2025.11 NO.234 モテキ VS モテギ
石破首相の退陣表明を受けて自民党臨時総裁選が3日後の10/4に行われる。
石破首相は参院選の惨敗を受けて即退陣表明をするかと思われたが、あにはからんや続投したいと言い出した。同じ立場にあった先輩首相から国民から批判の矢を向けられてるところに後ろから銃口を向けた(退陣を迫った)と恨みを買ってる身なのに。そして自民党が混乱した。
政治家は、武士の末裔だと私はそう思っている。徳川家康が全国統一を果たし天下太平の世に変わって、武士は、戦闘士ではなくなり、いわば政治家になった。
しかし、武士道精神は忘れず自らを厳しく律していた。問題が起これは潔く責任をとり切腹した。見苦しいマネは末代までの家の恥として決してしなかった。
石破首相は、世間を騒がせる県知事や市長に身の処し方の範を示すところであったが、県知事や市長でもしないようなマネをした。総裁選の前倒し要求には、記名式、議員本人による届け出、それも時間を限定しメディアのカメラの前を通らせるとして、要求が過半数に至らないように画策した。
それでも総裁選の前倒し阻止が難しいとなるや大義のない衆院解散を口にするに及びこれ以上見苦しい切腹逃れをするなら打ち首にすべきとの声が高まるに至ってようやく石破首相は自刃(退陣)した。
メディアも変だ。先に劣化?したメディアが世界に誇る日本民族の劣化を助長させるつもりなのか。
大企業もトップに問題が無くても社員が大不祥事を起こせば、引責辞任する。何も武士の話まで持ち出さなくても、大きな問題が起きれば、トップが責任を取るのは世界共通で議論の余地はない。
直近の参院選の投票者数6061万人の投票結果が自民党及び総理・総裁に対する正式な「民意」である。
自民党の問題がとくに安倍政権時代にあったとはいえ、その改革を非主流の石破氏ならと期待したが期待はずれ。さらに衆院選、都議選と併せて3連敗。しかも、衆院、参院とも少数与党に転落したのは、「裏金議員にも実質2,000万円支給」とかトップの失敗であるなら辞任にしかありえない。
メディアは、「無用な混乱により政治の空白を作るな!」と批判すべきところなのに、石破首相は辞めなくてよいような世情を醸成させるかのごとき動きを見せる。
たかだか1,000人くらいの「石破首相は辞めないといけないのか」とのニュアンスのアンケートでは、「辞めなくてよい」との答えは増えてきてもおかしくない。
あるネット民が「左派系メディアは石破政権の続投を後押しする為に世論調査と称した世論誘導を繰り広げている感じがします。左派系メディアとしては必ずしも石破政権を支持している訳ではないと思いますが、総裁選が前倒しされた場合、候補者の中に左派系メディアとして絶対に総裁になってほしくない人物が含まれるからなのではないかと思います。引き続き左派系メディアの報道を注視したいです。」と投稿していた。一つの見識だと思う。
自民党も、この期に及んでも、危機意識がない。臨時総裁選は簡易型でよいのにフルスペック型でやるという。1年前の任期満了によるフルスペック型での総裁選は、人気は高いが、国会議員に嫌われている石破茂議員と高市早苗議員の決戦投票となり石破候補の方がまだましと選ばれた。結果はこのざま。国民がなぜ石破首相が嫌われているかを理解しただけ。
自民党がすべきことは、人気の高い議員で看板を替えることではなく、自民党を日本を抜本的に改革する期待がもてる総裁を選ぶこと。国民もそれを期待している。
なのに、フルスペック型にしたのは、自民離れの中党員・党友に阿る意味があるとともに10/4の総裁選まで自民党に国民の眼が注がれることのねらいであろう。これで解党的出直しと言えるのか。
日本は国のトップを決めるのに直接国民に選ばせる「直接選挙」ではなく、国民の代表である国会議員の中から国会議員が総理を選ぶ「間接選挙」となっている。
しかし、実際には、これまでほとんど自民党総裁=内閣総理大臣。今回においても自民党が少数与党に転落しても野党がバラバラで自民党の新総裁が総理になると見られている。
