2026.1 臨時号  NO.238  るいおんな  VS 

         るいおんな
 今回は「毎日が日曜」の一後期高齢者が今思っていることをオムニバス形式で三点述べてみたい。
   まず、高血圧について。私はかつて前立腺がんに罹患し、2012年9月から放射線治療を受けその後3ヶ月毎血液検査(PSA:前立腺腫瘍マーカー)を受けてきた。前立腺がんは10年経過しても再発することは珍しくない為。今年75歳になることを機に3ヶ月毎のPSA検査を1年毎にすることにした。再発しても寿命との競争になる。私にとって再発よりも恐れるのは、生きながらえて認知症になり家族に迷惑をかけること。
 それで10年以上電車に乗り通っていたクリニックから地元の〇〇会と付く病院に替えた。地元下町の町医者は患者を愚民扱いするので(あくまで個人的感想)出来るだけ行かない。
 前の病院では、PSA及び成人病予防を目的とした血液検査と尿検査だけで担当医師は血圧はスルーしていた。今度の病院の老院長は血圧にうるさい。診察の前に患者自身で測るよう張り紙があるが、医師自ら測り、冬でもないのに上が140台ではと、もっときつい降圧剤を服用するよう進めてくる。
 この前受診したとき、その院長に聞いてみた。「先生は日本高血圧学会に所属しているのですか」と。先生は所属していないと返答した。それで、私は「高血圧学会は評判悪いですね。週刊新潮のコラムで和田秀樹医師が猛批判していますよ」と話した。意外や院長は私の話に理解を示してくれた。
 今年、高血圧学会は高血圧の治療で血圧を下げる際の目標値について、75歳以上で上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)をこれまでより10引き下げ、上130、下80未満に抑えることを新たな治療指針とした。
 我々が若い頃上の血圧は、加齢に伴い上がっていくので、「90+年齢」が目安と言われていた。それでいくと、130は90+40(歳)。馬鹿言え、75歳以上が40歳の体になれるか。薬を服用せずにそれをクリアするとなるとどれだけ味気ない生活が強いられるか。皆薬漬けになる。働かずモノ言う高齢者は要らない。高齢者は家で塞ぎこんでいろとでも言うのか。

 かくして、一将ではなく、「三将(高血圧学会・病院・製薬企業)功成りて万骨(高齢者)枯る」となるか。

 他の医師らも疑問の声を挙げているのに、医療財政逼迫に苦慮する厚労省が黙認?しているのは理解に苦しむ。
 私は50代の頃仕事上のストレスから血圧が上がっていた。眼圧も。それ以降、弱い降圧剤と眼圧を下げる薬を続けている。75歳で上の血圧が140台~150台なら当たり前だと思っている。血管を丈夫にするため肉を摂るよう心掛けているが(肉4に対し魚3。魚を食べる時は嫌いな納豆も、1/2パックで)。
 強い降圧剤を服用したくないのは、業界団体に居た頃委員会の座長をお願いしていた先生からきつい降圧剤を服用していると鬱になる危険性があると聞いたから。
 故西木正明の近衛文隆の伝記小説『夢顔さんによろしく 下 ―最後の貴公子・近衛文隆の生涯』(文藝春秋)を読むと、主人公の近衛文隆(細川護熙元首相の伯父)は、勝手に日中戦争の平和的解決に動き、それを疎ましく思った軍部により近衛文麿首相の長男ながら徴兵され、終戦後シベリアに抑留されてしまう。文隆はソ連側のスパイになりそうもなく、かといってそのまま返すわけにも行かず、扱いに困ったソ連側は痔の呑み薬と称してきつい降圧剤を与えると鬱になった。が、死なず、別の方法で暗殺されたとする。
 私も最近実感した。日曜の夕方明日からの仕事に対する憂鬱感を感じるのを「サザエさん症候群」(アニメ「サザエさん」が終わる時刻と重なるとして)と呼ぶらしい。私も30歳前後の若き銀行員時代よく日曜の夕方にそんな感じになっていた。それから40年以上そんな事は記憶になかったのだが、75歳になって経験したのだ。「毎日が日曜」の身、ストレスは妻の小言ぐらいなのに。

 変だと調べたところ、朝に飲む降圧剤を夜にも飲んでしまっていた。夜に飲む高脂血症の薬とよく似ていた為。それが数日続いたことが原因だと判明した。それ以来サザエさん症候群は起きていない。ただ、高市首相の発言を聞くと(国を案じ)憂鬱になる「サナエさんシンドローム」が始まったが。
 抗がん剤が癌細胞だけではなく正常細胞も傷つけると同様、降圧剤も血圧だけではなく「気持ち」も下げるのでは。
 私がきつい降圧剤を服用すれば、モノ言う高齢者ではなくなる。大人しくなり妻は歓迎するかも知れないが。上の血圧が160を超えてくれば、どうするか真面目に考えてみたい。

 次は、ツンデレと古い女について。11月中旬公開の映画『平場の月』の井川遥さん扮するヒロインがひどいツンデレであった。ツンツンが9でデレデレが1という様体だ。
 この映画は、妻と観る予定だったが、直ぐ後に木村拓哉氏と倍賞千恵子さんが共演の『東京タクシー』が封切されるのを知り、二人で観るのをこちらに替えた。
 『平場の月』を一人で観たが、幼馴染が再会し、焼け木杭に火がついたごとく愛し合い、主人公(堺雅人氏) が結婚を申し込むと言わんでいいことなど露悪家的な言葉の末二度と会わないとヒロインは拒絶する。主人公は特段抵抗せず、一つの約束を取り付けて同意してしまう。私は共感出来なかった。

 後日観に行った妻に私の想いを告げたが、「フィクションだからしょうがないでしょ」とつれない返事。
 二人の意見が合致したのは、居酒屋の老主人がいい味を出していたこと。80代?の扮装にて誰だろうと思ったが俳優の塩見三省氏であった。二人を静かに見守り差し出がましいことはしないが要所要所で気遣いを見せていた。私もこんな80代爺になりたいと思ったが、要らん事を言っては妻を怒らせる私には無理だとすくに諦めた。
 私の妻も、映画のヒロインほどではないが、ツンデレだ。結婚して44年になるが最近ツンデレなのかと思い始めた。

 外出から妻が戻ってきたので向かうと「何しに来たの、アッチに行って」と言われる(私はストーカーか、濡れ落ち葉か)。台所に行くと「何しに来たの、用事が済んだら早く行って、シッシッ」と言いやがる(私はポチ犬か)。「仲良くしようね」と私が言っても「無理!」と即答する。
 そのくせ、私が告げずに外出し少し遅いと、どこへ、何しに詰問してくる。色気もカネも地位もない、NAI NAI NAI NANNIMONAI爺に女が相手にするかと言っても、そんな心配などする訳がないと切り返してこない。私が60代の頃高校の同窓会から帰ってきたら珍しく妻が可愛げな素振りを見せていた(同窓会で危ないのは30代、40代までか)。

 スーパーに行くと言うので、アイス買って来てと妻に頼むといや!とそっけない。それでも冷蔵庫の冷凍室を覗くと、ちゃんと入っている。
 ツンデレに対してネット民がこう分析する。「もともと照れ屋なのだと思います。 甘えることが恥ずかしいと思っているとそうなりますね。周囲に甘えることができない環境で育ったのかもしれません。」と。
 そういえば、義父母はアクセサリーの職人をしていて、高度成長期ガラスのダイヤモンド風ブローチが飛ぶように売れ、忙しく構ってもらえなかったと妻は述懐していた。
 もっとも、世の主婦からは「アンタが要らぬことを言ったり、変に構うだけのことよ。いい歳してガキやってないで素直に愛情表現すればいいだけ」と切って捨てられるかも知れない。
 妻は「古い女」でもあることは確かだと思う。これは軽侮の意味合いがあるか、「古風な女」と呼ぶべきか。
 すこし前旅行先での夜大喧嘩した。妻とは関係ないことで不快指数が100%を超え窘める妻と言い合いになり、あげく「離婚するから離婚届をもって来い!」と言い放った。妻はいいわよ、出すと返した。翌朝目が醒めまずいことになったと思っていたら妻から声がかかった。「昨日言ったこと覚えているわよね」と言われた。私は「覚えていない」と嘘をついたら「私は一言一句覚えているからね」と返された。あちゃーと頭を抱えた。
 しかし、それ以降何もなかった。私は相手にされていなかった。結婚生活44年の年輪の中で、「この出来損ないが私から離れられる訳がない」との自信があるのだろう。思うに、妻は口で損してしまう単細胞の亭主であれ、何であれ、一度契りを結べば生涯添い遂げると思う古風な女なのだ。
 私に振り回され、専業主婦から兼業主婦に変わりながら、三人の子供達を妻は育て上げてくれた(私は子供達が皆不惑の歳を超えるまで父としてこの世に存在したことぐらいか)。

 長男は順調な職業人生を歩み、次男、長女も後ろ指をさされない人生を送っている。
 妻は今や家ではマウントを取ってくる(口が減らなくなった。体重と同じで。本人も減るのは髪の毛だけだと)が、家から一歩外に出れば、以前と同様ちゃんと私を立ててくれる。
 妻には感謝しかない。妻とカラオケに行けば、布施明氏の『傾いた道しるべ』を歌う。「あー三叉路ばかりの あー道しるべもない僕の道を 君も歩いてくれるんですね」と。

 残り少ない時間の中でよき思い出を作ってあげたい。その舌の根も乾かぬうちに要らん事を言って、妻を怒らせるのではあろうが。
 大谷翔平選手の奥方真美子夫人も、古くはないが、いまどきではない女性と言えるか。
 チャラい男は嫌い(ましてやアウトロータイプなどは)とのことで、女優や女性歌手のように悪い虫がついてしまうことはない。美人で奥ゆかしく、しかも172㎝の私でも見上げてしまう180㎝もあるなら、文字通り“高嶺の花”となってしまう。まさに大谷選手と結婚するためにこの世に生を受けたというところか。
 ところが、週刊女性自身の3/26付けの記事が本当だとすれば、スーパースターである大谷選手からデートに誘われたものの、真美子さんは最初は断ったという。ナンパするチャラい男と思ったのかもしれない。
 普通の親なら、娘から聞いて「ばっかじゃないの!?  誠実な人に決まってる。何で断るのよ、結婚出来たらこれ以上の玉の輿はないんだよ!」と詰るところだが、ご両親もレベチ(レベルが違う) 。
 「本当はどんな人なのか、一度は会ってみたら?」諭すような両親のひと押しで、真美子さんは大谷選手と食事することにしたという。
  野球界でユニコーンと称される大谷選手だが、末っ子でもあり自宅では年下ながらしっかりした姉さん女房タイプの真美子夫人にすっかり甘えているのでは。知らんけど。
 憲政史上初の女性首相となった高市首相は、働き改革を後退させる風に見られるとともに「労働時間規制の緩和」発言や「最低賃金引き上げ慎重」姿勢からすると、国が国民の生活を守り向上させるのではなく、国の為に国民を動員させる、時代錯誤の戦前の全体主義への回帰を思わせる。戦前の「昭和の女」と呼ぶべきか。
 歴史家(昭和史研究)保阪正康氏も、「高市氏は、安全保障関連費(防衛費)増額を掲げて、安保三文書を前倒しで改定すると言っているが、これは軍事への傾斜であるとともに、監視や治安維持への過剰なこだわりを持ち『スパイ防止法』という戦前回帰的な呼称は極めて不穏当に響く」との主旨の懸念を表する。  
 そして「ずるい女」とも言えるか。

 公明党が連立与党から離脱したのは高市首相のタカ派色だけではないという。10/21の首相指名直後の24日デイリー新潮が、ご祝儀の提灯記事と思いきや、いきなりの冷や水。『「目的を遂げるためには、世話になった人の恩を顧みない」 高市早苗氏が公明党を激怒させたウラ事情 「裏では公明党や学会のことをボロクソに」』を表題にしてこのように報じた。
 1996年10月、初めて小選挙区制の下で行われた衆院選では公明党が一翼を担っていた新進党公認で出馬し、奥野元法相の元秘書・森岡正宏氏を破って2選した。ところが、当選後半月で高市氏は手のひらを返し、新進党を離党。自民党に移った。そのため選挙で全面協力していた公明党・創価学会、特に婦人部から大不興を買ったという。
 因果応報と言うべきか。公明党が連立与党から離脱していなかったら、台湾有事発言に端を発し態度を硬化させた中国との関係修復に一肌脱いでくれただろうに。
 私も前回237号(「サナエVSザザエ」)にて万事責任転嫁で済ませるのかと先が思いやられると書いた。その後の12/9の衆院予算委員会で評判が悪いお米券に関し高市首相は「農水大臣が大好きなおこめ券」と揶揄するような発言したことも。
 政治家はきれいごとでは済まない。ましてや、世襲ではない、女性の議員が首相にまで上りつめるには並大抵の事ではなかっただろう。罪ではないが1等減じて、「ずる賢い女」と呼ぶのだけは止めておこう。 
 
 最後は、元TOKIOの国分太一氏の人権問題。被害者の人権ではなく、加害者側の人権が問題となる。
 コンプランス違反で国分氏は日テレから解雇された。TV番組『ゴゴスマ』で元裁判官の清原博弁護士が国分氏は解雇不当を訴える立場にないと発言していた。
 私は銀行で20年(その内4年組合専従)、神戸から東京に居を移し官庁としての矜持を最も有した某省の許可を得た公益社団で10年在籍した後業界団体に事務局長として10年在籍し65歳でいわゆる定年退職した後も顧問として関わっていた。

 しかし、(言いたい放題だったくせにと言われても)40年に亘る、常に公共性を意識してきた宮仕えの身に限界を感じていたこともあり、(普段それなりに気を使って意見するのに)トップをメールでなんと馬鹿呼ばわりして、喧嘩別れとなったのだ。大人しく去るつもりはなく反撃もしたが、業務委託契約は、雇用契約とは違い、理由が何であろうと「Fire!」と言われたら、それでおしまいということを知った(そのトップは次の改選時退任した上、一理事としても残らなかった。そこまでは望んでおらず、嬉しい誤算とは思えなかった)。
 国分氏も不当解雇では争えないことを代理人弁護士から説明を受けていたハズ。それで日弁連への人権救済の申し立てを選択したのであろう。
 そして、その記者会見の席上、国分氏は、「日テレと対立したい気持ちはなく、自分がやったことの答え合わせをさせてほしいと思っている」と発言した。会見を観た視聴者にはいろんな意見があろうが、私からすれば、この期に及んでまだ日テレに阿るような発言をするのか。「弱きをたたき、強きにへつらう」性格なのか。そう思った。
 視聴者の中には、弱みを握られており、申し立ては世間へのスタンドプレーに過ぎないと見た人もいたのではないか。
  「申し立て」自体が日テレと対立している。「答え合わせ」は、受験生が塾の先生に言う言葉だろう。大学受験に一度やそこら失敗しても人生が終わる訳ではない。国分氏は社会的に葬られようとしている。だからこそ日テレに反抗することになる人権救済の申し立てをしたのであろうに。
 人ひとり殺しても、密室ではない傍聴人が見守る中裁判で被告人は弁明の機会が与えられるし、有罪となり一定期間ムショに入り、務めを果たしシャバにでれば罪を償ったとして社会復帰が許される(世間の風は冷たいとしても)。

 国分氏の場合、一方的な公開裁判により、目に見えない檻に家族もろ共閉じ込められ、それもいつ檻が消えるかまったくメドがたたない状況に置かれている。
 殺人罪で起訴されても、極めて残忍かつ身勝手な犯行なら1人でも死刑になる、情状酌量の余地ありと通常より減刑になる、正当防衛で無罪となる、このように判決が分かれる。
 芸能人は公人に次ぐ準公人かもしれないが、日テレは我々に著名芸能人M氏、N氏のケースと同じなのか違うのか判断されるのを拒むのか。今後ともその姿勢が続くなら、日テレ側の「被害者の人権」を盾に守ろうとしているのは、日テレ自身ではないかと私にはそう見えてしまうが。
 国分氏はすべてを失ったとも言う。が、家族がいるではないか。過去の言動が思いがけず批判に晒され、萎縮しているが、それは深く反省する(何をしたか不明だが、これからは「弱きを助け強きを挫く」のだ)として、国分氏がすべきことは、夫として、父として、何の罪もない妻と子の名誉と人権を守ることだ。たとえ自身がどうなろうともとの覚悟で。
 人権の救済申し立てでは、非公開、調査に1年はかかり、挙句不措置になる可能性もある。たとえ勧告等が出ても強制力がなく日テレ側が従わないこともありうる。
 日弁連に頼るのではなく、代理人弁護士をセコンドにつけて裁判というリングで闘うべきだと思う。「加害者に人権はないのか」「正当な手続きも踏まず公然と一方的に断罪されたのに、個人的な名誉回復する機会すら与えられず、家族とともに石投げられながら一生過ごすしかないのか」と日テレ側を相手に人権侵害で訴えるべきだ。
  (テレビ局という強い立場の者による弱い立場の一芸能人に対する言動において)芸能界の問題に詳しい河西邦剛弁護士は「プライバシーを保護するかどうかは当事者本人が決めていくものなのに日テレ側がプライバシー権を主張している。また日テレがヒアリングの際に国分さんに対して『特定につながるような情報は一切出さないように』と強く求めている。日テレ側にとって不都合なことがあったとしても、『関係者のプライバシー保護』を理由に隠せてしまう構造になっている」という主旨のことを述べている。
 私には法律にド素人にて素朴な疑問がある。被害者が加害者の示談に応じ示談金を受け取る代わりに守秘義務を課せられるのはよくある。が、被害者が特定されてもおらず、代理人でもない日テレが、解雇した相手の口を封じる権利はどこにあるのか。「おんどりゃー、オレんところのスケに何さらしてんねん、ボケー」「オイ、コラッ、首になったらそれで済んだと思てへんやろな。ええか、ベラベラしゃべってみ、どうなるか分かってるんやろな!?」と脅す反社とどう違うのか。
 いきなり独り四面楚歌に置かれ怯え切り頭が真っ白になっている国分氏にそんな約束させたとしたら、それは公共の電波を扱うテレビ局のコンプライアンスに適合するのか。
 元特捜検事の若狭勝弁護士も「降板という重い処分をしながら、きちんとした、何が問題になっているか本人にも告げないのはバランスを失する」とした一方、「日テレ側に『法律違反、法的問題があるかというと、ここが問題とは言えない』ともコメント。だが『法律的に違反しなくても、公正な手続きっていう点については、問題なしとはしないと』、と私は思います」とTV番組の中で述べている。
 上記二人の弁護士は「問題がある」と言うも、裁判の可能性には触れていない。現在の法律や制度で違法でなければ、裁判に勝つことは難しいということか。そうであれ、本件を悪しき慣習の前例(テレビ局による出演者へのパワハラ)とさせない為にも裁判を起こすべきだ。 M氏やN氏のごとくケジメをつけずに復帰を模索する流れに乗らず、これからは「弱きを助け強きを挫く」男らしく生きる覚悟を示す為にも。

  国分氏の盟友“漢”松岡昌宏氏もようやく口を開き、週刊新潮12/11号で「何も説明しない日テレさんのやり方はコンプライアンス違反にならないでしょうか」と言い、続いて「何の説明もしないまま番組を降板させられるのであれば、国分さんの次は自分、その次は城島、世の中のタレントさんみんながそうなってしまうのではないか、という危惧があります」と懸念表明というより日テレに反旗を翻したと言える。

 これを機に潮目が変わって来るのでは。松岡氏以外にも芸能人等が疑問の声を挙げ始めている。世間の風向きも変わってくるのでは。 
 国分氏は、既に闇討ちにあったようなものだと暴露しており、日テレに喧嘩を吹っ掛けているではないか。裁判になれば自らも返り血を浴びるかもしれない。裁判で勝てないかも知れない。しかし、妻と子は家族の為に闘ってくれた国分氏を誇りに思っても恨むことはないのでは。
 一方、解雇は日テレ側の権利であり、もっとソフトランディングさせる方法があったろうに(フジを他山の石にしたか、一罰百戒を狙ったか)。日テレだけではなく国分氏は芸能界から追放された状態にさせられた。
 国分氏を家族もろとも社会的に葬るマネをしておきながら、自らを安全な所に身を置き「時期がきたら国分氏の話を伺いたいし、自分の気持ちをお話しできればと思っている」とのナメた口をきく(コメントを出す)日テレの社長をリングの上に引きずり出し闘うべきだと思う。
 年甲斐もなく、と言うよりも、相変わらずガキっぽく、少し熱くなり過ぎたか。血圧も上がったかも。私と同じ意味か分からないが、過去国分氏と共演したという北斗晶さんは芸能人であり微妙な立ち位置ながらも「私だったら戦うべきだと思うんですよ」と国分氏にエールを送っている。

 さすが元プロレスラー。そして優しい。彼女は癌と闘った。人生にとって何が大切か悟ったのかも知れない。

(次回239号は1/10アップ予定)

2026.1   NO.237 エ VS  サ
 先の自民党総裁選の決選投票で小泉進次郎氏を破り、自民党の総裁となり、総理となった。11月初め左派のTBSのJNN世論調査で内閣支持率は何と82%になったという。その人気は小泉純一郎首相を彷彿させる。
 とくに若い層が支持しているように見える。が、私を含め政治的民度が低い中でZ世代等若者たちが経済、政治の側面からではなくイメージ(アニメのサザエさんのごとく)にて支持しているのではと私には思える(東大生らは無礼なこと言うなと怒るかもしれないが)。
 Wikipediaによると、サザエさんは、快活でそそっかしく気性も激しい。そこは(タカイチ)サナエさんも似ているか。

