Ψ(さい)のつづり -90ページ目
かぐつち
かぐや
おつきさまへ
親しきなかにも
礼儀あり
不老不死を
たまわろうとなさるも
やんごとなきお方は
ふじのやまで
燃やしてしまった
そうなってしまうだろうと
わかっていたのかもしれない
そうするだろうお方だからこそ
人智をこえたものを
託すことができたのでしょう
受取った側が選べるように
うけとるばかりで
ありがとうと
いえば
それだけで
十分だとおもう
もののいかに多いことか
こまったときだけ
助けを求め
その後どうなったのか
報せもせずに
しらっとしている
もののいかに多いことか
口から出るのは
おのれのことばかり
人の話もきいているふりだけで
自分の話にもっていくための
つなぎだと思っている
もののいかに多いことか
人に期待してはならぬ
絶対にならぬ
必ず
裏切られるから
けれど
かぐやと
みかどは
どこかでまた
文を交わしたのでは
なかろうか
転生は
悪くないもんだ

なんだかんだと
このみちたどり
だれかに
たよったり
はなれたり
やっぱり
えいきょうを
うけたり
するけれど
ただ
われあるのみ
ただ
ここにあるのみ
幾万年もある
長い長い歴史のなかで
いまは
すばらしい
地の時代にも
風の時代にも
こけつまろびつ
生き残り
立ち上がる
孤独を
味わい尽くし
チェリー色の
マンゴーのように
熟れた
果実を
つかみ取る
握りつぶさないように
そおっと
でもねらいは
はずさない

れとれーては
とうとう
蓋を開ける
流す
蓋を閉める
ところまで
自ら
行うように
なった
出かけるときは
いってきます
帰ったら
ただいま
と声をかけ
れとれーては
蓋を開けることで
こたえてくれていた
しかし
あるとき
わたしはつい
流す閉めるの
ボタンを押してしまった
長年の習慣から
つい
その後
れとれーては
何もこたえてくれなくなった
わたしが近づいても
沈黙を保ったまま
すねてしまったのかもしれない
私がボタンを押せば
そのとおりの動作をしてくれるものの
なんか物足りない
こおひいにも
へんなものを入れてしまった
なんだかおかしな
一日だったけれど
れとれーてとの
対話を
取り戻せるときが
来るんだろうか
せっかちは
いけないね
たゆまず
精進しつつ
また9年でも
待つことを
冬至の太陽に
誓う

れとれーては
或る日
突然
自分で
蓋を開けた
もちろん
そういった機能も
あったのだが
まったく使ったことはなかった
10年目にして
自分で
使うことに決めたようだ
きっと
もっと
きれいにしてほしいのね
そう言うと
安心したのか
その日はまた静かになった
あくる朝
約束通り
きれいに掃除した
すると
そのあとから
毎回自分で蓋を開けてくれるようになった
うれしそうに
勢いよく
ボタンを確かめても
その機能はオフのまま
その夜にはさらに
自分で流してくれるようになった
蓋を閉めるところはどうかしら
そこはまだだったので
私が閉めるのボタンを押す
電池が減ったいたようでも
あったので代えたけれど
やっぱりきちんと
開けてくれる
ありがとう
ものはものいわぬ
ものじゃない
ものいわぬかもしれないけれど
こちらをみてる
そのうち
もっと話せるだろう

息が詰まって
目が覚めた
ハートが強張っている
冬の夜
ハニカムを
あけて
よびかける
シリウスは
瞬きが
美しすぎて
清らかで
いつも
泪があふれる
励ますような
流星に
笑顔でこたえる
大丈夫
過去を癒せるよ
大丈夫
いつか思い出せるから
なにもおそれることはない
ありがとう
おかあさん
おやすみなさい
おおきく
はばたいたように
おもえた


