久しぶりに会った旧友に、

「あんた、好きな男いるでしょう。旦那以外に」

と、開口一番にそういわれた。

その人は、一般で言う特殊能力の持ち主で

私の身の回りに起こっている事は大体検討がつくらしい。

「そんで、また別にあんたの事を好きな男がいるわね、旦那以外で。見当付くでしょ」

いままでにも、この人に驚かされることは度々あったけれど、正直どこかに猜疑心も抱えていた。

でも、今回ほど具体的に指摘されると、もう疑いようが無い。


「隠したって無駄だろうから正直に言うけど、大好きなの。

望まれるのなら離婚してもいいと思ってる。」

そうすると彼女は、私がαからもらった指輪に触れて暫く黙った。


「やめときなさい。持って一年。その一年の為に失う物が大きすぎるわ。」


わかっていても、ショックだった。でも誰かにそう言ってもらいたかったのかもしれない。

相手も私を想ってくれてはいるが、彼は自分の寂しさを埋める為なんだと。

αよりも、はるかに旦那の方が私を大切に考えているらしい。

でも想ってくれているというだけで、正直嬉しい。


αを選んだ私が、一年後に絶望と後悔に苛まれる姿を彼女は見ていたのかもしれない。


今はお互い、手の届かないものをつかもうと、頑張っているから

こういった気持ちになるけれど、冷静に考えてみるとあっけなく冷めてしまうから。

そういわれると、そんな気もする。

今は、自ら冷静にならないようにしているのかもしれない。

人を好きでいる気持ちをもう少し堪能していたい。禁断の恋愛ゴッコを楽しみたいのだ。


「あたし的には、旦那以外に貴方を想ってくれている人のほうがオススメだわ。」

βの事だ。

「その人、あんたの旦那よりあんたを想ってくれてるわよ。どうすんの。」

そんな事をいわれても、そもそも私にそんなつもりが無い。


「βとあんたができちゃったら、大騒ぎになるわね」

そういって、面白そうに私の顔を覗き込んで笑った。

この人は、不倫がダメだと言う偽善でαとの事を反対しているのではない。

本当に私の事を考えて反対してくれているんだ。

案外βとだったら、二つの家庭を壊してでも

いいんじゃない?と賛成してくれるのかもしれない。

あ、βだって言ってないのにそんな事もお見通しなのね(笑)


あれから、一度も会っていない。

一度食事に行こうとスケジュールをあわせたけれど、

年末のゴタゴタで仕事が押して、結局会えなかった。

空いたスケジュールを埋める為、友達を誘って食事をしていたら

会えなかったお詫びにと、ワインを届けてくれた。

そういう、繊細なところがとても好き。