お客様の要望で
ここ数年で特に増えたものがある。


それは国際化に伴った宗教による
食事制限である。



お肉がダメだったり

発酵食品がダメだったり

アルコールがダメだったり

精進料理希望だったり

逆にシーフードしかダメだったり



もう
ごまんとある。


これらに対応
出来るお店は未だに少ない。


いつもあるものを
ただ提供するのは

「調理人」



だが
これらのお客様の要望に
お応えするのが

「料理人」

であると考えている。
厨房以外にも
修行中に驚いた事が沢山ある。

例えば
お客様の要望。




日本最大市場の築地と言えば、
やはり魚介類が有名!!


料理屋にみえたお客様の大半が
お刺身など魚介類を楽しみにみえている。




そんな中、
こんな予約の電話が入った。


受付の人から
「明日一万のコース2人…
一人は魚介類ダメ…
お出汁のカツオもダメ…です。」



…………………………

厨房全員「……はい!」


一瞬時が止まります。



築地の日本料理屋で
魚介類…
お出汁がも使えない…。


この種類の予約を初めて聞いたときは
流石にビックリしたが…


改めて考えると
別に「精進料理」と考えれば
なんて事無い事だった。


結構「精進料理」希望のお客様は
日本料理屋ではよくある。

皆さんも
一度精進料理を試してみては??


※精進料理とは
仏教の戒律に基づき殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼として調理された料理。避けるべきと考えられている食材が大きく分けて2つあり、1つは動物性の食材、もう1つは五葷(ごくん)と呼ばれるネギ属などに分類される野菜。
慶應ボーイKや

レジェンドHなど

同期や後輩で変わった人も多いが
先輩でも
かなり変わっている人もいた。


この先輩は
怒鳴ったり
殴ったりしない
数少ない貴重な先輩で…

後輩の面倒見もかなり良かった。




だが、、、



思考が少し違ってて
朝がめっぽう弱く
寝坊する。


一応
普段お世話なっている分、
上の先輩達が来る前に起こしに行くのだが…

何度起こしに行っても、
起きてこない…
やっかいな二度寝魔なのだ。

そんなわけで、
しょっちゅうベジータK先輩に怒られていた。


……………………………………………………………………


そして
僕が修行2年目に入ったある日、
突然A先輩が会社をやめる!と言い出したのである。


後輩から見れば
優しい先輩が抜けるのは寂しいが…
各々事情がある。

だから
居なくなる前に
色々と教えてもらおう!
とポジティブに考えていた。




A先輩にいつ辞めるのか聞いてみる。
俺「A先輩!!いつ退職するんですか?」


A先輩「1ヶ月後ぐらいかな~」


ちょっと曖昧な返答…

まぁA先輩らしいが…


俺「その後はどうするんですか?」

一番気になる所を聞いてみた。

A先輩「実家の料理屋に戻るよ」
「あーー、でもちょっと遊びたいな~来年ぐらいからにしようかなぁ~」



…………………………………


(;゚д゚)ポカーン

The 無計画!!!



とことん適当な先輩だ……

どんな人生でも
本人の自由だからね(笑)

A先輩「じゃぁ!今から社長(若旦那)の所に、辞めるって行ってくるわ!!」



めっちゃ爽やかに手を振りながら、
厨房を後にした。

まぁ
地獄の日々からの解放だもんなぁ
そりゃ1ヶ月の期限付きなら、
ワクワクが止まんないよな…




そうこう考えているうちに
A先輩が戻ってきた。


意外に早い……

多分
五分もかかっていない。


そして
いきなりA先輩が厨房に向かって話かけだした!

A先輩「今までお世話になりました。今日で上がらせて貰います。」


…………………………………………



(゜Д゜;)ポカーン




本日2度目のポカーン……


いやいや!

A先輩さっき
1ヶ月後に辞めるって!!??


まだ
刑期が30日と14時間もありますよ!!!


流石に
A先輩に理由を聞きに行った。

すると

A先輩「1ヶ月後辞めさせて下さい。」
って言ったら、、、

若旦那「???何でだ?」

A先輩「辞めたいからです。」

若旦那「まぁ俺も通ってきた道…
理由は良いとして、その後はどうするんだ??」


A先輩「実家の店に戻る予定ですが、せっかくなんで…ひとまず一年ほどどこか旅行に行きます!」

若旦那「……明日から旅行行っていいよ…明日からもう来なくて良いから…」

A先輩「はい!!」




…………………………………………………………………


(゜Д゜;)ポカーン


本日3度目のポカーン……


最後に

「はい!!」

じゃないだろ!?


完全に社長をナメてるでしょ!!


普通

「一年ほど旅行行く」

なんて言っちゃう???!!



もう
ぶっ飛び過ぎの先輩を
誰も止めなかった。






次の日のお昼13時…




ベッドで
まだ寝ている…



相変わらずだ…


ひとまず起こしてみるか。



A先輩「…ん?…」

「もう朝?…ベジータK先輩来てる?」

俺「…そりゃ来てますけど…13時ですから…」


A先輩「え?!めっちゃ遅刻やん!なんで起こしてくれないだよ!!」


俺「僕何も聞いてませんでしたけど…何か予定あるんですか?」


A先輩「もう昼営業!」


俺「先輩昨日辞めたじゃないですか…」



A先輩「あれ?そうだっけ?ならいいや!!」



この人

やっぱりぶっ飛んでるわ…




この先輩はこのあと、
寮に一週間いりびだった後
こつ然と姿を消した。


…消したのか

…消されたのかは


誰にも分からない。


ただあれから今に至るまでの4年間…

A先輩と誰も連絡が取れず、
消息は不明である。