Ψ(さい)のつづり -54ページ目
りすや
ハムスターは
わっかを上手にまわして
くるくる
ぐるぐる
走るよ走る
とぶように
すごい勢いで
走っているけど
結局は
同じところにいる
走るのを
やめても
わっかがとまるだけで
やっぱり
同じところにいる
ああ
別に全力で走らなくったって
よかったんじゃない
だって
つかれはてても
まだ
同じ場所にいる
その様子を
外から
ねこちゃんが
ひそかに
狙っているかもしれない
あそびで
ちょこっと
やってみる
なら
まわりもみえるから
いいけれど
それが
ムキになって
かたいれ
かただし
全力疾走
あらいやだ
かたやぶり
枠の外へ出ていこう
外から眺めたら
わっかの中の
全力疾走の
自分が
滑稽に見える
わっかの中で
迷ったり
考えたり
小さい小さい
悪戦苦闘
七転八倒
金輪際
さようなら
ありがとう
地球は広い
宇宙も広い
もっともっと
広がるよ
わたしと
わたしの
可能性

夫婦杉は
およそ八百年
鶴は
千年
亀は
万年筆
うれしいな
あたらしい
文房具
万年筆が大すき
だって
革命的に
字が
書きやすいんだもの
いつかは
モンブランに登頂し
黄金の輝きを
手に入れたいけれど
いまは
飛行機を
操縦する人で
かくのよ
値段が決めるわけではない
書き心地
すべての手書きの文字は
万年筆で記したいくらい
書きやすい
左利きが
不便だなんて
思わないけれど
万年筆は
特に
左利きに
優しいように
思う
どうしても
インクが
手につきがちだけど
それは
ご愛敬
ブルーブラックが
お気に入り
ありがとう

さあ出ておいで
なんて
むりやりに
ひっぱりださなくても
いい
長い長い時間をかけて
磨かれた石が
大切にかくされていた
ファラオのお墓が
突然
人の目にふれるように
時期が来たら
そのときがきたら
大地母神への
愛があふれだして
ことのはの
舟に乗り
大海原へ
漕ぎだして
世界中に届き
美しい
ガイアを
宇宙の星々が
誉めそやす
そんな星に
何度も
生を受け
山盛りの至らなさと
おそろしいほど身勝手な時期も
生かしてもらったこと
ありがたくて
涙があふれるけれど
その感謝を伝える言葉は
まだみつからない

ここではないどこかへ
とか
もっともっとよくなろう
上へ上へ
とか
思いすぎていると
いまいるところ
いまある暮らし
いまあるしあわせ
いまある豊かさ
ここにしかないもの
そういったものすべてへの
感謝に欠けていたことに
氣付かされる
毎日寝る場所があって
毎日食べるものがあって
レコードやCDをもっていなくても
毎日きくことができる美しい音楽があって
だれかが育てた美しいお花が売られていて
それを買って家でいけることができて
郵便を受け取ったり
出したり
そういった手作業もまだまだあって
庭でスズメが草の実をつつき
シジュウカラがネクタイしめてやってきて
久しぶりにかわいらしい声を
きかせてくれたり
ヒバリが空で歌い
ウグイスは
歌の練習に余念がない
みんなちゃんとちゃんと
自分のやるべきことを
やっている
私はどうなんだろう
さくらが満開で
一年分の穢れを一掃し
空氣を一新する
さくらもここのさくらと
別の土地のさくらは
全然違う顔をしている
でも惜しげもなく
その花を
散らすのは
同じ

世界中の
扉という
扉をノックする
のっくのっく
ふーずぜあ
とんとんとん
なんのおと
千本ノックは
星ひゅーま
いいなまえね
とにかく
さあ
起きて
船が出る
電車が出る
飛行機が出る
バスが出る
どれに乗っていこうか
ぼやぼやしてると
ボヤージュに
出られないよ
荷物は
少ない方がいい
焦って
走らなくてもいいけれど
ここではない
どこかへ
ここから
近くても
遠くても
地上から
30センチ
浮いただけでも
イナゴのように
神出鬼没で
天狗のように
軽やかに
マクシミリアン


