(苦悩突き抜け歓喜へ)
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〈冬は必ず春となる〉 6 完
さて”春”には、いっせいに花が開く。しかしその前に、花たちはいったん、冬の寒さに十分さらされなくてはならない。
ー もし、”冬”を知らないと、どうなるか。
春に咲く植物は、秋になると”休眠”の準備に入る。春に向けてエネルギーを蓄え始めるのである。
もしも冬の休眠の途中で気温が上がり、眠りからさめると、春の到来を待っていた芽が未熟のまま開き始める。
そこにふたたび寒さがもどれば、目は枯れてしまい、死となる。
そうならないために、植物は十二分に”冬”を経験したあとでなければ、咲かないようにできている。
これが、春の開花にそなえる、植物の”知恵”である。
人生も仏道修行も、その原理は同じといってよい。”冬”は、すばらしい。”春”のための充電と鍛えの時である。その時にこそ、永遠に崩れぬ「成仏」へのエネルギーは蓄えられ、宇宙大の広がりを秘めた生命活動の力が培われていく。
”冬”の間ににこそ、どう戦い、どれほど充実した時を過ごすか。必ず来る”春”を確信し、どう深く生きるかである。