短大2年の冬。
早々と就職先が決まり、思いきり学生時代を満喫したいところだったが、あれ以来デートする相手が現れない。

そんな中、成人式を迎えた。
私の地域の式典は地元のホールで行われる。
当然、中学の同窓会のようになる。

当日、中学からの仲間と待ち合わせをし、会場へ向かった。
会場を見回す。
懐かしい顔が沢山いた。
パッとしなかった人が華やかになっていたり、モテモテだった人がオヤジ化していたり、久々に会う同級生との会話が楽しかった。
式典が始まった。
会場の後ろの方に座った私は、ある人を探していた。
そう、初恋のあの彼を。
式典中は見付けられなかった。
式典が終わり、同じ会場でビールやサンドイッチなどが振る舞われた。
同級生達と楽しく話していると、後ろから男性の声が聞こえた。
「久しぶり。」
振り向くと、さっき探していた彼がいた。
三年ぶりに会う彼は、少し背と髪が伸びていた。
近況を話したり、あの頃の淡い思い出話をしたり…。
高校を卒業後働き始めた彼は、大人に見えた。

そして、
「じゃ、またね。」
次に会う約束もせず、お互いにそう言って手を振った。

その後も変わらない日々が続き、私は社会人になった。
私は彼と別れる決意をした。
夜、電話をかけた。
彼が出た。
「もしもし、ご無沙汰。」
「うん。」
「今日はね、話したい事があって。」
反応がない。
私は話し始めた。
「最近、連絡とってなかったよね。」
無視
「このままじゃ、自然消滅しちゃう。
だから、はっきりさせたいの。
別れよう。
あなたもそう思うでしょ?」
しかと。
「もしもし?もしもし?」
電話の受話器を放置されているのが分かった。
「もしもーし、もしもし。」
大声で何度も呼んだが、無視され続けた。
26歳の大人が、陰険なやり方だと失望した。
私は諦めて電話を切った。

次の日も電話をした。
留守電だった。
きちんと話しがしたいから、明日また電話すると伝えた。

また次の日もその次の日も、留守電になってしまった。

一週間後、やっと彼が電話に出た。
そして、きちんと別れる事ができた。

彼から言われた言葉。
「もっと大人になってから会いたかった。
そしたら、きっと俺達うまくいったのに。」
はぁ?
私からの電話から逃げ続けた人が、私に言う事かねー。

ま、スッキリしたところで、また新しい恋さがすぞ。

歯科医の彼と真剣に付き合うことになった。

恋人とよべる付き合いはこれが初めてかもしれない。

この前は、二股。

その前は地元だけのデート。

やっと、普通のデートができた。


彼とは色々なところへ出かけた。

年上の彼は、私の知らない世界をたくさん見せてくれた。

付き合ってすぐに彼の家族にも紹介され、よく自宅にも遊びに行った。


ただ、私には悩みがあった。

それは、付き合って半年経ったが、本当の自分をまだ曝け出せていない事だった。


彼は年上。

歯科医。

家柄も良い。


彼に見合うようになる為、思いっきり背伸びをしていた。

会話。

食事の作法。

服装。

それがだんだん疲れるようになった。


その一方で彼は、30歳までに子供が欲しい。

と、結婚願望を口にするようになった。

彼が30歳までと言う事は、私は23歳までに産まなくてはいけない。

22歳くらいで結婚しなくてはいけない。

正直言って、その頃の私は結婚願望が全くなかった。

彼の結婚願望の強さに、少し引き始めていた。


私の変化した態度に気づいたのか、彼からの電話が減っていった。

会う回数も減っていった。

私からも電話はかけなかった。


彼を嫌いになったわけではないが、一緒にいて疲れる関係って…???

彼との未来が見えなかった。