2018. 12 NO.106 よるがお VS ひるがお
本ブログの初号は2011年7月(「オス と メス」)で、7年経つ。Wordで文章を作り、ブログに貼り付けたのだが、段落等体裁がどうしても整わなかった。内容も含めて忸怩たる思いだが、いまだにアクセスがある。ありがたくもあり恥ずかしくもある。高校の先輩で、毎年ノーベル賞候補に名前が挙がる作家村上春樹氏のことを載せているからかもしれない。
夫の不倫がテーマの2016年12月NO.66(「ふりん VS ふしん」)は芸能人が不倫し文春砲が火を噴けばアクセスがあるように思える。
歌謡曲の世界では、妻が不倫する内容の名曲が少なくない。この前意地を通して公演を中止し美学を貫いた沢田研二さんが「あなたは帰る家がある やさしくつつむ人がいる 指輪はずして愛し合う いけない女と呼ばせたくない」と歌うのは『LOVE(抱きしめたい)』。
私のカラオケの十八番でもある大川栄策さんの『さざんかの宿』は歌詞に「せめて朝まで 腕のなか 夢をみさせて くれますか」とあるが、夜に花開く不倫妻は朝には萎むなら、花に喩えれば夜顔(朝咲き昼には萎む朝顔の花言葉は「はかない恋」)。
その夜顔をタイトルとした谷村新司さんの名曲の最終節「見知らぬ人に抱かれながら 涙がほほをぬらす 悲しい仮面のその下で 怪しく燃えてゆく」は、男の理解を超えた女心の不可思議さを上手く表現している。まさに、1967年公開された洋画『昼顔』で大女優カトリーヌ・ドヌーヴさんが扮した、医師の夫に隠して娼婦に身を落としたヒロイン・セヴリーヌを思い起こす。
2014年7月~9月に放映された日本のTVドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』は上述の映画『昼顔』をオマージュして制作されたらしい。大ヒットしたこともあり、昨年映画化された。ダブル不倫の末引き裂かれたあとの3年後偶然再会し焼けぼっくりに火がつく話となっている。私は、ドラマは観なかったが、映画館には足を運んだ。その中で、黒澤あすかさん演じる、姉御肌の厨房スタッフ・絹江の「女は自分ができなかったこと(不倫)をする女が嫌い」というセリフが心に刺さった(女性国会議員・芸能人はとくに心すべき)。
昼顔が人気を博したのは、主人公の男優斉藤工さんの魅力もさることながら、主婦にとって現実の世界ではないからだ。一夫一婦制(後述の中野信子女史は農耕社会からとするが、NHKスペシャルでは400万年前の祖先の頃からとしている)における禁断の夢だからこそ上戸彩さん演じるヒロインに自身を投影させ叶わぬ夢を見ていると言えまいか。
動物のメスには、不倫しても罪悪感はない。限られた卵子の中で優秀な遺伝子を得る確率を考えれば特定のオスに限定しない方よい。不倫は合理的な行動となる。鳥の中には、メス鳥が不倫して他人の子供を亭主のオス鳥に面倒見させる鳥がいる。
鳥だけの話かと思っていたら人間社会でもそうらしい。『不倫』(文春新書)を書いた中野信子女史は、2人に1人は、不倫率を高める「不倫遺伝子」を持つ、と言う。
橘玲氏の『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)のP171では、イギリスの生物学者よれば、「平均すれば男性の10%が他人の子どもを自分の子どもと誤解して育てている」という。最低所得層に限ればその比率は3倍に上がるという。バレたときの妻の経済的損失が少ないからだ。
日本でも少し前男性芸能人が子供のDNA鑑定をして話題になったことは記憶に新しい。そう言えば、私が若い頃、40年くらい前だが、「結婚してすぐ子供ができ、その後ずっとできないなら誰の子か分からん」という市井の迷言を耳にしていた。
動物のメスは仔を生まなくなると早く死んでしまうことが多い。鮭などは何千キロと離れた海からにおいを頼りに故郷の川に戻り、産卵したら力尽きて死んでしまう。メスの役割とは子供を産むことなのか。女もそうだと言わんばかりの発言をしてある校長はクビになった。イギリスの生物学者が「生殖器官の機能を失っても持って生まれた寿命を引き延ばしている状態が生じている。更年期とは生殖年齢を過ぎても存命しているために起こる、用済み後のエラー作動」と酷い?ことを言っている(あろうことか、自民党杉田水脈女性議員は「子どもをつくらないLGBTは『生産性がない』」と『新潮45』に寄稿して炎上した)。
