【連載22】「優しい夫は戻ってこないのでは…」同じ症状に悩む人々の「家族会」への参加を決めた日


「逆境のトリセツ」とは・・・
右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
実在する谷口正典と、妻益村泉月珠のノンフィクション小説です。

✅幻冬舎ゴールドライフオンライン連載中
https://renaissance-media.jp/category/gr781




「家族会ですか?」

「この障がいは、『生活障害』といって、家族の前で症状は出ますが、入院中や医師の目の前では、症状が起こらないし問題なく見えます。病院での検査結果が良かったとしても、日常生活が送れない、難しいこともあります」

「ここに解決の糸口があるかもしれませんね。行ってみます」

選択肢はもう残っていなかった。すでに臨月になろうとしていた私は、動くのが辛くなり始めていたものの、子どもが生まれてからよりは動きやすい! と、意を決して家族会に参加することにしたのだ。

高次脳機能障害の症状とプライド

夏の暑い日、大きいお腹を抱え大粒の汗をかきながら、夫と一緒に高次脳機能障害の患者や家族が参加する会合に出席した。

「こんにちは」

恐る恐るドアを少し開けて会釈をして顔をあげると皆さん、ニコニコしていて、アットホームな雰囲気。

「どうぞ、どうぞ、中に入ってください」

ちゃきちゃきと動いている家族会の代表と思われる女性から声をかけられ中に入った。代表の娘さんが高次脳機能障害だと言う。そこには、私と同じように悩み苦しんでいる家族がいた。机と椅子がロの字に並べられ、障がいがあるようには全く見えない人たちが並んでいた。

「大雨で土砂災害があったとき、夫が一人で出て行ってしまって、行方不明になったんですよ。それで、見つかったときは、パトカーで帰宅したんですよね」

ご高齢の奥様が隣のご主人の話をされた。

「お金を全部使ってしまうから三百円を毎日持たせることにしているんです」

なんだか、私の悩みがちっぽけに見えてきた。こだわりが強いという話もあるが、夫と似ているようで、似ていない。

「夫は、十五年前に事故に遭って、脳挫傷と二週間の意識不明の重体で、三か月くらい前から、二重人格のようになったんです。近くの病院に行ったら、そんなアニメのようなことはないって言われてしまって……。誰もわかってくれないって、すごく悲しかったんです」

「それは大変でしたね。性格が変わったようになることありますよね。でも、医者じゃあ、それはわからないですよ。日常生活の中で気がつく障がいだから。だから家族会でこうして話をしているんです」



「優しい夫は戻ってこないのでは…」同じ症状に悩む人々の「家族会」への参加を決めた日
https://renaissance-media.jp/articles/-/14020

 

 

 

 

 


「逆境のトリセツ」とは・・・
右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
実在する谷口正典と、妻益村泉月珠のノンフィクション小説です。

✅幻冬舎ゴールドライフオンライン連載中
https://renaissance-media.jp/category/gr781

✅前回は・・・
【連載20】これが俺の高次脳機能障害の症状だった
https://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryupdateinput.do?id=12817370814


話し合い 崩壊寸前の家族

しばらく実家にいた夫は、猛省して帰ってきたはずだった。

しかし気がつけば、大声で怒鳴り散らし、

 

目はギラギラ、

 

濃い味つけが大好きなマイケルがリビングに居座るようになっていた。

 

「おい! こんなもん食えるか、食わない」

「食べないなら出て行けばいいじゃない。反省全くしてないじゃない」

私への対応は、乱暴な言葉で、何でもあしらうような返事になっていった。

 

私もいらつきで酷い言葉になっていった。

 

マイケルには記憶がないし、その記憶を継続することもない。

 

マイケルと会話をしても何も進展しないことがわかった。

「言い返しても仕方ないか……」

誰も返事をしてくれるわけではなく……

「私が結婚したのは、マイケルじゃない」

独り言で自分に言い聞かせる。

そう、マイケルと呼び始めた理由は、

 

私の精神状態を安定させるためだった。

 

夫だと思ったら、離婚しかない、と思ってしまう自分に対して、

 

何か良い方法があるのではないかと自分に言い聞かせるためだった。

 