本来自民党の総裁を選ぶのにどんな方式だろうと自民党の勝手ではある。が、国のトップ・総理も実質選ぶことになるなら、間接選挙の趣旨に合致している必要があると思う。
総裁選に党員・党友を参加させるのはどうなのか。私に言わせれば「党友」は自民党のファンクラブ会員に過ぎないのに「総裁選への参画」という特典が与えられている。AKB選抜総選挙の投票権じゃあるまいに。
党員の中には、一部60歳以上の真剣に自民党のあり方を考えている党員もいようが、毎年末まで自民国会議員1人に1,000人以上の党員を確保するノルマが科せられているのであれば、党友と変わらない党員も多いのではないか。
党員・党友による投票は、日本人は優秀であるが私を含めて政治的民度が低い中で形成される世論(メディアによる詳細不明の調査)の縮図と見るべきでは。
今まで、2012年9月の総裁選にて石破VS安倍の総裁選のように1回目国民から人気の高い石破氏が1位になったものを2回目の決選投票で2位の安倍氏が3位の石原伸晃氏らの票を得て安倍氏が総裁になったように、2回目に逆転させてきた。
しかし、前回のように国民から人気が高くても国会議員に嫌われている者同士が1位と2位を占めることが起こりうる。2回目は消極的選択になってしまう。
私は前回の総裁選の結果を受けて本ブログ2024年11月号NO.216(オバタリアンVSリバタリアン)にて現行の総裁選の問題点を指摘し、総裁選のあり方について改善案を提示した。
自民党総裁選を本選に進む候補を決める予備選(直接選挙)と総裁を選ぶ本選(間接選挙)の二つに分ける。
予備選は党員・党友も参加させることにする。本選では予備選(前回立候補者9名)の1位~5位までの候補者の中から「国会議員だけ」で投票させる。過半数に達する候補者がいない時は上位2名の決戦投票とする。
なお、今回のように5名前後の立候補が普通だとすれば、4人以下の立候補の場合、予備選は実施せず、国会議員による本戦のみとすればよいのではないか。
ともあれ、今回総裁選に5名の候補が立った。出馬会見順に挙げると、小林鷹之氏 、茂木敏充氏、林芳正氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏となる。
私は、責任感、決断力は皆同じとの前提に立ち、総理・総裁に必要な主要4要件を挙げ下記の通り5人の候補者を評点の高い順に並べてみた。
評点(10点満点)=①知性4点+②教養(歴史観)3点+
③主要ポスト歴任2点+④人望1点
・林氏10点①知性○+②教養○+③主要ポスト歴任○+
④人望○
・茂木氏9点①知性○+②教養○+③主要ポスト歴任○+
④人望×
・小林氏8点①知性○+②教養○+③主要ポスト歴任×+
④人望○
・高市氏7点①知性○+②教養○+③主要ポスト歴任×+
④人望×
・小泉氏1点①知性×+②教養×+③主要ポスト歴任×+
④人望○
小泉氏の評点が酷く、支持者は激怒するかも知れないが、各項目all or nothingなので、そうなる。実際はこれほど酷くないと申し添えて起きたい。
私自身は、今度の総裁選は秀才エリート林氏と天才肌茂木氏との決戦投票になることを期待している。
とくに今回は茂木氏が総裁になるのが良いと思う。厳しい国家財政の中での目先の消費税減税等では物価対策になっても、日本経済は浮上しない(与野党とも、新しいケーキを開発もせず物価高の中赤字覚悟で値下げして顧客に媚びる、そんな売上が不振なケーキ店の店主みたい。長続きしないし、そんなことで顧客も買わない)。
難しい経済の浮揚は茂木氏に一番可能性を感じる。トランプ大統領への対応も、大統領からタフネゴシエーターと評価されている茂木氏が最適。
「平時の林、非常時の茂木」と言える。茂木氏が日本機(経済)をtake offさせ、シートベルト着用ランプが消え安定飛行に入れば、林氏が操縦席に座るのが良いと思っている(その林氏は討論会「ひろゆきと語る夜」で「自分以外に、この人が総理大臣になってほしいと思う人を指さしてもらいたい」とひろゆき氏から無茶振りがあり、林氏だけがそれに応え茂木氏に指さしている)。
