虫けら屋の「ちょっと虫採り行ってくる!」 -5ページ目

突然ですが、

うち、子供が二人いてどちらも女の子なんですが、

下の子が今年、年少さんです。

 

で、その子(3歳・女子)が4月誕生日なので、

「誕生日プレゼント、何が欲しいの?」

って聞いたワケです。

 

そしたら、

最初は「おもちゃ!」とか言ってたんですが、

じゃあ具体的にどんなおもちゃが良いかとか色々聞いてたら、

 

 

突然、

 

 

子「ひょうほんつくる、しろいだいのやつ!」

 

俺「ペフ板!?

 

 

こちらがビックリしてたら、更に続けて、

 

子「あと、みずいろのも!」

 

俺「スタイロフォーム!?

 

 

幼稚園女児が4歳の誕生日プレゼントの希望に

ペフ板とスタイロフォーム…

 

幼稚園女児が4歳の誕生日プレゼントの希望に

ペフ板とスタイロフォーム……

 

幼稚園女児が4歳の誕生日プレゼントの希望に

ペフ板とスタイロフォーム…………

 

 

希望に応えてあげるべきなのか、甚だ困惑し、悩んでおります。

標本教室で教えたりしていても感じるのですが、

昆虫標本を作るというのは、なかなか難しいと思われがちです。

 

 

昆虫標本を作るには、専門的な知識と技術が必要で、

小学生が夏休みの宿題で作るようなものとは全くの別モノ…

 

 

 

…ではありません。

 

 

 

実は、

昆虫標本…特に子供も大好きなカブトムシやクワガタムシなどの標本は、

きちんと知れば小学生でも作れます。

 

実際、私がやっている標本教室も、

小学生から参加できますし、

全員標本を作っています。

(※小学校3~4年生ぐらいまでは保護者同伴でお願いしてますが)

 

そして、

きちんと作った標本というのは、

小学生が作ったものでも、

素人が作ったものでも、

学者(研究者)が作ったものでも、

同じ科学的価値があります

 

言い換えれば、

学者が研究に使えるちゃんとした標本を、

小学生でも作れる のです。

 

以前に当ブログの記事でも標本の作り方の概要を

書いたことがありますが(→リンク:標本ってどう作るの?)、

私が標本教室で教えているのも、そういった

プロの研究者もやっている基本中の基本の作り方です。

 

 

そして、わたし自身、いわゆる昆虫学者(研究者)ではありません。

 

 

しかし、

私が採集して標本にした虫が

研究者の役に立ったことが何度もあります。

 

更に、

実はその標本を基に新亜種(→リンク:亜種とは)として

名前が付いたこともあります。

 

それがコレ。

 

 

ケブカコフキコガネ 奄美群島亜種

学名が Tricholontha papagena inouei

亜種小名が「inouei」。
そして虫けら屋は本名名字を「井上」と言います。

…ええ、はい。
私の名前が付いています。

 

ケブカコフキコガネ奄美群島亜種については

また別の機会に詳しく書きたいと思いますので

今回は省略しますが、

 

こんなふうに学者以外の人が採集して標本にしたモノから

新種や新亜種が見つかることもあり、

 

また、そこまでいかなくても、

アマチュアが作った標本が学者の研究の役に立った

なんてコトは珍しくありません

 

ただし、

そのためには、

きちんとした作り方を知る必要があります。

 

ヘンな市販キットや、適当な独学での作り方では

研究に使える標本にならなくなってしまいます。

 

せっかく採集して、標本として遺そうと思ったのに、

ヘンな作り方をしてしまうと一年~数年で腐って

ダメになってしまっては勿体ないですよね。

 

本来、標本というのは

きちんと保管すれば

何年でも、

何十年でも、

あるいは百年単位でも、

半永久的に遺せるものです。

 

遺せるから、

後から調べたり古いものと比較して研究したり、

あるいは

思い出として遺したり、

コレクションすることもできるのです。

 

 

 

…沼ですけどね。

 

 

 

…コホン。

 

 

昆虫採集、そして標本の世界のいうのは、

プロ(学者)とアマチュアの境界が低く、

趣味が研究の世界にそのまま地続きで繋がるという

面白い一面があります。

 

標本が研究の役に立つだけでなく、

サラリーマンをしながら自ら研究して

学会発表しているような人もいたりします。

 

 

そして、

それらの第一歩は、

小学生でも、素人でも作れる

きちんとした標本作り からなのです。

先日、イベントに出るということでご紹介した多摩六都科学館で、3月25日から春の特別企画展、

 

昆虫細密画の世界~中西章作品展~

 

…が開催されます。

近年では昆虫図鑑も実物の写真中心となりましたが、かつては精緻なイラストで描かれたものがメインの図鑑も多くありました。

そういったイラストを手掛けていた方の作品展になります。

 

