてです。これがこれから起こる大きな調整の主因となります。影響の大きさはリーマンショック級だと思いますが、もしかしたら私の先入観もあるかもしれません。ふたつ目は本日の下落が1日の出来事ではなく大きな局面の転換の最初の1日になるわけですが、それではこれをどれくらいのスピードで先進国各国が協働して対処すれば実体経済に大きな影響が出ないのか、まぁ、大きな影響を出さずに済むことは出来ないのですが、世界的な景気後退を2四半期で済ませられるのか、1年かかるのか、18ヶ月かかるようになるのか、そこは正確な予想とは異なりますが私がどこに注視して経済の先行きを見ようと試みているのかを参考にするのには良い部分かもしれません。それを述べようと思います。

 

さてハイパースケーラー達はちょうど25年の後半から大規模な社債の発行を始めました。すべてのハイパースケーラー達の起債した総額は優に一国の4半期の国債発行残高を越えます。年限も10年、20年、40年などの長期債です。その上、金利が6%などです。ところでこれも会計学を学んでいる大学生の模範解答とは異なり、現金を実際に企業の決算短信などを(その背後まで探りを入れながら)見る我々は、社債を発行するとバランスシート上は負債の部に固定負債としてそれが計上されます。そして資産の部では現預金がそれだけ増大します。投資をしている我々が見ると、こうした資産の部で流動資産が大きく、負債の部で固定負債が大きい企業というのは、まずは投資先として及第点(もちろん大雑把に言えば、です)という感じがします。ハイパースケーラー達はこれら社債を6%などで発行しています。

 

冒頭にお伝えしたクラウディングアウトが社債の起債によって国債に対して起こっている、というのはこうした意味です。昨年11月の時点ではその兆候だけが検知されていたに過ぎません。そこでこの大胆な仮説は投資家達のオフ会の酒盛りの場での戯言としては盛んに話されていても、記録の残るブログや何かに書くのには些か勇気がいります。私がそれでも書いたのは、勇気があるとか明晰な分析力を持つというよりも、見境なく散文調に物事を書く、いわばいい加減さからくるもので褒められたものでは無いですが。

 

とにかくハイパースケーラー達はこうして円建てで兆単位の資金をいとも簡単に調達しました。そこにプライベートクレジットファンドが絡んできます。

 

資金を調達したハイパースケーラー達はそれでAI専用のデータセンターを構築しようと思います。これには何百万というGPUが必要です。しかもAIは私も利用していて投資をするのにも非常に役立つツールとなってきていますが、提供する側から見ると収益化の目処はまだまだ先です。しかも昨年の段階でもこの分野はレッドオーシャンになりつつありました。それでも競争で勝ち抜いていこうとみなが我先にAIに投資を行います。しかしもし社債を発行して資金を調達しても、自社でデータセンターを建設して保有したら減価償却や競争に敗れたり機能が陳腐化した時に減損処理を行う必要が出てきて危険です。

 

そこで非常に危険な手法を使います。

 

まず、ハイパースケーラー達はSPV(Special Purpose Vehicle:特別目的事業体)を設立します。この企業はハイパースケーラー達の外にあるため、ハイパースケーラー達のバランスシートは何があっても傷みません。実は痛むのですが、それは後述します。SPVにハイパースケーラーが投資をして、そこにプライベートクレジットファンドがその更に倍を出資します。そしてSPVがAI専用のデータセンターを建設し、ハイパースケーラーはそれを専属で利用する契約をします。SPVはこのハイパースケーラーが支払う使用料から調達した資金の金利を支払います。

 

AIが利益を生み始め、そこで莫大な収益を得ることが出来たとすれば、高金利で長期である社債の発行も大したことでは無いように思われます。それにそもそもハイパースケーラー達はAI以外でも全世界的に見ても非常に大きな利益を生み出す優良企業で、初期投資が利益を生むまでの間のキャッシュアウトにも耐えられそうに見えます。少なくとも昨年12月まではそう市場に思わせることが出来ていました。

 

しかし様相はその後一変します。まず、このブログでも昨年11月以来次のリーマンショックが起こるのならプライベートクレジットファンドが震源地になると指摘していますが、年が明けてからこうしたファンドが支払いを停止したり、解約を停止するようになっていきます。最初は小規模なところだけでしたが先週遂にブラックロックも資金繰りが焦げ付き始めました。かなり危ないです。

 