 さらにサザエさんはお世辞に弱く「若い」とか「美人」などと言われると途端に機嫌が良くなるという。サナエさんはどうなのか。 10/28にトランプ米大統領と米軍横須賀基地を訪れ、米空母を視察。米兵らの喝采を受け飛び跳ねるように腕を突き上げた姿が、「はしゃぎすぎ」との批判されたが。 
 高市氏は総裁選で勝利したその挨拶で、「ワークライフバランスという言葉を捨てる。働いて働いて働いて働いて働いて、まいります」と語った。
 「ワークライフバランス」は被雇用者の為のもの。それに必要な「働き改革」を後退させると言っているとの印象を受ける。師匠の安倍政権の施策なのに。
 そんな矢先、「高市首相は7日、衆院予算委員会の準備のため同日午前3時から首相公邸で勉強会を開いたことについて、『秘書官、SP(警護官)さん、ドライバーの方にはご迷惑をかけたと思っている』と陳謝した」と11/7付けにてFNNプライムオンラインが報じた。

 国家公務員は労働基準法等労働関連法が適用されない(国家公務員法があるが)が、こき使っても構わないものではない。

 (国会質問の在り方に問題があるにしろ)歴代首相の中にもやむを得ない場合があったろうが、誇るべき行為ではなく、表沙汰にならないようにしていただろう。
 民間の大企業のトップが同じことをして報道されれば、「専制君主きどりか!?」「働き方改革を逆行させる気か!?」と大炎上するだろう。

 どうも、高市首相はスタンドプレーだけではなく、本気で働き改革を後退させるつもりなのか。それも一存で。

 「労働時間規制の緩和」発言や「最低賃金引き上げ慎重」姿勢を勘案すると、国が国民の生活を守り向上させるのではなく、国民がいかに国に奉仕するか、戦前の全体主義に回帰させるつもりなのかと疑ってしまう。時代錯誤なことを。
 なのに、高市首相に対してはネット民は擁護する。政治家も識者も皆、午前3時を指示した首相の健康を気にかけ、指示された秘書官らのことには気遣わない(深夜にせっかくレクチャーしたのに、TBSの星浩氏によれば、「戦艦」という官僚が使わない言葉を使い用意された答弁以上のことまで自らの見解を交えて踏み込んでしまったという。中国側の激怒を招き、高市首相に対する秘書官からの心証は如何に)。
 サナエフィーバーの世相を、週刊新潮11/13号の新刊本紹介コーナーにてコラムニスト林操氏は『サッチャー』(中公新書)の紹介文の見出しに「奇病・サナエ熱につけるサッチャー論という薬」と書いた。

 もっとも、働き方改革を本気で後退させる気なら兼業主婦を初め同じ女性から醒めていくのでは。石破前首相と並んで「嫌われている」と言われるのは、トップとして不可欠な「他人への気遣い」ができないからでは(さらに、公明党から逃げられ、首相になる為に引き入れた維新が実家の自民党の反発を招く火種に)。
 民間企業のトップは会社との委任契約。(本来無報酬で)24時間365日会社の為に働く。内閣総理大臣は国家公務員。当然一職員ではなく、内閣の特別職の職員。位置づけは、民間のトップと同じ。「四六時中働きます」と大声で言うことではなく、当たり前のこと。
 高市首相の一番の仕事は、ジタバタして疲れてる姿を見せるのではなく、最悪の国家財政状態、少数与党の現状の中で、如何に日本経済を浮揚させるか、どうすれば国民の生活を改善させられるかを考えること(自慢にもならない睡眠2時間の頭で考えられるのか)。内閣内の議員、国家公務員試験を合格した有能な官僚を、こき使うことではなく、最大限に活用し、自由自在に使いこなすこと(官僚達にこの首相なら苦労も厭わないと思ってもらうことが、まず先決)。
 高市首相のこれまでの言動では、自身の能力に自信が持てず、頑張っている姿を見せるしかない。そう思っているように見えてしまう。
 ゴルフの人気女子プロがトーナメントで夜遅くまでパットの練習する。それをマスコミが美談として報じる。私はそんなのは努力とは思わない。修正、調整の必要はあるが、夜遅くまではスタンドプレーとみなす。

 大天才大谷翔平選手は基本努力している姿をファンに見せない。彼だけ特別扱いなのを他の天才選手たちが嫉妬しないのは、自身では到底マネできない努力を日々しているのを傍で見ているから。努力している姿を公に見せないのが真のプロ。選手時代の故長嶋茂雄しかり。
 
 我が母校から二人も首相を輩出したのは喜ばしい限り。だが、第75代故宇野宗佑は、首相としては有能と評価されていたが、“指3本”で失脚し、内閣から早期排出された。

 第104代高市首相はいかに。政治評論家田崎史郎氏は、82%もの高支持率は今後下がっていくけれども、見せ方が上手いので、短命政権で終わらない可能性もあるとしている。 
 ただ、早くも試練が訪れた。高市首相が国会で台湾有事発言をして中国がハレーションを起こした。中国側は、首脳会談の直後に面子を潰され、しかも核心的利益という逆鱗に触れたと激怒している。

 この国会発言に対して、経済誌プレジデントの元編集長・小倉健一氏は11/24付け集英社オンラインにて「米国には勝手な軍事介入の予言による不信感を与え、中国には関係崩壊の決定的な口実を与え、台湾には現状変更を迫られる迷惑と恐怖を与え、そして日本国民には経済的損失と戦争に巻き込まれるリスクを与えた。」「これらを引き起こした原因は、すべて高市政権の『能力不足』に帰結する。複雑な国際情勢を読み解く知性、法律の整合性を保つ論理性、相手国の立場を想像する共感力、そして経済的リスクを計算する経営能力。」と私の駄文とは違い格調高くかつ手厳しい。

 高市首相を敵対すべき相手として再認識した習近平国家主席は、関心のない人民と違って、ことさらこの問題を大きくかつ長引かせるとの見方も出てきた。

 経済への影響が大きく発言を撤回すべきとの声も高くなってきた。だが、従来からの曖昧戦略を踏み越え地雷を踏んでしまったとはいえ、間違っていないことは撤回はできないと言うならば、問題は長期化し、困るのはリスクを負う国民。

 官房長官は否定しているが、トランプ大統領から米中歩み寄っている中水を差すことは控えてと注意されたとの見方が大勢だ。首相として度量の見せ所だが、タカ派から支持された首相としては動くに動けずか。結果的には女の意地を通したとなってしまうのか。

 結局事態の収拾には首相交代しかないとなるのか。中国側も振り上げた拳を下せる口実に(中国側が友好関係にある公明党を与党に戻す障害を取り除く意味でも)。

 ともあれ、米・中・露との外交は、天才肌かつタフネゴシエーター(敵役ながら相手にあっぱれと思わせる)の茂木外相に任せた方がよいと思う。
 

 しがない一大学の先輩でしかない私は、陰ながら応援をすべきところではあるが、如何せん安倍政権の二の舞になると思う気持ちが強い(執拗に批判する小沢代議士も同じでは)。
 高市首相は「責任ある積極財政」と謳う。“責任ある”と、なぜ当たり前のことにそんな修飾語を付けるのか。

 昔言われた“明るい農村”と同じで、積極財政は無責任なものと暗に仄めかしているのか。それとも財政難の中では大した財政支出はできないと予防線を張っているのか。
 「夏のサザエは口ばかり」の諺は、旬を過ぎたサザエは身が痩せてしまって、大きさの変わらない殻の口が相対的に大きく見えることから、口先だけの人を揶揄する。「首相のサナエ(さん)も口ばかり」になるのか。 
 かの小沢一郎代議士が個人的に何かあったのかと思うほど、高市首相に執拗に噛みついている。高市首相が立憲民主党の物価対策としての「食料品の消費税率0%への引き下げ」を否定したことに対しても。11/6のよろず~ニュースによれば、小沢氏は首相就任前の今年5月時点で高市氏が「食料品の消費税率ゼロを確信」との立場を示していたことを矛盾点として引き合いに出し「就任前は散々講釈を垂れて人を批判していたのに、総理になった途端、それまでの持論を封印し、結局は何もできず何もやらずに終わる。そうならば、高市総理も石破前総理と全く同じということになる。一体、何のために総理になったのか?」と批判する。
 国会でも野党から今年5月『国の品格として食料品の消費税率は0%にするべき』と発言されているのにと追及されると、自民党税制調査会の賛同が得られなかったからと自民党総裁でもある首相が部下に反対されたからと平然と答える。

 さらに、公明党が議員定数削減がなぜ1割かと問うと高市首相は維新の提案だと答える。万事責任転嫁で済ませるのかと先が思いやられる(首相にならなければ、小沢代議士や私ごときにこんな言われ方されないのにとも思う)。

 小泉進次郎大臣も、「殷鑑不遠」、高市首相を他山の石とすべし。首相になれば発言が変わるだけで批判されるだけではなく、首相でない時と同じ発言でも首相としてなら大問題となる。「そんなことになるとは」では済まされない。

 大臣が失言しても後ろに首相がいる。少なくとも首相なる前に主要ポストを経験する必要があるのだ。

 進次郎氏も、天才でないと自覚するなら、人気があっても、担がれても、自身が一歩づつ階段を上り外相、財相等主要ポストを経ないと首相は務まらないものと悟ってもらいたい。支持者たちもそう理解すべきだと思う。

 私は安倍首相を現役時代からずっと批判してきたが、不慮の死を遂げたので、批判を封印するつもりだった。が、高市現首相が安倍首相の後継を公言したので、安倍政権の批判を再開せざるを得ない。
 2000年4月小渕首相急逝を受けて故村上正邦参院議員会長ら5人組の密談により、森喜朗首相が誕生した。そして21世紀に入り当時傍流に追いやられていた清和会が主流となり、小泉政権、安倍政権と人気の高い政権が続いたが、バブル崩壊後の失われた10年が30年になっただけだった。ようやく岸田政権が誕生して、その後も石破政権が引継ぎ清和会政権が終焉したと思ったら、また清和会政権に戻った。清和会のDNAなのかまた見せ方が上手い首相が誕生した。
 しかも、安倍政権を教訓としてと言うならともかく、ABEイズムを継承すると言うから吃驚仰天。失われた30年が40年に向かうのかと愕然とする。
 安倍首相-黒田日銀総裁体制での無駄に終わった超金融緩和の後遺症として、2024年度の名目GDPの615.9兆円に対する国債を主とする国の借入金は1,323.7兆円。国の借金が国のいわゆる売上の2倍以上にもなってしまった。
 日本より悪い国は、内戦に明け暮れ、数千人の命が奪われ、数百万人の避難民がいるアフリカのスーダンだけ。 
 GLOBAL NOTEによれば、2025.10.25付け政府総債務残高対GDP比の国際比較を見ると、スーダンは261.43%。日本は236.11%。2倍を超える国はこの2国だけ。この比率が低下傾向にあるからよいというレベルの話ではない。国際通貨ドルという打ち出の小槌を有する米国でさえ122.32%(11位)。
 こんな最悪な状況でも積極財政を主張する、その拠り所はMMT理論だろうが(現代貨幣理論;私に言わせればオワコンと同じ)、簡単に言えば(難しくは私には言えないが)自国通貨を発行し円建て国債を発行する信任が政府にある限り、どんなに円通貨や円建て国債を発行しても国(政府)は破綻しない。メリーゴーランドは廻り続けるというもの。
 日本が江戸時代のように鎖国しているなら、そうかも知れない(それでもメリーゴーランドはいつか止まるが)。が、海外の国や評価機関は日本は大丈夫とは見ていない(現に積極財政を謳う高市政権下、直近対ユーロで史上初の180円台まで円安が進み、対ドルでも157円台まで下落している)。
 私が昭和48年に銀行に入行し翌年新宿支店に転勤となり貸付事務係に配属となったとき、「手形割引(銀行が手形を買い取る)は自身のお金で買い取るつもりで手形をよく信用調査せよ」と並んで上司から教えられたことは、「企業の借入総額が年商と同じレベルならその会社は倒産予備軍」ということ。
 それを承知ながら支店長が貸出続けて相手企業が倒産し銀行が損害を被ったとき支店長は会社法の特別背任罪に問われる。銀行はそれを未然に防ぐ為に倒産予備軍の企業への融資の権限を支店長決済から本部決済に移行させる。

 本部の姿勢も倒産企業を出したくないとの姿勢があればそれに歯止めをかけるべく、自己資本比率規制等(バーゼル規制)がある。銀行等の経営の健全性を判断するための国際的に統一された基準(自己資本比率、流動性比率等)により金融庁から監督されている。
 各国の財務内容を直接規制する国際制度はない(G7財務大臣・中央銀行総裁会議は、経済・金融情勢や国際通貨制度、金融規制・監督等意見交換しても強制力は持たない)。が、国債評価の機関が、デフォルト(債務不履行)に関する情報を投資家に与えるとともに一国の財政破綻が世界同時不況(大恐慌)の引き金にならないよう監視する役割を果たしていると言える。とくに影響力の大きい日本は注視されているだろう。
 三菱UFJ銀行のシンクタンクBUFGの7/22付けの調査レポートは、こう警鐘を鳴らしている。
 ● 減税が実施されれば、日本国債格下げリスクは高ま

  る。
 ● 現在高格付けであることは、信用問題を引き起こさな

  い保証にならず。
  ・ イタリアの国債格付けは、欧州債務危機でAA格から

   一気にBBB格に。 
  ・ イタリアの政府債務残高(対GDP比)は2011年

   119%と日本(240%)と比べ低い。 
 ● 格付に敏感な海外投資家の日本国債への影響力は着実

  に高まっている(なお、海外投資家の所有比率は12%近く

  になっているという)。  
 ● 欧米では、運用対象をA格以上と規定している年金基

  金も多く、A格を失った場合、自動的に売却される可能

  性は高い。 
 野村総研の木内登英氏も7/25付けにて自社メディア・未来創発ラボにて「参院選後に積極財政傾向が強まる可能性と日本国債格下げのリスク」と題して、参院選後に積極財政路線が強まる場合、特に消費税減税が決まれば、日本国債の格下げの動きが10年ぶりに再開される可能性が出てくるのではないか。投機的格付けであるS&P社のBB格、Moody’s社のBa格までにはなお距離があるが、ともにあと3ノッチの格下げで投資適格最低ゾーンのBBB格に入っていく。」とこれまた注意喚起している。 
 国債の格付けが下がり、債権が売られ、債券価格が暴落するとともに金利が暴騰する。株式も暴落し、さらなる円安が待ち受ける。
 2つのシンクタンクが同じ時期に同じ危惧を発信するのは、10年前の2015年9月16日にS&P社がAA-からA+(最高格付けのAAAに続きAA+、AA、AA-の下)に引き下げたのが最後の格下げで、その後も状態が悪化していることからいつさらなる格下げがあっても不思議ではないとの危機感から。 
 今の物価高の主因は、貿易収支の赤字ではなく、この日本財政への信頼の低下に基づく長期化する円安が問題なのだ。
 「ディマンドプルインフレ」(供給<需要によるインフレ)なら、景気がよいので税収増も期待できる。それであれば、一時的な消費税減税も有効であろう。しかし、現状は円安による輸入物価上昇の「コストプッシュインフレ」であり、一時的な消費税減税では済まない。国債格付けのさらなる低下が懸念される折消費税減税は出来るものではない。
 たとえ、食料品に限って消費税を10%→0%にしたところで、今までスーパーで1回の支出が2,200円の低所得者のメリットは200円だけ。1回の支出が2万2千円の(生活に困っていない)富裕層は2,000円のメリットを享受する。批判されるバラマキ給付と変わらないのでは。 

 今できる事は、自業自得であろうとなかろうと、憲法第25条(「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」)で保障されている、日本人としてその最低限の生活がままならない人達を救済することだ(しかし、政府は「児童手当、子供1人あたり2万円上乗せ」方針をとる。この期に及んでまたぞろ富裕層にもばら撒くという。子供はおろか結婚もできない人々を見捨てると言うのか。山上被告人の犯行に対しては旧統一教会問題に矮小化していないか。一度落ちたら貧困から抜け出せない社会に対する絶望感と憤怒も関係しているのではないか)。
 それ以外の我ら低所得者層は、政府をあてにせず自ら生活防衛するしかない。付け焼刃なもので政府の失政に免罪符を与えず、このような事態になったのは我々主権者たる国民が政府の実情に関心を持たず放置した責任もあると思うならば。恩恵を受けた富裕層より何倍も多い低所得層の有権者が政治に関心を持たず選挙のときに人気やイメージだけで安倍政権を支持してきたのであれば(適菜収氏は『日本崩壊 百の兆候』の中の池田清彦氏との対談で、「安倍政権の特徴は国民に対する丁寧な説明を行わず、社会に一定数いる“騙されやすい人間”を嘘やデマを最大限利用することで動員し、権力基盤を強化していったという構造がある」という)。 
 

 誰かに八つ当たりしたいなら、その矛先はメディアに向けたらいい。「超金融緩和」は効果がないと分っていても止めようとしなかった黒田東彦日銀総裁に対して当時敢然と反対や批判していたのは上述の木内登英審議委員と日銀出身の日本総研河村小百合女史だけではなかったか。

 それに対して、メディアは一体何をしていたのか。有能なのは政治記者にいても経済記者にはいないのか。そうではなく、皆権力を監視する第四の権力を放棄していたのか。

 2017年任期満了で木内審議委員は退任し、後はすべてイエスマンになってしまった(その中の一人が今ゾンビのごとく蘇生し無責任な発言をしているのか? それを木内氏はどう思っているのだろうか)。
 日銀には独立性が担保されている。とはいえ、政府の意向に反して独走することがあっては困るので、政策金利の変更など重要議題を協議する為の日銀政策委員会を設け木内氏のごとく外部からも人材を入れている。

 ところが、安倍政権への追従を鮮明にする黒田総裁体制の場合においては政策委員会が総裁の独裁専行を隠す、いわば隠れ蓑になってしまっている。そして責任を引き継ぐべき者たちが貧乏くじを引こうとせず、お鉢が廻ってきた経済学者の植田和男現総裁が尻ぬぐいに苦慮している。
 特殊銀行である日銀の黒田前総裁は、会社法の適用を受けることはなく叙勲も許される。だが、叙勲は植田総裁が無事に総裁を卒業した時にこそ授与されるに値する(金利を上げざるを得ない中で、パウエルFRB議長に対するトランプ大統領ほどではないにしろ高市首相からの金利抑制圧力に耐えて)。
 そして、今頃になってメディアは木内氏を経済・金融の解説に重用している。
 
 高市首相は責任ある積極財政と言いながら、プライマリーバランス(PB;社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための経費を、税収等で賄えているかどうかを示す指標)における、これまでの「単年度での黒字化」の旗を降ろし、中期的に債務残高対GDP比の引き下げを安定的に実現するという。これは明らかに改悪ではないか。何もせずとも金利上昇下国債の借り換えに対し金利の上昇分だけ借金が増える。
 健全財政のドイツの首相がそう言うなら納得できるが。

 ドイツの政府総債務残高対GDP比はなんと63.47%でしかない。国債格付けも最高ランクのAAA。 

 ドイツには、マーストリヒト条約(欧州連合条約)の安定成長協定で定められた債務上限が課せられている上に、憲法には均衡財政を想定した「債務ブレーキ」条項があるという。
 日本は、「単年度での黒字化」を標榜しても赤字になるのに、それを緩めてしまえば、放漫財政にならないか。

 GDP増大への経済対策にAIや宇宙産業など17項目を挙げている。これは「手段」ではなく「課題」の列挙に過ぎない。これから、①どの項目を優先するか、優先順位決め、②その課題に対する具体的施策を決定し、③その予算を算定する。
 財政支出は確実だが、GNPの増大は成功するか不確実。将来日の目を見ても、日本の陽が沈んでるかもしれない。その前に国債が格下げされてしまって。
 なのに、積極財政派は高を括っているとしか思えない。

 2024年12月末の家計金融資産は2,230兆円。構成比は現預金50.9%。国の借入金1,323.7兆円(国の負債)に対して同程度の預貯金(国民の債権)があるから大丈夫。いざとなれば、国の負債と国民の債権を相殺すればよいと思っているのか。
 それを容易にさせるのが「緊急事態条項」。災害対策を目的としても、「戦争」と「国家の破綻」以上の緊急事態はあるのか。緊急事態を発令すれば、徴兵制がなくとも国民皆兵を指示できる。国の債務と国民の債権を相殺できるのでは。

 実際自民と維新との連立合意文書に「緊急事態条項」が載っているという。国民投票になれば富裕層も「緊急事態条項」には反対するだろう。
 超富裕層は、最悪の事態を想定して、海外に脱出するかすでに手を打っているだろう。その下の富裕層は海外資産への逃避や貨幣価値の下落を見越して、預金や株式等の金融資産を不動産等実物資産に替えていくだろう(円安下中国投資家の需要もあり都内の新築マンションの分譲価格が上がり、どこも1億円以上とか)。

 娘の進学の為社宅から文教区、否、文京区のマンションへ移ることを考えていた長男が「とても手が出ず都内だがもっと遠方、超長期のローンで」と言う話を「そうなのか」とただ聞き置くことしかできない、無い袖は振れない私のような爺は、物価高で日増しにひも爺になっていくだけ。
  
     同志社大学名誉教授浜矩子女史はアベノミクスを「アホノミクス」と揶揄したが、実態からすれば、的外れではなかった。私はサナエノミクスを「サザエノミクス」と別称しよう。
 よもや、万が一、高市政権が短命に終わらず、しかもサナエノミクスが成功したなら、土下座はしないが、積極財政派から「バ~カ」と嗤われても甘受する。