リンク:昆虫細密画の世界~中西章作品展~―イベント詳細|多摩六都科学館 (tamarokuto.or.jp)

 

開催期間:2023年3月25日(土)~5月7日(日)
 ※4/10~13・17・24、5/1・2は休館
 ※4/14・18~21・25~28は閉場

開催時間:9:30~17:00
開催場所:多摩六都科学館内イベントホール

 

 

体の細部のつくりまで徹底した観察に基づいた昆虫細密画。
昆虫たちの表情や生態を細かに捉え臨場感あふれる姿を描いた サイエンスイラストレーター 中西章氏の作品をお楽しみください。
 

協力:中西 章、むさしの自然史研究会、株式会社Gakkenほか

 

対象 : どなたでも
定員 : なし  ※会場の混雑状況によって入室を制限する場合があります
参加費 : 入館料のみ
参加方法 : 当日開催時間中、直接会場にお越しください(自由参加)

 

 

…今回は別に私自身がどうこうというのはありませんが、

自分がちょいちょいお仕事をしている多摩六都科学館での

昆虫系企画展ということで、ご紹介しました。

 

あと、

先日のミニ昆虫展で展示していたジオラマ標本のうちの一部を

物販コーナーに置かせてもらっています。

よろしければ、観覧ついでに覗いてみて頂けたらと思います。

 

 

今回はちょっと小難しい話になりますが、

採集に関わる重要な事なので書いておこうかと。

 

時々、

「国立公園は昆虫採集禁止」なんて話を見聞きする事がありますが、

これは本当でしょうか?

 

…先に答えから言ってしまえば、実はNOです。


昆虫採集が禁止されているのは

国立公園の中でも特別保護地区のみ であり、

それ以外の地域では基本的には昆虫採集は禁止されていません。

 

大事な事なのでもう一度言います。

 

国立公園内で昆虫採集自体が禁止されているのは

特別保護地区だけで、

それ以外は基本的には採集できます。

(※ただし、それ以外の条例などで禁止されている場合もあるので、注意が必要)

 

 

…で、今回はそのことについて法律に触れながら

解説していきたいと思いますので、

興味のある方はぜひご一読を。



日本の国立公園は「自然公園法」という法律に基いています。
当初は「国立公園法」という法律がありましたが、

この法律は1957年(昭和32年)に

現在の「自然公園法」制定に伴い廃止されました。
そんなワケで、国立公園に関わる現行法は「自然公園法」になります。

自分も自然公園法全般について語れるほど詳しいワケではないので、

ここでは「昆虫採集の可否」に関する部分に焦点を絞っていきましょう。

国立公園は、

その中を更にいくつかの地種区分に分類されています。
 

まず大きく「特別地域」と「普通地域」に大別され、

特別地域はその中で更に

特別保護地区

第一種特別地域

第二種特別地域

第三種特別地域

…の4つに分類されます。

つまり、こういうこと↓↓↓

(1)特別地域
  1.特別保護地区
  2.第一種特別地域
  3.第二種特別地域
  4.第三種特別地域
(2)普通地域
  1.普通地域

この中で、昆虫採集が一切禁止されているのは特別保護地区のみになります。
 

自然公園法で言うと、

第二章 国立公園及び国定公園
第四節 保護及び利用
第二十一条
3
特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。

 

…の行為として挙げられている中の

九  動物を捕獲し、若しくは殺傷し、

又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。

になります。
 

ここでいう動物は脊椎動物だけでなく

無脊椎など全ての動物が含まれるため、

昆虫もその中に入るということになります。
 

つまり、

国立公園の特別保護地区内で採集しようと思ったら

環境大臣の許可が必要という事であり、

黙って採集すれば当然法律違反という事になります。

ちなみに

第一種特別地域以下の特別地域についてはこの条文はなく、

基本的には採集は禁止されていません。
 

「ここは国立公園なんだから昆虫採集は禁止だ!」

なんて仰る方がたまにいますが、

これは間違いという事になります。


…ただし、

第二章 国立公園及び国定公園
第四節 保護及び利用
第二十条
3
特別地域(特別保護地区を除く。以下この条において同じ。)内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。


…の行為内に、

十三  山岳に生息する動物その他の動物で

環境大臣が指定するものを捕獲し、

若しくは殺傷し、又は当該動物の卵を採取し、

若しくは損傷すること。

という一文があり、

環境大臣によって指定された種については

特別保護地区外の特別地域でも採集できません。
 

つまり、基本的には禁止されていないものの、

何でもかんでも採って良いというワケではないという事です。

まぁそんなワケで、

国立公園内において昆虫採集全般が禁止されているのは

特別保護地区内のみという事になるワケです………

 