しかし前回のエントリーでも書いたように真打はアポロです。この名前が一般のニュースで流れた時には、投資家としてそれをそのニュースで初めて聞いたということなら、その投資家は厄災に巻き込まれている最中なのでもう助かりません。

 

経済専門チャンネルや専門家が警鐘を鳴らし始めたところで行動に移る必要がありますが、そのタイミングでも無傷では済みません。

 

 

アポロのティッカーは“APO”です。チャートを見れば分かりますが、年明けから下落し続けています。プライベートクレジットセクター全体に見られる動きですが、この会社のことを色々調べるとそれだけではないことが分かってきます。

 

そういうのを自分で調べてみるのも良いと思います。そのプロセスで色々分かることがありますから。

 

さて、ここで6000字を越えてきました。

 

私としてはいつもこんな感じでエントリーを書いているのであまり長い気はしませんし、投資は難しく複雑で勉強も必要ですから150字とか400字で語れるものではないように思います。冒頭にも書きましたけれど。

 

それではここまでを読んで、本日の下落が中東での戦争に起因していて、原油の供給が再開され原油価格が下がれば再び上昇局面に戻るのか、あるいは、これは別の問題が主因であって、その問題が顕在化し始めたことによる市場の大転換の初動なのか、そこは自分で結論を出してください。ここだけを読んで判断するべきではありません。様々なことを調べて自分で判断しましょう。

 

最後にふたつ目のテーマです。

 

プライベートクレジットセクターが崩壊を始めて、それでもリーマンショック時と同じように各国の中央銀行が協働して市場に資金を供給してこれから起こる大混乱を収められたとして、無理かもしれませんが、実体経済への影響はどうなるでしょうか。

 

私の現状におけるメインシナリオは物価上昇が再び加速していくケースです。これは原油価格とはあまり関係がなく、グローバリズムを各国が逆回転させようとしていることで、資源配分の最適化が困難になっていき、それが不可逆的なものに変化してきていることに関係があります。

 

これは各国で物価の更なる上昇を招き、名目賃金の上昇は物価上昇率に劣後し、そこに市場の暴落による人々のセンチメントの変化、購買意欲などの減衰のことですが、それが重なると消費が冷えると見ています。そこまでには数ヶ月かかると思いますが、実はBtoCの中小の企業では1月あたりから業績の不振が始まっており、センチメントだけではなく資金繰りが一部で悪化しているように見えます。

 

もしこの影響が広範になると、市場の過熱に引きずられて上昇していた不動産なども下落し始め(既に日本だと都内でも住宅価格がピークアウトしたところが出始めています。諸外国でも新興国で住宅価格が下がっています。中国では中国人民銀行総裁の潘功勝氏が一昨年来非常に上手い金融政策のかじ取りをして中国における不動産の全面的な暴落を抑え込んでいましたが、ここに来て再び不動産セクターに調整の兆候が見られます。しかし中国の不動産市況は日本のそれよりも酷くは無さそうです)、特に日本だと変動金利を活用してローンを組んでいる人はそのコストが増大することと、実質賃金の減少から不動産を手放すような動きが出てきそうです。もしこの動きが広がると、日本のローンはノンリコースでは無いため、売り払った不動産の資金をローンに充当しても、その時点で不動産の価格が下がっているため、不動産を失い、ローンだけが残るという家計にとっては何十年にも亘って消費を減衰させる事態が生じます。

 

このブログで昨年お伝えしているように、私は昨年7月に投資用のマンションを売却しました。8月10日のエントリーで詳細を書いています。買い値よりも高く売れるという嬉しい誤算もありましたが、今考えてみると、このあたりから先行きの不透明さを(市場以外のところで)何となく感じていたのかな、という気もします。

 

今は賃貸に住んでいます。これまで人生の中で3回ほど自分が住むためにマンションを買っていますが、全て中古マンションで、中をスケルトンリフォームして住んでいました。独身でありながら、どれも3LDK以上で、75平m以上の住宅です。しかしどれも1500円以下です。

 

もし今度日本で不動産バブルも株式市場同様全面的に弾けて、同時に世界的な不況が1年程度続くようなら、かつてのように大半の不動産は、特に中古物件は今の半分から3分の1程度で買えそうなので、今度は立地も十分吟味して、私が日本国籍を離脱するまでの十数年間をセミリタイアして快適に過ごせるところを探してみたいと思っています。・・・そういう意味では不動産の将来については多分にポジショントークのところがあるので注意して聞いてください。

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