※結婚披露宴……『後編』



寮へ帰って


すぐに、ダンスを覚え始めた……


この時既に
深夜2時。


朝の仕事まで
4時間を切っていた。




これ
結構ギリギリだな……(笑)



そして
パソコンで
振り付けの動画を何度も
何度も

何度も

何度も…
見て、、、、

踊りまくった!!





………………………………………………………………………………



朝の仕事の時間になる。

正直
まだ全く踊れない……


そりゃそうだろ!!

普段
ダンスやってないから
覚え方が分からない!!



営業中もずっと
ダンスを頭の中で繰り返していた。




この日は
お昼の営業で閉店となる…


夕方、
みんなより一足早く
会場のレストランへ向かった。


青山の有名レストラン…
本当に綺麗な場所だ…

夜になって
ライトアップされている感じが
また良い雰囲気を出している。


俺は
こんな
オシャレな
世界的シェフのお店で……


女装して


AKBを踊るのか……


なんか
めちゃくちゃ過ぎて
笑えてくる。(笑)



そして
レストランのスタッフさんの所へ
打合せに行った。

俺「すみません……」

スタッフ「はい?」

俺「今日出し物をする者なんですけど……」

スタッフ「はい、社長様から伺っております。」


一応話は通っているみたいだ。


俺「このCDをかけてもらっていいですか?」

スタッフ「かしこまりました。
登場の時には、あちらのカーテンの裏側でお待ちになって頂いて、
スポットライトで照らしますので……」


え?!

そんなガチで協力してくれるの??

めっちゃ
充実した設備(笑)


なぜか
やる気出てきた(笑)



そうこうしているうちに
披露宴が始まった!

同時にお待ちかねの
食事も出される…

しかし、
ダンスの不安からか
全く味が分からない…

それどころか、
もうじっとしていられない…

食事の途中だったが、
不安を解消するために外へ出て
ひたすら、
踊りまくった!!


夜の
イルミネーションが輝く中…
男一人…


AKBを


踊っていた…。



なんとも気持ち悪い光景だ…。



そして
出演時間も近づき、、、

いざ
女装!!!




……………………………………………………………………………



女装完了!!




登場位置のカーテン裏へ向かう。   


若旦那より
アナウンスが入る。

若旦那「えー。本日はお集まりいただきましてありがとうございます。
これより従業員を代表しまして……」

音楽スタート!!

♪♪♪♪♪

「♪Na Na Na Na…………♪」

カーテンにスポットライトが当てられる。

カーテン越しにも
ライトの熱を感じる……


来る…………


3……


2……


1……

「バサッ」
カーテンが開く!!!


そして今
俺は…


「アイドルになった!!」


厚化粧に
満面の笑顔!!


ひとりひとりへの
レス……。
 

全力かつ
セクシーなダンス!!!


新郎新婦へ近寄って正面で
女装した料理人が
踊る…


笑顔で!!




そして
社長や会長の近くへも寄って踊る!!   

笑顔をふりまく!!


!!!!!!


会長夫妻に手招きされる……


踊りながら
近寄ると……


手には現金!!

その現金を衣装へ突っ込まれる……。

!!!!!!!!!!!


なんだ!
このシステム?!


一気にモチベーションの上がった俺は
色々な人へ近寄り、

おひねりを
頂く(笑)

より
笑顔で

元気に踊る!!!!



音楽も終盤……



何故だか
名残惜しい気持ちになった

しかし、
最後まで
アイドルとして踊りきった……



アンコールがかかったが……
僕には
レパートリーがこれ一つしかない。

名残惜しい位がちょうど良い。




無事披露宴も終え、
着替えて化粧を落とし
二次会会場で皆と合流した。


その瞬間…

若旦那と
新郎新婦から
熱い握手を貰った!!


突然だったため
呆然と立ち尽くしてしまったが、
心から嬉しかった。

感謝される喜び。
 
楽しんで貰える喜び。


僕の勘違いから
始まったヲタクだが、

とても良い方向へ
進んでいると思った。


気持ち悪くても、
ヲタクと言われようと、
アイドルへの気持ちは
どんどん強まっていった。
※結婚披露宴……『前編』

若旦那の娘の
結婚披露宴が明日行われる。

なかなか予約が取れない
某有名レストランで行われる為、
料理を凄く楽しみにしていた。

そんなとき、
若旦那に呼ばれた。




何かイヤな予感……


若旦那「オイッ!AKB!ちょっと事務所来てくれ!!」

※厨房の大半の先輩が、俺のことを「AKB」と呼んでくる。


そして事務所に行くと……

若旦那がジロジロと俺を見てきた……

普段、ヤ○ザの組長みたいな若旦那が改まって話し始めた。

若旦那「あのなー、知ってる思うが……明日娘の披露宴なんだ…」


なんかいつもと違う空気で
逆に居づらい…


若旦那「今回の披露宴は俺が企画している…」


俺「え?!そうなんですか?あんまりよく知らないですけど…普通は当事者の新郎新婦が……」


若旦那「普通って何だよ!普通って!俺はありきたりが嫌いなんだよぉ!!」


一瞬いつもの組長雰囲気に戻ったが、

またすぐに、しんみり空気になった…


若旦那「そこでだ…!!」

「うちの店…従業員代表として、AKBをやって欲しい!!頼む!!」



………………………………………


え?!


