2018. 6 増刊号 NO.97 くか VS  くか

  世紀の米朝首脳会談がいよいよ6/12にシンガポールで実現する見通しとなった。非核化で合意し朝鮮半島の平和の扉が開くか世界が固唾を呑んで見守ることになる。

 北朝鮮は、トランプ大統領との会談が実現すれば、会談内容の如何に拘らず、成功と言える。最貧国とも言える北朝鮮が核強国として世界最強の米国と差しで会談できるのだから。金正恩党委員長は晴れて祖父、父と肩を並べた将軍様として人民から崇められる。

たとえ、会談が物別れになっても、トランプ大統領は脅しているが、米国から攻撃されることはない。南北コリアが南北首脳会談で融和ムードが高まっており、さらに中国の庇護のもとにある。ロシアにとってのシリアと中国にとっての北朝鮮とでは地政学的に意味合いが全然違う。米国はシリアを攻撃できても北朝鮮を攻撃できない。北朝鮮が中国の言うことを聞いてお利口にしている限り攻撃されたら習近平総書記は面子にかけても応戦する。第二次朝鮮戦争になってしまう。

実際は南北会談と同様米朝首脳会談も融和ムードで終わるのではないか。北朝鮮の目的は金王朝体制の承認と経済制裁解除・経済支援。金王朝にとって、米国も怖いが、朝鮮人民も怖い。赤貧に苦しみ死んだ方がましだと追い詰められたら、怒りの炎が金王朝に向けられる。人民の大集団に銃を向けることはできない(中国にとって天安門事件は最大タブー)。核開発が一段落した今米国と和睦し一刻も早く経済を立て直さなければならない。

なによりも中国の経済制裁解除が最優先で、中国が堂々と制裁解除できるよう、北朝鮮はお利口になったというところを国際社会に猛アピールしなければならない。

その後は、財産目当ての結婚を目指すのか。軍事力が強い方が花婿。花婿の北朝鮮は標準時を早速韓国に合わせた。いざとなれば王朝を廃し、プーチン氏のように大統領を装うかもしれない。花嫁の韓国は、豹変ではなくいつ狼変するか分からない相手といきなり結婚ではなく、互いの体制を容認しゆるやかな連携を模索したい。縁談が強引に進められたらマリッジ・ブルーに陥るのかも。親同士の綱引きもありうる。花嫁の父(米国)は婿養子でないとダメと言うかもしれない。韓国も北朝鮮と同化し中国の属国になれば、釜山周辺に中国の軍事基地ができる。ますます日本から米軍基地が出ていくのが難しくなっていく。

非核化については、金正恩党委員長はトランプ大統領に恭順の体を演じるだろう。核・ミサイルは元々矛ではなく盾の為に開発。10数発保有できたならそれ以上は必要ない。核実験場等を破壊することなど痛くもかゆくもない。既に保有の核も放棄しろと言っても、IAEAの査察には限界がある。軍事施設内は北朝鮮が拒否するだろう。

 ロシア疑惑、ポルノ女優への口止め料等失点続きのトランプ大統領の本音は、とにかく会談を成功させたい。ICBMを米国に向ける気を北朝鮮が無くせばそれでよい。ノーベル平和賞を受賞し、大統領任期あと2年半の間北朝鮮が大人しくしてくれたら御の字だということだろう。軍産複合体はしばらく中東で核・ミサイルビジネスを展開するのだろう。

 

米朝会談の後は米・中・北朝鮮・韓国の4カ国協議が始まるのか。北朝鮮の仮想敵国が米国からとって代わる当の日本は蚊帳の外。元々南北コリアが反日である上、日本が独自のスタンスで半島問題に関わっておれば別だが、米国の威を借りて北朝鮮を非難していただけでは(ロシアが参加するならその時はバランス上日本も参加できるのかもしれないが)

味方のハズのトランプ大統領は、米朝首脳会談開催も国務長官の電撃訪朝も事前に知らせない。ポチ犬(某哲学者はバター犬と呼ぶ)に大事なことを相談してもということか。

拉致問題にしても、安倍首相は訪米しトランプ大統領に北朝鮮に言ってくれと懇願する。まるで、講義すらろくに出席もしていないのに「就職が内定しているので、なんでもするからとにかく単位をください」と教授の家に押しかける女子大生に似ている。

