週末、8つ年上の彼と食事をし送ってもらった。

自宅近くの公園で少し話がしたいと言った。

今日は絶対に彼に確かめたい事があった。

絶対に…。


私のいつもと違う態度を察したのか、彼も無口だった。

深呼吸。

思い切って切り出した。


「彼女と仲良くしてる?」

彼はびっくりして私から目をそらした。

私が彼女の事を口にするのは初めてで、彼はかなり動揺しているようだった。

「彼女、私の存在知ってる?」

「知らない」

素直に質問に答えてくれたが、目はそらしたまま。

「彼女と私、一人だけ選んでほしい…」

沈黙

「私はあなたの何?」

「大切な人」

「じゃあ、私はあなたの彼女なの?」

沈黙

「今まで辛かった。彼女にも気を遣って…」

「ごめん。これからはもっと会えるようにするよ。」

「ううん。どっちか選んでほしいの。」

沈黙

「きちんとした付き合いができないなら、もう嫌。」

「どっちかなんて…、選べない。」

え?聞き取れないくらい小さい声。

「なに?」

「どっちも大切なんだ。」


なんでだろう。

一気に気持ちが冷めていくのがわかった。

なんで今までこんな男の事を好きだったんだろう。

こんな優柔不断で自己中心的で。


「私と付き合いたいって言ってくれる人がいるの。

私、その人と付き合おうと思ってる。

その人は私だけを大切と言ってくれるから…。」


もう何も言い返せないようだった。

「だから、もう会えない。」

「わかった。そいつと幸せにな。」

「うん。そっちも彼女を裏切らないでね。」


家に帰ってからすぐに電話をした。

7つ年上の彼に…。

短大1年の夏

友達が、歯科助手をしているバイト先の先生と海に行かないかと誘ってきた。

相変わらず年上の彼と、宙ぶらりんな関係を続けていた私。

夏休みもデートが忙しいわけではなく、暇を持て余していた。


そして短大の友達4人と、友達のバイト先の歯科医、そしてその友達と男女4人づつで海へ出かけた。

男性陣は全員歯科医とあって、住む世界に違う人かと思っていたが、案外話しやすく紳士的だった。


その後一ヶ月が過ぎ、夏休みが終わった。

一緒に海へ行った友達が、登校するなり私のところへやってきた。

一枚の名刺を渡された。

この名前???あの時の歯医者??

友達によると、街で偶然会ったようで、名刺を渡されたらしい。

しかも自宅の電話番号も書いてあり、私に渡してほしいとのこと。

名刺を渡された本人は、なぜ自分じゃないの??と冗談ぽくおどけてみせた。


それから1週間。

私は悩んだが電話することはできなかった。

そこへ、歯科助手の友達から電話がかかってきた。

先生の友達が電話してほしいんだって。


私は緊張しながら電話をかけた。

2人でご飯でも食べに行かない?と誘われた。


何度か食事を一緒にした。

この彼も7つ年上。

そして歯科医。

自分も一緒にいて見合う女性でいなければ…と、常に緊張したが、それなりに楽しかった。

食事の帰り、ついに彼から告白された。

「返事はすぐじゃなくてもいい。」

8つ年上のあの彼の話をした事があった。

だから、考える時間をくれたんだろう。


その日の夜、タイミングよく宙ぶらりんな彼から電話があった。

週末会いたい。

私は揺れ動く気持ちをおさえ、平然と彼と話した。

週末どんな顔で会おうか。

そして告白の返事はどうしようか。

その日は眠れなかった。




「私たち、別れよう」

卑怯な私は電話で告げた。

「えっ!」

彼は驚いた様子だったが、取り乱すことはなかった。

こんなもんか…と内心思った。

「門限も厳しいし、あんまり会えないし…」

好きな人ができたからなど、本当の理由は言えなかった。

中学の頃から好きだった彼との恋愛は、あっけなく終わった。


今日は8つ年上の彼と遊園地へデート。

彼に付き合ってと言われた事はない。

彼氏と別れてと言われた事もない。

私の意思で彼と別れ、この人とデートしている。

そう、彼女もいる年上の彼とのデートだ。


彼女の話は一切しない。

本当はもう別れたのでは?と思う程彼は優しかった。


でも、クリスマスや年末年始は一緒に過ごせない。

電話は私からかける事はない。

彼のペースに常に合わせ、私はわがままを言う事が出来なかった。

彼を失うのが怖くて、我慢ばかりしていた。


これが2番目の辛さだった。


いつも泣いてばかりいた。