虫けら屋の「ちょっと虫採り行ってくる!」 -6ページ目

写真の8頭は、まるでCGか、さもなくば

東南アジアあたりのハナムグリを数種並べたかのようですが、

実は全て普通の カナブン です。
 

それも、全部普通の本土産。

カナブンと言えば、

本土の雑木林で樹液採集をするとシロテンハナムグリと並んで

いくらでも見つかる 超 の付くド普通種
 

クワガタ探してウロや樹皮めくれを覗きたいのに、

そこに頭を突っ込んで樹液を吸っているものだから、
「オマエら邪魔ッ!」
とか言いながらポイポイ投げ捨ててしまうような虫で、

 

投げると地面に落ちずにブーンと上手に飛んでいく

 

ぐらいのイメージしかない。
まぁ色にしたって黄褐色かせいぜい緑色ぐらい…

…と思われがちだが、だがしかし。

今回の8頭は青やら赤やら茶色やら、どれも素敵な色変わり。
 

…そう、実はカナブンは、

シロテンハナムグリと並んでハナムグリの仲間の中では

色彩変異が非常に大きい種なのです。

ただ、これらの変異個体というのは

何処でも同じ確率で見られるかというとそうでもなく、

 

どうも“色変わりが出やすい地域”というのが確実にあるようで、

普通カラーしか見られないような地域では、

特殊なカラーの個体というのはほとんど見られません。
 

一方で、

特定の地域ではそこそこの色変わりがポツポツと採れる、という感じ。

虫けら屋も個人的にカナブンの色彩変異をコレクションしていますが、

中でもお気に入りがこの3頭


左から、青・茶色・黒。

ナミカナブンのカラーバリエーションで揃えた、

青カナブン茶色カナブンカナブン
 

 

……。

 

 

…えーと、ご説明しますとですね、

 

実は日本には今回のカナブン(ナミカナブン)とは別に

アオカナブン・チャイロカナブン・クロカナブンという種が

それぞれおりまして、

その名前を冠せるカラーのナミカナブンが揃っているという…

 

要するに ネタ です、はい (^^;

 


…ちなみに、

これだけ馴染みのある虫なのだから

生態もほとんどが解明されているのかと思いきや、

 

幼虫がクズ群落に多く見られるという事が分かったのが

比較的最近のことだったりと、

実は意外と分かっていない虫だったりもします。


…さて、これだけ並べてみると、

ただのカナブンなのに実に壮観ではありませんか?
 

ほらほら、ちょっと集めてみたくなったりしませんか????

先週末は多摩六都科学館での市民感謝デーで、

ミニ昆虫展の解説員をしておりました。

 

また、日曜日の15時半からはYoutubeでの配信もあり、

そこにも出演しておりましたが、

観てくださった方もいますでしょうか?

 

…まぁ、ぶっつけ本番だったのと、

カメラ相手に喋るというのは慣れないのもあって

テンパッたりもしてしまいましたが(^^;

 

多摩六都科学館の公式Youtubeチャンネルで

アーカイブも上がったようなので、よろしければご覧下さいませ。

 ↓↓↓

【たまろくと市民感謝デー】オンライン ミニ昆虫展「おうちで昆虫展」 - YouTube

 

その関連で、ミニ昆虫展で展示していたジオラマ標本の一部を

科学館で販売させて頂くことになりました。

下の写真は、展示していたジオラマ標本たちです。

 

 

…と、ご報告はこの辺にしまして、さて。

 

今回はちょっとした豆知識的な話。

 

先日の記事で昆虫針を紹介しましたが、

虫のサイズに合わせて針の号数を色々使っていると、

 

「あれ?この出しっぱなしの針、何号だったか?」

 

…ってなるコトがありますよね。

 

…え? 無い?

 

いやいやいや、私、ちょいちょいありますよ?

