私の未来を予言する彼女と共通の友人に、αとの事を話してみた。

大喜びとはもちろんいかないものの、

私が最近綺麗になったと褒めてくれた。

私はもっと、大切にしてもらってもいい人だとも言ってくれた。

ただ、離婚は考えないほうが良いと。


αはきっと大切にしてくれるだろう。

あくまでそれは、私の憶測にすぎないけれど。

彼女達は、私がαの肩書きに恋をしていると言う。

そうなのだろうか?

熱病に掛かった私は、冷静に自分さえも見ることが出来なくなっているの?

一年経てば、頭も冷えるでしょうと彼女達は笑っている。


私と旦那の価値観の違いは明らかだけれど、彼はもう恋人では無いけれど、

それとこれとは別に考えていたほうがよさそう。後悔しないためにも。


元旦、友人に私達の事を話したとαに伝えた。

それから暫く。メールが届く。

「他人に知られた知られた以上、もう会わないほうがいいんじゃないの?」

そういわれてしまうと、もう私から何も言えない。

そうだよね、今までありがとう。

案外速くに振られたな・・・

泣くとかそういった気持ちではなく、なんだかぼんやりしてしまった。

今まで、ろくな恋愛はしてないけれど、振られたことなど無かった。

ちゃんと振られたのはこれがはじめてかも。

「捨てないで!」

なんて、口が裂けても言えない(笑)

そんな身分ではないし、そもそも性格的にありえない。

ダメと否定されれば、あっさり引き下がる。どんなに好きでも。

一緒にいられないことよりも、嫌われることのほうがキツイ。


リスクのある関係に無理をさせるわけにはいかない。

でも、会いたいと言う彼の気持ちが混乱しているのがわかる。

結局、友人の協力で部屋を抜け出しαへ会いに行く。


「もう、どうしたらいいのかわからない。」

一緒にいたくても、今の私には帰らなくてはならない場所がある。

αだって、私と同じように辛いんだ。

いや、私以上にきっと辛いんだろう。

普通自分の友人の妻とのこんな関係を、平気ではいられない。

私を愛しいと思ってくれる気持ちと、友人を大切に思う気持ちと。

全ては私が悪いのは、わかっているけれど。


子供じゃあるまいし、自分達の気持ちだけで動くわけにもいかない。

家族や、友人、様々な環境が影響してくる。

私達のこの関係は、そのハードルを乗り越えられていくほど

強く繋がった関係なのかさえも、保障など無い。


子供を寝かせて自宅のマンションの屋上で

旧友に言われた一言を告げてみた。

一年持たないんだって、あたしたち。

αは笑っていたけど、私にとってとても現実的で悲しいお話。

思わず、泣いてしまった。


そのことにαはちょっと驚いていた。

「もっと、勝気な女性だと思っていたよ。」

やさしくキスをしてれる彼に、危険な賭けをさせている罪悪感。

「これは言っちゃいけないと思っていたのに・・・。俺だって好きだよ」

こんなはずじゃなかったのに。


αは私に心を許さないと、ずっと思っていたのに

少しずつ、彼の中身を知っていくうちに

あたしの考え方もどんどんかわっていく。


SEXすると情が移るからいやだとαは言う。

その気持ちがさっぱりあたしわわからない。

情が移っているからSEXしたんじゃないの?


「最終的に結局傷つくのは僕だと思うよ」

あたしには家庭がある。

彼には、何も無い。さみしくたっていつでも会えない。

「その人が一年だというなら、一年様子をみてみよう。

そうすれば、一年後に君が僕から気持ちが離れているのは確実だから。

僕はつまらない男だし、そんな魅力は無い。」


まだまだ、好きな比率は私の方が大きい

でももう一方通行ではない。

やさしく髪をなでられると、この上ない幸せを感じる。


正直、週一で密会できているのも年末の忙殺期にまぎれての事。

それも、そろそろ限界に来ている。

これ以上無理をして会おうとすればきっとどこかでボロがでる。


そうなってしまえば、いいのにと思う反面

一年しか持たないと言う彼女の言葉が脳裏をよぎる。

私は彼との一年に、今の自分の全てをかけることは出来ない。


次に会えるのはいつ?

見かけるだけでもいい。すれ違うだけでもいいのに。

久しぶりに会った旧友に、

「あんた、好きな男いるでしょう。旦那以外に」

と、開口一番にそういわれた。

その人は、一般で言う特殊能力の持ち主で

私の身の回りに起こっている事は大体検討がつくらしい。

「そんで、また別にあんたの事を好きな男がいるわね、旦那以外で。見当付くでしょ」

いままでにも、この人に驚かされることは度々あったけれど、正直どこかに猜疑心も抱えていた。

でも、今回ほど具体的に指摘されると、もう疑いようが無い。


「隠したって無駄だろうから正直に言うけど、大好きなの。

望まれるのなら離婚してもいいと思ってる。」

そうすると彼女は、私がαからもらった指輪に触れて暫く黙った。


「やめときなさい。持って一年。その一年の為に失う物が大きすぎるわ。」


わかっていても、ショックだった。でも誰かにそう言ってもらいたかったのかもしれない。

相手も私を想ってくれてはいるが、彼は自分の寂しさを埋める為なんだと。

αよりも、はるかに旦那の方が私を大切に考えているらしい。

でも想ってくれているというだけで、正直嬉しい。


αを選んだ私が、一年後に絶望と後悔に苛まれる姿を彼女は見ていたのかもしれない。


今はお互い、手の届かないものをつかもうと、頑張っているから

こういった気持ちになるけれど、冷静に考えてみるとあっけなく冷めてしまうから。

そういわれると、そんな気もする。

今は、自ら冷静にならないようにしているのかもしれない。

人を好きでいる気持ちをもう少し堪能していたい。禁断の恋愛ゴッコを楽しみたいのだ。


「あたし的には、旦那以外に貴方を想ってくれている人のほうがオススメだわ。」

βの事だ。

「その人、あんたの旦那よりあんたを想ってくれてるわよ。どうすんの。」

そんな事をいわれても、そもそも私にそんなつもりが無い。


「βとあんたができちゃったら、大騒ぎになるわね」

そういって、面白そうに私の顔を覗き込んで笑った。

この人は、不倫がダメだと言う偽善でαとの事を反対しているのではない。

本当に私の事を考えて反対してくれているんだ。

案外βとだったら、二つの家庭を壊してでも

いいんじゃない?と賛成してくれるのかもしれない。

あ、βだって言ってないのにそんな事もお見通しなのね(笑)


あれから、一度も会っていない。

一度食事に行こうとスケジュールをあわせたけれど、

年末のゴタゴタで仕事が押して、結局会えなかった。

空いたスケジュールを埋める為、友達を誘って食事をしていたら

会えなかったお詫びにと、ワインを届けてくれた。

そういう、繊細なところがとても好き。