名古屋駅から名鉄線でおよそ7分、神宮前駅の西口に観光商業施設「あつたnagAya」(あつたながや)が全面オープンしたので見てきました。
熱田神宮の由緒。
施設のご紹介の前にまずは神宮前の駅名のルーツ、熱田神宮の由緒から話を起こすことにいたします。
地元では「あつたさん」と呼ばれる熱田神宮は皇室の三種の神器のひとつ、草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)を祀る神社であります。神道において伊勢神宮に次ぐ社格を誇るとされていて、古くは今川義元を迎え撃たんとする織田信長が桶狭間の戦いへの出陣の道中で戦勝祈願をして、見事に勝利をおさめた信長は熱田神宮に土塀を寄進した歴史もあります。
信長が桶狭間の戦いの戦勝後に寄進した土塀。
「信長塀」と呼ばれ、今でもたいせつにされている。
由緒ある熱田神宮の門前町として。
伊勢神宮内宮にはおはらい町やおかげ横丁がいにしえの伊勢路を思わせる佇まいで人気を博していますが、やはり人々の崇敬を集める熱田神宮の門前町はというと、神宮と神宮前駅を隔てる大津通沿いに商店街はあるものの非常にさびれたものとなっていて、神宮を名古屋城と並ぶ歴史文化価値の高いスポットとして重んずる名古屋市としても積年の課題として認識をしていました。
名鉄神宮前駅西口には高級スーパー「パレマルシェ神宮」が入る名鉄神宮前ビルがありましたが令和3年(2021年)に解体、昨年にあたる令和6年(2024年)9月6日にあつたnagAya第1期、そして同年12月1日に全面開業となりました。
こちらは施設配置図です。神宮前駅西口駅舎を取り囲むように4ブロックで構成されています。
「壱の戸」と芝生広場。
「壱の戸」には味噌煮込みうどんの〈大久手山本屋〉、手羽先の〈風来坊〉など名古屋名物が味わえます。たいへんお恥ずかしい話ですが、私は味噌煮込みうどん好きを自認しながらも〈大久手山本屋〉を存じ上げませんでした。アテンドしてもらった友人に吹上にある老舗だと聞きまして、今度ぜひお伺いしたいと思っております。
また、ここには名鉄生活創研が運営する、名鉄線沿線の価値向上に資するための地方創生型ショップ〈名鉄商店〉の2号店も入ります。ちなみに1号店は名鉄名古屋駅・名鉄百貨店メンズ館の1階にございます。
朝陽が強く照りつけるあつたnagAya。
施設中央には芝生広場も整備されています。
「弐の戸」、「参の戸」。
こちらは「弐の戸」です。
金山近くにあるお茶の老舗〈妙香園〉の抹茶、熱田旧東海道に今も本店を構える〈亀屋芳広〉のあずき専門店、近傍の三本松町にあった老舗米穀店のおにぎり屋〈和〉(なごみ)などが集積していました。ここが私は1番のお気に入りでした!
ちなみに私は厄年に熱田神宮で特別祈祷をお受けしたのですが、その時の撤饌が〈亀屋芳広〉さんの落雁でありました。他都市とは異なる独特の和菓子文化が根付いた名古屋のまちは、それだけを切り取っても人のぬくもりを感じる、魅力の溢れるエピソードがわんさかわんさかと出てまいります。折を見てみなさんにご紹介できる日を楽しみにいたしております。
「参の戸」はオープンスペースとワゴン・キッチンカースペースとなっています。
熱田神宮に面したロケーションにこれでは……ちょっと庇いきれません。
ただ、出店なさっているお店さんは頑張っておられると思いますので、みなさんを応援したい気持ちは忘れたくないものであります。
12月オープンの「肆の戸」。
さあ、ここからが全面開業とともにお目見えした「肆の戸」(よんのと)であります。
こちらはお土産が集まるエリアです。
知多半島の美浜町にある〈えびせんべいの里〉の製造直売店。友人によると、名古屋ではソウルフードとして親しまれているとのことです。
建物奥には〈あつた小町 by Pare Marche〉。和歌山市のスーパーマーケットチェーン・オークワが運営する高級スーパー、パレマルシェの店舗です。和歌山県民のみなさん、ここで買い物されるときにはオークワのオーカードをお忘れなくお持ちください(笑)。
東海地方の銘菓珍味から地酒までを取り揃えていますが、なかでも日本酒が充実。やはり東海の酒どころは岐阜ですね。
まとめ。
地元・東海産の木材を用いて和風の佇まいでつくられた施設で、パレマルシェ神宮のクローズ以降、纏まったおやすみ処もなかった神宮前駅近傍にこのような施設が完成したことは歓迎をいたしたいと思います。ただし、さらなる期待を込めて申すことをお許しいただけるならば、どうしても拭えない仮設感が非常に残念です。特に「参の戸」はさらなるテコ入れが待たれます。
おはらい町活性化の一翼を担った赤福の本店。
同社が中心となり「おかげ横丁」がつくられた。
伊勢のおはらい町から見てもさらなる活性化のための議論の余地はあるでしょう。ただし、近傍に都市という都市のない伊勢に較べて、ここは大都市・名古屋の一角にあり、そもそも飲食店に困る地域ではありません。日々、熱田神宮には多くの参拝者が集まりますが、そのほとんどは熱田区内にとどまらず、名古屋市内で飲食を愉しんでおられると思われます。競合環境を睨みつつも、名古屋の市街地にはない魅力や佇まいをどうやって創出していくのか、同施設を運営する名鉄グループだけでなく地元商店や名古屋市なども含めて官民一体で整備のありようを考えていく時期にあろうと思います。
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