上下関係が厳しいと言えば… 
やっぱり帰宅時間!!


当たり前だが
先輩が上がるまでは帰宅出来ない。


終電までは………




なぁ~~~~~~んて

そんな
世の中甘くない。


ビルの1~5階が営業フロアで
6階が寮となってる。

終電気にせず
お仕事ッお仕事ッ!!


逆に言えば
朝も始発時間なんて関係ない!!


遅くまで仕事するのは
なんとなく慣れる。

途中からランナーズハイになってしまうからである。




朝は
先輩より早く出てきて、
厨房の準備をしなくてはならない。



朝のミッションで
一番辛いのはやはり、

「先輩より早く起きる事!!」

これに尽きる…


先輩の仕込みや段取りを予想して
営業の忙しさに関係なく
早い先輩に合わせて
一番早く起きなくてはならない。


しかも、
5人の先輩との相部屋の為
目覚ましをかけられない。

自分が起きるときに
先輩を起こしてはいけない。という厳しいルールつき。



これが難しい…


夜遅くまで仕事して

やはり
少しでも長く寝たい…

先輩は誰一人として
何時に起きるか予告してはくれない…



この葛藤の末

身に付けた技がある。 



先輩のアラームが鳴った瞬間に起きる!!

そして
瞬足で着替えて
厨房へいく!!


この時に裏技がある。

前日の寝る直前に、エレベーターを寮の階に置いておく。


そして、
次の日の朝
一階から五階までのボタンを全部押してから

階段でエレベーターより早く
消防士の出動が如く
落ちるように降りる。

先輩が起きて
厨房に来るまでの
数秒間の時間稼ぎである。



ここで重要なのが
アラームの音の一番最初に鳴る音を聞き取れるか?


離れた先輩のアラームで起きるのは当たり前!

あとはどれだけ
そのアラームに早く気付いて
着替えられるか?


階段に着くまでには
料理人が出来ている状態である。



端から見たら

アラームのイチ音目で
パチッと目を覚まし!
次の瞬間には白衣を着ながら、
音を立てずに、
厨房へダッシュ!!!





ある日
起きる時間が分かっていて

バイブにした携帯アラームを枕の下に入れて起きた日があった。

いつも何もない状態で起きていたので
無事起床した。



その日の夜…

寮長の先輩に、


「オイッ!お前、今朝バイブ鳴らしただろ?」



俺「……」





俺「すみませんでした……」




音にも反応…
起きたい時間に起きる…

スパイや忍者にでもなれるような、 
寝起きを手に入れた。
鴨鍋パーティーが始まる直前まで、
鍋やおつまみなど
色々と食事の準備を手伝っていた。



そこへ、
パーティーのお客さんがやってきた。




その中に
昔からお店の
調理器具を担当してくれている
電気屋の「けんさん」が来ていた。



年齢は50代で
父親とほぼ同世代。

だが、
工業高校、工業大学出身だった僕は、
けんさんが店に来る度に
電気屋のパシりにされ、

かなり
仲良くなっていた。




その日も
付き合いで若旦那の
Nゲージ開通パーティーに
参加したのであるが…




話しを聞いてみると、
この電気配線等は
けんさんが施したそうだ。

やっぱりプロの技は
シンプルかつキレイである!





僕が来てから
ずっと気になっていた
トンネルの話を振ってみた。
そうすると…
これまためちゃくちゃな過去が…(笑)







若旦那がNゲージを
やり始めたのは
中学生の時から、、、

もっとも、
本格的にジオラマなどもやり始めたのは
若女将と結婚してからだという。



その際
やはりお金持ちの料理屋に嫁ぐと言うことで
かなり嫁入り道具へ力を入れたそうだ。

食事棚もその一つ……











結婚から数ヶ月がたった、ある日
若女将が何か予定があって実家に帰っていたらしい



そのタイミングを狙ったのか、
そこに電気屋のけんさんを呼んだ。

一気にNゲージの線路を仕上げる為に、
趣味に電気屋の力も借りていた。



配線をやっている中、


線路がどうしても食事棚にぶつかってしまう…


若旦那に
「これ、線路迂回させましょう!」

と言ったら、

若旦那が
「ダメだ!!それだと景色が変わってしまう!!」


けんさん「…………じゃぁどうすれば?」







若旦那「トンネル掘れば良いじゃないか!」
「箱根の山だよ!箱根!!
(笑)」


けんさんが念には念を推して、
「本当に良いんですか?切ったら戻りませんよ!」


若旦那は半分キレながら
「そんなん分かっとるわ!魚だって、一度切り落としたら、くっ付かないよ!!」



怒られながら言われたため、
しぶしぶ言われたとおり
食事棚に電動ノコギリを使って空け始めた。


若旦那の満足そうな笑みが
横から見えた。



けんさんは

取引先の社長が喜ぶなら…と請け負った仕事が


地獄への入り口になるとは
知る由もなかった…






線路は無事開通!!



その時あった貨物列車の先頭に
小型カメラを付けた。


二人は子供のように大興奮!!


写されたテレビを見ながら
運転手気分を二人で味わっていたのである。




そうこうしているうちに
若女将が実家から帰ってきた。



楽しそうな声に釣られて
若女将が二人に近付いていく。



若旦那「ほらこれ!開通したよー!!!」

若女将「すごいじゃない!!」
「けんちゃんも手伝ってくれたの?ありがとうねー」



若旦那「しかも、コイツに小型カメラ付けて
運転手気分も味わえるんだよー!!」


興奮しっぱなしの若旦那!