 その方が、国民にとって良いことではあろうから。

 (次回238号は12/20アップ)

2025.12 NO.236 ーロン  VS  ーロン
 ワールドシリーズ(WS)でのドジャース連覇(MVPは山本由伸投手)をもってMLBの今シーズンの全日程が終了した。

 本号ではレギュラー・シーズンについて振り返りたい。

 MLBでアーロンと言えば、一昔前までは故ハンク・アーロン(通算755本塁打で初めて故ベーブ・ルースの大記録を抜く)。今はヤンキースのアーロン・ジャッジ選手か。

 世界でイーロンと呼べば、テック企業の雄である天才イーロン・マスク氏を思い起こす。ウーロンと言えば、ウーロン茶。なんのこっ茶。
 そのジャッジ選手は、5月頃までは、打率4割は無理にしろ三冠王になるかと思われた。私も三冠王を阻止するのは、他の選手ではなく、ケガと思っていた。しかし、突如マリナーズのカル・ローリー(Cal Raleigh:NHKはラリーと呼ぶ)捕手が本塁打王争いに名乗り出てきた。これまで昨年の34本が最高の選手なのに(スイッチヒッターで左打席で38本塁打。左打席だけ使う魚雷バットの効用か)。
 MVPを左右するOPS、fWARを見ると、ジャッジ選手は夫々1.144、10.12に対してローリー選手は0.948、9.06。

 早い段階からジャッジ選手が優位にありMVPはジャッジ選手で確実かと見られていた。が、Regular Season(RS)の終盤、何かと負担の大きい捕手でありながら60本の本塁打を放ったローリー捕手(最終的には打点王との2冠)を推す声が大きくなった(捕手によるベーブルースと並ぶ60ホーマーは大谷選手のDHでの「50-50」)と匹敵するのでは)。
 ジャッジ選手としては地区優勝を逃したのは痛かった。どちらが栄冠に輝くか分らなくなっていた。なお、ポストシーズン(PS)での早期敗退は関係ない。RS終了直前に記者投票は終わっている。発表が11/13(日本時間11/14)と遅いだけ(WS終了後に最終候補を発表するから記者投票はこれからと勘違いする人が出る)。
 一方、ナ・リーグの方は、大谷選手が3年連続4回目の満票でのMVPを受賞すると見られている。2冠王でもシュワーバー選手はDHでfWARは低いし(4.93。大谷選手は9.41)、OPSも大谷選手1.014に対し0.928。打率(0.240)も低すぎる。
  

 大谷選手は、史上初で投手が50本塁打の大台( 55本)記録した。しかも、過去5人しかいない2年連続50号を達成した(少し遅れてジャッジ選手も。2年間で111本「今季53本、昨季58本」となりトップのベーブ・ルースの「1920-21年113本」に2本差までに迫った)。
 さらに、大谷選手は、昨年史上初の「50本塁打(54)ー50盗塁(59)」を達成したが、今季の2年連続「50本塁打(55)ー20盗塁(20)」も史上初。さらに今年はこれまた史上初の「55本塁打(55本)ー55奪三振(62個)」を記録している。 
 大谷選手は得点も両リーグで1位で、55本塁打・146得点となり、「50本塁打ー140得点」としては史上7人目(ジャッジ選手は得点が137得点で140得点に届かず)。

 なお、大谷選手は6人目のA-ロッド(アレックス・ロドリゲス)選手の54本塁打・143得点の記録を18年ぶりに上回った。
 大谷選手は投手としては、リハビリ登板ながら、14先発47イニングを投げ、防御率2.87、WHIP1.04。奪三振率11.87 は、イニング数が少ないものの、サイ・ヤング賞最有力候補のパイレーツのスキーンズ投手を凌駕している。
 投手成績も加味されるfWARでは他の選手は太刀打ちできない。打者と投手両方超一流なら、大谷選手が二刀流を続けている限りMVPになってしまう(唯一対抗出来るのはジャッジ選手だが、共に名門チームの顔であり、同じリーグに戻る可能性は低い)。
 7度MVPのバリー・ボンズ氏含めてMVP殿堂を設け、今季受賞が前提であと3度計7度に到達すれば、大谷選手をMVP争いから除外する方がよい。大谷選手が6度目の受賞すればMVP殿堂を本気で検討してみてはと思う。
 

 同僚の山本由伸投手は30先発で201奪三振、防御率2.49、WHIP0.99 でドジャーズのエースとなった。今季で引退したカーショー投手は息子に自身ではなく「目標とすべきは山本投手」と言っている。
 山本投手は、打線の援護率が最低らしく(相手投手もエース級が多く打線は湿りがち)で、12勝8敗に終わるも、打線の援護がありリリーフの失敗が無ければ最低17勝はしただろう。
 山本投手は大谷選手にもっとホームランをと言っていたが、30先発の中で8本大谷選手に本塁打を打ってもらえている。なお、カーショー投手に対しては、22先発の中で12本塁打大谷選手は打っている。9月には大谷選手は10本放っているが、その内6本がカーショー投手の先発登板日(カーショー投手は深謝の念を抱いていることだろう)。

 ちなみに、解説者では、最多は、武田一浩氏の時の8本、伊東勤氏の時も8本(昨季は11本)。そして、カーショー投手最後のホームでの先発登板の折も武田解説で、大谷選手が54号放ちカーショー投手の負けを消している。162試合目の最終戦はカーショー投手と伊東解説で、大谷選手が自己最多の55号を放つ。来季カーショー投手と武田解説・伊東解説とのコンビが見られないのは残念だ。

 

 ここからは、大谷選手を取り巻く環境変化について語りたいと思う。
・家庭環境 
 昨年(2024年)の開幕の前に真美子夫人との結婚が報じられ驚いた。たしかレジェンドA・ロッド氏が「独身でないと二刀流は無理だ」と言っていた。私もストイックな大谷選手なら同じくレジェンドのジーター選手のごとく引退後結婚するのではと思っていた。
 私は大谷選手の人生設計ノートに26歳で結婚すると書かれていたことを知らなかった。3年遅れの29歳で結婚したのは不思議ではなかった。大谷選手でなくても美人で奥ゆかしい真美子夫人を見染めてしまえば誰でも直ぐにでも結婚したいと思うだろう。
 水原一平氏巨額詐取事件もあった昨季は真美子夫人に精神的にも支えられ、前人未踏の「50(本塁打)-50(盗塁)」を達成した。
 前季は打者に専念したが、今季は二刀流への復帰を目指す。その中で4月に長女が誕生した。家事・育児も積極的に関わるハズの大谷選手は独身時代の10時間ぐっすりとはいかないだろう。年齢は31歳になり、二刀流は約2年間のブランクがある。
 その影響はどうなるかと観ていたら、5月下旬から投手としてのリハビリ登板が始まると、それまで3割台を維持していた打率は5/24(米時間、以降もすべて同様)に3割を割り、途中1度3割ちょうどに戻ったが、そのあとは3割に戻ることはなかった。最終的に0.282に終わった。

 リハビリ登板の影響か大谷選手は「バッティングは今季調子がいいと思ったことはなかった」と言っていたが、それでも詰まっても本塁打にすることができるパワーと技術により3試合に1本のペースでホームランを打っていた。OPSは途中1.0を切ることがあっても、最終的に1.014とナ・リーグでは大谷選手だけが1.0台に乗せた。

 8月からは出塁がなかったのは1度だけ、9月は出場試合すべて出塁(月間打率は両月3割台)。真美子夫人の献身、愛娘、愛犬の癒しが復調の力になったことだろう。
 投手としては、2度の手術で大谷投手のフォーシームのスピードは落ちていないか心配した。
 マーリンズのサイ・ヤング賞投手アルカンタラ投手は手術・リハリビ明けの今季手術前のパフォーマンスを見せ高額移籍する野望が潰えた。11勝12敗、防御率5.36のあかんたれの成績では。同じくブレーブスの剛腕ストライダー投手は2023年20勝(5敗)、281奪三振で最多勝、最多奪三振の二冠なるも手術・リハビリ後の今季7勝14敗、防御率4.45、奪三振131に終わる。6月頃フォーシームの球速が2キロ前後落ちていると言われていた。

 しかし、大谷選手においては、2度目の手術を経て、さらに進化を遂げていた。自己最速を更新する101.7マイル(約163.7キロ)を2度投げたのを始め、力むことなく、100マイルを超える速球を小気味よく投げ、しかもコントロールも向上している。 フォーシームの平均球速と平均回転数については、下記のとおり、手術前よりも、速度も球の質も向上している。     <8/18付け Number Web>
     2023年:155.8km/h 2259rpm 
     2025年:158.0km/h 2435rpm 
    

・野球環境1(ドジャース)
 企業組織から見れば、エンゼルスは中小オーナー企業、ドジャースは大企業と言える。
 エンゼルス時代は、4人の監督に使えているが、監督たちは大谷選手の意向を最優先していた。いわばオーナーの甥っ子に接するがごとく。
 中小オーナー企業ならばこそ、マドン監督の二刀流の決断が通るし、二刀流としての開花を辛抱強く待ってくれたとも言える。そして2018年の入団から3年目にして二刀流が花開した。翌2022年には規定投球回(162イニング)に規定打席数(502打席)をク リアした完全二刀流での15勝・34本塁打の金字塔を打ち立てた。100年経っても破られない記録を。
 翌2023年3月のWBCにおいて大谷選手は先発投手及び打者として躍動し、決勝戦の最終回においてはクローザーとして登場。9回2死のクライマックスの舞台で兄貴と慕うトラウト選手を三振に打ち取り、胴上げ投手になる。そしてMVPに輝いた。 
 休む暇なく2023年のレギュラーシーズンが始まり、7/27のタイガースとのダブルヘッターで第一試合で被安打1の完封勝利。続く第2試合で2ホーマーを放つ離れ業をなした。

 しかし、好事魔多し。体が悲鳴を上げ、二刀流は実質2年間不可能となった。
 2024年ドジャースに移って大谷選手は、エンゼルスと違う組織風土に順応している。
 監督とは親しい関係にはあるが、指示には従っている。監督は褒めるだけではなく、大 谷選手であろうと問題があれば指摘する。監督に従わなければ、先輩格のベッツ選手 やフリーマン選手が黙っていない。

  9/16のフィリーズ戦で、大谷は先発し5回までノーノ―で降りた。まだ68球 で6回も投げられたが(解説者も投げるべきと言ったが)。監督から交代と 言われて、素直に応じている。

 最終盤シュワーバー選手とホームラン王争いの最中俄か大谷ファンの元テレ朝社員玉川徹氏を初め日本人ファンはラス前の161試合目で大谷選手が休むと聞いて驚いた。監督から休養は?と聞かれると監督の思うようにと返事したという。

 2026年3月にまたWBCがあるが、エンゼルスは認めたが、同じ轍を踏みたくない(PSでの登板も勘案すれば)ドジャースは認めないのでは。二刀流としてはリハビリ明けであり、3度目の手術がないのならできるだけ長く投手生命を維持させる為にも。それに大谷選手も従うと思う(来季の目標にはWS最終戦でのスリーラン被弾降板のリベンジもあるか。2026年WSではチャンピオンリングを渇望するジャッジ選手を擁するヤンキースとの再戦が見たいところだ)。
   
 2025年大谷投手が二刀流に戻ったが、ドジャーズでは、エンゼルス時代の「なおエ」とは無縁と思った。だが、そうではなかった。
 9/5のロードでのオリオールズ戦、グラスノー選手に代わって、体調が悪い中急遽先発に回り、3回2/3を零点に抑えた。大谷選手の美談で終わるところであったが、クローザーとして失敗が続くスコット投手がさよならホームランを打たれしまった。
 まさかドジャースに「なおド」が起きるとは。孤軍奮闘する大谷選手は孤高の中でイライラする運命にあるのか。翌朝山本由伸投手が登板する前に、そう下書きしていた。
 そして、数時間後山本投手は快投をみせノーヒット・ノーランの達成が近づいた時、達成できれば嫌なムードを吹き飛ばしチームの心が一つになると期待した。
 しかし、9回2死あと一人になったのだが、なんとホームランを打たれてしまう。代わったトライネン投手は、まさかの登板とはいえ、あと1つのOUTがとれず、1点差、満塁にしてマウンドを降りた。何という巡り合わせかまたスコット投手がヒット打たれ、逆転サヨナラ負けに終わる(山本投手はスコット投手のクローザー失敗で4勝?も失う羽目に)。
 最悪の「なおド」になるとは。しかし、それが最後ではなく、最悪は続く。上述の9/16のフィリーズ戦で大谷選手は5回ノーノ―で4-0で勝利投手の権利を持ち降板したが6回にすぐ逆転される。8回先頭打者の大谷選手がホームランを放ち、同点への口火を切り同点に持ち込んだが、最終回トライネン投手がスリーランを打たれTHE END 。
 9/23の大谷投手レギュラーシーズン最終登板においても6回を無失点で勝ち投手の権利を持って降板するも9回1点差でスコット投手がクローザーとして登板。嫌な予感通りサヨナラ負け(PSにおいては佐々木朗希投手がクローザーとして獅子奮迅の活躍をしたが)。
 監督の継投策が批判に晒されたが、ファンをいらだたせる起用の4人の内トライネン投手を使い続けたのは過去の貢献に囚われた監督の意思と言えるだろう。

 今季を通じて不調の、コンフォート野手、スコット投手、イェイツ投手の3人を使い続けたのは監督の意思とは思えない。この3人はフリードマン編成本部長が昨年オフに獲得したもの。監督が不可解に使い続けたのは、編成本部長の意向に沿わなければならないのか。契約上出場機会を義務付けされてしまっている為か。

 どちらにしろ、采配への批判に対して本音を吐露できないとしても、大谷選手の批判は口にするので、「采配ミスは反省しないのか、解任すべき!」とファンを激怒させてしまう。

 名門チームの監督でさえ、上層部とメディア・ファンとの板挟みに煩悶する中間管理職に過ぎないのか。大企業ならではの側面を垣間見た気がする。
  
・野球環境2(パドレス) 
 メジャーリーグでも日本野球でも投手が打席に立った場合インコースに厳しい球を投げない暗黙の了解ある。とくに大谷選手には当ててケガでもされたら世界中のファンから批判され自身の野球人生が終わってしまうと緊張する。

 しかし、それでは二刀流で打者としても超一流の大谷選手を打ち取ることが出来ない。インコースに投げるつもりが、手元が狂いデッドボール(死球)になることがある。が、故意でなければ責められない。
 しかし、6/16~の4連戦において地区ライバルであるパドレスの投手から大谷選手は二度の死球を受けた。
  一度目は6/17の3回裏バスケス投手から放たれた150キロのストレートが右太股に。TV番組で元巨人捕手のデーブ大久保氏は「投手が大谷選手にストライクを投げた」と言っていた。引っかかったら地面近くにボールが行く、故意と断言していた。
 二度目は6/19の9回裏2アウト・ランナー3塁・バッター大谷選手で、ノースリー(No Strikes Three Ball )からスワレス投手が投げた160キロの直球が大谷選手の右肩下に当たった。当試合は警告試合で投げたスワレス投手は即退場となった。
 大谷選手は、痛みに耐えながら、乱闘を防ぐため自軍の選手が飛び出して来るのを制した。

 だからといって、大谷選手は黙ってはいなかった。試合後マルドナード捕手のインスタグラムのフォローを外した。それ以降シルト監督には第1打席に相手監督へ挨拶するルーチンを大谷選手は一度も見せていない。シルト監督は全30チーム監督の中で唯一大谷選手から挨拶されない監督になった。
 MLB本部も激怒したのではないか。NBAに圧され人気が翳って来たところ二刀流でベースボール人気を取り戻してくれる大谷選手の投手生命を奪おうとしたのかと。水面下ではパドレスにきついお仕置きをしたのではないか。

 PS敗退後シルト監督があと2年の契約を残して電撃辞任(解任か?)したのは、表向きの事情もあろうが、死球騒動も無関係ではないだろう。
 その警告試合後始めての(ホーム)ドジャーズ対パドレス戦(8/15~の三連戦)にてマルドナード捕手の姿はなく大谷選手と対峙することはなかった。戦力外となっていた。
 大谷選手に危険球をとスワレス投手に指示した39歳の捕手を拾うチームはない。結局パドレスのファームに出戻った。が、護ってくれるシルト監督が辞任した後マルドナード捕手は引退表明した。
 シルト監督、マルドナード捕手からの指示と見られるとはいえ危険球を投げ投手生命を奪ったかもしれないクローザーのスワレス投手に対して大谷選手はオールスターの折肩が痛いふりして自らスワレス投手に近づき笑顔でハグした。スワレス投手は、許してくれるのかと喜ぶとともに、右肩に剛速球を投げつけたことをつくづく後悔していることだろう。
 8/24アウェーでのパドレス戦の最終回ホームランを放った大谷選手がハイタッチで待ち受けるロバーツ監督をスルーし、ドジャース側ベンチに隣接する席からずっとヤジを飛ばしていたパドレスファンに笑顔でハイタッチしたことも併せ、自然に神対応できる大谷選手はMLBの顔にふさわしい。

・外部環境1(ESPN)
 2024年の東京での開幕戦においてスポーツ専門局ESPNの報道を契機に大谷選手の通訳水原一平氏が大谷選手の銀行口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が野球賭博の胴元へ送金されたとして、水原氏の詐取事件が表面化した。
 大谷選手は無関係であるハズないとの声も上がり我ら大谷ファンを心配させた。
 捜査当局は内偵により大谷選手をシロとの確証を得ていたが、賭博事件の黒幕を突き止めるべく水原氏を泳がせていた。ESPNの報道がなければ、水原氏の詐取は 約1,700万ドル(約26億4200万円)に止まらなかっただろう。その時点ではESPNに大谷選手への悪意はないと感じていた。
 だが、今年の7/20「米スポーツ界のアカデミー賞」とも称される年間表彰式「ESP Y賞」をESPNが開催。野球界では大谷翔平が「ベストMLB選手」として5年連続で選出された。

 そのおめでたい式典の中で欠席した大谷選手のことをMCでコメディアンのシェーン・ギリス氏は「今夜、ショウヘイ・オオタニはここに来られませんでした。」「まぁ、あの通訳が彼がここに来ると賭けてなかったことを願うよ。とにかくショウヘイは一世代に一度の才能だ。投手、打者、そして……ブックメーカーとしてもね(笑)。彼が達成したことを成し遂げた人間は他に誰もない」と揶揄したという。
 MCが何を喋るかESPN側が事前に把握して了解していたハズ。把握していなければ、ESPNは驚きあわてて大谷選手側に謝罪するものではないか。
 謝るどころか、8/17には、メッツとマリナーズの一戦とともに同日にペンシルベニア州で開幕したリトルリーグ・クラシックにオーストラリア代表で出場しているモニカ・アルキ選手のインタビューを二元生中継した。そこで彼女は、ある時大谷選手のホームランボールを彼女の弟が手にしたと言い「翌日、私たちは最前列のVIPボックスへ行き、オオタニにサインをお願いしました。でも、彼は横目でチラリと見るだけで、好意的な視線は向けてくれませんでした。それ以来、私は彼を好きになったことはないです。彼はあまり謙虚ではありませんでしたし、あれは私のスタイルではありません」 と言ったという。
 リトルリーグ・クラシックの対象年齢は通常9歳~12歳ではないのか。普通悲しかったと言うぐらいでは。日本語への翻訳が適切だとすると「謙虚ではない」は上の者が目下の者に言う言葉で違和感がある。予め発言内容についてサジェスチョンがあったと見るべきではないか。
 大谷選手に悪意があるのでは。穿ち過ぎだろうか。否、そう言えば、水原詐取事件もESPNは大谷選手に直接取材していなかったと思い起こした。

 ESPNは、全社的ではないにしろ、大谷選手に悪意があると思うに至った。米国の国技である野球界の顔がアジア人ではとの差別意識があるとまでは言うつもりはないが。
 
・外部環境2(代理人)
 大谷選手が広告塔になってPRしていたとも言われる、不動産投資家2人から訴えられたハワイ不動産問題について記者から問われ、大谷選手は「フィールドに集中したい」と答えた。それは、記者にではなく、大谷選手を広告塔に仕立てる代理人のネズ・バレロ氏に言うべきではないか。
 水原一平氏の問題も代理人が対処できていなかった。エンゼルス時代も暗号資産(仮想通貨)交換所大手のFTXの経営破綻で被害を受けた投資家らが集団訴訟を起こされ、大谷選手や大坂なおみ選手も対象となっていた。
 メディアにとって、大谷選手が犯罪容疑に該当しなくても、スキャンダルとして話題になれば、それでよい。