だから、呼び名は、同じ「ま」がつく外国人を選んだのだ。


今までは、夫が疲れたときや夜だけ、

 

夫の身体を乗っ取るかのように現れていたマイケルが、

 

最近は、毎日現れるようになってきていた。

 

さらに、少しずつ居座る時間が増えてきた。

 

夜だけでなく、夕方や午後からと長くなりはじめていた。


「誰だよ、このコップ置いたのは。置いている位置が違う。布巾はこの位置じゃない」

キッチンに立った夫は、

 

見えたものを片っ端からすべて言って歩きはじめた。

 

小さなこだわりを積み上げていき、

 

自分が心地良い居場所と時間を確保していく。

 

超超超性格が悪いマイケルがいた。


優しく、ひたむきにがんばる夫の姿、

 

素直で周りを笑顔にさせてくれる夫が好きだったのに、

 

もう前のような優しい夫は戻ってこないかもしれない。


悪い方に考え始める自分がいることに気がついた。

 

どんどん孤独という黒いモヤモヤが大きくなり、

 

私は、イライラすることが多くなっていった。



中学生の息子にとっては辛い出来事だった。

 

学校を休みがちになり、さらに家の中が殺伐とした空気となった。

 

妊娠中の私には、もう限界だった。


このままでは家族が壊れてしまう。

 

マイケルが長時間出現するようになったこと、

 

いやいや、夫の高次脳機能障害の症状が長時間出るようになったことを

 

脳神経外科の黒木先生に相談した。


「どんどんと症状が悪化していて、このまま症状が進行すると本人がいなくなってしまうのではないかと思います。治す方法はないんでしょうか」

黒木先生からは解決方法の言葉ではなく、一枚のパンフレットを手渡された。 

「ここに行ってみてはどうでしょう。同じ症状がある患者さんやその家族が集まる会です。これに参加してみたらどうでしょうか」

続く・・・

「優しい夫は戻ってこないのでは…」同じ症状に悩む人々の「家族会」への参加を決めた日
https://renaissance-media.jp/articles/-/14020

 

 

 

 

8/27(日)13:00-
ゆめのたね「ラジオ甲子園」の表彰式でした。
審査員務めさせていただきます。

君は、高校生?
と言ってしまうほど素晴らしい作品に
驚きました!

写真準備中のものです。








#ゆめのたね
#ゆめのたね放送局 
#ラジオ甲子園
#表彰式
#審査員
#逆境のトリセツ 
#谷口正典 

 

8/31▶9/11 『益村司が描く蘭陵王展』が宮島口で開催

宮島にお越しの際は、宮島口旅客ターミナル

「はつかいち・みやじま情報センターへ」

 

■絵画展のご案内

『 益村司が描く蘭陵王展 』
―美しすぎる武将による勝鬨(かちどき)―

■期間:8/31(木)▶9/11(月) 10時~19時

入場無料
最終日10時~16時
■会場:はつかいち・みやじま情報センター
    廿日市市宮島口旅客ターミナル2階
■主催:廿日市市


「舞楽蘭陵王」パリ国際サロングランプリ受賞

 

今回の個展では、パリ国際サロングランプリ受賞「舞楽蘭陵王」も展示しています。

 

 

 

【お知らせ】

広島市の画家 益村司氏、宮島にゆかりの作品を廿日市市へ
広島市西区在住の画家、益村司(ますむらつかさ)氏(75)が、8月31日(木)に宮島にゆかりのある作品を廿日市市に寄贈します。寄贈される作品は、G7広島サミットで首脳のパートナープログラムとして披露された厳島神社の「蘭陵王(らんりょうおう)」をモチーフにしたアクリル画で、2018年にフランスの「ル・サロン展」でメンションを受賞した作品です。

 


■日程
1.益村司寄贈作品の除幕式を宮島町内で実施
・日時:8/31(木)10:00~
・会場:TOTO宮島おもてなしトイレ
・住所:廿日市市宮島町536-1
■寄贈作品について
・作品名:舞楽 蘭陵王
・作者: 益村司
・受賞年:2018年
・受賞名:「ル・サロン展」メンション受賞 
※ル・サロン展とは、フランスの歴史ある公募展です。

 

▼TOTO宮島おもてなしトイレ

 

 


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▼実は、画家・益村司氏の作品をデジタルLINEを担当したのは私です!
▼蘭陵王 LINEスタンプ

https://store.line.me/stickershop/product/16604556/ja?from=sticker


 

広島観光大使をしている谷口正典です。

来週から、宮島で舞楽「蘭陵王」の絵画が展示されます。

宮島にお越しの際は、「TOTO宮島おもてなしトイレ」へ行ってみてください!

