ふんわりシフォン -277ページ目

太陽と月と星と

太陽は暖かく照らす
なにものも包み
光を与えるのは
自分も輝いているからだ

星は輝いて存在を現す
道を知らせる
輝きで人をひきつける

月なら
気まぐれに姿を変える
朝の空に残る半分の月
淡くて忘れ去られたような姿


自分で輝くのではないよ
太陽の光を受けて
輝いているように見せる

わたしは
月かもしれない

自分で輝けるなら
そのほうがいい

太陽と星のように

そっと見守るのだろう
輝く恒星の軌跡を

月が満ちるまで ナツのハナ 13

駅につくと浴衣姿がちらほら目につく。

夏の花のようだ。華やかで生き生きとしていて。浴衣を着た女の子は綺麗に見える。

待ち合わせは駅のコージーコーナーの前。改札を抜けたら、すぐに目につく場所だ。

何日会ってなかった?普通に話せる話題、どんなのがあったっけ…

ハルと階段を登る。改札は階段を登って駅ビルに隣接している。デパート、映画館、たくさんの広告とディスプレイがあふれている。
ハルの足が早くなる。

早足から小走りに…最後は走りだしそうな勢いで…







その時、わかった。

改札の先に、浦川と橘さんが見えた。

……浴衣だ。

ハルの後について走る。人の波をよけて改札にたどり着く。機械が切符を飲み込み、自動改札が開くのがもどかしい。

なにやってんだか。落ち着いて歩いてきたらよかったのに。

ばたばたしたみっともない姿をさらさらなくてもいいのに…







でも わかるんだ。
ハルのこと、自分のこと。
会いたかった
話したかった
そばにいたかった

月が満ちるまで ナツのハナ 12

「……ちはやちゃん、オレのこと避けてない」

「なに言ってんだよ、会うだろこれから」

「だってさ、七夕で逃げたよ?追いかけて約束したけど、乗り気じゃなかった」

ゆらっと吊り革が動く。ゆらりゆらり動いているのは、腕だけじゃない。一番揺れているのは、その心で…無意識のうちに腕も動いてる。

「バカ言うなよ。橘さんに聞いたんだ。浦川はハルのこと意識してるってよ。…すっごく気にしてるってさ」

鼻をすする音がした。乱暴に顔をこすって、その顔をあげた。

「やっぱさ、好きなんだ」

ぽつりとこぼれる。
聞かないふりをしよう。それは俺が聞く言葉じゃないから。





アナウンスが連結の終了を告げる。ドアの前には乗客が待っている。いったいどの座席を狙うのだろう。

ドアが開き夏の空気が押し寄せる。

冷房にさらされていると、心地いい温度の気がしてくる。体温と変わらないほど暑くなるから。



行く先と時間が読み上げられ発車のベルが鳴る。

「夏休みに入ってから、ずっと会いたかった。海斗だってそうだろ。なんかさ、理由がなくちゃ会えないんだよなぁ…まださ」



理由、会いたいから



まだそんな理由は使えなくて。俺達は必死に理由を探すんだ。気負わずに誘えるような理由とデートプラン。





みんな、みんな君のため

君の見せてくれる笑顔のために。









出発のアナウンス。
行く先と出発時刻が読み上げられる。上りは男性の声だ。発車のベルが鳴り、ドアが閉まりだす。

プシュっとエアーの出る音。中央からほんの数十センチから動きが遅くなる。

安全確認。

ドアでさえ気持ちがあるかのようにプログラムされ、動いている。



そして俺は

隣で小さく笑った。