…が、しかし。
 

だからと言って辺り構わず無茶な採集をすれば

当然他の方からの反感を買い、

場合によっては他の法律や条例等で採集を禁止されてしまう事も

考えられますので、法で許されているからと言って無茶はいけません。
 

特に離島などの限られた地域の場合、

島民の反感を買えば簡単に採集禁止にされてしまいます。
御蔵島やトカラ列島が良い例ですね。
あれらの島の採集禁止は、完全に採集者の無茶が原因です。

また、昆虫採集は禁止でなくても、

木竹の伐採は第一種特別地域以下の特別地域でも禁止されていますので、

木を切るような無茶をすればそこで法律に抵触しますし、

 

そこまででなくてもゼフィルスの採卵で新芽を取ったり、

トラップ設置や採集で植物を傷付けたりすれば、

それが指定植物だった場合には、

禁止項目「指定植物の損傷」に抵触する事になってしまいます。
 

更に、

土中に生息するような虫の場合、餌として土を持って帰ると、

これが「特別地域での土石を採取禁止」に抵触する可能性も

十分に考えられます。
 

例えば、

八重山にはチャイロマルバネクワガタなんてクワガタがいますが、

石垣島の主だった山のほとんど(バンナ岳・前勢岳を除く)は

特別地域(特保~第三種まで色々)に指定されており、

幼虫持ち帰り用に現地の山の土を持って帰ると、

昆虫採集は良くても土石の採取として法に抵触する可能性が

出てくるワケです。

とどのつまり、

特別保護地区以外の特別地域では、

昆虫採集自体は良くても、

採集の過程で植物を傷付けたり土砂を採取したりすれば、

それによって法に抵触する可能性が出てくるという事です。


…そういった事を踏まえ、

特別保護地区以外は採集禁止ではないと言っても無茶はせず、

気を付けて他の利用者と共存しながら楽しく採集を続けましょ、と。

法律全般を読んでみたい方は、以下のリンクをどうぞ。

<リンク>自然公園法


…あ、ちなみに。


特別保護地区内での無許可禁止事項には

二 木竹を損傷すること。

七 木竹以外の植物を採取し、

  若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。

 

…という一文もあり、

つまり生えている植物の採取は勿論のこと

種子(どんぐり等)落ち葉一枚(モミジなど)

拾って帰ることさえ許されていません
 

特別保護地区外でドングリ拾いやモミジ拾いをしながら

「国立公園は虫採り禁止でしょ」とか文句を言う人には、

「ここが昆虫採集禁止なら、モミジ拾いだって禁止のハズですよね?」

とハッキリ言い返すことができます。


…まぁ、だからって逆手に取ってケンカする必要はないですけどね(笑)

春の杉林と言えば、花粉をバカスカまき散らす、

花粉症の人にとっては迷惑この上ない林である。
 

かくいう私も花粉症持ちで、

目は痒くなるし鼻水は出るし、くしゃみも出るし。

しかし、

そんな春の杉林の中で活動しているカミキリムシがいる。
その名も、スギカミキリ

黒い体に黄色い斑紋をつけたカミキリムシで、

やや平べったい。
 

桜の咲く頃にだけ現れるカミキリムシで、

名の示す通りスギの木を食害する害虫である。

夜行性で、昼間はスギの樹皮下に隠れて休み、

日が暮れて林が暗くなると動き出す。
夜間に木の幹を這い回り、出遭って交尾する。

ちなみに、

このカミキリムシの幼虫が食い入ると

スギ材の品質が下がってしまうため林業家には嫌われている。
 

ではスギの害虫だから花粉症には救世主かと思いきや、

実はこのカミキリはスギを弱らせはするものの

そうそう枯らさない。
 

そしてスギは、

健全な状態より少し弱っている方が子孫を残そうとするのか

花粉をより多く飛ばす…という話もある。
 

花粉症の人にとっても害虫じゃねーか

虫が次々と姿を見せ始める時期とは言え、

まだ採集したくなる虫も少なく、

 

そこそこの大きさがある甲虫なので

是非に狙いたくなる虫なのだが、

一方でなんとも難儀な虫である。

…ちなみにこの虫、

いる場所さえ見つければ

夜に行けば比較的発見しやすいカミキリで、

夜行性が強いため夜に探した方が確実に効率が良い…

 

…のは良いのだが、

春とはいえまだ夜は気温も下がるので長袖長ズボン

花粉症だとマスクをしてに、懐中電灯を持って森に入り込む姿は、

見つかれば「ちょっと君、何してるの?」

お巡りさんに 職務質問 されても仕方がないレベル

 

狙う際には、気を付けたい。