 

【お知らせ】

広島市の画家 益村司氏、宮島にゆかりの作品を廿日市市へ

広島市西区在住の画家、益村司(ますむらつかさ)氏(75)が、8月31日(木)に宮島にゆかりのある作品を廿日市市に寄贈します。寄贈される作品は、G7広島サミットで首脳のパートナープログラムとして披露された厳島神社の「蘭陵王(らんりょうおう)」をモチーフにしたアクリル画で、2018年にフランスの「ル・サロン展」でメンションを受賞した作品です。

 



■スケジュール
1.益村司寄贈作品の除幕式を宮島町内で実施
・日時:8/31(木)10:00~
・会場:TOTO宮島おもてなしトイレ
・住所:廿日市市宮島町536-1

■寄贈作品について
・作品名:舞楽 蘭陵王
・作者: 益村司
・受賞年:2018年
・受賞名:「ル・サロン展」メンション受賞 
※ル・サロン展とは、フランスの歴史ある公募展です。

 

▼TOTO宮島おもてなしトイレ

 

 

 

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記念絵画展を実施

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『 益村司が描く蘭陵王展 』
―美しすぎる武将による勝鬨(かちどき)―
8/31▶9/11 10時~19時入場無料
初日13時~19時 最終日10時~16時
廿日市市宮島口旅客ターミナル2階
はつかいち・みやじま情報センター
主催 廿日市市

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▼実は、画家・益村司氏の作品をデジタルLINEを担当したのは私です!
▼蘭陵王 LINEスタンプ

https://store.line.me/stickershop/product/16604556/ja?from=sticker


 

 

 

 


右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
ノンフィクション小説「逆境のトリセツ」
十五年前に救急車で運ばれた病院へ

高次脳機能障害とは、けがや病気により、大脳に損傷を負うことで、物忘れが多くなったり、集中して物事に取り組めなかったり、自分で計画を立てることができない、興奮して暴力的になったりと症状が出る障がいのことだと言う。これらの症状は、いつも出ているわけでなく、脳が疲れると症状が出やすいようだった。

 

家にもう一人男が住んでいるという妻。

家族に乱暴する彼の正体は、俺自身だった。

 

image

 

(これ、うちだよな。目が据わった男。これは俺じゃない。誰だ? こいつ?)

 

(俺? いやいや、俺はこの光景を全く覚えていない)

 

(この映像は作り物? いや、これ、やっぱり俺?)

 

この映像を見た俺は、半パニック状態になった。

 

「黒木先生、夫は、このときのことを覚えていません。まるで二重人格のようなんです」

 

妻は、ノートを見ながら、さらに話し始めた。

 

「この症状が出るときにどんな行動をしていたのかノートにまとめたんです。お酒を飲んだときと睡眠不足のときは酷いことがわかりました。そんなことってありますか?」

 

「高次脳機能障害の症状は、家にいるときに出ることが多いので、医者が診察で気がつくのは難しいんです」

 

「そうですよね。頭を使いすぎて頭が疲れている夜が多いので……。家で誰かが気がつくしかないと思います。ただ、夫はまるで別人のようになるので、私は同じ人だと思うと、到底生活ができそうにないので、マイケルって呼ぶことにしています」

 

「そうですか……よくここまで、気がつきましたね」

 

「私は、夫とは結婚しましたが、マイケルと結婚したわけじゃないので、マイケルには出て行ってほしいと思っています。だんだんと酷くなっていって、マイケルが出てくる時間が長くなってきているんです。どうしたらいいんですか?」

 

妻は、黒木先生に詰め寄っていた。

 

俺の記憶がない時間が増えているということは、家族との時間をマイケルが過ごしていることになる。マイケルの気持ちもわからなければ、マイケルが何をしたかも知らない。

 