鮭ほどすぐ死なないマゼランペンギンは繁殖をしなくなっても老後を一緒に過ごし言わば偕老同穴するという。元祖おしどり夫婦の高嶋忠夫・寿美花代夫妻はペンギン夫婦と尊称すべきなのだ。鳥のオシドリは実際には冬が変る度に相手をとっ変えるらしい。
現に昨年おしどり夫婦と呼ばれた芸能人夫婦も不倫による夫婦関係の亀裂が相次ぎ報道された。今後も続けば、おしどり夫婦と呼ばれるのを光栄と思わなくなるかもしれない。
動物もつがいでいる意味は繁殖だけではないようだが、生殖年齢が過ぎて不倫するのは、人間の女だけだろう。生涯現役のような男と違い、女は、なぜ閉経後も不倫をするのであろうか。不倫遺伝子で説明がつくとも思えない。
快楽はなくならないのも大きいが、不倫する亭主に対する意趣がえしという動機もあろう。もっと能動的な動機としては尊敬する人に惹かれてしまうということか。この視点から言えば、我が高校の大先輩白洲次郎の妻で随筆家の白洲正子の朝帰りは興味深い。昨年末騒動となった50歳台の女優は文春砲に対しW不倫を否定するも(元外交官宮家邦彦氏によれば、越えない一線はないらしいが)、相手の男性を「尊敬している」と答えていた。
ゴージャスな羽を持つクジャクのオスを選ぶメスのようにメスはオスの見た目の良さに眼がいく。それは人間の女も同じ。さらに、ナチス高官夫人の書いた『ヒトラーをめぐる女性たち』(三修社)を読むと、青白く貧相なヒトラーをマクダとか女がほっとかない。権力が女を引き付ける磁石と分かるが、権力=強さと見れば、猿山のボス猿も同じだろう。
しかし、尊敬する、平たく言えば、頭が良い男を好きになるのは、女だけ。年齢は関係ない。そして、頭の良い女、高学歴な女ほどその傾向が強いという仮説が成り立つのでは。
「今でしょ!」で人気者になったカリスマ予備校講師で、東大法学部卒というブランドを持つ林修先生は、「高学歴の女性はほぼ100%落とせる」と豪語していた(TVで大言を吐いていたから独身時代の話だろう)。入れ喰い状態のダボハゼと同じではと私も感じていた。と言っても、私自身が良い思いをした訳ではない。銀行を辞めて社団法人に所属していたとき某有名女子大生にバイトに来てもらっていた時の話だ。歴代10数人の女子にお手伝いいただいた。賢く真面目で大いに助かったのだが、こういう女子群がいるのだと面食らったことも確かだ。大半が東大生の彼氏を見つけることが大学に入った目的なのかと思ってしまった(看護婦は、医師は総じてみな優秀で患者の命を救う姿を間近に見れば医師に惚れてしまっても不思議ではない。でも、そのために看護学校に入るわけではないだろう)。
その辺の事情は、東大運動部の同じマネジャーとして、東大生の彼氏をゲットしようする私大女子大生に煽られた東大法学部首席卒業の山口真由弁護士(元財務官僚で財務省問題にてTVのワイドショーに引っ張りだこになった)が詳しい。
「東大生といっても、東大からの人と東大までの人がいる」「男の価値はそれだけか」と言いたがりの私でも彼女らに言うのを躊躇した。東大出でない私が言っても聞く耳を持たないと思うからだ。東大出の某先生に聞くと「東大生ということだけで誰でもモテる。据え膳喰わぬはとの諺もある。だが、そんな早く結婚なんか考えていない。のちのち政治家、官僚、企業家からの閨閥につながる縁談もあろうからと思う人も多いのでは」と当時語っていた。彼女らの中には「それでもいい。青春のよき思い出」と割り切る女子もいた。
そんな青春の一ページを経て、彼女たちも、今は分相応の旦那と結婚し、旦那が思うほど出世しなくても、子供が期待するほど成績が上がらなくとも、それなりの幸せを感じ暮らしていることだろう。
ただ、中には考えが変っていない彼女もいるとするなら、お受験を迎えて子供も大変な思いをしているかもしれない。彼女が満足する結果が得られなければ、その彼女が離婚は考えないとしたら、採るべき行動は、ただ一つであろう。