続きです。
(c)8対戦という量がそもそも多かったこと。
イベント全体を見渡したとき、プログラム間のバランスとして、本来「従」であるべきマッチメイクに重きを置きすぎたあまり、「主」である各部屋企画の時間を少なくなってしまった……というのは大きな反省点です。「何を目的にしてイベントを開催するのか」という根幹のコンセプトは、準備中に時折立ち戻って確認しなければいけない、さもなければコンセプトがぼやけてしまう可能性もある……と痛感しました。
また、全体の量が多かったことが、「一つ一つの対戦にかける時間が少なくなり、説明が不十分になってしまう」「対戦数が多いので、各対戦の状況を理解するのは、よほど興味がある人に限られる」ということに繋がっていきました。この点からしても、「そもそも」コンセプトがぼやけてしまっていた感は否めません。
(d)一対戦あたりの量。
あまり興味がない分野でも、5~10分なら楽しめるかもしれない。
しかし、最初は楽しめた分野であっても、それが15分になり20分になると苦痛になってくる。
……今回のマッチメイクの不評には、一対戦あたりの量が影響した部分が大きいと考えています。
これがたとえば「10分限定」であれば、もう少し雰囲気が変わっていたのではないか、と。
7○3×という中期戦ルールと、「さまざまな傾向の勝負を見せよう」というマッチメイクのコンセプトの間に不整合があったのではないか、と。
(e)知らない人に興味を持ってもらうための施策。
たとえば「SAKUGE」であればFlashでネットクイズそのものの説明をするとか、「The 3名様」であれば3名様がこれまで遠征したところを地図上で表してそのエリアの広さを実感してもらうとか、これまでにかかった旅費を発表してもらうとか……「知らない人に興味を持ってもらうような」方法はいろいろと考えられました。
が、準備を進めるにつれ、「時間がない」「シンプルに見せたい」と意識するあまり、本来しなければならない演出・説明をそぎ落としていました。時間がない中でも、知らない人にこそ興味を持ってもらうための「歩み寄り」こそは、欠けてはいけないポイントでした。
なお、「SAKUGE」に関してはそこに関する演出もいろいろと提案していただいていたのですが、「時間がない」「シンプルに見せたい」という理由で橙武者がスリム化しすぎてしまったことを、マッチメイカー・くげさんの名誉のためにも付記しておきます。
「わからないものをわからないなりに楽しむ」という方も参加者の中にはいらっしゃいます。しかし、イベントにいらっしゃるのはそういう方ばかりではない。「わからないということにストレスを感じる」という方のほうが圧倒的に多数派ですし、むしろ「わからないことは、楽しめない」というのが自然な反応です(前者の寛容な方も、やはり「わかったとき」に比べればストレスを感じられているはずです)。
企画者としては、「わからない人に対し、いかにわかっていただき、さらに興味を持って見ていただけるか」、その努力を最大限しなければならなかった。参加者の方の寛容さに期待するのは、一種の「甘え」です。一部の人に受け容れられればいい、と考えるのであればそれでもいいのですが、私がやりたいのは、「どのようなバックボーンがあるにしろ、全員が興味を持っていただけるようなもの、満足していただけるようなもの」です。であれば、「いかに興味を引くか」を考え抜く必要があった。その点に甘えがあった。
一方で、(f)当日の説明量不足も一因ではあると思いますが、さりとて、これ以上説明の「量」を増やすとさらに間延びする危険性があります。また、(h)事前の説明不足にしても、どれだけ説明しても「興味がある人は読むけど、興味がない人は無視する」のは否めません。やはり、(e)「興味をもってもらおうとする意識」が不足していたのが大きな要因ではないかと思います。
(g)選考基準についてですが、当日エントリーする際アンケートをとってもらったり、事前予選をやったりといった手は打っていました。しかし、基本的には「盛り上がる対戦にするよう、マッチメイカーに判断してもらう」というのがベースであり、どうしても選考基準は不透明になります。となると、出られた人はいいが、出られなかった人からは不満が残ることになります。(ある方から頂いた提起なのですが)事前にネット上で予選を行うなど、選考基準をクリアにする必要があったかと思います。
……と、問題点が山積であった「マッチメイク選手権」。しかしやる意義はあったと思いますし、マッチメイカーの皆さんにはそれぞれ工夫を凝らしていただいたと思っています。
新しい見せ方に成功した「難問長文」については言うに及ばず、ジャンル別系の「声優」「水曜どうでしょう」「酒」にしても、時間が10分であったり4○先取であれば盛り上がったまま締められたでしょう。マッチメイク系の「SAKUGE」「the3名様」にしても、もう少し演出に打ち合わせができれば、ネットクイズだったり遠征(クイズ旅行)の楽しさを伝えるまたとない機会となったはずです。橙がマッチメイクした「中学生オブザイヤー」「SystemF」にしても、出題していただいた方々がいたからこそできた話ですし(まさかSystemFと翌日の「Bangof」で問題がかぶるとは。それも「老害」で)。
そう考えると、マッチメイカーの方々(もちろん選手の方々も)に感謝するとともに、申し訳なく思います。量と演出が適切であれば、もっとマッチメイカーの方々のアイデアが生きたのに、と。