ふんわりシフォン -276ページ目

スゥイーツ

会社にパンの自販機がある。どんなラインナップかというと、ドラ焼き、アンドーナツ、チョコサンド、麦チョコ…

とにかく甘い。

若い男の子も「アンドーナツ好きっす」なんて言う。

職場はなにせ寒い。すぐに熱になるような、疲れがとれるような甘いものがてんこ盛りだ。

労働時間が長いと、脳が疲れて甘いものが欲しくなる。



みんな自分の好きなお菓子持参で仕事をしてる。

チョコレートを食べるたびもう少し頑張ろうかと思う。

想いのかたち

好きな気持ちを

取り出せたなら

見せられたなら

渡せたなら

こんな気持ちにはならないのかもしれない

伝えるのは

言葉でしかなくて

もっと

わかりやすくできないかといつも思う。



形や温度

匂いがあったなら

少しは気づいてもらえるのかも



想いをたくす

プレゼントは君を思って選ぶ

自分の心を映して

月が満ちるまで ナツのハナ 14

改札が慌ただしくなった。人の流れが多くなったのは、電車が到着したからだ。
時間は約束してあった。

その時間に間に合うようにつくにはこの電車しかない。
鼓動が跳ねる。

少し苦しいのは、帯のせいではない気がする。いままでどんなふうに息をしていたんだろう。意識して息をしないと胸がつまりそう。
丸く屈み込みそうな背中を帯が支えてくれる。

まっすぐ背中を伸ばして。


おばあちゃんがそう言ってくれた。堂々としていなさいよ、着物に猫背はいけないよ。

「風花大丈夫?」

覗きこむちはやも、緊張していた。片手に携帯を握りしめている。

それは、いつ鳴るんだろう。



何度も携帯を開いて時間を確認している。

すぐそばに電光掲示板があって、光の文字が流れていく。そこに時計もついているのに。

何かしなくちゃいられない。

もう何分も会話が途切れていた。お互いに緊張して、フォローに入れない。

冗談で笑えるほど頭が動かない。いつまでもこんなの耐えられない…



苦しくて下を向きそうな視界に、ばたばたと動く人影が目に入る。
人の波をぬって急ぎながら、こっちに向かってくる。
ハルくんだ。

ちはやを見たら、固まっていた。視線はそらさずにハルくんを見たまま。
携帯を持つ手がふるえていた。

唇を噛む。

もうすぐ、到着する。ふるえた唇から言葉がこぼれる。