 大谷選手はMLBの顔であり、その彼が度々スキャンダルに晒されるのは避けなければならない立場。もう一人の顔ジャッジ選手には野球における打席での不正疑惑(目だけを自軍ベンチに向けるサイン盗み疑惑)が取り沙汰されたことがあるも野球外でのスキャンダルはないのでは。
 大谷選手を利用しひと儲けしたい者は山ほどいる。私に言わせれば、代理人バレロ氏も同じ。水原氏のような悪意はないにしろ。韓国の歴代大統領も、家族や親戚に足を引っ張られている(そんなことをしない大谷選手のご両親や兄弟たちは例外。ならばこそ大谷選手という稀有な存在が生まれる)。
 大谷選手が他人を信頼してしまうのは、悪いこととは言えないが、水原氏の一件で社会常識が欠けていると思うファンを心配させてはいけない。子供達の夢を穢してはいけない。
 一般論として、大きな不動産は権利関係が込み入り、怖い人達が介在しやすい。そんなものに大谷選手は関与するべきではない。「君子危うきに近寄らず」を肝に銘じてほしい。
 まだ水原詐取事件を疑う、大谷選手に嫉妬する米国のアンチ達なら、グラウンド外でまたスキャンダルがあれば、大谷選手が「アフルエンザ」に罹ったと筋違いに囃し立てるかもしれない。
 それは「アフルエント(affluent)」と「インフルエンザ(influenza)」の合成語で、いわゆる「金持ち病」。10年1,000億円の年俸がほとんど後払いにしても年間150億円のCM収入を得るセレブになった大谷選手はそれに飽き足らずもっと富を得たいのかと揶揄されるかもしれない。 
 よりフィールドに専念し、現役の間はサイドビジネスに手を出さず(本人にそんな気はないだろうが)、副収入は、日本大手企業や世界的著名企業のCM収入(私はグラウンドで躍動する大谷選手が観たいだけで多くのCMに登場する大谷選手を観たいと思わないが)に限る。そうバレル氏に大谷選手は申し渡すべきだと思う。
 エンゼルス時代、拝金主義と縁のない大谷選手は実績に見合わない年俸に過ぎないのに自身のことはさておき(裏で何をしているかも知らず)通訳の水原氏の報酬を上げてと申し入れしていた。信頼しお世話なっていると思うバレロ氏にもっと報酬をと思っているだけに違いないが、その善意がアダになる前に。    

 大谷選手のMLBでの人生を四季に例えるなら、「春」(2018年~2021年)は二刀流が開花するまで。「夏」(2022~ )は

二刀流が確立され、2923年WBCで優勝しMVPを獲得した。2024年はドジャースをワールドチャンピオンに導いた。

 しかし、今季エンゼルス時代よりは二刀流に耐えられる体力が落ちているのかと思った上PSでの不調を見て「今は秋の訪れを告げるツクツクボウシが鳴く頃か」と訝しんだ。

 だが、10/17のナ・リーグ優勝決定の最終戦10奪三振・3ホーマーの偉業を観た後では、晩夏ではなくまだ盛夏だと思い直した。

   「ニューズデー紙」は「GOAT」(Greatest Of All Time=史上最高)と大谷選手を掛け合わせた造語「GOATANI」をタイトルをつけて報じた。それで、思いついた。 故Chuck Berryのスタンダード・ナンバー『Johnny B. Goode 』( ジョニー B. グッド)の中の歌詞「Go Johnny go go」はゴータニゴーゴーと聞こえる時がある。軽快なこの曲をGOATANIこと大谷選手の登場曲にしてはどうか。「GOATANI go go !!」

 ともあれ、早晩大谷選手にも秋が到来する。体力の低下、動体視力の衰えに加え冷たい風も吹いてくる。大谷ルールへの異議、WSにおける審判団の二刀流大谷選手への時間的配慮に対する不満等監督・選手の大谷選手への見方が羨望から“オオタニ疲れ”を通り越して敵対視・嫉妬に変わる予兆も出てきた(WS連覇したのであればなおさらに)。

 日本の四季のように秋が短くなるのか、それとも、いつもながら常識を覆し、長い実りの秋になるのか。

 人生が冬入りしている爺の私は大谷選手の秋の行く末を見届けたいと思っているのだが。果たして。

(次回237号は12/1アップ予定)

2025.11 臨時号NO.235 ろう VS ろう
 歌舞伎を題材にした映画『国宝』が空前のヒットとなった。来年3月開催の2026年度日本アカデミー賞においては、誰に聞いても一番手に『国宝』を挙げるのではないか。最優秀主演男優賞は吉沢亮氏で最優秀助演男優賞は横浜流星氏(前年度『正体』にて最優秀主演男優賞受賞)で決まりと思う人も多いのではないか。
 歌舞伎役者が子供の頃からの厳しい修行を経て会得した所作を俳優が2年足らずで習得するのは並大抵の努力では成しえないが、それに立ち向かう執念みたいなものを映画の中で感じ取った。
 白塗りの女形姿の役に二人が選ばれたのは、どちらもイケメンで似合っているからであろう。が、より彫が深い顔立ちの横浜氏より吉沢氏の方が女形に向いているとは思った。
 私は銀行の支店長をしているとき白塗りになったことがある。銀行の周年記念運動会で地区の支店長と一緒にタカラジェンヌの仮装をしたが、白塗りにすれば誰でもそれなりになると思っていたが、そうでないことを理解した。土台が良くなくては様にならない。
 血筋が何よりもモノを言う歌舞伎界で、横浜氏扮する俊介は門閥の御曹司でありながら父親から後継者とみなされないと苦悩する。吉沢氏が演じる喜久雄は悪魔に魂を売ってまで芸に精進するも血筋がなく後ろ盾が無くなれば役が廻ってこないことに懊悩する。兄弟のごとく育ってきた二人が互いに嫉妬し葛藤していく。
 歌舞伎界では、親子が師匠と弟子となり厳しい修行が行われる。それでも名跡にふさわしい芸に達しなければ親からも贔屓筋からも世襲が認められる訳ではない。
 歌舞伎界と比較される政界でこそ親から厳しい指導が必要であるが、選挙地元ではなく東京でボンボンと育ち、親から厳しくしつけられているとも見えない。子に厳しく躾する政治家もいようが、当たり前のことはメディアから流れてこないから、悪い見本しか我々庶民は知る由もない。
 人類は、「種」の存続において、1000歳の天才アインシュタインを、彼の一族に託すことを、望まない。「天才は天才を生まない」ようになっているとしか。「鳶が鷹を生む」(凡才から秀才が。なお、我ら凡才から天才は生まれない。生まれたらそれは突然変異)という諺があっても「鷹が鳶を生む」が諺にないのはそれが当たり前だから。(故水谷八重子の娘

好重・2代目八重子さんの好例はあるも)世紀の美人女優の、故原節子、若尾文子さん、吉永小百合さんに娘さんがいないことに残念がる声が上がらないのは、天才から天才は生まれないことを我々は理解しているからではないか。
 天才大谷翔平選手に娘さんが誕生した。夫妻は男の子も望んでいることだろう。しかし、生まれてくる男の子は大変だ。天才故長嶋茂雄の長男一茂氏は、絶えず父親と比較され、また子供の頃から父に群がる大人のいやらしさを見せつけられ(子供心に人間不信が芽生えるか)、TVでのキャラと違い私生活では苦悩し続けた人生とお見受するが。
 天才が天才を生まないとしたら、政治家の世襲により才能の減化(減価率20%と想定)をみると、初代→2代(1×0.8)→3代(0.8×0.8=0.64)→4代(0.64×0.8=0.512)。初代の政治家が有能だとしても4代目の曾孫の代で能力は半減してしまう。
 現実の世界はこんな単純な話ではないが、政治家の4代目をみていると案外そんなものかと思ってしまう。

 世襲は人類の「種」存続の摂理に反するものと言え、日本の進むべき道を導く首相が世襲という狭い枠の中から選ばれることは避けなければならない(鰻やすっぽんの名店の一子相伝とは訳が違う)。
 ドイツ移民三世のトランプ大統領を反面教師とするなら、日本の政治家に求められる資質は一に知性、二に教養(歴史観)、三に公共性(倫理観、私欲の抑制)、四に人望。とくにトップの首相となれば、知性と教養は欠かせない。
 今回の自民党総裁選にて、決戦投票に高市氏と小泉氏とが進出した。大方の予想どおり「(心配で)総理・総裁になっては困る人」同士の競いであり、世襲VS非世襲の争いでもある。そして前評判は進次郎優位であった。その時『自民党の大罪』(祥伝社新書)の中で著者の適菜収氏が小泉進次郎氏のことを「政治資金も下半身も管理できない男が『将来の総理候補』って悪い冗談である」と書いていたことを思い出した。冗談で済まなくなった(総理になったとき適菜氏はどんなコメントをするのかと頭によぎった)。
 民間のオーナー系でない大企業ではこんなことは起きない。私には“永田町村”の住民が大半賢い人達と思うだけに理解できない。過去私が賢者と思しき総理候補として挙げていた、上川陽子氏が指示に従い?進次郎氏支持を表明し、齋藤健氏が進次郎氏を神輿に担いだことに、失望した。
 進次郎氏が優位と予想したオールドメディアや政治評論家も、ステマ問題もスルーし歓迎している風であり(私は違和感を感じていた)、だからこそ読み間違えたのではないか。
 しかし、世襲議員の進次郎氏は敗北した。勝者はだれか。世襲議員のドン・麻生自民党最高顧問(現副総裁)。
 麻生氏の今総裁選の目的は、福岡権力闘争の仇敵古賀誠元宏池会会長をバックとする林芳正政権誕生を阻止することだと思う(林政権が誕生すれば、公認を与えられず地盤を長男に世襲することをつぶされると危惧したか)。

 進次郎氏を麻生氏が推していると見えたのは、進次郎氏を評価しているのではなく、進次郎氏が辞退するなり支持が減るなりして林氏が2位となり決戦投票に進出することを阻止する為ではないか(実際古賀氏が進次郎氏の後見人菅義偉元首相に辞退を働きかけたが断られたという)。
 1回目の投票で麻生氏の真の目的は達成された。そして、

林候補以外の候補に、推薦人、1回目投票をばらまき恩を売ったことが決勝投票に生きてくる。また、決戦投票前に高市支持を指示するのに党員・党友票の一番多かった候補へと言ったのは上手かった。
 党員・党友票の内訳は保守・高市氏25万931票、穏健保守の進次郎氏17万9130票、同林氏13万888票、穏健保守の合計は31万18票で保守高市氏の票を上回っている。が、穏健保守の間で票の奪いしていたら、高市氏が一番となってしまう。

 本ブログ前号で私は自身の利害で総裁選を考える麻生氏を「老害」扱いしたが、手練手管を弄し、キングメーカーに返り咲いた、その「老獪」さは、見事と言う他はない(キングメーカーとしての我が世の春をもう少し謳歌すべく長男への世襲は先延ばしか)。

 ただ、自民党、ひいては国民にとって麻生氏が有益かどうかは怪しい。26年間“雪駄の雪”と揶揄されても夫婦関係(連立)を維持してきた公明党は政治とカネの問題では関係ないのに自民党に連座しクリーンな政党とのイメージを損ない国民の支持を減らした。もう離婚するか思案していたところ、(公明党を毛嫌いする)麻生副総裁ー(彼女は困ると自民党に伝えていた)高市総裁体制が誕生したことにより、吹っ切れたか。

 親からの指示もあり、国交大臣ポストも捨てる、割の合わない選挙協力もしないと、熟年離婚を妻から申し出た。

 本当の熟年離婚夫婦は「夫が未練タラタラ、妻が吹っ切れサバサバ」の関係が少なくない。

 自民党としては、冷静になれば、公明党の選挙協力なしでは落選する議員が多く出ると理解する。復縁は無理にしても選挙協力だけは何とかと頭を下げるところではあるが。
 高市総理実現のため(全国区でなく選挙協力が期待しえない。いずれ使い捨て?の)維新と組むという。そして維新が求める「議員定員削減」は衆院比例代表で行うのか。

 また神経を逆なでされた(比例代表主体の)公明党は、離縁しても選挙協力はしないだけで邪魔はするまいと思っていたが、来る衆院選では自民党候補の対抗馬に選挙協力するかもしれない。自民党候補ボギー、対抗馬パーが、自民党候補ボギー、対抗馬バーディとさらに差が開く恐れがある。

 一方、立憲民主党から担がれそうになった国民民主党の玉木雄一郎党首は、記者等から問われる毎に冒頭「私には総理になる覚悟はある」と言わずもがなのことを言っていた。

 I am prepared to become Prime Minister,but・・・なのだ。

 維新に恨み節だが、自身が一番大事なナルシストに見える玉木氏は、目立つことはウエルカムも、自民とは支持母体・連合との関係があり、野党との数合わせの野合政権では祭り上げられていつ梯子を外されるかもと、前々から現状では総理になれそうもないと自身が置かれた立場をよく理解していたと思う。未熟さを直視せず誤魔化すばかりで、ホイホイと神輿に乗っかると見える進次郎氏とは出来が違う。

 進次郎氏を担ぐ有力議員達は、高市氏を選択しないことはいいとしても、進次郎氏のことを、国のことを、真摯に考えているのか。冷や飯を喰いながらよく自省してもらいたい。

 あるいは、進次郎氏と接点のない私が誤解しているなら、担ぐ政治家は進次郎氏が人気だけではなくなぜ国のトップとしてふさわしいか国民にもっと説明すべきではなかろうか。

 

 維新の協力(当面閣外協力)を得て、高市総理が誕生し、高市政権が発足しても、麻生氏の傀儡政権になる恐れがある。

 ミスタ―財務相(第17代~第20代)の麻生副総裁とその義弟で幹事長鈴木俊一元財務相(第21代、第22代)の下で、果たして望む積極財政ができるのか。防衛力強化も思うようにできるのか。随分前だが私が社団に居た頃に知る高市氏は今とは違っていたと思う。師匠と仰ぐ安倍首相のマネをしているとしか私には思えない。タカ派等の支持を得るために。

 アベノミクスのようなことを目指しても8年に亘る安倍首相-黒田日銀総裁体制にて国家財政を大幅悪化させた後では。

 思うようにいかず、あげく「総裁選において私は穏健保守と言っていた」と逃げるなら、保守派は離れていくだろう。

 さらに、政治とカネの問題も手がつけられないなら、保守派だけではなく、人心が離れていく(維新が一番厳しい「禁止」を掲げていた「企業・団体献金の禁止」を公明党を含め野党が結集すれば実現するのに、自民と組むとなると、組む絶対条件を「議員定数の削減」に変えた、節操なき維新も)。

 初の女性総理誕生を謳い文句による早期の衆院解散・総選挙もできなくなった。一小選挙区あたり2万票前後あると言われる公明党の選挙協力で当選した自民党議員は真っ青だろう。高市政権も短命に終わるかも。

 

 国民の民意の縮図と言える党員・党友の声を反映して石破総理総裁が誕生し案の定1年という短命に終わった。それに懲りず党員・党友の声を聞いて高市総裁を誕生させた。

 党員・党友の希望を優先するなら、党員・党友による直接選挙をすればいいだけのことだ。

 内閣総理大臣は(通常自民党総裁が総理になるが)国会議員の中から国会議員が選ぶ「間接選挙」(国民から信託された国会議員が総理を選ぶ。その総理を評価し支持するかは総選挙で意思表示する。主権者たる国民の正式な民意として)。

 民主主義(多数決)は民度が一定を前提としている。だが、現実には民度の高い層<民度の低い層。矛盾がある上にしかも米国や韓国に較べ私も含め政治的民度が低い(家族で政治談義に花を咲かせる家庭がどれだけいるか)日本は、直接選挙はすべきではない。 

 派閥を悪として廃止してしまうと、「自身の政治家としての将来ではなく、国の将来を考えて選ぶべし」と指示する真面な領袖もいなくなる。国会議員が国民の人気評に迎合するなら所詮国民の縮図に過ぎない。間接選挙の意味がなくなる。

 間接選挙が正常に機能しているなら、今回の決選投票が高市氏vs小泉氏になることはないと思う。
 党員・党友の総裁選の参画のあり方は見直した方がよい。 

 

 また、世襲議員の問題においては、親の躾姿勢、地元後援会の応援姿勢(既得権が確保出来れば世襲議員の資質は問わない)を鑑みれば、議員の世襲が悪とは決めつけられないとしても(世襲議員に限らないが)政治家に足らない議員候補を排除する手立てが必要では。
 国家権力側にある国家官僚、裁判官・検事も国家公務員試験や司法試験の国家資格を有している。政治家も、国家公務員であるが、選挙民の審判の受けるからか国家資格を免除された状態。
 参議院議員はともかく、代議士と呼ばれる衆議院議員には国家資格の代議士試験(国家公務員試験、司法試験及びそれに準ずる国家資格者はペーパーテスト免除)を設けては。一つの方策ではないか。
 (次回236号は11/10アップ予定)

2025.11 NO.234 モテ VS  モテ 
 石破首相の退陣表明を受けて自民党臨時総裁選が3日後の10/4に行われる。
 石破首相は参院選の惨敗を受けて即退陣表明をするかと思われたが、あにはからんや続投したいと言い出した。同じ立場にあった先輩首相から国民から批判の矢を向けられてるところに後ろから銃口を向けた(退陣を迫った)と恨みを買ってる身なのに。そして自民党が混乱した。
 政治家は、武士の末裔だと私はそう思っている。徳川家康が全国統一を果たし天下太平の世に変わって、武士は、戦闘士ではなくなり、いわば政治家になった。

 しかし、武士道精神は忘れず自らを厳しく律していた。問題が起これは潔く責任をとり切腹した。見苦しいマネは末代までの家の恥として決してしなかった。
 石破首相は、世間を騒がせる県知事や市長に身の処し方の範を示すところであったが、県知事や市長でもしないようなマネをした。総裁選の前倒し要求には、記名式、議員本人による届け出、それも時間を限定しメディアのカメラの前を通らせるとして、要求が過半数に至らないように画策した。

 それでも総裁選の前倒し阻止が難しいとなるや大義のない衆院解散を口にするに及びこれ以上見苦しい切腹逃れをするなら打ち首にすべきとの声が高まるに至ってようやく石破首相は自刃(退陣)した。
  メディアも変だ。先に劣化?したメディアが世界に誇る日本民族の劣化を助長させるつもりなのか。

 大企業もトップに問題が無くても社員が大不祥事を起こせば、引責辞任する。何も武士の話まで持ち出さなくても、大きな問題が起きれば、トップが責任を取るのは世界共通で議論の余地はない。
 直近の参院選の投票者数6061万人の投票結果が自民党及び総理・総裁に対する正式な「民意」である。
 自民党の問題がとくに安倍政権時代にあったとはいえ、その改革を非主流の石破氏ならと期待したが期待はずれ。さらに衆院選、都議選と併せて3連敗。しかも、衆院、参院とも少数与党に転落したのは、「裏金議員にも実質2,000万円支給」とかトップの失敗であるなら辞任にしかありえない。
 メディアは、「無用な混乱により政治の空白を作るな!」と批判すべきところなのに、石破首相は辞めなくてよいような世情を醸成させるかのごとき動きを見せる。
 たかだか1,000人くらいの「石破首相は辞めないといけないのか」とのニュアンスのアンケートでは、「辞めなくてよい」との答えは増えてきてもおかしくない。
 あるネット民が「左派系メディアは石破政権の続投を後押しする為に世論調査と称した世論誘導を繰り広げている感じがします。左派系メディアとしては必ずしも石破政権を支持している訳ではないと思いますが、総裁選が前倒しされた場合、候補者の中に左派系メディアとして絶対に総裁になってほしくない人物が含まれるからなのではないかと思います。引き続き左派系メディアの報道を注視したいです。」と投稿していた。一つの見識だと思う。

 自民党も、この期に及んでも、危機意識がない。臨時総裁選は簡易型でよいのにフルスペック型でやるという。1年前の任期満了によるフルスペック型での総裁選は、人気は高いが、国会議員に嫌われている石破茂議員と高市早苗議員の決戦投票となり石破候補の方がまだましと選ばれた。結果はこのざま。国民がなぜ石破首相が嫌われているかを理解しただけ。
 自民党がすべきことは、人気の高い議員で看板を替えることではなく、自民党を日本を抜本的に改革する期待がもてる総裁を選ぶこと。国民もそれを期待している。
 なのに、フルスペック型にしたのは、自民離れの中党員・党友に阿る意味があるとともに10/4の総裁選まで自民党に国民の眼が注がれることのねらいであろう。これで解党的出直しと言えるのか。
 日本は国のトップを決めるのに直接国民に選ばせる「直接選挙」ではなく、国民の代表である国会議員の中から国会議員が総理を選ぶ「間接選挙」となっている。
 しかし、実際には、これまでほとんど自民党総裁=内閣総理大臣。今回においても自民党が少数与党に転落しても野党がバラバラで自民党の新総裁が総理になると見られている。
 本来自民党の総裁を選ぶのにどんな方式だろうと自民党の勝手ではある。が、国のトップ・総理も実質選ぶことになるなら、間接選挙の趣旨に合致している必要があると思う。
 総裁選に党員・党友を参加させるのはどうなのか。私に言わせれば「党友」は自民党のファンクラブ会員に過ぎないのに「総裁選への参画」という特典が与えられている。AKB選抜総選挙の投票権じゃあるまいに。
 党員の中には、一部60歳以上の真剣に自民党のあり方を考えている党員もいようが、毎年末まで自民国会議員1人に1,000人以上の党員を確保するノルマが科せられているのであれば、党友と変わらない党員も多いのではないか。 
 党員・党友による投票は、日本人は優秀であるが私を含めて政治的民度が低い中で形成される世論(メディアによる詳細不明の調査)の縮図と見るべきでは。
  今まで、2012年9月の総裁選にて石破VS安倍の総裁選のように1回目国民から人気の高い石破氏が1位になったものを2回目の決選投票で2位の安倍氏が3位の石原伸晃氏らの票を得て安倍氏が総裁になったように、2回目に逆転させてきた。

 しかし、前回のように国民から人気が高くても国会議員に嫌われている者同士が1位と2位を占めることが起こりうる。2回目は消極的選択になってしまう。
 私は前回の総裁選の結果を受けて本ブログ2024年11月号NO.216(オバタリアンVSリバタリアン)にて現行の総裁選の問題点を指摘し、総裁選のあり方について改善案を提示した。 

