ポストテロルの幻想とアグリカルチャー
巨大化していく同級生たちの中で僕と天応九朗だけが普通だ。もうどっちが普通かなんてわかんないけど。巨大化する数の方が多い場合は巨大化することが正常なのか?ちがう。今起きていることは異常だ。
巨大化が進むとどうやら体全体の機能に障害が起きたり、機能が低下したりするらしくて、堀山なんて脳をやられて馬鹿みたいになっている。みんな動くのがやっとでのそのそ教室の中を歩く。
巨大化した同級生の中で僕と天応九朗は相変わらず小さなままで、このままだと誰かにうっかり潰されかねない。
「おい、もう帰ろう。こいつらどうしようもねえよ」
と、天応九朗が言ったので僕も賛成。
家に帰って夕方のニュースを見てたら同級生たちはあれからもっと巨大化して二十八人全員で暴れだして校舎を破壊して自衛隊のミサイルでこっぱみじんになった、とアナウンサーが言った。やれやれ、帰っておいて正解だったな。正当性、という点においては天応九朗はいつも正しい。
巨大化が進むとどうやら体全体の機能に障害が起きたり、機能が低下したりするらしくて、堀山なんて脳をやられて馬鹿みたいになっている。みんな動くのがやっとでのそのそ教室の中を歩く。
巨大化した同級生の中で僕と天応九朗は相変わらず小さなままで、このままだと誰かにうっかり潰されかねない。
「おい、もう帰ろう。こいつらどうしようもねえよ」
と、天応九朗が言ったので僕も賛成。
家に帰って夕方のニュースを見てたら同級生たちはあれからもっと巨大化して二十八人全員で暴れだして校舎を破壊して自衛隊のミサイルでこっぱみじんになった、とアナウンサーが言った。やれやれ、帰っておいて正解だったな。正当性、という点においては天応九朗はいつも正しい。
フィスト・オブ・ヘブン
必要に迫られて仕方なく猫の頭に空いた穴に飛込んだ僕はしかし、猫の頭の中ではなく僕の頭の中にいた。もしかしたらここは猫の頭の中かもしれないけど、実感としてはここは僕の頭の中で、だってここには僕の頭の中にいるべき鯖怪人がいるから。
鯖怪人は僕の頭の中にいた時と同じように次々に現れる敵の怪人達と戦い、傷付いていく。鯖怪人はそれでも戦わなくちゃいけない。鯖怪人は僕のヒーローで、ヒーローとは戦う姿をした脳内の僕の鏡で、脳内だろうと鏡だろうと虚像だろうと僕の中ではリアルなヒーローだからリアルに血を流すのだ。死ぬまで戦うのが僕の鯖怪人。鯖怪人よもっと戦え。犬怪人やキリン怪人や蝿怪人にたとえその身を引き裂かれ焼き尽されても君は戦わなくちゃいけない。ヒーローとは戦い、しかも勝たなくてはいけないんだ。
ああ、猫の頭の中超楽しい。
鯖怪人は僕の頭の中にいた時と同じように次々に現れる敵の怪人達と戦い、傷付いていく。鯖怪人はそれでも戦わなくちゃいけない。鯖怪人は僕のヒーローで、ヒーローとは戦う姿をした脳内の僕の鏡で、脳内だろうと鏡だろうと虚像だろうと僕の中ではリアルなヒーローだからリアルに血を流すのだ。死ぬまで戦うのが僕の鯖怪人。鯖怪人よもっと戦え。犬怪人やキリン怪人や蝿怪人にたとえその身を引き裂かれ焼き尽されても君は戦わなくちゃいけない。ヒーローとは戦い、しかも勝たなくてはいけないんだ。
ああ、猫の頭の中超楽しい。
ハラデルラデル・テロ
それは、何百本もの小さな針が体の皮膚を突き破って出てくるイメージ。悲しみは痛みだ。悲しみは僕の体を突き破り、痛みとして残る。
事実、あらゆる悲しみは実際に僕を傷付ける。
それは飼い犬が死んだ時もそうだし、嫌いなナスを食べた時もそうだ。雨が降れば気が沈んで悲しい気持ちになるし、風が強いと憂鬱で悲しくなる。
たとえ一歩も部屋から出ずに、自分を悲しみから隔離しようとしてもどんなに悲しむまいと努力しても悲しみは確実に絶対にやってくる。血を拭う暇もなく針は突き破って出てくる。
だけど、ボクは自分から出る針によって命を落としたりはしない。悲しみも痛みも生きている悲しみや痛みであって生きている限り続くだけであってポジティブなものだ。どんなに悲惨でも生きていることは死んでいることよりはポジティブだ。
事実、あらゆる悲しみは実際に僕を傷付ける。
それは飼い犬が死んだ時もそうだし、嫌いなナスを食べた時もそうだ。雨が降れば気が沈んで悲しい気持ちになるし、風が強いと憂鬱で悲しくなる。
たとえ一歩も部屋から出ずに、自分を悲しみから隔離しようとしてもどんなに悲しむまいと努力しても悲しみは確実に絶対にやってくる。血を拭う暇もなく針は突き破って出てくる。
だけど、ボクは自分から出る針によって命を落としたりはしない。悲しみも痛みも生きている悲しみや痛みであって生きている限り続くだけであってポジティブなものだ。どんなに悲惨でも生きていることは死んでいることよりはポジティブだ。