しかし、
けんさんの血の気が少しずつ引いてきた…



若旦那「見てろよ!今走らせるから!!」



けんさん「いや!!!あまり走らせると、モーターに負担掛かって壊れちゃうんで、今日は止めましょう!!」



焦ってけんさんが止め出した。
以前、
若女将が嫁入り道具で棚を入れた!という話を

若女将を前にして
思い出したのである。


確信はなかったが

イヤな予感がしてたまらなかったため、
バレる前に
必死に止めて帰ろうとしたのだ。





とにかく!!!
早く!!!
この場から逃げたい!!!


そればかり考えていた
けんさんが
自分の工具を手早く片付けている最中…






若旦那「次はーー小田原ぁーー小田原でぇす!」





…………………………………………………………………………………………………

ふと、
テレビを見る。




((((;゜Д゜))))











電車走っとるやないかーーーーい!!!!




しかも、

おーだーわーらぁーーーーー!!!??




運命の
箱根山の直前まで、進んでるしーーー!!!!






若旦那「次が今回一番こだわった所なんだ!」

若女将「なに?!なに?!」




けんさん「わぁーーーーアカンッアカンッ!!」


けんさんの叫びも虚しく
若旦那は続ける
「今回のメインイベントは、
俺にはちょっと出来なかったが
けんちゃんが全て手塩にかけて作ってくれた…」


え???
   

けんさん「………………………
完全に俺だけの責任予告になってるよ……」





若旦那「まもなく、箱根山トンネルでぇーす!」

テンション上がりまくりの若旦那!



もう
止めることは出来なかった…









いきなり
重~い空気が流れた…







若女将が泣き出して


若旦那がやっと
異様な雰囲気に気付く!!!


若旦那「どうした?」



若女将「どうした?じゃないわよ!!!」
「なんで、買ったばかりの嫁入り道具を
切り刻んだの?!(大泣き)」



若旦那「刻んではない!
電動ノコギリでキレいに切り落としたんだ!!」





けんさん心の声「そこじゃない!!若旦那!!着目点そこじゃない!!!」



けんさんのその声は
新婚の二人のただ寄らぬ空気で
声にならなかった…





若旦那も職業柄なのか
切り方に
反応してしまうのも分かるが…


しかも、
キレいに!って完全に相手をあおってますからね…





そして、

若女将は大泣きしながら

また実家に帰ったそうだ…


めでたし

めでたし。




 ……………………………………………



俺「全くめでたくないよ!!」
「めっちゃ話中途半端!!若女将がまだ若女将してるってことは……一応仲直りしたんだよね?」



けんさん「一応そうだね。」

俺「一応??」


けんさん「めっちゃ高いお肉を持って、若女将の実家に謝りに行ったんだって!」


けんさん「でも、俺は一年以上口きいてくれなったんだよ…
仕事しずらくて、しずらくて…」


俺「けんさんも、高~いお肉持って行けばよかったのに!」



けんさん「町の電気屋に出来るかよ!!!」






やはり

人間はお肉に弱いと言うことが分かった!!
ある日
若旦那の家で鴨鍋パーティーを開催するらしく、

その鍋の材料を仕込んで
若旦那の家へ持って行く事になった。




一体何のパーティーだろう?

営業で出すには

十万近くはするような材料と

店で一番高い赤ワインを持って

同期二人で話していた。



家に着くと
奥さんの若女将が出て来て…
「申し訳ないけど、中まで運んでくれる?」

二人「わかりましたぁー」



若旦那の家の玄関までは
入ったことはあったが
中には一度も入った事がなかったため、
色々と楽しみにしていた。





社長の家と言っても、
そう豪華な家ではない。


ただ、
銀座のすぐ近くなので
家賃が物凄く高い
と先輩から聞いたことがあった。






確かに普通の家だ(笑)




ただ、

家具が…

食器が…

飾られている絵や器が…


高そう…



さり気なくあるものが、
高そうなのである。


そんな中
妙な食器棚を発見した。






食器棚の床と接地している面、、、

トンネルの様に切られている。


これは
こういうデザインなのか??
そこ以外は至って普通(高級)の食器棚。

バランス悪そうだな~
と思いながら見ていると、


その穴から
黒っぽい線?みたいのが2本出ているのに気付いた。



この食器棚って電動で動くのか?!?!


色々と不思議に思い、
そっと近づいてみた…









「線路だ!!!!」



食器棚の下を
おもちゃの電車の線路が通っていた!




周りを見てみると、

空中にも線路…

高速道路のように、
上手く道を作って
そこに線路が敷いてある。



電気関係が好きな僕は
ちょっと覗いてみた。



ジオラマもあり
かなりこだわって作られている。



???「オイっ!壊すなよ!!」


若旦那が帰ってきて
突然話しかけてきた。



俺「迫力ありますね!凄くカッコいいです!!」

素直な電気ヲタクの感想を言った。




そうすると若旦那が
急に満面の笑みで

「だろ?だろ?」

「今日はコイツの開通パーティーなんだ!!」






二人「え?」

二人「かいつぅー??」





若旦那「やっと、この寝台列車が手に入ってなぁ!!」
「ここを押すとライトが……」





めっちゃ嬉しそうに話してるだけど…

前々から
Nゲージ(おもちゃの電車)が好きって言うのも
聞いていたけど…




これに
パーティーいる?!?!


十万の鴨鍋



最高級赤ワイン

いりますか??


((((;゜Д゜))))







金持ちは

お金かける所が
庶民と違うのね……。