 自民党総裁選を本選に進む候補を決める予備選(直接選挙)と総裁を選ぶ本選(間接選挙)の二つに分ける。
 予備選は党員・党友も参加させることにする。本選では予備選(前回立候補者9名)の1位~5位までの候補者の中から「国会議員だけ」で投票させる。過半数に達する候補者がいない時は上位2名の決戦投票とする。
 なお、今回のように5名前後の立候補が普通だとすれば、4人以下の立候補の場合、予備選は実施せず、国会議員による本戦のみとすればよいのではないか。

 ともあれ、今回総裁選に5名の候補が立った。出馬会見順に挙げると、小林鷹之氏 、茂木敏充氏、林芳正氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏となる。
 私は、責任感、決断力は皆同じとの前提に立ち、総理・総裁に必要な主要4要件を挙げ下記の通り5人の候補者を評点の高い順に並べてみた。
  評点(10点満点)=①知性4点+②教養(歴史観)3点+

         ③主要ポスト歴任2点+④人望1点
  ・林氏10点①知性○+②教養○+③主要ポスト歴任○+

       ④人望○
  ・茂木氏9点①知性○+②教養○+③主要ポスト歴任○+

       ④人望× 
  ・小林氏8点①知性○+②教養○+③主要ポスト歴任×+

       ④人望○
  ・高市氏7点①知性○+②教養○+③主要ポスト歴任×+

       ④人望×
  ・小泉氏1点①知性×+②教養×+③主要ポスト歴任×+

       ④人望○
 小泉氏の評点が酷く、支持者は激怒するかも知れないが、各項目all or nothingなので、そうなる。実際はこれほど酷くないと申し添えて起きたい。 
 私自身は、今度の総裁選は秀才エリート林氏と天才肌茂木氏との決戦投票になることを期待している。
 とくに今回は茂木氏が総裁になるのが良いと思う。厳しい国家財政の中での目先の消費税減税等では物価対策になっても、日本経済は浮上しない(与野党とも、新しいケーキを開発もせず物価高の中赤字覚悟で値下げして顧客に媚びる、そんな売上が不振なケーキ店の店主みたい。長続きしないし、そんなことで顧客も買わない)。
 難しい経済の浮揚は茂木氏に一番可能性を感じる。トランプ大統領への対応も、大統領からタフネゴシエーターと評価されている茂木氏が最適。
 「平時の林、非常時の茂木」と言える。茂木氏が日本機(経済)をtake offさせ、シートベルト着用ランプが消え安定飛行に入れば、林氏が操縦席に座るのが良いと思っている(その林氏は討論会「ひろゆきと語る夜」で「自分以外に、この人が総理大臣になってほしいと思う人を指さしてもらいたい」とひろゆき氏から無茶振りがあり、林氏だけがそれに応え茂木氏に指さしている)。
 茂木氏はyou tube で知名度を上げ、議員間でも人望を高める努力をしている。が、モテ期までには至らず総理になれない場合においても、茂木氏を外務大臣に登用し、経済もカバーすべく副総理として処遇すべきだ。誰が新総理になってもそうすべきだと考える。
 今回のフルスペックの総裁選で危惧するのは、決選投票で高市氏と小泉氏の二人の争いになること。私からすれば、また消極的選択となる。違いは、前回の「嫌われ者同士」から「(心配で)総理・総裁になっては困る者同士」になること。
 ただ、政治評論家の意見などによれば、今回高市氏が1回目投票にてに多くの党員・党友票を得て仮に一位になっても候補5人では過半数はとれない。決戦投票では2位と3位の連合軍に勝てる見込みは低いと見られているようだ。
 同じ保守の小林サイドは高市氏に投票しないハズ。岸田サイド、茂木サイドも入れないだろう。頼みの旧安倍サイドは半減し、それも高市氏に反感を持つ議員もいる。
 注目の石破サイドは前回決戦投票後ノーサイドと党の要職を高市氏に打診するも蹴られ挙党体制を打ち出せず恨みを抱えているという。麻生派は今回勝ち馬に乗る。推薦人を林氏を除く4候補にばら撒いている。前回は麻生氏が石破氏を蛇蝎の如く嫌っており高市氏に投票しただけと見られている。
 連立を組む公明党も高市氏を歓迎していない。
 どうも小泉総理・総裁が誕生しそうな雲行きではある。国民が本当にそれを望むなら、天才宰相故田中角栄でさえ、王道である、幹事長、大蔵(現財務)大臣、通産(現経産)大臣等を歴任した。小泉氏も同じ道を歩ませるべきだと思う。
 44歳の小泉氏本人が「まだ未熟で主要ポストを経てから総裁選に望みたい」(父親純一郎氏は50歳になってからと言っていた)と言うなら、見直すが、仲間の国会議員に担がれ神輿に乗ればなんとかなるでは、心もとない(担ぐ議員も神輿は軽い方が良いのか、本当にそれでいいのか)。
 自民党の重鎮麻生太郎氏が、新総裁には「選挙に勝てる人。野党と組める人」と解党危機のこの期に及んでまだそんなことを言っている。自民党支持者が、ひいては国民が求めるのは、自民党の問題を解決させるだけではなく、経済を浮揚させる総理・総裁なのに。

 日本政治の問題の一つに世襲議員による政治支配があると思うが、世襲議員の首領と呼ぶべき85歳の麻生氏が、好き嫌いや自身の利害で総裁を選ぼうとする。解党的出直しの初手は麻生氏に身を引いてもらうことではないか。
 

 自民党が“腐っても鯛”から“腐敗した鯛”への瀬戸際の時に小泉氏にそんな重い責務を担わせる必要があるのか。

 小泉氏は側近や官僚が作るペーパーを読む分には問題がないが、首相には発言を求められるケースが多い。予算委員会等で「進次郎構文」が出れば立ち往生する。
 トランプ大統領、プーチン大統領、習近平国家主席等外国の要人と通訳だけの二人だけの会談に耐えられるのか。非常に心配だ。
 政策面は側近や閣僚に任せ、小泉氏自身は安倍首相の二番煎じになるのではないか。
 総理・総裁に必要な主要4要件から見ると、安倍首相と小泉氏とはよく似ている。
 故安倍晋三は神戸製鋼で職業人生を終えるハズだった。政界入りは本人の希望ではなく、病に伏す父親に地元後援会が懇願したのだろう。
 父方、母方双方の祖父が東大法学部卒、父親晋太郎も東大法学部卒。安倍首相は学歴コンプレックスはあったが、アンチの識者が言うほど知性は低くなかったのでは。要領はいいし、弁も立つ。しかも、人たらし。人望もある。
 「私は立法府の長」「ポツダム宣言を読んでいない」との発言は、知性の問題より政治家として持つべき教養を積んでこなかったことによるものと言える。
 初めからタカ派ではなかったのでは。強気の発言をすれば、タカ派や防衛族や防衛省などから支持されることを悟った。拉致問題で官房副長官として北朝鮮へ小泉純一郎首相に随行し強気の発言すれば国民から喝采を受けると知った。
 拉致問題で首相になったようなものだが、「拉致問題の解決」が政治家としてのライフワークには見えず、北朝鮮を怒らせただけ。門前払いの目に遭い、首相になってから拉致問題を進展させる事はなかった。そんな安倍首相より、よほどライフワークとしていた、拉致被害者蓮池薫氏の兄で大企業を辞め拉致問題にのめり込んだ透氏に暴露本を出され安倍首相の欺瞞を批判された(安倍首相だけ批判すればよかったのに、関係者全員を批判した。拉致被害者の帰国側と非帰国側とに一枚岩だった家族会が分断し、孤立化した透氏の断末魔の叫びであり絶望感からくる錯乱状態かと読者は共感するより引いてしまったのでは)。
 安倍首相の評価は、タカ派や防衛族・防衛省の人々には高い。私のような国内問題、とくに経済を重視する人々からは評価は低いのでは。二分されていると思う。
 安倍首相も主要ポストを経ていない。難しい経済問題は、友人案件など関心案件以外官邸内官僚に任せたのでは。

 アベノミクスは三本の矢と言われたが、日銀の実質(禁断の)財政ファイナンスによる超金融緩和だけであった(効果がないと分っても超金融緩和を止めようとせず日銀を機能不全状態にした黒田日銀(特殊銀行)総裁は民間銀行なら会社法「特別背任」の対象になるハズ)。
 本来第1の矢であるべき第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」は、大企業が円安による為替差益や正規雇用→非正規雇用により内部留保を厚くしたに止まる。失われた10年は20年となり、安倍政権はそれを30年にしたと言える。今隣国のインバウンド客から物価が安いと言われてしまっている(そんな安倍首相を恩恵を受けた富裕層ならともかく大多数の低所得者層が選挙で支持した。政治家を観る目が芸能人に対するのと同じ様では直接選挙は無理というもの)。
 主要ポストの経験がない小泉氏も、総理になれば安倍首相を真似て、難しい「経済」よりも取っ付きやすい「国防」に走り、タカ派、国防族、自衛隊の支持を得ようとすることが懸念される(トランプ大統領に迫られたのか「23年度〜27年度にかける防衛費を総額43 兆円に」を安倍首相はトランプ大統領に約束したという。バイデン大統領に確認された岸田首相は「約束通り」と答え、うい奴とお褒めに預かったか。

 大義名分として「敵基地攻撃能力」、不評で「反撃能力」と言い換え、国民に承知させると、その後「何をもって敵国が武力攻撃に着手したと判断するか」などについて議論がなされていないのでは(左派メディアも裏舞台を知るから批判しようとしないのか)。
 小泉新総理なら、国民から支持率が下がれば、電撃北朝鮮訪問を画策するのでは。小泉親子なら特別扱いで進次郎氏は歓迎されるだろう。いいように利用されるだけに終わることが懸念される。
 立候補会見で、小泉氏は経済政策では「2030年度までに国内投資135兆円、平均賃金100万円増を目指す」とし、物価高への対応として「ガソリン暫定税率の速やかな廃止」「所得税を見直し、物価や賃金の上昇に対応し基礎控除等を調整する仕組みを導入」する、という。
 物価高には、決まり切ったこととはいえ、具体的施策が述べられているが、「国内投資135兆円、平均賃金100万円増」は具体的施策がなく、絵にかいた餅にすぎない。他の候補も似たり寄ったりだが、一番実現性が低く期待できない。
  
 それでも、討論会で、安全運転に徹し大きな失言もなく、このまま新総理になるかと思われた。が、ここにきて「ステマ指示疑惑」「シャインマスカットの海外ライセンス展開方針に県知事ら反発」「フィリピン出張=総裁選からの逃亡」の問題が浮上し、前回のように党員・党友から小泉離れが起きかねない状況になったきた。

 自身の責任と言いながら責任をとり総裁選を辞退することをしない者が責任は痛感するがと言いながら首相を辞めようとしなかった者の後任では、国民にとって喜劇ではなく悲劇(追及しょうとしない大手メディアは第四の権力を放棄しているのか)。

 今後小泉票がどれだけ減るか分からないが、ここにきて林票が急増しているならば、決戦投票は、「高市VS小泉」だけではなく「高市VS林」、「小泉VS林」の可能性も出てきた。
 私はやはり“非常時の茂木”が就任すべきだと思う。が、世襲議員なのに世襲議員が優位な小選挙区制から中選挙区制に戻したいとする林芳正新総理・総裁が誕生するなら、それはそれで歓迎したいと思うのだが。
(次回235号は10/20アップ予定)

2025.10  NO.233  Ilan  VS Iran
 世界から非難を受ける中、ガザ市制圧に向け攻撃を激化させるイスラエルには、英雄の一人に故イラン・ラモーンがいる。イスラエル空軍のパイロットで、イスラエル人初の宇宙飛行士。2003年2月スペースシャトル・コロンビアの大気圏再突入時の事故で亡くなる。

 イスラエルの英雄の名が宿敵国イランと同じとは驚く。
 しかし、カタカナでは同じだが、英語ではIlan(ヘブライ語: אילן  )で、国の方のイランはIran(ペルシャ語:ایران )であり、別もの。母国語では私には理解不能。
 中東問題は齧り出したばかりで、皮相的だと思うが少し触れてみる。

 現在イスラエルとイラン(・イスラム共和国)は鋭く対立している。パーレビ王政の時代は親米国同士良好な関係にあった。だが、1979年にイランでイスラム革命が起き、王政が倒されイスラム教シーア派の宗教指導者(初代ホメイニ師、2代目ハメネイ師)の主導するイスラム原理主義を理念とした政治が展開されてから対立することになる。
 イスラエルは、後述佐藤優氏によれば、国是は「全世界から同情されながら滅亡するよりも、たとえ全世界を敵に回しても生き残る」ことだという。そんなイスラエルに対して、イランはイスラエルをイスラム教の聖地でもあるエルサレムを占領した敵とみなし、アフマディネジャード元大統領に至っては、2005年に「イスラエルを地図上から抹消する」とまで公言している。
 しかし、双方とも直接衝突は避けてきた。とくに体制維持を最優先するイランにとっては、米国が後ろに控えるイスラエルとの全面戦争は回避したいと思っている。経済制裁による経済の低迷に加え、イラン国民も8年間のイラク・イラン戦争を経て厭戦ムードであり、他国と戦争する余裕はない。 
 高齢のハメネイ師の後継者と目されたライシ大統領が事故死したのを受けて、昨年7/5の大統領選にて改革派のペゼシュキアン氏が当選したが、西側は最高権力者ハメネイ師による不満が高まる国民へのガス抜きと見ていたが、それだけではなくやはり米国との関係修復をハメネイ師も期待していたと見るべきか。 
 また、イスラエルは所有の有無を明らかにしないが核兵器を保有していると世界からみられている。ロシアのプーチン大統領は核使用で脅すだけだが(バイデン米大統領が恐れる発言をするから)、私からすれば唯我独尊のイスラエルの方が危ない。世界を敵に回しても使用するかもしれない。イランも核武装できるまではイスラエルと事を起こすことは難しい。
 昨年4/1イスラエル軍がダマスカスにあるイラン領事館庁舎をミサイル攻撃し、革命防衛隊幹部を含む7名を殺害したことへの報復として同4/14イラン国内からイスラエルに空爆した。イラク、トルコ、ヨルダンの各国当局者によると、イランは攻撃について事前に警告を発し、攻撃の詳細についても一部伝えていたという。イスラエルもイラン領内に報復空爆を行ったが、イラン側は被害について多くを語らない。昨年は双方本格的な戦闘は避けていた。
 それでも一部にはイスラエルとイランの対立関係は新段階に入ったと見る向きもあったが、そのとおり今年に入って、イスラエルは、イランの核施設などを攻撃した。
 本ブログ2025年9月号 NO.231(「イラン VS  ウラン」)で書いたように、イスラエルは「タコと戦う場合、足だけでなく、頭部を攻撃するべきだ」との『オクトパスドクトリン』に基づき、ハマスやヒズボラ、いわゆる「タコの足」を切り取り、タコの頭であるイランを叩く好機(イランの核武装間近を大義名分に)としてイランを本格的に攻撃した。さらに、ノーベル平和賞を狙い紛争の停戦を目論むトランプ大統領があろうことかイスラエルにはないバンカーバスターを所有する米軍にイランの核施設の地下深くを攻撃させた。
 後述するサウジアラビア(以下「サウジ」)との関係をみても、内心では復讐の炎を燃え滾らせていても、今はイランは臥薪嘗胆するしかない。

 イランはサウジアラビアとも対立関係にある。少なくとも4点において相反する。サウジはイスラム教スンニ派、イランは同シーア派。サウジはアラブ人、イランはペルシャ人。サウジは親米、イランは反米。最後に、サウジは王政、イランは王政を倒した共和国政。
 サウジは“敵の敵は味方”とばかりにイスラエルに接近する。アラブ人もびっくり。米国にも頼る(米国は軍事兵器の上得意先として歓迎。バイデン大統領もトランプ大統領もムハンマド皇太子のカショギ氏殺害疑惑も目を瞑る。ここでも米国は人権問題においてダブルスタンダード)。
 イランは、イスラエル、サウジ、米国を相手に戦争はできない。サウジはイランの核武装のみならずそれを機に周辺国も核武装に走ることを恐れる。そして、2023年3月中国の仲介によりサウジとイランが国交正常化を発表した。サウジは、中東地域における盟主として君臨するために、インドのような全方位外交に舵を切ったように見られた。

 アラブ諸国とイスラエルの戦争は1973年の第4次中東戦争以来戦争は起きていない。国連がパレスチナの土地にユダヤとアラブの二つの国家を認める決議を採択し、翌年の1948年にイスラエルが一方的に独立を宣言したことにより第一次中東戦争が勃発。勝ったイスラエルが領土を拡大しそこに住むアラブ人(以下「パレスチナ人」)が難民となる。
 1956年ナセル大統領のスエズ運河国有化に反発したイギリス・フランス・イスラエルがエジプトを攻撃した第2次中東戦争では、イスラエルは戦争に勝ったが勝負に負けた。米ソ等の反対に遭い撤退する(国有化が認められたナセル大統領は名声を得る)。
 劣勢におかれ状況打開を窺うイスラエルは1967年ナセル大統領によるアカバ湾の封鎖の機を捉え、エジプトを急襲し6日間で圧倒的勝利した。ナセル大統領の中東での発言力が急速に弱まっていく。

 第3次中東戦争のイスラエルの圧倒的勝利後、1973年10月エジプト等の奇襲によるイスラエル軍不敗の神話が崩れ、副次的にイスラエルに味方する欧米諸国や日本にオイルショックをもたらした第4次中東戦争をもって、イスラエルとアラブ諸国との戦争は終わりを告げた。その後イスラエルとハマスとの戦闘に舞台が移る。
 第3次中東戦争でヨルダン川西岸地区とエジプト領のガザ地区がイスラエルに占領された以降、この領地に住むパレスチナ人はイスラエルの占領下に入る。1993年のオスロ合意でパレスチナ解放機構(PLO)とイスラエルが和平交渉に合意。ヨルダン川西岸とガザ地区はパレスチナ自治区となるも、21世紀に入ると、イスラエルは、両地区からのテロ対策の名目でヨルダン川西岸地区のパレスチナ人居住区との間に壁を設けた。ガザ地区も周囲を囲む壁が設けられた。ガザ地区は「屋根のない刑務所」と呼ばれるようになる。
 PLO主流派の穏健派ファタハと対立しイスラエルの打倒、イスラム国の樹立をめざす強硬派武装組織ハマスが台頭し2006年の選挙で勝利した。しかし、米国、EU、国連、ロシアが形成する「中東和平カルテット」と呼ばれたグループはハマスを承認しなかった。
 これに乗じて、2007年選挙でファタハがハマスの追い出し、追い落としを図る。だが、この結果ヨルダン川西岸地区ではハマスの追い出しに成功するが、ガザ地区では逆にハマスがファタハを追い出す形で実効支配を始める。                                                       
 2008年末からイスラエルとハマスの戦闘が本格化した。その裏にはイランがいるという。イランは、シリアを味方につけシリア経由でレバノンのシーア派テロ組織ヒスボラとの提携を強化するとともに、これまで良好な関係ではなかったパレスチナのスンニ派はテロ組織ハマスとも提携を強化した。
 佐藤優氏は著書『イスラエルとユダヤ人』(角川新書)の中で「イスラエル国家の消滅を目論むHISM(ヒズボラ、イラン、シリア、ハマス) という国際テロリズムの枢軸が形成されている。」という。
 
 そして、今まさにハマスとイスラエルが戦闘状態にある。国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官により、5/20にネタニヤフ首相とガラント国防相、ハマス指導者のヤヒヤ・シンワル氏、ハマス軍事部門のムハンマド・ディアブ氏、ハマス最高指導者のイスマイル・ハニヤ氏の計5人に対して逮捕状の請求がなされた(既にハマス側のシンワル氏とハニヤ氏はイスラエルに殺害されている。デイアブ氏も殺害されたとされるが遺体が確認されていないとか)。
 その4日後国際司法裁判所(ICJ)も、イスラエルに対してガザ地区南部のラファでイスラエル軍が行っている攻撃について、ガザ地区の住民に取り返しのつかない損害を与える恐れがあるとして、イスラエルに対して直ちに停止するよう求める暫定的な措置を命じた。
 ただ、法的拘束力があっても強制力がなく、ネタニヤフ首相が応じる気配はない。それどころか、ハマスをテロ組織と呼び(国と国との戦争における)国際法を無視した残忍な攻撃が今もイスラエルによりガザ地区に行われている。 
 とはいえ、戦争を起こした国のトップはいずれ捨てられる。戦争が終わりアドレナリンが収まった国民から。ナチスドイツに勝った英国チャーチル首相も、選挙のアヤもあるが、戦後首相の座を追われた。汚職事件の起訴が待ち受けるイスラエルのネタニヤフ首相なら、なおさらに。
  