茂木氏はyou tube で知名度を上げ、議員間でも人望を高める努力をしている。が、モテ期までには至らず総理になれない場合においても、茂木氏を外務大臣に登用し、経済もカバーすべく副総理として処遇すべきだ。誰が新総理になってもそうすべきだと考える。
今回のフルスペックの総裁選で危惧するのは、決選投票で高市氏と小泉氏の二人の争いになること。私からすれば、また消極的選択となる。違いは、前回の「嫌われ者同士」から「(心配で)総理・総裁になっては困る者同士」になること。
ただ、政治評論家の意見などによれば、今回高市氏が1回目投票にてに多くの党員・党友票を得て仮に一位になっても候補5人では過半数はとれない。決戦投票では2位と3位の連合軍に勝てる見込みは低いと見られているようだ。
同じ保守の小林サイドは高市氏に投票しないハズ。岸田サイド、茂木サイドも入れないだろう。頼みの旧安倍サイドは半減し、それも高市氏に反感を持つ議員もいる。
注目の石破サイドは前回決戦投票後ノーサイドと党の要職を高市氏に打診するも蹴られ挙党体制を打ち出せず恨みを抱えているという。麻生派は今回勝ち馬に乗る。推薦人を林氏を除く4候補にばら撒いている。前回は麻生氏が石破氏を蛇蝎の如く嫌っており高市氏に投票しただけと見られている。
連立を組む公明党も高市氏を歓迎していない。
どうも小泉総理・総裁が誕生しそうな雲行きではある。国民が本当にそれを望むなら、天才宰相故田中角栄でさえ、王道である、幹事長、大蔵(現財務)大臣、通産(現経産)大臣等を歴任した。小泉氏も同じ道を歩ませるべきだと思う。
44歳の小泉氏本人が「まだ未熟で主要ポストを経てから総裁選に望みたい」(父親純一郎氏は50歳になってからと言っていた)と言うなら、見直すが、仲間の国会議員に担がれ神輿に乗ればなんとかなるでは、心もとない(担ぐ議員も神輿は軽い方が良いのか、本当にそれでいいのか)。
自民党の重鎮麻生太郎氏が、新総裁には「選挙に勝てる人。野党と組める人」と解党危機のこの期に及んでまだそんなことを言っている。自民党支持者が、ひいては国民が求めるのは、自民党の問題を解決させるだけではなく、経済を浮揚させる総理・総裁なのに。
日本政治の問題の一つに世襲議員による政治支配があると思うが、世襲議員の首領と呼ぶべき85歳の麻生氏が、好き嫌いや自身の利害で総裁を選ぼうとする。解党的出直しの初手は麻生氏に身を引いてもらうことではないか。
自民党が“腐っても鯛”から“腐敗した鯛”への瀬戸際の時に小泉氏にそんな重い責務を担わせる必要があるのか。
小泉氏は側近や官僚が作るペーパーを読む分には問題がないが、首相には発言を求められるケースが多い。予算委員会等で「進次郎構文」が出れば立ち往生する。
トランプ大統領、プーチン大統領、習近平国家主席等外国の要人と通訳だけの二人だけの会談に耐えられるのか。非常に心配だ。
政策面は側近や閣僚に任せ、小泉氏自身は安倍首相の二番煎じになるのではないか。
総理・総裁に必要な主要4要件から見ると、安倍首相と小泉氏とはよく似ている。
故安倍晋三は神戸製鋼で職業人生を終えるハズだった。政界入りは本人の希望ではなく、病に伏す父親に地元後援会が懇願したのだろう。
父方、母方双方の祖父が東大法学部卒、父親晋太郎も東大法学部卒。安倍首相は学歴コンプレックスはあったが、アンチの識者が言うほど知性は低くなかったのでは。要領はいいし、弁も立つ。しかも、人たらし。人望もある。
「私は立法府の長」「ポツダム宣言を読んでいない」との発言は、知性の問題より政治家として持つべき教養を積んでこなかったことによるものと言える。
初めからタカ派ではなかったのでは。強気の発言をすれば、タカ派や防衛族や防衛省などから支持されることを悟った。拉致問題で官房副長官として北朝鮮へ小泉純一郎首相に随行し強気の発言すれば国民から喝采を受けると知った。