警察が家に来たことは、あとから妻に強く言われたので、断片的だけど記憶にあるようなないような。マイケルがしたことに憤りを感じただけでなく、ぶっ飛ばしたくなった。

 

「家族を殺す気? あなたが正気に戻ったときに全員いなかったらどうするの?」

 

妻は、俺にマイケルがしたことの責任がとれるのかとよく聞いてきた。

 

マイケルが出現したときの最悪なシナリオの話を黒木先生にもしていた。

 

俺自身、知らない間にマイケルがそんなことをしていたことを知り、とにかく怖く、そして悲しくなった。

 

そして、アンプティサッカーも休みがちになっていった。

 

このまま自分はどうなっていくんだろう。ただただ将来が不安だった。

 

家族の元を離れしばらく実家に帰ることにした。

 

思い出そうにも、大脳を損傷していたことで、記憶する機能が欠如していた俺は、思い出せなかった。

 

妻が訴えるもう一人の俺・マイケルの怖さは、紛れもない事実として俺の心に刺さった。出て行くしかない。

 
 

 

 


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本連載は、突然の事故、右足切断、記憶障害、脳機能の低下。途方もない試練を乗り越える裏には、小さな気づきと大きな愛情があった。夢を見つけ夢を掴む姿を描いた、試行錯誤の記録。※本記事は、 谷口正典氏・益村泉月珠氏の書籍『逆境のトリセツ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

 

 

 

 

 

 

 


右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
ノンフィクション小説「逆境のトリセツ」
十五年前に救急車で運ばれた病院へ

高次脳機能障害とは、けがや病気により、大脳に損傷を負うことで、物忘れが多くなったり、集中して物事に取り組めなかったり、自分で計画を立てることができない、興奮して暴力的になったりと症状が出る障がいのことだと言う。これらの症状は、いつも出ているわけでなく、脳が疲れると症状が出やすいようだった。


家にもう一人男が住んでいるという妻。家族に乱暴する彼の正体は、俺自身だった。




自覚


自己中心的で乱暴なマイケル

うちは俺と妻と息子の三人暮らし、のはずだった。なのに、妻は不可解なことを言い出した。


「うちにもう一人男の人が住んでいて、四人暮らしって知ってる?」


「え、何それ?」


「私は、その男の人をマイケルって呼んでるんだけどね」


妻が言うには、マイケルという男が家にいるそうで、その男の性格を語り始めた。


「マイケルは、自己中心的でね。声はすごく大きいし、言葉遣いはめちゃくちゃ汚いし、極めつけは、家具を壊すし、家族に危害を加えるとんでもない奴なんだよね」


「誰だよそれ」


俺は、そのマイケルという奴が一緒に住んでいることを知らない。


「ねえ、この動画見てよ!」


「なんだよ。面倒臭いなぁ。後にして」


「え〜、ここにマイケルが映っているんだよね」


「それってゴーストかよ。そういうの、やめろよ」


最近の妻は、いつもメモをとっていたし、スマホをいつも持ち歩き、何かと動画を撮っては、撮った動画を俺に見せようとしていた。俺が相手にしなかったことを不服に思った妻は、次なる行動に出た。


月一回の脳神経外科の受診日に、俺と一緒に行くと言い出したのだった。妻は、俺を差し置いて、ノートとスマホを持って主治医に見せていた。


「黒木先生、コレを見てください」


「これはなんですか?」


「夫が、夜遅く仕事から家に帰って来たときのようすです」


そして、先生に見せるフリをして、俺にもその動画を見るように言ってきたのだ。


しぶしぶ見たその動画に映っていたのは、家の中なのに、俺じゃない男が映っていた。 


https://life.gentosha-go.com/articles/-/13872



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本連載は、突然の事故、右足切断、記憶障害、脳機能の低下。途方もない試練を乗り越える裏には、小さな気づきと大きな愛情があった。夢を見つけ夢を掴む姿を描いた、試行錯誤の記録。※本記事は、 谷口正典氏・益村泉月珠氏の書籍『逆境のトリセツ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

 

 

 

 

 

 

 

【連載18】警察が家にやってきた

右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
ノンフィクション小説「逆境のトリセツ」
十五年前に救急車で運ばれた病院へ