 

 

…。

 

 

……。

 

 

…で、まぁ、

そういう何号か分からくなっちゃった針ですが、

そんな時に私が号数を判別する方法をご紹介します。

 

 

親指と人差し指で針の頭を摘まみ、中指で弾く。

 

細いので見た目だけでは判別しにくい昆虫針ですが、

指で弾いてみるとコシの強さがだいぶ違います。

 

私の場合は2号針を最もよく使うので、

その「2号針の弾いたコシの強さ」を基準に判別しています。

 

 

…ただ、

この方法だと4号以上の太い針は太過ぎてほとんどしならず、

弾けないので判別は難しくなります。

なので、判別できるのは3号以下の細い針ということになります。

 

また、尖った針先を弾くため、どうしても指の腹を引っ搔くことになり、

何度もやっていると指先がヒリヒリになってしまいます。

 

その辺りのデメリットはありますが、

転がってた1~2本を判別したい時なんかには

けっこう便利な方法だと思っていますので、

もしよろしければお試し下され。

 

 

※やり方を動画で見てみたいという方向けに、

Youtubeチャンネルにも動画でUPしました。

よろしければご覧ください。

 ↓↓↓

(1) 昆虫針の号数判別方法 - YouTube

「アマミノコギリクワガタの亜種」とか「ヘラクレスオオカブトの亜種」とか、昆虫趣味の世界で「亜種(あしゅ)という言葉をたびたび目にします。

では、この「亜種」とは何でしょうか?

ごく大雑把に言えば、

別種にする程ではないが、明らかに区別できる地域個体群

…という事になります。
 

ちょっと小難しい話になってしまうのですが、

「亜種って何なのかよく分からない…」という方も多いので、

できるだけ噛み砕いて書いてみたいと思います。

 

リュウキュウツヤハナムグリという種類の

ハナムグリ(カナブンやシロテンハナムグリの仲間)を例に挙げて説明すると、

上の画像の虫はどれもリュウキュウツヤハナムグリ(Protaetia pryeri

という種類のハナムグリですが、

 

・上2頭は沖縄周辺にいるもの

・左下2頭は奄美大島周辺にいるもの

・右下はトカラ列島の中之島周辺にいるもの

                     …です。

 

大きさ、体形、色合い、光沢、模様などかなり違っていて、

それぞれ区別することができます。

 

そこで、

 

「同じリュウキュウツヤハナムグリだけど、

沖縄のものと奄美のものと中之島のものは、

それぞれ明らかに区別ができる」

 

という事で、奄美と中之島のものはそれぞれ別の亜種になります。


某仮○ライダーのせいで「亜種」という言葉が

かなり間違って浸透したように思っているのですが、

亜種とは、個々の色違いや形違いの事ではありません

 

あくまで地域個体群として区別できる(その地域で採れる

多くの個体が同じような特徴を持っていて、他から区別できる)

ものを言います。
 

そのため、たとえば同じ地域で赤いノコギリクワガタと

黒っぽいノコギリクワガタが採れたからと言って、

亜種にはなりません。
 

たまたまちょっと形が違うノコギリクワガタが1頭採れたから

と言っても亜種にはなりません。


亜種に学名を付ける際は属名・種小名の後に

更に亜種小名というものを書きます(→学名)。
 

先程のリュウキュウツヤハナムグリを例に挙げるなら、

リュウキュウツヤハナムグリ:Protaetia pryeri
 基亜種:Protaetia pryeri pryeri
 中之島亜種:Protaetia pryeri tsutsuii

 奄美亜種:Protaetia pryeri oshimana

…という具合。
最後の tsutsuii や oshimana が亜種小名。
 

また、亜種が見つかった場合、

最初に記載された地域のものと同じグループを基亜種(原名亜種)と呼び、

新たに違いが見つかった地域のものに新しい亜種名を付けます。

今回の場合は、沖縄のものが一番最初に名前が付いているので基亜種になります。

 

…ちなみに、

亜種というのはあくまで同種内のものですから、

基本的には交尾して子供を作ることが可能です。
 

ですので、

例えば本州のヒラタクワガタと奄美のヒラタクワガタを

一つの容器に入れておけば簡単に交尾して亜種間交雑が起きてしまいます。


…更にちなみに、

種と亜種の明確な基準はなく、

研究する人によって違った意見がある事もあります。
 

例えば八丈島にいるハチジョウノコギリクワガタは、

現在は本土のノコギリクワガタとは別種とされていますが、

記載された当初はノコギリクワガタの亜種としてでした。
 

また現在でも、人によっては

亜種程度の違いしかないと考えている人もいます。

更に、多少地域差があっても

亜種と認める程ではない場合「地域変異」とされますが、

これも人によって見解が異なっていて、

 