 ホロコーストのナチスをトラウマとするドイツだけではなく、欧州諸国もユダヤ人を差別してきた負い目からイスラエルへの非難の声は弱い。
 米政府は、民主党、共和党であれ、イスラエルを擁護するが、米国の若いZ世代はイスラエルを非難し始めた。
 日本はどうすべきか。政府はこれまでイスラエル、アラブ諸国との共存を支持してきた。
 戦前ナチスドイツと同盟していた日本は、それでもユダヤ人捕虜にナチスと同調した扱いはしなかった。原爆を落したのは米国人だが、作ったのはユダヤ人と非難する日本人は少ない。日本人は今も肌の色や宗教で外国人を差別しない。
 日本が、ネタニヤフ・イスラエル政権を批判したところで、“反ユダヤ主義”呼ばわりされる筋合いはない。イスラエルを高く評価する佐藤優氏なら、批判はイスラエルをより意固地させるだけと反対するかもしれないが。
 我々庶民も遠いイスラエルに対しては、三種の神器はユダヤをルーツとするのか、大相撲の「はっけよいのこった」はヘブライ語に由来するのかなど、ぼんやりとした親近感を持っている。
 ユダヤ人はエジプトの奴隷からモーゼに導かれ「出エジプト」を果たす紀元前15世紀前後から「バビロン捕囚」など苦難続きであった。紀元後もローマ帝国においてキリスト教が380年に国教として定められ、392年には他の宗教が禁止されて以来「ユダヤ教徒はキリストを殺した責任を追うべき」との前からのレッテル貼りもありユダヤ教徒への迫害が本格化していく。その頃の日本は、中国の歴史書には3世紀には卑弥呼、5世紀には倭の五王が登場するが、4世紀の日本に関する記述はなく、空白の4世紀と呼ばれている。流浪のユダヤ教徒は東の果て日本に流れついたかもとロマンを感じさせる。
  それよりもずっと前からユダヤ人は日本に渡来してきていると『日本にやって来たユダヤ人の古代史』(文芸社)の著者田中英道氏は説明する。神武天皇の即位した年を皇紀元年とされている。それが紀元前660年とされているが、紀元前722年に滅亡したイスラエル王国から離散した十士族のうち一部が日本に到達したユダヤ人が日本建国に関与した可能性について触れている。田中氏はユダヤ人の一部が日本列島に到達し、もともとあった日本文化に(日本は天皇を初めユダヤ人を排斥しなかったこともあり、ヤハウェの神に絶望したユダヤ人がユダヤ教を捨て)同化したとの立場をとっている(日本人とユダヤ人とのDNA的関係は?)。その同化ユダヤ人がもたらした文化や技術により中国や朝鮮半島に見られない独自の文化が日本に育ったとする。
 そんなこと以上に、私も尊敬する故杉原千畝が発行したビザは2,139枚もあり、そのビザにより日本へ行き命の助かった ユダヤ人は約6,000人に上るという。 ユダヤ人は杉原に感謝し、イスラエルは親日との印象を抱く。
 そんなイスラエルが占領するガザ地区は、平時は「屋根のない刑務所」だが、戦時においては、住民は、殺されるか餓死するか、それしかない。それではまさに「ガス室のない強制収容所」ではないか。否、今やそれを通り越して「墓場」になるのではないか。
 天国の杉原は、「そんなことをさせる為に、職を、ひいては命を賭して離国の列車の中までに命のビザを発行し続けた訳ではない」と嘆いているのではないか。こんなことをしていれば、時代が変われば、またユダヤ人はアウシュヴィッツの時のような目に遭う日が来るのではないか。

  昨年5月に日本で公開された映画『関心領域』での、アウシュヴィッツ収容所のルドルフ・ヘス所長の夫人は、自宅の向こう隣の塀内に関心を持たず忌まわしい土地を天国と言い、栄転する夫を単身赴任させた。
 イスラエル人も同じではないか。音楽フェスティバルはガザ地区より数キロ離れているとしても(ハマスの攻撃は決して容認されないが)。
 米国の若者が批判しているのに相違してイスラエルの若者がネタニヤフ政権を支持しているのならなおさらに。
 
 最近西谷修氏の『戦争と西洋~西側の「正義」とは何か』(筑摩書房)、早尾貴紀氏の『イスラエルについて知っておきたい30のこと』(平凡社)を読んで、次のことを理解するに至った。
 イスラエルが「テロとの戦争」と称しハマスを掃討する為にガザ地区の街でも民家でも病院・学校でも躊躇なく破壊しているのは、米軍がアフガニスタンやイラクで行った同じことをしているだけ。そもそも先住民のインデアンを虐殺して建国した米国がイスラエルを批判することは自己否定になる。そして、イスラエルは、ハマスが隠れているから民間施設を攻撃しているのではなく、ハマスを口実にしてパレスチナ人を殲滅させることが目的なのだ。
 ユダヤ人による反シオニズムのネットワークの一つ『トーラー・ジュディイズム』も、「アメリカや世界中にはイスラエルとシオニズムに反対するユダヤ人が何十万人もいます」「すべてのユダヤ人がシオニストという訳ではありません」「イスラエルはユダヤ国家ではなく、ナチス国家です」と訴えている。
(次回234号は10/1アップ予定)

2025.9臨時号  NO.232   いしゃ VS いしゃ
 本ブログ2020年11月臨時号NO.142(「ますいVSまずい(2)」)で白内障の手術を受けると書いたが、実際に手術を受けているので、遅まきながら今回それに触れてみる。
 術後妻から「どう?」と聞かれた私は、「綺麗なものは、よりきれいに、汚いものは、より」と言いかけて妻に口をひねられた。妻のことを言っている訳でもないのに。
 私のことに限って言えば、世の中はこんなに澄み切っていたのかと驚いた。20歳の頃分厚い眼鏡からコンタクトレンズに替え、50年以上前バスの中で当時流行っていたミニスカートから太ももが眼前に大きく飛び込んできた時の衝撃を思い出し、少し若返ったように感じた。

 一方、私は年齢より若く見えると自負していたのだが、術後裸眼で右1.2、左1.0の視力があり、ホラー映画のように鏡に映り出された自身の顔を見て驚いた。こんなにも目の下がたるんでいたとは。手術する前は、元々嫌いで鏡で自身の顔を見ないし、見ても眼鏡のフレームでたるみは隠れるし、眼鏡を外すと何も見えないのと同然であった。

 今私はコンタクトレンズをしていた頃買った偏光サングラスを探し出し、外出時かけている。
 白内障手術は簡単。超音波で濁った水晶体を乳化して吸引し、水晶体の代わりになる人工の「眼内レンズ」を挿入するだけ。点眼麻酔後まず2ミリ幅の切開創を作り(術後眼内圧で自然に閉じる)、水晶体を包む透明な水晶体嚢の前面を丸く切り取り、上記超音波の作業。水晶体嚢の袋にレンズをはめ込むのでコンタクトレンズのように外れることはない。10分前後で終わる。入院するほどのこともない。
 視力も矯正され眼鏡が不要になるが、レーシックとの違いは、レーシックは、特殊なレーザで角膜のカーブを変え、視力を回復させる。ひと昔レーシックをすると白内障の手術はできないと言われていたが、今は可能とのことである。
 私が受けた眼科医院は片目の手術の後2週間後にもう一方の目を手術する。眼科医院によっては一度に両目を手術するところもある。仕事が忙しい人には向いているが、手術後の片方の見え方を確かめてから、もう片方の手術で調整することができなくなるデメリットがある。安全性を考えるなら分けて手術する方がとは思うが、一週間後でよいと思う(なお、術後一週間洗髪ができないので、手術は夏場は避けた方が無難)。二週間も空けるのは人気病院で需要に追い付かない医師側のキャパの問題ではと勝手に解釈している。                        
 ずいぶん前から妻に「魚の死んだ目」と言われていた私は「こんなことならもっと早く手術をしていれば」と思ったが、遅くなった経緯は次の通りである。
 20歳~50歳までコンタクトするのを主として(妻に眼鏡なしでは堪えられないと言われたこともあり伊達メガネをかけていた)途中何度か眼鏡に替えたりもしていた。50歳過ぎにぶどう膜(眼の中の虹彩、毛様体、脈絡膜からなる、非常に血管の多い組織)炎になり、地元下町の眼科医に加齢から免疫力が落ちてくるのでコンタクトを止める様説得された。その際その男性の眼科医から白内障に加え緑内障の疑いも指摘され、定期的に通院していた。
 当時その眼科医だけではなく地元下町の医師たちは患者を愚民扱いしていると感じ(今は少し再開発もあり他の医師も参入して変化していると思うが)、千代田区にある有名眼科医院に転院した。
 担当は女医となり5年以上診てもらっていた。白内障は老化。緑内障は病気(100万本ある視神経繊維が徐々に死滅していく。全滅すれば失明。進行を遅らせるしかないのが現状で、眼圧を上げないよう点眼液を毎日点眼している)。緑内障の方を重視し、3か月に一度眼圧を、6か月に一度視野検査を受けていた。この女医を信頼していたが出産の為担当医が変わった。もう少し若く見た目もいい女医であったが、そんなことは期待していない。どうしても前任者と比較してしまう。相性もよくない。それで2年ぐらい経って江戸川区にあるこれまた有名眼科医院に転院した。その医院でも女医が担当してくれることになった。その女医から前の病院の診断データーを貰ってくるよう指示された。仕方なく前の病院に電話し依頼すると転院の理由を聞かれた。データーを貰いに出向いた時にも受付からややしつこく理由を問われた。私は「卒職」を理由に挙げ一切余計なことは言わなかった。その女医に落ち度がある訳でもなく、迷惑をかけたくなかったので。
 今度の女医には1年余り見てもらったが、ある診断時に白内障の件で違和感のある発言があり怪訝に思っていた。そんな中次回診断日が近づいた頃都合が悪くなり変更の依頼を電話ですると「担当医師は出産で医師が変わる。当日まで誰が担当するか分からない」との窓口の返事を聞くに及び、私は切れた。「男の先生に替えてくれ!」と短気を起こした。
 女医として社会に貢献するだけでも立派なのに少子化の中子を産み育てることを否定するほど私は不見識ではない。ただ、担当医にとって私は患者のone of themでしかないが、患者の方にとって信頼を寄せる担当医はonly oneなのだ。

 出産は個人的なことで言う必要はないが、休職するなら告知し患者に「何かありますか」と聞いて欲しいのだ。

 最初の女医なら私は(緑内障の毎日点眼は終生続くので)「復帰したらもう一度診てもらえますか?」と答える。それなら転院することはなかったのかもしれない。求めているのはただそれだけのことなのだ。
 そして男性医師に代わった。この医師も緑内障の方を重視し、白内障手術を無理強いせず、手術時期は私の自由意志に任せられた。私も「欧米では老化なのであまり手術しない」と週刊誌の記事で読んでいたこともあり、焦らなかった。最初白内障を指摘されてから10数年経っていた。

 しかし、直近になると、晴天の時まぶしくて信号機が青の場合もう点滅しているかまだ余裕があるのかよく分からない。駅の階段で各階段の先が白とか違う色のラインとか引かれていないと踏み外しそうになる。めまいがしたかのように転んだこともある。
 宇都宮にある『大谷資料館』という大谷石の採掘場跡を見学したとき暗い洞窟のような中階段を下りていく際先導する妻の肩に手を置き指示されないと足を運べなかった。手術するときが来たと思った。

 そしてその担当男性医師に手術してもらった。手術して私は前からの思いを確信に変えた。

 私の緑内障は、ド近眼によるもので、怖い真の緑内障でどんどん進行して視野が狭まっているのではなく、白内障でより見づらくなり視野検査に上手く適応できなくなっていただけでないかと。神経細胞が死滅(再生しない)している箇所は確かにあるのだが、そこが拡がっている訳ではなかった。

 そして、また別の眼科医院に移り、そこの院長に私の確信を伝えたところ理解を示してくれた。

 我が人生の中で、女医に診てもらうことは少なくなかった。上述の眼科に加え、同じく比較的女医の割合が多い歯科、皮膚科において、皮膚科では女医にあたることはなかったが、歯科では小学生以降60年間で女医の割合は6割以上になるか。そして女医の方がよく記憶に残っている。
 今でも時々思い起こすほど印象深かったのは、内科の女性開業医のこと。10年以上前50代半ばですい臓がんで急逝した。顔の整った、感じのいい先生だった。私は前立腺がんの疑いで先生に相談に乗ってもらっていたのだが、先生自身は気づかないうちに既に末期がんだったのだろう。サイレントキラーすい臓がんは怖いと思うとともに誤解を解く機会を失い、それが心残りとなった。
 銀行を辞めて上京し社団設立に奮闘していた平成6年の春ストレスで平成4年に手術した右副鼻腔が再び悪化した。虫垂炎のように普通冷やして気持ちが良ければ冷やすのが正解なのだ。が、副鼻腔の炎症の場合冷やすと気持ちがいいものの、頬が大きく腫れあがってしまった。町医者に紹介されS大附属病院に向かった。神戸大付属病院歯科口腔外科で手術した(2020年11月臨時号NO.142「ますいVSまずい(2)」参照)ことを告げると担当医師は「チッ! 歯科口腔外科か!」と言った。今は手術できる環境にないと説明しているのに直ぐ手術だと言い張る傲慢な態度に腹を立て、二度と行かなかった(その後約30年経つが大事には至っていない)。
 耳鼻科は歯科口腔外科と縄張り争いしているのか、それとも医師は歯科医をDentistと呼ばわりする?その延長線にあるのか。そうではなく、単にこの医師の人間性の問題なのか。
 長い間頭の片隅にあった疑問を亡くなる前の女性開業医に聞いてみようとした。だが、私の聞き方が悪かった。「耳鼻科は歯科口腔外科を見下げてますよね?」と言ってしまった。すると先生は「そんなぁ」と言ったきり、それで話が終わってしまった。私は誤解されたかと思ったが、いつでも訂正できる機会があると思い、すぐには釈明しなかった。
 それからしばらくして病院に行った時先生は顔色が悪く様子も少し変だった。口の軽い私でも「お疲れなんですか?」とは声をかけられなかった。2か月後行くと先生が不在だった。その次の2か月後にも別の医師だったので、血液を採取される際看護婦さんに尋ねた。亡くなったと聞いて、大きなショックを受けたし、誤解を解く機会を失ったことに後悔を覚えた(私は、怒ると悪い頭でも回転が速くなり口もよく回るが、戸惑うとすぐに言葉が出ない。優秀な営業マンならそんな場合反射的に気の利いた切り返しができるのだろうが)。

 妻から「偉くない者ほど偉そうに言う」と咎められる私は、身勝手だが、敬意を払う相手とはいえ医師に偉そうに言われるのを嫌う。女医はむかつく言い方はしないし、しても(妻で慣れているのか)女医ならそんなに腹が立たないのだ。
 卒職して以来定期的に病院に行くのが仕事のような身の上だが、医師の手を離れ、僧侶の世話になるにはもう少し間があるだろう。またよき女医に巡り会える機会があるのかもしれない。

(次回233号は9/10アップ予定)

2025.9  NO.231 ラン VS  ラン
 本日75歳になった。後期高齢者、正真正銘の老人になったと自覚する。が、発言は相変わらずガキっぽい。
 トランプ政権(2.0)がスタートして半年が過ぎた。就任して数か月は期待していた状況とは異なり、トランプ大統領は苦しい立場に置かれていたと言えようか。

 思い通りに行ったのは、大統領令に署名するだけの2回目の「パリ協定からの離脱」と恩赦ぐらいでは。とくに恩赦では、トランプ大統領が就任初日に2020年の大統領選に敗れた折翌2021年に連邦議会を襲撃した1,600人にも及ぶトランプ大統領支持者ら暴徒を解放した。
 相手がある交渉は思い通りになっているとは言えない。とくに誤算と言えるのは停戦仲介が不調にて停戦の仲介によりノーベル平和賞を受賞するというトランプ大統領の目論みはご破算か。
 トランプ大統領(1.0)に就任した時政治家出身ではなく言動も粗野で何するか分らないと恐れられていた。トランプ大統領が高圧的な言動をすれば相手は譲歩した。
 トランプ大統領(2.0)は「ウクライナ戦争は就任後1日で解決できる」と豪語した。トランプ大統領なら1日では無理でも停戦を実現させウクライナに春が訪れることを期待した。
 しかし、そうはならなかった。トランプ大統領の「停戦の仲介」は、バイデン前大統領の参戦しない発言と同様ロシアのプーチン大統領を安心させてしまった。
 プーチン大統領が唯一恐れるのは米軍の参戦。「ある程度有利な条件で停戦させる。停戦に応じなければ、バイデン前大統領は参戦しないと言ったが、米軍を参戦させる」と迫るべきであった。
 しかるに、「弱腰外交の推進者」と揶揄されたジミー・カーター大統領(2002年ノーベル平和賞)張りの平和外交と他国の戦争に関与しないとの「米国第一主義」を事前に唱えれば、プーチン大統領はトランプ大統領の言うことを聞かなくても済むと思ってしまう。これまで以上の経済制裁など高が知れていると思い、トランプ大統領をいい様にあしらった。

 それに嫌気が差したトランプ大統領はウクライナ停戦に興味を失ったかと世界に思われた。
 久しぶりに7/15にトランプ大統領が「ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアが50日以内に停戦に応じなければ、厳しい関税措置を」と言った。が、プーチン大統領に「50日間はウクライナを思い切り攻められる」と思わせただけかもしれない。ようやくそのことにトランプ大統領が気がついたようだが、打つ手は経済制裁でしかない。業を煮やしても参戦は無論のことウクライナへの長距離砲の提供もイラン攻撃でさえ反対したMAGA派の議員等が許さないだろう。
 さらに、鳴り物入りの関税政策は発表するや米国債が暴落したことを受けて相互関税の90日間一時停止へとマッチポンプさせる(さらに関税政策の発動を7/9→8/1にさらに延期させている)。
 対中国においては、米国が4/2相互関税を発表するや中国は4/4レアアース7種を輸出許可制にして対抗。実質米国が白旗を揚げることに。
 脅せば相手が譲歩するとの強面のメッキが剥げ、脅しても自身が譲歩してしまうTACO(Trump Always Chickens Out)と市場関係者に揶揄されてしまう始末(昨年10/18米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「トランプ氏、台湾有事なら『中国に最大200%の関税』軍事力は使用せず」と報じていた。しかし今年7/9には米CNNは「トランプ大統領が昨年の大統領選期間中、中国が台湾に侵攻すれば「北京を爆撃する」と発言していた」と報じた。トランプ大統領は発言がぶれるからフェイクニュースとは言わないが、今頃報じられるのはTACO呼ばわりを払拭する為としか思えない)。 
 イスラエルとハマスとの戦闘においても終わらせると言っていたが、ネタニヤフ首相はトランプ大統領の言うことを聞かない。トランプ大統領はイスラエルがイランを攻撃することも反対していたが、イスラエルが攻撃してしまった。
 イランはイスラエルを国家として認めず「イスラエル破壊」を国是とする。それに対して、イスラエルは「タコと戦う場合、足だけでなく、頭部を攻撃するべきだ」との『オクトパスドクトリン』を主張している。今回ハマスやヒズボラ、いわゆる「タコの足」を切り取り、タコの頭であるイランを叩く好機として捉えた。イランの核武装間近を大義名分として(タコの頭の後はタコの足であるシリアへの攻撃も)。
 ネタニヤフ首相を抑えられず、またチキンやTACOと呼ばれることを最も忌み嫌うトランプ大統領は、イスラエルのイラン攻撃が上手くいったことに乗じて、なりふり構わず急変(「豹変」は良い意味の時に使う)し米軍にイランの核施設を攻撃させた。
  トランプ大統領はネタニヤフ首相とバーター取引をしたのではないかと思う。イスラエルにないバンカーバスターを所有する米国がイランの核施設を攻撃する代わりにイスラエルはハマスとの戦闘を停戦させると(停戦の障壁となりうる収賄、詐欺、背任の罪が問われているネタニヤフ首相の裁判について、トランプ大統領は恩赦をと内政干渉)。それを裏付けるかの如くガザ停戦交渉にイスラエルも前向きとの報道が出た(ハマスとの合意は得られなかったようだが)。
 今回の米国のイラン攻撃をボクシングに擬えれば、いわばMEW(Middle East West)ミドル級チャンピオンのイスラエル選手がMEE(Middle East East)ミドル級チャンピオンのイラン選手からそのタイトルを奪うべく闘い、イスラエル選手の攻勢の中現役の世界ヘビー級チャンピオンなのにその米選手が審判となり審判自身がイラン選手をボコボコしにした。試合を早く終わらせるためにと。そして正式な試合として試合終了を宣言してしまった。

 そんな理不尽な扱いでも我慢するしかないイラン選手は内心では復讐の炎を燃え滾らせていることだろう。
 米軍の攻撃はイランの核兵器製造を半年遅らせたに過ぎない、濃縮ウランも確保しているとの見方もある。

 そうでないにしろイランは絶対核武装を諦めないだろう。NPT(核拡散防止条約)から離脱するか、そうでなく核協議に応じても面従腹背して。戦後まだ見ぬ核兵器の実践使用は、ロシアより(核兵器を持つと言われる)世界からの批判などどこ吹く風のイスラエルの方がよほど危険であろうし。
 トランプ大統領はイスラエルとイランの戦争を自身が停戦させたと胸を張ろうとも、そんな停戦が、平和の使者と言えるものではない(過去疑問符がつくケースも散見されるノーベル平和賞ならNATOに加盟するノルウェーがNATOにつなぎ留める為トランプ大統領に授与することもなしとしないが)。
 