高次脳機能障害とは、けがや病気により、大脳に損傷を負うことで、物忘れが多くなったり、集中して物事に取り組めなかったり、自分で計画を立てることができない、興奮して暴力的になったりと症状が出る障がいのことだと言う。これらの症状は、いつも出ているわけでなく、脳が疲れると症状が出やすいようだった。

警察が家にやってきた

この頃の夫は、連日のように高次脳機能障害と思われる症状が出ていた。ちょっとしたことでイライラしていて、暴言が止まらなかった。

イライラしているときに、

「もう! しっかりしてよ!」

と、きつく言ったときのこと。その直後、平手で私の顔をはたいたのだ。夫の左手薬指にあった結婚指輪が私の右目に直撃した。妊娠後期だった私は、頭が真っ白になったが、とっさに何をされるかわからない、と思い、お腹の子と息子を守らなければと、息子の部屋に続く廊下に陣取り、ここから先に夫が侵入できないようにした。

「これ以上何かしたら、警察を呼ぶ!」

私が叫んだことに驚いた夫は、自分で警察に電話をはじめたのだった。

「妻が暴れてます。警察に連絡をすると言うので、連絡しました」

「!? それは違うな。支離滅裂じゃない」

あまりに不可解なやりとりに、先ほどの緊迫感はどこかへ行き、途中で私が電話を代わった。

「大丈夫です。ご心配おかけしました」

と警察官に言ったものの、

「そうはいきません」

と言われ、数分後に緊急車両のけたたましい音とともに、マンションにパトカーがやってきた。

「ピンポーン」

警察官が数人立っている。モノモノしい雰囲気で、事情聴取が始まった。

ここ数か月、残業が続いていて、急に怒り出す症状が出ていること。この症状は、高次脳機能障害から来ることを説明した。夫が警察に電話したのは、私が警察に電話をすると言ったことが引き金になり、夫がパニックを起こし、警察に電話をしたのではないかと説明した。

「連れて行くこともできますが。奥さん、どうされますか?」

警察官に言われた一言ではっとした。連れて行ってもらったからと言って、このことは解決しない。解決する方法ではない。少し考えたが、このままの状態で解決もできない。夫にこのことを自分自身で認識してもらわなければ何も始まらない。

「夫の実家から両親に来てもらいます。自分でこのことを認識するまで、実家に帰ってもらうことにしようと思います」

こんな些細なことで、警察を出動させてしまったことが申し訳なかった。ただ、この緊急事態を最悪な事態にならないように、瞬時に判断して行動してくれた警察官の皆さんに何度も何度もお礼を言った。

「未然に防ぐ。それが警察の役目なので」

「本当にすみません」

「奥さん、困ったらいつでも連絡してください」

警察官の言葉に涙が止まらなかった。

このことがあった翌日、夫は、高次脳機能障害であることを自覚し、会社を辞めた。

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本連載は、突然の事故、右足切断、記憶障害、脳機能の低下。途方もない試練を乗り越える裏には、小さな気づきと大きな愛情があった。夢を見つけ夢を掴む姿を描いた、試行錯誤の記録。※本記事は、 谷口正典氏・益村泉月珠氏の書籍『逆境のトリセツ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
https://life.gentosha-go.com/articles/-/13725?page=2

 

 

 

 


819(土)に行われた
広島国際大学のオープンキャンパスに
私谷口正典も参加させていただきました‼️



大学受験に向けて
どのようなことが必要か
どんな雰囲気なのか
を最終確認で来られてる方が
多かったように思います。

説明会場では、みなさんから
積極的に話しかけてくれて
アンプティーサッカーの
デモンストレーションも行っていただきました。

義足体験ブースでは
実際の受業の雰囲気や
交通手段など聞く方や、
入院患者に対して
どのようにアプローチして
一緒に良いもの作り上げていくかなど
具体的な話しも入れて質疑応答がありました。

私も僭越ながら
モデルタレント活動、
授業での被験者のお話し
アンプティーサッカーのお話し
をするととても良い話しだと共感してくれて
私も勇気とやる気をいただきました。




たくさんの学生が社会に出て
私たちのような義足ユーザーの人が
困ることがない技術が進歩していってくれるといいですね。