突然過ぎるお願い対して
理解に苦しむ俺…


それより、、、

若旦那に
こんな改まってお願いされたことなど無い…

そのためかなり困惑した。



だが、
内容はともかく、、、

若旦那のお願いを断ることなど
ありえない!!


予想外の展開で
一瞬時が止まったが…
間を置いて
ふたつ返事で答えた。


俺「はい!!」



そして
詳しく話を聞いてみた。

何せ…
披露宴は…

明日ですから(゜Д゜;)!!!



俺「若旦那!!僕は具体的に何をやれば、宜しいですか??」

若旦那「踊れ!!」

………………………………………

ちょっと抽象的すぎる…

俺「AKB楽曲の振りを踊れば、宜しいのですね?」


ヲタ芸では無い事を一応確認…


若旦那「だから、さっきからそう言ってるだろ?!(怒)」


俺「すみません…」

怒られた…


俺「何分くらいですか??」


若旦那「一曲分!!ナナナナ!!」


…………………………………………


一曲分……

ナナナナ!!???


俺「……はい!!!」

ひとまず
返事!!

考えるのは後だ!


これ以上
話すと殴られかねない…

余計な質問はせずに
チョー簡単な
明日の披露宴の打合せは
終了した。



よし!!
どうしよう……………


ヲタ芸はやってたけど、
振りコピしたことねーよ!!

若旦那の中では
振りコピもヲタ芸も同じなんだろうが…


まぁ
そこは今考えても何も変わらない!


まずは
どの曲にするか……


ふとさっきの
会話を思い出す…

若旦那の
一曲分って言った後の

「ナナナナ!!」
って
AKBの
フライングゲットの

「ナナナナ」

って事なのかも!!??



ちょっとカマをかけて聞き出すため、
iPodを持って
若旦那の所へ行った。



俺「すみません!若旦那!!」
「ちょっと明日の件です宜しいですか?」



従業員にもサプライズのため、

厨房の端に行く二人。






俺「この曲なんですけど…
結構長いんですよ。」

「イントロがこんな感じで少し長いので、ここのイントロはカットしますか?」


我ながら 
上手い聞き方である!!






「バコンッ!」






小さく振りかぶって殴られた…







若旦那「俺はそこのナナナが好きなんだよ!!」






そこかよッ!!!

というより
結局殴られたし!!!!

やっぱり殴られる…
運命
_| ̄|…○コロコロ

まぁいい!!
曲は分かった!

あとは営業が終わるのを待つ!

そこから
練習だ!!





営業中も
色々演出を考えた。

完全丸投げで
逆にやりやすい!

そう
ポジティブにいこう!!!

やっぱりあの曲は
キンタローのイメージが強いから
とにかく元気に行くべき!!


ん…


衣装はどうしよう…


買うしかないよね…



今は
とても便利な世の中だ…
某ドン・○ホーテ
に行けば何でもある!!



営業を終えて…
いざ
ドン・○ホーテへ…



お目当ての衣装…


衣装…



あった!!

まさしく
キンタローと同じ衣装だな(笑)

よし!
これと…



カツラもあった方が良いよな!


ここは
ガラッと雰囲気変えて…

金髪ロングだね!!


あとは…


どうせなら、

正面からも本気感出すために


お化粧も買っておくか!!



口紅と…

ファンデーションと…

マツゲでっかくする毛虫みたいのと…


チークだな!!


………………………………………………………………………………






1万5千円になりました……






ちょっとレジで後悔しつつも、


速攻帰寮した!!
見事
会社での
「ヲタク」ポジションを手に入れた俺だが…


事あるごとに

「オイッ!ヲタク!」





「オイッ!AKB!」






「オイッ!変態!」





などと言われ放題…




会社でカラオケに行けば…


「オイッ!AKBだ!」


言われる…。


最初は

普通にアイドルの歌を歌っていた。


だが、

料理人の世界で「アイドル」自体が新鮮だったのに

だんだん慣れてきてしまったのだろう…




要求が付け加えられる…。





「オイッ!ヲタク!」

「あの意味不明な歌の間のヤツやれよ!」




mixや合いの手が求められる。





イヤとも言えず

全力でmixや口上を打つ…






数ヶ月後のカラオケでは… 



「オイッ!変態!」



「あの、キモイ動きのやれよ!」






まぁ

キモイ動き…

分からなくもないないが…





ヲタ芸の事でしょ?



先輩達も
何だかんだアイドルの勉強して
ワザと無理難題振って来やがる…。




断る事も出来ない。








全力のヲタ芸をする…。







数ヶ月後、、、、





「オイッ!ヲタ芸やれ!」





♪♪♪♪♪♪♪


ん?!?!



俺「え?!これ、、、アイドルソングじゃぁ……」



「チェッカーズの……涙のリクエスト…」





どうやって
mix打つんだよ?!!!!?

((((;゜Д゜))))








昔のアイドルかもしれないけど…


男やし!!



時代違いすぎるし!




だが、

断れない…



歌詞の「あの娘」を、当時推しメンの某アイドル「麻衣ちゃん」に変え…

ガチ恋口上…

ヲタ芸を合わせつつ…


色々と
無理矢理ねじ込んで




やり切った………。







先輩「よっ!変態!キモイぞーー!いいぞーー!」






何とか乗り切った。





でも

不思議な気分だった。



全く嫌な気がしなかったのだ。







先輩が
初めて褒めてくれた…




それが
何よりも嬉しかった…




ヲタクでも…






キモくても…






変態でも…




俺を認めてくれた!!!



このキャラを突き通す決意をここで決めた!!