 米国のイラン攻撃に対して、議会の承認を経ずイランを攻撃したと民主党だけではなく共和党からも批判されている。トランプ大統領を熱烈に支持するMAGA派までも反対した。
 なおさら、多極化に向かう中グローバルサウスやアジアはロシアへに対する対応とイスラエルに対する対応のダブル・スタンダードを批判し、米国と追随する欧州とから離れていくのを加速させるだろう(今回のイスラエルと米国がイランの核施設を攻撃したことには欧州は批判しようともしない。ロシアがウクライナの原子力発電所への攻撃をしないかとかくうんぬんするのに)。
 日本の石破首相はイスラエルのイラン攻撃に対して7/13「イラン核問題の平和的解決に向けた外交努力が継続している中、イスラエルにより軍事的な手段が用いられたことは到底許容できるものではない。極めて遺憾で、今回の行動を強く非難する」と発言した。
 しかるに2日後の7/15からのG7サミットでは、掌返しのごとく他のメンバーと同じくしれっとイスラエルを容認してしまったのか。マッチポンプなら発言しなかった方がよほどましだ(週刊新潮7/10号の連載コラムにて佐藤優氏が石破首相を擁護している。佐藤氏を“知の巨人”として私は敬仰しているが、イスラエルがらみの話に限ってはいつも賛同しがたい)。
 アジアやグローバルサウスから信頼を勝ち取るチャンスでもあったのに。石破首相はプロの政治家ではないのか。トランプ大統領もざる碁だが、プロの囲碁棋士は少なくとも数手先を読んでから打つ。
 安倍首相の時代自民党総裁を3期9年に変更するとき党内野党的立場の石破氏は反対したが、結局「それはそれとして」と言い容認した。それは自民党村の中での話。
 しかし、首相にはそれは許されない。国民だけではなく世界が観ている。G7後「私の思いは理解されたが、全体の流れを変えることは出来なかった」ぐらいのことは言えないのか(トランプ大統領のように平気で嘘をつけとは言わないが、政治家は保身ではなく国益を損ねかねない場合政治的発言をするものではないのか)。
 嫌われることを厭う必要はない。しかし、かつて大敗した安倍首相や麻生首相に辞任を迫ったという石破首相は参院選も大敗しておきながら自ら続投と口にするとは。筋を通さない(発言に責任を持たない)者は、嫌われるだけではなく、信頼もされない。

 せっかく起死回生したのに、国民が期待する自身の信念を発揮することもせず、妥協に妥協を重ね、その姿に国民は失望し審判を下した。それなのに、潔く辞任せず、続投に必死に足掻く。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある」の場をはき違えてる。政治家としての「志」は首相になることだったかと皆に思われてしまう。石橋湛山は空の上から「その程度の者が私の名を引き合いに出すとは、笑止千万!」と怒っているか。

 性加害疑惑の大物芸能人たちが記者会見せず、長期独裁のテレビ局のトップが社の存亡の危機に雲隠れするそんな風潮の中で誇り高き日本人の矜持はこうあるべきと首相が国民に範を示す時なのに(皮肉にもトップの責任を果たさない首相を一部の国民が擁護している)。

 来る総裁選には国民から人気の高い議員達の中から看板を替えるだけでは自民党は復活しない。自民党議員はそれをよく心得て総裁選に臨んでもらいたい。

 

 石破首相はNATOの会議に出席しなかったことも批判された。それは批判するに当たらない。日本が今後重視すべきは、日いずるグローバルサウスやアジア。日没する欧州と与する必要はない。欧州は、ユダヤ人に負い目があり、中東諸国には恨まれている。日本はどちらも関係ない。欧州が天敵とするロシアとは「対決」ではなく「対話」が日本にとって必要。
 NATO諸国がNATOに不可欠ながら離れていくのを必死で留めようとする相手国米国とは日本は強固な日米同盟関係にある。NATOからすれば日本は必要かも知れないが、日本はそうではない。与すれば、米国をつなぎ留めるための無理な「軍事費GDPの5%」を日本も背負わされるかもしれない。

 NATOを主導する、マクロン仏大統領は口先だけだし、イランを攻撃したイスラエルを「汚れ仕事をしてくれた」と言うメルツ独首相は口の悪い私からすればイカれている。
 第二次世界大戦での失敗は、米国と戦争したことよりも、その前の米国の策略に遭い日英同盟を破棄し、ドイツと同盟を結んだこと。極論すれば、極端から極端へ走るドイツと与してはならないというのが歴史的教訓。NATOの首脳が劣化している中で、連携してもよいのは“腐っても鯛”の英国ぐらいではないか。
 日米同盟堅持を前提とするなら、地政学的に日本が重視すべきなのは、米・英・豪の軍事同盟AUKUS(オーカス)と日・米・豪・印の非軍事的連携 QUAD(クアッド)とであると思うのだが。

 トランプ氏の誤算と言えば、天才イーロン・マスク氏との早すぎる決別もある。マスク氏とトランプ氏はともにリバタリアンで気が合うが、マスク氏は政府を不要、少なくとも大きな政府を批判する立場。公人としてのトランプ氏は合衆国を米国として一つにまとめる連邦政府の長。いずれ二人は反目する時期が来ると見ていた(マスク氏が共和党に乗り換えたのも、民主党がテック企業等の規制に乗り出した為)。
 トランプ大統領及び熱心な支持者は、ディープステート(闇の政府)の存在を信じていようが、本当にあるか分らないものの、下品で教養がないトランプ氏を大統領として認めない官僚が多いのは確かであろう。その官僚達の排除をマスク氏にしてもらうと考えたのではないか。日産の生え抜き役員が自ら手を汚さずゴーン会長に人員削減と経営合理化をしてもらったごとく。
 マスク氏はDOGE(政府効率化省)を率い大ナタを振るい大幅な人員削減や海外援助の一時停止を行ったが、行政の混乱を招くだけではなく、国民からの反発を招き、大幅なテスラ車の不買・株式の下落を招いた。
 マスク氏はトランプ政権の閣僚達とも軋轢を起こし、連邦政府の長としてのトランプ大統領はマスク氏を事実上排除せざるを得なかった。
 マスク氏は、多大な犠牲を払い財政の立て直しに寄与したと思うも、希望するNASA長官人事も採用されず、あげくトランプ大統領が大幅減税政策をぶち上げたことで堪忍袋の緒が切れトランプ大統領を罵った。
 道半ばのたった4カ月余りで米国大統領とテック企業の雄との見苦しい確執を生んだことは、トランプ政権に暗い影を落すとともに米国の威信をも傷つけた。

 2.20付けの日経新聞よれば、「トランプ米大統領は2/19自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、自らを指し「王様万歳」と書き込んだ。さらにホワイトハウスの公式アカウントもXで王冠をかぶるトランプ氏のイラストを投稿したという。
 今はイランを叩き、肝いりの大型減税案が通り、インフレもまだ昂進していないので、トランプ大統領は王様気分に浸っているのでは。しかし、王様は王様でも、静かに“裸の王様”に近づきつつある言える。意に沿わぬ忠言する側近を排除する、知らないことへの理解力が極度に低いのであれば。

 来年の後半にでもになれば、裸の王様と呼ばれるか。支持者は忖度閣僚とキリスト教福音派だけになってもおかしくない(その前に大スキャンダル故エプスタイン事件の成り行き如何では“裸で地に落ちた王様”になるやも)。
  TACOと呼ばれても内弁慶ぶりを発揮して反対する共和党議員をどやしつけてなんとか成立させた「大きくて美しい法案」とトランプ大統領が呼ぶ大型減税法案は富裕層向け所得減税の延長に加え、州・地方税(SALT)や相続税の控除上限引き上げが成される一方、メディケイドや補助的栄養支援プログラム(SNAP)等の低所得層向け支出が歳出削減されるという(10年で1,200万人が健康保険を失うとか)。

 また、本減税案が成立した場合、連邦政府債務は10年間で3.1兆ドル拡大し、財政赤字額はGDP比で7.6%に達するのではとの見立てもある。
 「美しい国へ」と言った安倍元首相の世紀の実験的失敗と言うべきアベノミクス(未曾有に財政を悪化させたが、円安と富裕層を利しただけ)を彷彿させる。
 それに加えて、関税政策(物価高)、移民抑制策(賃金上昇の価格転嫁)、トランプ大統領によるFRB議長への利下げ圧力(ドル安による輸入物価高)などからインフレが昂進していく可能性が高い。
 関税は、それを減税(累進的で富裕層をより利する)の原資にするだろうが、最終的に負担する米国民にとっては増税と同じ。そして消費税と同じく累進的ではなく逆進的で、低所得者の生活を苦しめる。
 来年11月の中間選挙では、2024年大統領選でトランプ氏に投票した低所得者層はトランプ大統領に厳しい評価を下すであろう。マスク氏が息まいた「大型減税案に賛成した共和党下院議員を落選させる」ことがあろうとなかろうと、下院は民主党が主導権を奪回し、トランプ大統領の完全独裁体制は終わるのでは(もともと下院はとくに大統領への信任投票の側面が強く1950年以降の中間選挙を振り返ると下院で与党が議席を増やしたのは2回しかないという)。
 トランプ大統領はレームダック化を避けるべく3選を目指すと吹聴するかもしれないが、もはや誰も現実化するとは思わないだろう。
 トランプ大統領が再選に執念を燃やした一つには、刑事裁判における被告人としての自身に対する恩赦を得ることではないか。
 恩赦は自身で自身を恩赦できない。トランプ大統領はバンス副大統領に対して禅定と恩赦とのバーター取引を持ち掛けるのか。ただ、バンス副大統領にとっては禅譲されても民主党大統領候補に負けては意味がない。MAGAの代表としてイラン攻撃には反対なるも大統領に忖度する姿勢を貫いているが、果たしてトランプ大統領と決別する日が来るのだろうか。
(次回232号は8/20アップ予定)

2025.8  NO.230 ょうしき VS  ょうしき
 トレンディ俳優として一世風靡した石田純一さんは、かつて「不倫は文化」と言ったとメディアに意図的に書かれ、世間から叩かれた。その後復活するも新型コロナ禍での非常識な行動等が批判され、妻の東尾理子さんから「私が食べさせるから家にいて」と言われたという。世間から頭は悪くないのに常識がないと思われてしまう。
 「常識」とは、一般の社会人が共通にもつ、また持つべき普通の知識・意見や判断力。 
 当たり前の言動を指すので、「常識がある」との言われ方は余りなく、「常識がない」と否定的に使われることが多い。
 「良識」は、物事の健全な考え方。健全な判断力。「良識を疑う」と使われることもあるが、一般的に「常識」と違い、肯定的に評するときに使われる。

 メジャーリーグの大谷翔平選手の選手としての言動はまさに「良識がある」にふさわしい。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の諺は大谷選手のためにある。

 そんな大谷選手でも、通訳の水原一平氏から大金を詐取されたときは「任せることは任せきりにすることとは違う」と常識に欠けると思われたのでは。
 さらに、「常識」は時代とともに変わることがあるが、「良識」はいつの時代も不変ではないか。

 石田氏自体がそうは言っていないのに一部スポーツ氏が「不倫は文化」と見出しに挙げたのはバブルが終焉した後の1996年10月。今から29年前。その頃から肉食系女子が現れる。恋愛ハンターと呼ばれ、積極的に男性にアプローチし、狙った男性を簡単に落とし恋愛関係へ発展させる。
 ただ、肉食系=不倫ではない。が、今や本当に「不倫は文化になったのか」と思わせる。若い独身女性が、妻子ある男性と肉体関係を平気?で結ぶのか。
 清純派と目され私も好感を抱いていた人気女優の永野芽郁さんに、妻子ある人気男優田中圭氏との不倫疑惑が浮上した。報じられた渦中の二人は共に熱愛関係を否定している。
     極めて黒いグレーながら、手をつないだ、生々しいLINE があるぐらいで不貞(肉体関係)の確たる証拠は出ていない。違約金を回避したいとの思惑もあるのか。
 そんな態度に反発し非難を強める世論に押されてか、CMもスポンサー側から自主的に放送中止とされるほか、ラジオ番組も終了し、NHKの大河ドラマも永野さん側から自主降板を余儀なくされ、永野さんは社会的制裁を受けている。
 不倫でも、「浮気」ではなく「本気」であり結婚を考えているなら批判は和らぐのかも知れない。韓国では、ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を韓国で最初に受賞した著名女優キム・ミニさんと映画監督ホン・サンス氏との場合、2015年不倫を認め、翌年には監督は妻との離婚訴訟を提起しているが「有責配偶者による離婚請求を原則的に認めない」と棄却されたとする。監督の妻が離婚に応じない中キムさんは監督の子を宿し、出産している。
 しかし、永野さんは田中氏とは別に同時期にドラマ共演の若手韓国俳優キム・ムジュン氏との二股?かと報道されてしまっている(ドラマを降板させられた同然?の金氏は永野さんの言動は矛盾していると言いたげに意味深な投稿をしている)。
 永野さん所属の大手事務所はマネージャーをはじめ何をしていたのか。田中氏の酒癖が悪いことは芸能界では有名ではなかったか。私生活は放任していたのか、注意しても聞く耳を永野さんは持たなかったということなのか。
  WEB上の『お名前辞典』によれば、「芽郁」とは、芽が育ち繁栄するように、良い環境で育まれて成長してほしいという願いが込められた名前とする。名前とは裏腹に「仕事」よりも「恋愛」を選ぶ、支えてくれる関係者を慮らないそんな肉食系女子なのか、永野さんは。そうは思いたくないが。
 ただ、永野さんの演技力に対する評価は下がらずむしろ高くなっているかも。この醜聞を永野さんが乗り越えれば、医師の「仁術と下半身は別」と同じく、女優の「演技力と下半身は別」が常識になるきっかけになるのかも知れない。

 女子プロゴルフ界も不倫問題で世間を騒がせた。「トリプルボギー不倫」とは言い得て妙。女子プロの妻をもつ栗永遼キャディーが現役の若手人気女子プロ3名と同時並行的に不倫していたと報じられた。女子プロのシード選手は、3日間競技では月曜日が休みにすることも出来るが、4日間競技では、休みの月曜日に出発し、火曜日に練習ラウンド、水曜日はプロアマ、木曜日から本戦。そんな生活が毎週のように続く。疲労困憊にもなり、知り合う機会が少ないとなれば、信頼するキャディーと結婚することも少なくない。表面化しにくいが同性愛はあるやもとは思っていたが、今回のケースは私には予想外であった。
  栗永キャディーが9年間の出入り禁止になったと知ったとき、実質永久追放になるのは自業自得と感じた。既婚者ながらそんなに女性を漁るならば、妻を併せ4人の女性を相手にできる精力と体力を活かしてAV男優にでもなれば(男優は少ない上、女優と違い顔自体は二の次。イケメンの栗永氏ならセクシー女優も女性視聴者も歓迎だろう)と心の中で毒づいたものだ。
 ところが、週刊文春によると、JLPGA(以下「協会」)の女性理事が、不倫を訴えたプロゴルファーでもあるキャディーの妻に対し「あなたの夫と付き合った女の子は初優勝する」「おばちゃんたちの目から見ると、彼はそういう変な力を持ってるんだよね」「不倫っていう感覚じゃなくて、スポーツだと思ってるんじゃないの?」などと発言したという。
 その報道が真実ならば、協会は事態を把握していたが、見て見ぬふりをしていたのではないか。昨年12月にも人気美人プロの不倫が発覚し、その後不倫相手(男性プロキャディ)の妻(女子プロ)から慰謝料を請求された裁判で東京地裁から300万円の支払いを命じられてたという。それで公にしたくなかった背景もあるのではないか。
 栗永氏の妻は、協会に相談したのに善処してくれるのではなく、まるで「ご主人はボランティアで女子選手達の成長に貢献している。あなたも女子プロの端くれなら理解し辛抱してあげれば」と言われんばかりに感じたのでは。
 夫を“慰安夫”扱いするのかと協会の対応に失望し憤る妻の取るべき行動はただ一つ。縁切寺ならぬ“復讐寺”の週刊文春に駆け込むことではなかったか。

 協会はフジテレビを反面教師とすることを怠った。女子プロに憧れる全国の少女ゴルファーの夢を穢し、その親御さんの協会への不信感を招いてしまったのではないか。
 あわてて、協会は不倫した3名の女子プロに形だけの?「厳重注意」処分を下した。一方、栗永キャディーには9年間の出入り禁止とした。これに対し、労働問題に詳しい笠置裕亮弁護士は「このキャディーの男性が不倫関係を持ち掛けたことが、セクハラに該当すると言えるのであれば、もはや私生活上の非行であるとは言えず、規律違反行為であることになり、追放となるような重い処分を科すことも認められるでしょう。 しかし、複数の選手が対象となっているとはいえ、私生活上の非行にとどまっている本件においては、重すぎる処分であるように思います。」と言っている(蛇足だが、栗永キャディーは性暴力の加害者ではないからヒムパシーには当たらない)。 
 不倫した3名の女子プロは先輩の女子プロでもある、いわゆるサレ妻に悪いという思いはなかったのか。結婚するために奪いとるとの意志はなく、単なる性欲の吐け口としか考えていなかったということなのか。
 このようなコンプライアンス意識の希薄さ以外にも日本女子ゴルフツアーのガラバコス化(米LPGAのマイナーツアー化)、スポンサーの主催権返上問題などがあり、日本女子プロゴルフ界の健全な発展に向けて、協会組織を、協会や経営のプロによる「協会運営」と女子プロOBによる「トーナメント運営」に分離すべきだと私はそう思う。

  2020年1月週刊文春から人気俳優東出昌大氏の不倫が報じられた。一報に接した世の殿方の中には、妻が女優杏さんで、3年関係が続いた愛人が若手女優唐田えりかさんと知れば、男の冥利に尽きると羨ましいと思った人も多かったのではないか。それが許されるのであれば。しかし、「二兎追う者は一兎をも得ず」に終わった。一般人の間でも職場内不倫では、二人の女性だけではなく仕事も失うことも珍しくない。
 今東出氏は別の元女優と再婚し、唐田さんは数年の雌伏を経て自らの力で女優として復活しているが。 
 私はかつて若い女性に心が傾きかけ観察力が鋭い妻が私の異変に気づいた時予想外に悲しみに伏した姿を見て驚き身を正したことがある。

 結局、「本気」しかできない私は、「浮気」には縁がなかった。が、夢想することはあった。私が50代の頃2003年に3名の若手女優が脚光を浴びだした。その内一番年上が1986年生まれの沢尻エリカさん、次が1987年生まれの長澤まさみさん、一番年下が1988年生まれの堀北真希さん。
 沢尻さんは2003年TBSドラマ『ホットマン』でドラマ初出演。2005年映画『パッチギ!』でブレイク。

 長澤さんは2003年『ロボコン』に初主演し日本アカデミー賞新人俳優賞等を受賞している。

 堀北さんも2003年デビュー。2005年ドラマ『野ブタ。をプロデュース』、映画『ALWAYS 三丁目の夕日 』で人気を博す(2017年2月28日をもって28歳の若さで芸能界を引退)。
 当時私は、自身が30代と仮定し、上記女優たちに対して、妄想と呼ぶべきか大変失礼ながら次の空想をしていた。「妻にするなら堀北さん、愛人なら沢尻さん、(当時明石家さんまさんが気に入っていた)長澤さんは妻でないなら妹か」と。
 一番年下の堀北さんが人妻として早く家庭に入った。堀北さんに恋意を寄せる人気俳優山本耕史氏は何度も付き合わないかと誘うもその都度「無理です」とすげなく断られていた。諦めきれない山本氏は、意を決しそれなら結婚と言うと、堀北さんの目の色が変わり結婚を前提ならと交際が始まったという。
 私は1981年5月31歳になる直前地元神戸にて結婚するが、1970年代の後半は東京・神田にあった銀行の独身寮に居た。ある日寮生の後輩たちと寮で飲み会をした時、女子行員の話になった。ある後輩が一人の女子行員と関係を持ったと発言すると次々と俺もと声が上がり、私以外全員がその女子行員と関係をもっていたことが判明した。私はその女子行員の新入時の指導員であり、驚愕するとともに、表現が不穏当だが思わずpublic toilet かと思ってしまった(女より男の方が口が軽い。自慢したがる。職場内恋愛にはリスクがつきまとう)。
 1980年前後の当時、東京が進んでいるのか既に上記のような今どきの女性が存在していたが、まだ、「結ばれるのは結婚すると決めてから、結ばれてしまったらその人と結婚する」が主流だったと思う(結ばれたら男の独占欲は満たされた。今は「そんなことぐらいで自分のモノになったと思わないで」と言い返されよう)。virgin に意味があった(今は死語になったか)。それが当時の常識だったと思う。
 当時から40年経った2017年に堀北さんが結婚するのだが、堀北さんが上記の常識を引き継いでいることを嬉しく思った。そんな堀北さんを娶り、家族の為ならどんな仕事も辞さないと言う山本氏に好感を覚えている。

 性行為が「生殖」の為だけではなく「快楽」を得る為でもあるのは、ホモサピエンスだけか。地球上の動物界に君臨するホモサピエンスの特権と言えようか。
 そんなホモサピエンスでも、争わず「種」を永らく存続させる知恵として古代から「一夫一婦制」を採り続けている。
  封建時代には姦通罪があったが、米国の21州にはまだ姦通罪があるらしい。日本においては戦前まで姦通罪が存在した。夫のある妻と、その姦通の相手方である男性を罰した。
 戦後男女平等なのに、正妻のある男が他の婦女と私通しても姦通罪に問われないのはおかしいと、夫にも同罪が検討されたが、何と姦通罪自体を廃止してしまった(思うに、卵子は胎内にいる間に作られ、細胞分裂しないためそれ以降年々減少していき閉経の頃には零に近づくという。また年々劣化もしていくだろう。限りある卵子と違い精子は死ぬまで精巣で作られ続ける。1,600万人の子孫をもつと言われるチンギスカンほどではないにしろ広く精子をまき散らしたいとのオスの本能をもつ夫の不倫を罪に問えば、そんな下世話な裁判ばかりするために刑事裁判官や検事になったのではないと思ったのではなかろうか)。 
 そして不倫は刑法の対象外となり犯罪ではなくなった。不貞(肉体関係)は民法上の不法行為で、不倫された側から不倫した側に対する損害賠償請求ができるとはいえ。 
 狼が野に放たれたが、雌羊は恐れ慄くのではなく自ら近づいていく者もいる。
 高学歴の女史たちが、「不倫なんて・・・」とそのような発言をしているが、政治家の不倫が問題にならないフランス(15歳で24歳年上の教師に恋しその初恋を貫き通し結ばれたマクロン大統領なら不倫はしないだろうが。奥方も怖そうだし)が正しいとは思わない。
 恋愛は自由だとしても、日本女性の美徳である「奥ゆかしさ」は残してほしいと思う(大谷夫人の真美子さんは美人だけではなく奥ゆかしさも持ち合わせているから大谷翔平選手の目に留まったのであろう)。