国民の生命と財産を守るべき首相として最も基本的なことを他の国に委ねる。天敵の拉致被害者の兄蓮池透氏に「お手上げだと表明しているのと同じだ」と安倍首相は皮肉られる。隠れて頼むならまだしも国民だけではなく世界にも配信され世界からも嗤われる。

ビジネスマン大統領のトランプ氏は、米人質3人が解放された以上人権問題が議題にあがるのを嫌がる北朝鮮に拉致問題を提議するかは分からない。話すとしたら、お安い御用のハズだが大きな見返りを求められるのでは。北朝鮮からの経済支援要請を日本が肩代わりさせられるだろう。北朝鮮は渡りに船で「もう一度よく探したら拉致した日本人が数人いた」と北朝鮮に言われたら、それで1兆円?単位での経済支援をするのか?

私は、「外交は武器をもたない戦争」と心得ていながら安倍首相のことを外交が強いと持ち上げる外務省OBやジャーナリストを信用していない。ニコニコと個人的に親しくなるだけでは外交とは呼べない。トランプ大統領にいいように使われ、プーチン大統領にあしらわれ何も前に進んでいない。

 北朝鮮は王朝時代の前近代から中国の属国から抜け出せず苦しんできた(今回の南北会談の板門店宣言の「南北と米国、あるいは南北と米中カ国による協議」で、なぜ最初から中国を入れないのか。中国に対する南北コリア首脳の気持ちが表れていると見てとれないか)。北朝鮮は核強国になった今も結局中国に屈服させられた形となった。安倍首相は、宗主国米国に、それも暴君が君臨する時に、進んで従属しようとしているとしか思えない。

昨年の憲法記念日に安倍首相は唐突にそれまでの自民党改正案と違う自衛隊明記の加憲総裁案を発表した。国会では自ら説明しようとせず読売新聞を読んで(読売の毛沢東サイドのサゼスチョンということか)と信じがたい暴言を吐いた。その前には「安保法制が成立したので、憲法改正は別しなくてもよいのだが」と首相が言っているとの記事もあったぐらいなのに。憲法学者は「安保法制に憲法を近づける」のがねらいと看破する。それなら米国しか見ていない安倍首相が飛びついたのも納得だ。

 

そんな首相に印籠を渡す動きが政界に出てきた。加計問題で愛媛県知事が声を上げ、政権内の石破鳥取藩の齋藤農水大臣、岸田広島藩の林文科大臣が呼応した。やむなく柳瀬元秘書官は20154月等の加計関係者との面会を認めた。それでは昨年1/20に獣医学部新設を知ったとする首相発言と平仄が合わない。「加計氏との奢り奢られは贈収賄か?」との疑念が再浮上。それで秘書官でありながら首相には一切報告していないと強弁する。国民の不信感は募るばかり。国会では無理。司法が動かないなら自民党内で自浄するしかない。

私は、旧経世会の竹下派(竹下島根藩)を長州藩と擬え、石破鳥取藩(薩摩藩)と連衡して経世会を壊した恨み骨髄の清和会幕府に戊申戦争を仕掛けると見た。しかし、どうやら竹下派は主導権を確保できるならどことでも組むようなスタンスに今の所ではそう見える。

 細川護熙元首相の佳代子夫人がTVで回想していたのを思い出した。細川首相に「いつ辞めるの? 政治家たちは自分のことばかり。早くこんなところから出て行きましょう」と言ったことを。竹下派もそうだと断言するのはまだ早い。最初に飛び出し新政府が出来たときには影すら見えなくなった水戸藩になりたくないということか。国を憂いた長州藩の下級武士ほどの志も気概も持ち合わせていると思いたい。

現役よりも自民党OBの方が事態を深刻に受け止めているらしい。それにしても、小泉元首相は、清和会幕府側の主要人物のハズだったが、討幕に向け暗躍しているように見える。幕末にこんな人物は実際いたか。いやぁ、さすがにこんな変人はいないのではないか。