拉致問題で首相になったようなものだが、「拉致問題の解決」が政治家としてのライフワークには見えず、北朝鮮を怒らせただけ。門前払いの目に遭い、首相になってから拉致問題を進展させる事はなかった。そんな安倍首相より、よほどライフワークとしていた、拉致被害者蓮池薫氏の兄で大企業を辞め拉致問題にのめり込んだ透氏に暴露本を出され安倍首相の欺瞞を批判された(安倍首相だけ批判すればよかったのに、関係者全員を批判した。拉致被害者の帰国側と非帰国側とに一枚岩だった家族会が分断し、孤立化した透氏の断末魔の叫びであり絶望感からくる錯乱状態かと読者は共感するより引いてしまったのでは)。
安倍首相の評価は、タカ派や防衛族・防衛省の人々には高い。私のような国内問題、とくに経済を重視する人々からは評価は低いのでは。二分されていると思う。
安倍首相も主要ポストを経ていない。難しい経済問題は、友人案件など関心案件以外官邸内官僚に任せたのでは。
アベノミクスは三本の矢と言われたが、日銀の実質(禁断の)財政ファイナンスによる超金融緩和だけであった(効果がないと分っても超金融緩和を止めようとせず日銀を機能不全状態にした黒田日銀(特殊銀行)総裁は民間銀行なら会社法「特別背任」の対象になるハズ)。
本来第1の矢であるべき第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」は、大企業が円安による為替差益や正規雇用→非正規雇用により内部留保を厚くしたに止まる。失われた10年は20年となり、安倍政権はそれを30年にしたと言える。今隣国のインバウンド客から物価が安いと言われてしまっている(そんな安倍首相を恩恵を受けた富裕層ならともかく大多数の低所得者層が選挙で支持した。政治家を観る目が芸能人に対するのと同じ様では直接選挙は無理というもの)。
主要ポストの経験がない小泉氏も、総理になれば安倍首相を真似て、難しい「経済」よりも取っ付きやすい「国防」に走り、タカ派、国防族、自衛隊の支持を得ようとすることが懸念される(トランプ大統領に迫られたのか「23年度〜27年度にかける防衛費を総額43 兆円に」を安倍首相はトランプ大統領に約束したという。バイデン大統領に確認された岸田首相は「約束通り」と答え、うい奴とお褒めに預かったか。
大義名分として「敵基地攻撃能力」、不評で「反撃能力」と言い換え、国民に承知させると、その後「何をもって敵国が武力攻撃に着手したと判断するか」などについて議論がなされていないのでは(左派メディアも裏舞台を知るから批判しようとしないのか)。
小泉新総理なら、国民から支持率が下がれば、電撃北朝鮮訪問を画策するのでは。小泉親子なら特別扱いで進次郎氏は歓迎されるだろう。いいように利用されるだけに終わることが懸念される。
立候補会見で、小泉氏は経済政策では「2030年度までに国内投資135兆円、平均賃金100万円増を目指す」とし、物価高への対応として「ガソリン暫定税率の速やかな廃止」「所得税を見直し、物価や賃金の上昇に対応し基礎控除等を調整する仕組みを導入」する、という。
物価高には、決まり切ったこととはいえ、具体的施策が述べられているが、「国内投資135兆円、平均賃金100万円増」は具体的施策がなく、絵にかいた餅にすぎない。他の候補も似たり寄ったりだが、一番実現性が低く期待できない。
それでも、討論会で、安全運転に徹し大きな失言もなく、このまま新総理になるかと思われた。が、ここにきて「ステマ指示疑惑」「シャインマスカットの海外ライセンス展開方針に県知事ら反発」「フィリピン出張=総裁選からの逃亡」の問題が浮上し、前回のように党員・党友から小泉離れが起きかねない状況になったきた。
自身の責任と言いながら責任をとり総裁選を辞退することをしない者が責任は痛感するがと言いながら首相を辞めようとしなかった者の後任では、国民にとって喜劇ではなく悲劇(追及しょうとしない大手メディアは第四の権力を放棄しているのか)。
今後小泉票がどれだけ減るか分からないが、ここにきて林票が急増しているならば、決戦投票は、「高市VS小泉」だけではなく「高市VS林」、「小泉VS林」の可能性も出てきた。
私はやはり“非常時の茂木”が就任すべきだと思う。が、世襲議員なのに世襲議員が優位な小選挙区制から中選挙区制に戻したいとする林芳正新総理・総裁が誕生するなら、それはそれで歓迎したいと思うのだが。
(次回235号は10/20アップ予定)