「亜種にするべきだ」「いや、そこまでの差は無い」と

人によって意見が食い違ったりします。

種とか亜種の考え方って、実は結構難しかったりします。

一気に気温が上がって暖かくなり、

先日のポイントに再度出撃したところ、

フチグロトゲエダシャクの♀(メス)が採れた。

 

このハネもないコロコロしたやつが、

フチグロトゲエダシャクの♀なのである。

 

♂の姿からは想像もつかない姿をしているが、これで立派な成虫。

 

フユシャクと呼ばれるグループの蛾は、

♀がハネがなかったり小さく退化したりしていて飛べない。

フチグロトゲエダシャクもそんなフユシャクの仲間のひとつなのだ。

 

 

…で、せっかく♀が採れたので、

やってみたかったコトにチャレンジすることにした。

 

 

♀トラップによる分布確認

 

 

地元でフッチーを採っている場所は毎年同じで、

いつもほぼ同じ川の土手の同じ辺りで場所で採集している。

 

つい確実な成果を求めてしまうからなのだが、

他の地点にもいるのか?

…は気にはなっていた。

 

そこで役に立つのが♀。

 

フチグロトゲエダシャクの♀は

こんな姿なので当然飛ぶことはできず、

ひたすら歩くだけだ。

 

その代わり、

フェロモンを飛ばして♂を呼び寄せて交尾する。

 

その威力はかなり高く、

枯草原を飛び回る一円玉サイズの♂が

♀のフェロモンを嗅ぎつけると何十メートルも先から飛んできて、

きっちり♀を見つける。

 

歩き回って探していてもポツポツしか見つからないのに、

♀を置いておくだけで2頭3頭と飛んでくるのだ。


要するに、

♀による誘引を利用すれば、

いるのなら高確率で飛んでくるということだ。

 

それなら、いるかどうか分からない場所でそれを利用すれば、

普通に探すより容易に確認ができるというワケ。

 

で、いつものポイントから離れ、川沿いに下ってみた。

…まぁ、離れると言っても同じ市内なので

せいぜい5~6km程度でしかないのだが。

 

…しかし、最近自転車に全く乗っていなかったので、

太ももがキツイ。痛い。

 

歩くのは仕事帰りに2駅歩いたりとかしているのでわりと平気なのだが、

自転車は使う筋肉が全く違う…

 

ヒィヒィ言いながらなんとかまずは1ヶ所目、時間は10時半前。

 

もう♂が飛んでいる時間だが、

予報に反して気温が今一つ上がりきっていない感じ。

だが、川沿いに何ヶ所かでやってみたいので、

とりあえず♀を取り出してやってみる。

仕掛けは簡単で、

百均のザル付きタッパーから中のザルを取り出して檻にしたもの。

 

♀は逃げられないが風は抜けるので、

フェロモンは風に乗って拡散するというワケだ。

 

♀を取り出すと、さっそくコーリングをしている様子。

ザル越しで分かりにくいが、

お尻の先からニュッと飛び出している棒みたいなところから

フェロモンを拡散させている。

 

人間にはまったく分からない匂いだが、

同種の♂には効果覿面(こうかてきめん)らしい。

 

ものの10分かそこらで早速♂が飛来した。

そこから5分ほどでまた1♂。

 

なるほど、これは確かにいるかどうか分からないポイントでの確認にはもってこいだ。

1~2度振り逃しながらもなんとか2♂採集して、更に進むことにする。

今回はガンガン採集というより、

いるかどうかの確認なので2♂も採れれば十分。

 

少し…と言っても1.5km程度だが、土手を進んで再び♀を取り出す。

…が、今度はなかなか飛んでこない。

 

20分ほど待ってようやくソレっぽいのが姿を見せるが、

そのまま通り過ぎて行ってしまった。

とは言え、飛んでくるならもう少し待てば…

 

…と思って待ってみたものの、1時間待っても次が飛んでこない。

いるにはいるが、かなり少ないということか?

 

たった1.5kmかそこらなのに、ずいぶん違うものだ。

 

更に先に進むと、少しずつ環境が変わってくる。

何度か試すものの、飛んでくる気配がない。

どうも一定以上先まで川を進むといなくなってしまう…?

