・「学びながら見る」一環として、「書」についての概説書を入手した。飛鳥時代〜昭和時代の名筆をとりあげている。

 

・「書を見るポイント」があげてある。中国から入って来た「書」が日本国内でどのように「変容」していったかを知る事ができる・。

 

・特徴として挙げられているのは、①日本の書は「筆が傾く」。「突きこむ深みを持つ」中国の書に対して)サラサラ流れるような日本的な書美を生み出した」(p.6)

②「唐様」もすべて「和様」。禅僧の書(墨跡)や、漢学者・儒学者の書が一般に「唐様」と呼ばれた。しかし、これら唐様も純粋な中国風とはいえず、時間とともに和様に近づく傾向があった。(具体例がpp.8-9に示されている)。③レタリング文字(神社仏閣の額、歌舞伎の看板文字、相撲や寄席の文字・・)の祖は空海装飾美と文字遊び。「日本美術が西洋美術(ファイン・アート)と決定的に違うのは、それが生活美術であること。書もまた鑑賞にとどまらず「用の美」という側面を強く持つ。(pp.12-13),⑤明治になり、書家(芸術作品としての書を扱う)が登場した(pp.14-15)

 

・日本の書の歴史については5章(飛鳥〜平安初期、平安中期〜後期、鎌倉中期〜室町中期、室町後期〜江戸初期、江戸中期〜昭和初期)にわたって個々の作品をとりあげて解説が続く。「国宝」になっているものも数えてみたら14点あった。このほか「御物」として保管されている貴重な天皇の書も数点ある。

 

・個別のエピソードが面白い。良寛の書。それに影響された亀田鵬斎(ほうさい)の書(p.119)。「鵬斎は、越後帰りで字がくねり」と川柳に詠まれたとか(p.120)。確かに・・。

 

・明治以降は、公用文、手本などは御家流から唐様(明風の書法)へと転換。明治中期には上代様が再評価され、昭和初期には現代書道の基盤が整う・・。こうした様々な志向が書道団体という形に結集し、一方で、文士や芸術家には、書道団体と一線を画した独自の表現がみられた。(p.106)・・百花繚乱だね・・。