αと私の心の距離が縮まって行く。

短くなればなるほど、おたがいの心が締め付けられていく感覚に

お互い、とまどっているのも事実。


自分達の感情で、まわりを巻き込んでしまうほど

勢いのある歳でもない。


正直、私はαが望めば離婚に踏み切るつもりはあるけれど

自ら離婚と言う道を選ぶほど、まだ心は固まっていない。


一般的にsweetな会話は交わさないものの

大人同士の、複雑な心境を抱えた会話からも

αの私を想い始めた気持ちが伝わる。


私がちょっかいださなければ、辛い思いさせなくて済んだのにね。

でも、悪かったなんて思ってない。

これからの未来が私達に無いなんて思ってない。

本当に心から想い合うのであれば、障害なんて乗り越えていけるはず。

まだまだ私達はその粋に達していない。


「君があいつの妻でなければね・・・」

はじめて、私をどう想っているのか読み取れるαの一言。

ああ、そう想ってくれているんだ。

そういう風に、ちゃんと私を見てくれているんだと、嬉しかった。


二人で過ごした、クリスマス前の一夜。

静かで、穏やかな時間だった。

彼が私に用意してくれていたリングは

結婚指輪と一緒に重ね付けすることにした。

結婚指輪よりもすごい存在感。


それでも、旦那は気付かない。

たまに、指輪同士が接触して奏でる音が

まるで、私と旦那の関係の終息を知らせるベルのようにも聞こえてならない。


一時の迷いなのだろうか。

それとも、人生で二人目に愛した人になるのだろうか。

答えがいつ出るのかさえわからない。

αとの関係を、唯一親友に打ち明けた。

本来、不倫に対する絶対的な反対意見を持っていた私は

この事を打ち明けるのに、随分と悩んだ。


ただ、この人だけには、正直に、軽蔑されてもいいから

正直に話しておかなければならない気がして。

解ってもらおうなんて、甘い考えは無かった。


きっと、怒られるに決まっている。

それでも、話しておかなければ。


結果、案の定「軽蔑する」「あんたは最低」「人の事は言えんぞ」

と、散々たる結果だったが、

その言葉の中にも、なんだか温かみがあって

正直に話してよかったと、涙が出た。


結果、今あたしを支えてくれているαと

一緒になれることなんてありえない現実を前に

なぜあんたばっかりが泣かなくてはならない結果になるのかと

怒りの矛先はうちの旦那へ。


裏切られて立ち直れないあんたと

支えてくれているαと

あんたを裏切った旦那と

人間て、なんでこうも上手く行かないのかねぇ。


と、遠い目をした彼女の表情が忘れられない。


彼女との付き合いは、かれこれ10年。

今までは、全般に私が彼女を支える役割を担っていた関係。


弱いところや、くじける自分の姿を彼女に見せるわけにはいかないと、

いつも強気で、彼女を守ってきた、ある意味恋人同士のような関係だった。


でも、今回私の済し崩しにダメになっていきそうな姿を

彼女はどんな気持ちで見ているのだろうか。


他人の意見を素直に実行できる人間なんて少ない。

結局は、自分のやりたいようにやって

失敗しても、後悔したりしなかったり。


私は、本当の後悔なんてしたことがなかった。

けれど、今初めて取り返しの付かない後悔と言う気持ちを

味わう結果となった。


結婚なんてしなければよかった。

近づくクリスマス。

毎年仲間でパーティーはするものの、

旦那と二人っきりでクリスマスを過ごしたのは、かれこれ何年前だろう。


今年はαと、ちょっと早いクリスマスを過ごすことになった。

遠方からのお客様の接待で帰れないという理由で一泊できる日を作った。


シャンパンとワインで、きっと最初で最後になるであろう

二人で過ごすクリスマスを楽しむ予定。


部屋にツリーを用意してもらって、

お互いちょっとドレスアップして。


αに特定の彼女がいないことを、皆不思議がる。

見た目も悪くない。センスだってとってもいい。

それなのに、とっかえひっかえ、ブラブラ遊んでるだけ。

たまにできたとしても、長続きしているのを見たことがない。


何が原因?

αがバツイチだから?


ちがう、バツイチだからじゃなくって

本気で恋愛するのを面倒がるから。

本気で人を好きになることが、もう面倒になってしまっているから。


二言目には「面倒だねぇ」と言う。

面倒だと思われてまで、彼の財布を期待している女達は

彼についてかないだろう。


それこそ、人を傷つけているのでは?

と私は思ったりする。

私の事ばかり言ってられないんじゃないの?と。


まあいい、私は面倒な女ではない。

何も求めないし、期待しない。

面倒をみてもらうくらいならこんな事はしない。