2018.11 臨時号 NO.105 おんな VS おるな(1)
私は若い頃月刊誌は文藝春秋を読んでいた。最近は新潮社の週刊新潮(藤原正彦氏、高山正之氏のコラムを味読)と同様月刊の新潮45を愛読していた。年間購読していたこともある。
しかし、今年の2月号特集『「反安倍」につける薬』、同4月号特集『「朝日新聞」という病』(このテーマなら上述高山氏の右に出る者はない)あたりから「少し変わった? 産経化に拍車か?」と思い始めた。それからは、新潮45と文藝春秋の目次を見比べどちらかを購読するようにしていた。そして、とうとう、杉田水脈議員が「子どもをつくらないLGBTは『生産性がない』」と寄稿した8月号と10月号の杉田議員擁護特集で、金脈ならぬ水脈を掘り起こした新潮45は溺れ流され心肺停止になってしまった。
その2月号の『「反安倍」につける薬』で、若手(35歳)論客古谷経衡氏が寄稿した『「安倍嫌い」を解剖する』(私はデイリー新潮で内容把握)は「反安倍という病は、有権者の知的水準を一方的に低いままであると仮定している。」と文を結んでいる。反安倍の私は痛い所を突かれたと思った(他国に較べて日本の有権者の知的水準が低いとは思わない。ただ、大衆は、メディアに煽動され、ムードに流されやすく、時に大きな判断の誤りを犯す。小泉首相の郵政解散総選挙の時のように。戦前の大きな節目の折もそうだ)。
これ以外でも政治問題を勉強し始めた私にとって参考になることもあり、古谷氏の言説に注意を払っている。ビジュアルバンドメンバーと見間違う髪形から歳より若く見え独身と思ったが、共働きの妻と子供がいる。守るべきものがある中で、誰にも媚びず、あちこちでぶつかり(年賀状もずいぶん減ったと何かに書いていた)、一匹オオカミで生きていくのは大変だと思うが、その生き様は嫌いではない。ネトウヨを上げたり下げたり、右にいき左に寄れ、まだ安定飛行に入っていない感があるが、保守論客として大成してもらいたい。
古谷氏の新刊本(今年6月発刊)を一冊買った。印税100円程度ではエールを送ったことにもならないが。
その本のタイトルは、『女政治家の通信簿』(小学館新書)。TVで、現職の女性議員の醜聞だけではなく、元国会議員の、池坊保子相撲協会評議員会議長や谷岡郁子至学館大学学長を観ていて、ろくな女性議員しかいない。いい女性議員はいないものかと思っていたので、渡りに船と読んでみた。
採点基準に「政策力」「選挙力」「政治経験」「保守層支持」「ルックス」の5項目を挙げ、各5点満点(0.5点刻み)で採点し、レーダーチャートで表示する。「保守層支持」「ルックス」は読者の異論を想定し、前書きに彼なりの断りを入れているが、「保守層支持」は非自民の女性議員に不利になるので、いかがなものか。「ルックス」(「ビジュアル」の方がまだ抵抗は少ないと思うが)は政治家にとって女に限らずケネディとニクソンの大統領選以降重要なファクターであり項目として納得するが、客観的評価は難しい。採点に古谷氏の嗜好が色濃く反映し過ぎてはいないか。蓮舫議員5点満点、丸川珠代議員4.5点に対して(ファンではないが)稲田朋美議員2.0点。古谷氏はたぬき顔よりきつね顔が好きなのか。
本に登場した主な女性議員・元議員を採点合計の高い順に並べると、次のようになる。
野田聖子前総務大臣20.5点、扇千景元議員19.0点、田中真紀子元議員16.5点、小池百合子都知事16.0点、上川陽子前法務大臣15.5点、小渕優子議員15.5点、山谷えり子議員15.0点、中山恭子議員14.5点、蓮舫議員14.0 点、片山さつき地方創生担当大臣13.5点、丸川珠代議員13.5点、稲田朋美議員12.0点、三原じゆん子議員11.5点、今井絵理子議員8.5点、山尾志桜里議員8.0 点、杉田水脈議員8.0、豊田真由子前議員2.5点。
野田議員が最高点と最も評価が高い。その事由は、野田議員は女を売り物にしていない。男性に媚びを売らず、むしろ敵対姿勢。それでも潰されずしぶとく自民党内で生き残っているということ。そこを古谷氏は高く評価している。
野田議員は女性初の首相を狙っている。しかし、「まだ女性首相がいないから一度女性に首相を」と言うのは男女平等とは言えない。実力があれば男も女もだれでも首相になれるというのが男女平等の趣旨。野田議員の総裁選出馬の動きは、ローンを組んでマイボームを建てるのに頭金を友人たちに借りるようなものだ。貸す友人がいるか。いても、その人は真の友人と言えるのか?
20名の推薦人を集められず総裁選を断念にするに際し野田議員は安倍首相を支持した。石破氏支持に回るか棄権が筋なのに。女を下げた。首相の道はますます遠のいたと言える。
女性議員ならではの使命は、性差別で苦しめられる女性がいなくなる社会を創ること。女性首相の誕生はそれからでも遅くない。