 

太ももの痛みにヒィヒィ言いながら市境のギリギリまで行ってみたが、

残念ながら見られず。

時間も14時を過ぎて、ゴールデンタイムも終わってしまった。

 

…フチグロトゲエダシャクが最も活発に飛ぶのは昼前頃。

朝、気温が上がってくると飛び始め、

昼頃にピークを迎え、

13時を過ぎる頃にはあまり見られなくなってしまう。

 

場合によっては、

ネットで「昼を過ぎるとまったく見られなくなる」と

書かれていることもあるぐらいだが、個人的な感覚としては

昼を過ぎると数はかなり減るが、♀がフェロモンさえ飛ばせば

3時ぐらいまではポツポツとは飛ぶ」。

 

…なので、

14時過ぎともなると個体数の多い場所ならまだ見られるが、

いるかどうかも分からない、薄い場所だと厳しいか…と

引き上げることにした。

 

土手の道を自転車で戻っていくと、

午前中最初にやったポイントを越えて更に戻ったあたり、

白っぽいのが飛んだのが目に入った。

 

今シーズンも何頭も見て、今日も2頭見ているのですぐに

「フッチーまだ飛んでるやん!」

と気付く。

 

時刻は既に14時半を過ぎている。

 

でも、どうせなら…と♀トラップを出してみたところ、

 

ものの5分で2♂が飛来。

 

普通に飛んできたな、おい。

 

…結局、

川沿いに何ヶ所かやってみて、先の方に行くとフッチーは見られなかった。

まぁ1回だけの調査なので絶対とは言えないものの、

あっちの方はいないそうだな~…ぐらいの結果は得られた。

 

市境を越えて更に行ったら、また見つかる場所もあるのかもしれない。

ただ、自分は地元市での調査(モドキ)のつもりなので、

市を越えてまでの調査は今のところ考えていない。

 

昆虫採集は、

「いる場所に行って採る」も楽しいのだが、

余裕があるなら「いるかどうかを調べる」など、

チャレンジしてみることもまた面白い。

 

チャレンジはボーズ(成果ゼロ)になることもあるが、

興味深い結果が得られることもあるし、

思わぬ良いポイントを見つけて想定以外の嬉しい成果に繋がることもある。

 

虫採りに興味がある方は、

ぜひこういう チャレンジ もしてみると、

もっと楽しくなると思う。

(※前回の昆虫針紹介記事はこちら→【昆虫針】)。
 

…ということで、今回は
なぜ標本に針を刺すのか?
というお話。


普段から当たり前のように標本を扱っている人からすれば
標本に針を刺すというのは当然のことなのですが、
そうでない方からすると、かなりの “壁” のようで、
「針を刺さないで標本にしたい」という意見を時々見かけます。
 

針を刺すという行為が非常に残酷に思え、
どうしても抵抗があるとか。


では、なぜ標本に針を刺すのでしょうか?


昆虫標本というのは、

元々ただ作って飾っておくためのものではなく、

調べて、研究するためのものです。

 

それは今でも同じで、

例えばその虫を種類を調べたいと思ったときに、

様々な部分を調べる必要 があり、

虫の裏側(腹面)を見る必要があることも珍しくありません。

 

しかし、乾燥した虫の標本は壊れやすく、

細い足先や触角は簡単に折れてしまいますし、

チョウのハネなどはすぐに破れてしまいます。

 

そんな時、標本に刺してある針を摘まめば、

虫自体には一切手を触れずに好きな角度から観察することができるのです。


 

しかし、もし標本に針を刺していない場合、

虫自体を掴んで動かさなくてはいけません。

 

そうなると、先程も書いたとおり、

掴んだ拍子に脚が折れてしまったり、
チョウなど鱗粉はすぐ剥がれてしまいますし、
翅も簡単に破れてしまいます。

ちょっと移動させるだけで、
クワガタのフ節(脚の先)だって折れてしまうかもしれません。
 

…そう、

研究などで使う度・動かす度に
標本がボロボロになっていってしまう可能性が高い
のです。

しかし、
標本に針を刺せば、針を摘まむことで
虫に直接触れずに標本を扱うことができるようになり、
結果、標本を破損させる可能性がグンと下がるのです。



 

つまり、標本の針を刺すというのは、
決して残酷行為を楽しんでいるのではなく
標本を壊さずに観察する、大切にする ために行っているのです。

 

 


…さて、

「標本に針を刺すのは残酷だから、自分は刺さずに作る」という方、
標本を移動・観察したりする際の “破損の可能性” は考えておりますか?