 「他人を不幸にして(踏み台にして)は、幸せにはなれない」(他人妻から夫を奪っても他の女から奪われてしまうことも珍しくない)と思うのが、時代に関係なく良識だと思う。
 うん? アンタは時代遅れだ、勝手な価値観を押し付けるなと言いうのか。そうか。それなら、故マッカーサーは「老兵は死なず消え去るのみ」と語ったが、私は「小老害は死して消え去るのみ」と言うべきか。

(次回231号は8/1アップ予定)

2025.7臨時号NO.229 んりゅう VSんりゅう
 6/3の韓国大統領選挙の一週間後にソウルを訪れた。大統領選後の韓国社会の様子を視察に行った訳ではない。
 私自身両手ほどではないが、これまで片手以上にはソウルに訪れている。最初に訪れたのは35年前のバブルの頃。崩落したピンク色の百貨店にも訪れていた。当時ちょっとした日本ブームがあり、日式うどん店木曽屋にも視察した(日本の木曽路グループが進出したと思ったが無関係)。お嬢様学校梨花女子大学近くでスイーツの店を外から覗いたが、まだ生クリームではなくバタークリームのショートケーキが陳列されていた。日本より10数年遅れていると感じた。生クリームのケーキ店を出せば流行ると思ったものだ。
 それが今や「進化系クロワッサン」、「グリークヨーグルト」、猫プリンなど日本に情報発信するほど進化している。韓国は、この間一人当たりのGDPが日本を上回るほど経済成長した(グルメ、コスメ、エンタメは盛況。ただ、スポーツの分野では、野球、サッカーにおいて日本と拮抗していたが、最近日本と差が付きつつある。世界を席巻してきた女子ゴルフにおいても翳りが見受けられる)。
 これまでにも何度か妻に声をかけたが、韓国は反日との先入観とともに不埒な殿方の遊ぶ所との思いがあったのか韓国に全然関心を示さなかった。そんな妻が最近韓流ドラマに嵌り、昨秋韓国に行ってみたいと言い出した。最近私との旅行は不愉快になるだけと嫌がっていた妻が。
 気が変わらぬうちにと早速手配に着手した。いつも6ヶ月前には行程表を作り手配を開始する。それで6月訪問に向け飛行機とホテルとのパック商品を予約した。何ともバッドタイミングであった。予約したのが昨年12/3。その数時間後に韓国尹大統領が非常戒厳を宣布した。
 年金生活者にとって二人で5万円前後のキャンセル料は痛い。様子を見ることにした。
 尹大統領の非常戒厳による政治クーデーターは失敗に帰し、憲法裁判所の弾劾裁判の対象、内乱の首謀者の被疑者となった。これに対し、尹大統領を支持する一部の極右が暴徒化しソウル西部地裁を襲撃した。弾劾が可決されればさらなる大きな事態が懸念されたが、警察の警備が万全だったのか、可決されても大きな混乱は見られなかった。
 尹大統領の失職を受けての大統領選挙は6/3と決まった。訪韓の1週間前に当たるが、国民が拒絶感をもつ非常戒厳を起こした保守派が不利である中候補擁立で一本化出来ない(韓国通の鈴置高史氏は李俊錫候補が次を狙っているので一本化に応じないと言っていた)ことから進歩派の李在明氏が有利な状況にあった。さらに李在明候補は中道層を取り込むため反日姿勢を引っ込めていた。
 大統領選は大方の予想通りに終わった。李在明新大統領は4つの事件の被告人であり、6/18には早くも高裁差し戻しの裁判があり混乱が予想された。が、与党になった国民の力は数を頼んで臨時国会で「大統領に当選した被告の刑事裁判を在任中は中断する」条項を盛り込ませる刑事訴訟法改正案を可決させると見られた。が、その前に高裁が「不訴追特権」を適用し、混乱は回避された。
 1週間後の平日での滞在でもあり、デモや集会が行われる場所に近づかさえしなければ問題は起きないだろうと判断し予定通り6/10から訪韓することに決めた。進歩派の大統領が誕生してもいきなりソウル商人たちが反日姿勢に変わるはずもないとも思ったし。


 6/10の14時頃明洞に着いたが、平日なのに繁華街はごった返していた。大統領選の影響は微塵も感じなかった。日本人観光客も多くいた(韓国ではマスクをしている人はおらず日本人もマスクをしていない。日本語が飛び交うことで判断した)。タクシーの運転手さんに聞くと、大統領選当日前後は日本人は少なかったとのこと。
 明洞のマクドナルドのチラシを見ると、ビックマックの単品が5,500W。日本円に換算すると583円(10,000W=1,060円)  か。日本は480円なので、韓国の方が物価が高かそうだ(地下鉄、タクシー等交通インフラは安いが)。10年前は韓国の物価は日本の2/3と言われていたのに。
 観光と言えるほどの時間的余裕はなかったが、妻はピョルマダン図書館(江南の三成洞)、明洞大聖堂(明洞)には一見の価値があると言った。図書館はCOEXモールの中心に位置する地下1階から地上1階までのオープンな吹き抜け部分にあり、巨大な本棚群(蔵書5万冊)の壮観さに目を引く。キリスト教に縁のない我が夫婦は明洞大聖堂のステンドグラスが素晴らしいと感じたが、残念ながら写真撮影が禁止されていた。
 私自身は日本庶民の御用達グルメ店への再訪を楽しみにしていた。カンジャンケジャン(渡り蟹の醤油漬け)の真味食堂(麻浦・孔徳)は相変わらずの美味しさであった(予約がマストで予約代行に依頼した)。アワビ粥の多味粥(明洞)は移転前の店の方が良かったと思った。細い路地の先にある明洞多島海鮮に立ち寄ると廃墟になっていた。日本人御用達の店の方がコロナ禍の影響を大きく受け、明暗が別れているようだ。
 今回にて私が初めて気づいたことは、明洞夜市場(台湾の夜市)を探索していた時20時になろうとするのにまだ明るかったことだ。今まで韓国とは時差もないことから何となく東京と同じと思っていたが、ソウルと東京では日没が1時間も違う。

 ソウルは東経126°59′、北緯37°34′  で日没は19:54。東京は東経139°41′、北緯35°41′で日没は18:58 。経度で1度東に進む毎に、時間にして4分ずつ日没が早くなるという。経度は13度違うからそれで52分も違ってくる。

 さらに、6/11いきなり警報音が鳴り響きスマホを見ると、「緊急速報」と漢字で書かれていた(本文はハングルで分らず)。大地震か政変かと訝り直ぐにフロントに確認したが、警察が明洞周辺の人々に人探しの協力を求めるメールだという。何も外国の観光客にまで送らなくても思うが、システム的に無理なのか。ともあれ韓国事情を垣間見た。 

 現職大統領が非常戒厳を宣布して民主主義を危機に晒し、韓国社会が混乱に陥ったことからWOWOWにおいても5月に韓流映画「韓国の民主化」の特集を組んでいた。
 史実に沿って並べると、1979年10月26日に起きた朴正熙大統領暗殺事件を再現した『KCIA 南山の部長たち』(2020年公開)。独裁軍事政権が倒れ民主化が期待され、そう呼ばれた『ソウルの春』(2023年公開)。軍の中で全斗煥率いる反乱軍が鎮圧軍のと戦いに勝利しクーデターが成功したため、ソウルの春は桜のごとく早く散ることになる。
 1980年5月17日クーデーターにより既に全軍を掌握した全斗煥による戒厳令が発令され、それに対する反発から翌日の光州市での民主化を要求する市民が多数虐殺された『光州5・18』(2007年公開) 。全斗煥軍部独裁政権が大統領直接選挙への改憲を求める民衆を弾圧した『1987、ある闘いの真実』 (2017年)。全斗煥が院政を引くべく親友の盧泰愚大統領に禅定すべく改憲を拒否した「4・13護憲措置」 を発表し、さらに民主化を求めるソウル大学生が治安本部にて拷問され、それが隠ぺいされたことから、独裁政権への抗議が全国的に広がった。全斗煥大統領は大統領直接選挙制改憲実現などの一連の民主化措置を約束する「6・29宣言」をせざるを得なくなった。市民側の勝利。 
 『KCIA 南山の部長たち』は映画館で、『光州5・18』はWOWOWで前に観ていたが、今回『1987、ある闘いの真実』 と『ソウルの春』を観た。
 韓国の民主主義は市民が多大な犠牲を払った上で勝ち取ったことが分る。日本の民主主義の移行に犠牲を払ったことはなかったのか。戦後GHQが戦前の軍部主導の全体主義体制を崩壊させるために民主主義を植え付けた。
 戦争に日本が負けていなかったら軍部主導の政治体制は変わらなかった。いわば、“豊かな北朝鮮”というところか。徴兵制も存続し、国に盾突けば特高警察や憲兵に拷問・弾圧されていたことだろう。
 日本は市民が勝ち取ったとは言えないが、中国、満州、東南アジアでの戦闘、悲惨な沖縄での地上戦、本土での大空襲、広島・長崎への原爆投下などにおいて韓国民主化に伴う犠牲者よりはるかに多い日本人が犠牲となった。日本は民主主義を得る為に多大かつ無残な代償を払ったとみることもできるだろう。今の若者にはそんな認識はないだろうが。

 連合国軍最高司令官マッカーサーによって、天皇制を存続させただけではなく、戦勝国からの日本に対する分割統治要求を退け実質米国の一括間接支配により、ソ連による北海道分割統治が阻止された。その身代わりとばかりに朝鮮半島が38度線を境に分断された(日本からすれば南朝鮮としての韓国は共産圏からの脅威に対する壁となってくれたと言える)。 

 1950年に勃発した朝鮮戦争は停戦し休戦協定が結ばれるも終戦を意味する平和条約が結ばれていない。いまだ韓国は北朝鮮と戦争状態にあると言える。北朝鮮に与した、与させられた者は疎外され、そこに韓国民の分断の根っこがあるのか。今も徴兵制度により若者男子は2年弱の兵役に服している(世界的な人気グループBTSのメンバーさえも)。男女間の分断の一つの要因になっている。
 緊張感ある環境に加え軍事独裁政権から民主化を勝ち取ったことから韓国民の政治的民度は高い。大統領を直接選ぶことからも大統領選も大きな盛り上がりを見せる。今回の投票率はほぼ80%だとか。
 ただ、大統領を国民が直接選ぶ直接選挙の問題点が浮彫になっている。政治家経験のない者がいきなり大統領になり、国を混乱させる。米国のトランプ大統領(1.0)しかり。以前は自由と平等に反するが、共和党の重鎮がそんな素人のポピュリストの出馬を阻止していたのだが。ウクライナではコメディアンから大統領になったゼレンスキー氏が自身の保身の為に戦争に舵を切った。検事出身の韓国尹前大統領は非常戒厳を宣布した。まさか文民大統領が。軍部の戒厳令によるクーデーターの悪夢を国民は蘇らせたであろう。
 さらに、裁判で有罪判決を受けたものが、米・韓で大統領になれる。日本では考えられないことだが。
 日本は、首相は間接選挙。憲法第67号にて「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」 と定められている。
 過去から日本も直接選挙「首相公選制」との声が何度か上がったが、海外の状況を見れば、公選制を導入しなくて良かったのではないか。
 日本国民は自ら勝ち取ったとの意識はない。終戦が傘寿を迎えた今の若者は民主主義は当たり前のものとなっている。民主主義は壊れるとの不安も抱いていない。政治に対する関心は低い。
 その一方で、中途半端な民主主義では、戦前の全体主義体制における「お上に逆らってはいけない」との因習が残っているか。政権に不満ががあっても声を上げにくい。メディアも及び腰(長期政権を許し日本を地盤沈下させた)。
 芸能人に政治的発言を許さない風潮も日本の政治が盛り上がらない要因の一つかも知れない。米国ではトランプ大統領に対して敵対的な態度のロックスター・ブルース・スプリングスティーン氏や民主党支持を訴える世界的人気歌手テイラー・スイフトさんを初め芸能人は積極的に政治的発言をする。韓国も人気スターの政治的発言に対して、発言するより、しない方が批判される。
 日本では、いまだに芸能人が政治的発言することをよしとしない。2020年「♯検察庁法改正案に抗議します」とのハッシュタグが立ち珍しく大勢の芸能人が抗議の声を挙げたが。それに対して「芸能人は政治に口出しするな」と人気歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんが右派からの攻撃ターゲットとされた(メディアは、報道しても、その攻撃に対して声高に批判することはない)。これを見て芸能人たちのマネジャーは政治発言は慎むようにとアドバイスしたのではないか。
 直接政治的発言をしなくてもである。俳優の佐藤浩市氏が、映画『空母いぶき』(2019年公開)の公開前インタビューでをめぐって、総理大臣役を演じるにあたり、「彼(劇中の総理大臣)はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです」と答えたという。安倍首相をモデルにとか揶揄する発言はしていない。それなのに右派の作家は「三流役者が、えらそうに!」と言い放ち、出版社の社長が「最初から首相を貶(おとし)める政治的な目的で首相役を演じている映画など観たくもない」と批判したという。
 佐藤氏発言を誤解あるいは曲解したとしても、許される批判は、「首相を批判するのは自由だが、持病を揶揄するのは人としていかがなものか」ぐらいなのに。

 日本の政治的民度に加え、大統領直接選挙の動向をみて、首相を直接選挙で選ぶことは避けるべきであると誰しもそう思うのではないか。しかし、現実には日本も直接選挙に近いものになっているのである。
 先の自民党総裁選にて、自民党国会議員の中で嫌われている二人が総裁の椅子を争った。石破茂議員と高市早苗議員との間にて決戦投票が。どちらがまだましかとの選択に終わる。
 そして、石破自民党総裁が内閣総理大臣に就任した。それで我々国民はなぜ石破氏が嫌われているのかを理解することになる。
 高齢化社会にて医療費が年々高騰していく中高額療養費制度の自己負担上限額引き上げが先送りされた。
 厚労省が受益者負担を引き上げること自体は悪いとは言えない。それが患者たちにどんな影響があるか考えるのが政治家の役割。公表する前に厚労省とよくその辺を詰める必要がある。それで決まれば、首相は一旦表明した限り反対意見が出ててもよほどのことがない限り押し通すものではないのか。
 それが、野党や患者などから反対意見が出ると、初めて気が付いたのか、もしくは高を括っていたのか、「長期的に治療を要する患者の負担額を増やさず据え置き」と方針変更する。そしてまた「8月に引き上げはするが、来年度以降は再検討」とさらに方針を変更する。それも「8月からの上限額引き上げを見送る」と再々方針変更し、結局問題の先送り。国民からだけではなく、医療保険財政の逼迫に苦慮する厚労省からも信頼を失う。 
 先の衆議院選挙にて少数与党に転落した主因とも言える「非公認候補にも実質2,000万円の支給」に対してメディアが批判すると怒りをみせ、唯一の味方である国民を敵に回す。参議院選挙を前に野党が求める「消費税減税」をしないとする首相に野党が何もしていないと詰め寄られれば、気色ばむ。優柔不断だが、プライドを傷つけられたら感情を露わにするのか。
 信念がないのか、信念があっても貫くをことが出来ないのか、石破総理が所信表明で言及した石橋(湛山)元総理と石破総理は一字違いで大違い。

 参議院議員の半数が任期満了を迎える7/28より前(7/20?)に参議院選挙が行われる。消費税減税、基礎年金の底上げ等を要求する野党に対する石破首相の答弁はまるで財務省官僚の様。視聴者の印象はすこぶる悪かった。それでも筋を通せばよいのに、参院選対策として低所得者だけならまだしも無意味な富裕層にも2万円給付という、いわゆる“ばら撒き”をする。物価高は安倍首相ー黒田日銀総裁体制による国債の乱発と(財政ファイナンスと呼ぶべき)日銀引き受けにより日本財政への国際的信頼が低下したことによる円安が主因なのに。

 筋を通さない嫌われ者は存在価値が問われてしまう。

 石破降ろしの急先鋒旧安倍派参議院議員西田昌司氏が意図不明の「ひめゆりの塔」発言で自爆。政権ではなく自民党自体を破損。
 参議院選挙でも自民党は惨敗するのではないか。与党が続くとしても、石破総理・総裁は辞任することになるだろうと思った。
 そうなると、いつも「次の総裁に誰がよいか」とのアンケートでは、メディアがどんな調査をしているか分らないが、WEB上には河野太郎元デジタル大臣や小泉進次郎農水大臣の名が上位に挙がる。私などはこんな政治的民度では直接選挙は到底無理と思っていた。
 前総裁選の折には、河野氏に代わって石破氏の名が浮上していた。石破氏は党内野党的な立場で批判しているのを正論を吐いていると皮相的に好感を覚えたのであろう。
 自民党の総裁を決めるのだからどんな決め方をしようと勝手とはいえ、実質自民党総裁=内閣総理大臣と言える。ならば、総裁選に党員・党友を参加させるのはどうなのか(辞任の場合は任期満了とは違い党員・党友のウエイトは小さくなるが)。前総裁選で嫌われ者同士の決戦になったことを見ても。
 「党員」でも問題があるのに「党友」までも。自民党のファンクラブ会員に過ぎないのに「総裁選への参画」という特典が与えられている。AKB選抜総選挙の投票権じゃあるまいに。
 前にも述べたが、自民党総裁選を本選に進む候補を決める予備選(直接選挙)と総裁を選ぶ本選(間接選挙)の二つに分ける。予備選は党員・党友も参加させることにする。本選では予備選の1位~5位までの候補者の中から「国会議員だけ」で投票させる。過半数に達する候補者がいない時は上位2名の決戦投票とすべきではないか。

 ところが、最近風向きが変わってきた。石破政権の支持率が下がり続ける中米価は高騰し続け国民から不満が上がる中江藤前農水大臣が「米を買ったことがない」との軽率発言が、政権をさらに窮地にと思われた。が、何と「禍い転じて福となす」の事態に。
 石破首相は後任に人気のある小泉進次郎元農水大臣を起用した。小泉大臣の緊急時における随時契約における安価な備蓄米の放出に庶民は大歓迎。父親を彷彿させる「小泉劇場」の様相を呈している。石破政権の支持率も少し回復した。

 私が生まれた1950年に池田隼人大蔵大臣が米価高騰の折「貧乏人は麦を食え」と言ったと曲解報道され、辞任に追い込まれた。今回の備蓄米放出はいわば緊急避難的措置であり、米価高騰の抜本的な解決策ではない。ブランド米はともかくブレンド米が庶民の口に入りづらい状況が続けば、「貧乏人は備蓄米(古米)を食え」と言うのかと庶民は非難し出すだろう。ただ、それは参院選が終わったその先だろう。
 小泉大臣は参院選の選挙の顔となると皆そう思うだろう。しかし、選挙目当てで小泉大臣を首相にするようなマネはしてはならぬ(私は小泉大臣が首相になることは望んでいない。が、いい様に利用されてつぶされることも見たくない)。

 国民が国の顔にもなってほしいと思うなら、天才宰相田中角栄でさえも階段を登った、幹事長、大蔵(現財務)大臣、外務大臣への王道を踏ませなければ。それに小泉大臣が合格しなければ(父親の純一郎元総理が総裁選出馬は50歳を過ぎてからと忠告するのはそういう意味だろう)。
 世襲を王道の過程をすっ飛ばす免罪符にしてはいけない。

 一方、野党にはアゲインストの風が吹いてきている。支持率が高かった国民民主党も「好事魔多し」で玉木雄一郎代表自ら不倫問題起こして以降参院選への問題候補の擁立や玉木代表の備蓄米「エサ米」発言等で支持率を急落させている。
 内閣不信任案を出し可決されるなら石破政権は衆参同時解散選挙に打って出るのが分っているのに、これ以上支持率が下がる前にと思うのか玉木代表は犬猿?の立憲民主党に内閣不信任案の提出を呼びかける。頭は良いが自身が一番大事なナルシスト?の玉木代表は公僕である政治家や官僚には向いていないと私はそう思う。
 野党第一党立憲民主党は参院選を前にアピール出来る成果がないことから、自公が丸呑みした年金制度改革法案でポイントを稼ぐつもりが、「あんこのないアンパンに毒入りあんこを入れたのか」かと厚生年金の積立金活用による基礎年金の底上げが「厚生年金の流用」とネット民からバッシングを受け、裏目となった。

 このような情勢と自民党との大同連立も噂されている中では、党内から強い要請もあるが野田佳彦代表は内閣不信任案の提出はしないのではないかと思ったが、昨晩野田代表は不信任案の提出は見送ると表明した。
 かくして、参院選は自公で過半数を確保し、石破政権は延命の芽が出てきた。同じ嫌われるのなら、“石不破”ではなく、石のような殻を破り石破色を出せばと思う。メディアに「嫌われ者世に憚る」と言われるほどに。
(次回230号は7/10アップ予定)