Ψ(さい)のつづり -48ページ目
パンダは
どうみても
熊なのに
いま話題の
くまなのに
笹しか食べないのか
そして
あの
模様しか
うまれないのか
不思議でならなかった
やっぱり
太古の昔は
しろくろじゃなく
肉食だった
つまり
ふつうの
くまさんだった
とてもとても
寒い時代がきて
獲物がとれなくなり
肉食獣は絶滅していくなか
ベジタリアンに
転向した
でも
胃腸が
そういうふうに
できていないでしょ
それは
それは
長い年月を
かけて
少しずつ適応してきたに
違いない
あの
模様になったのは
どうしてか
それは
やっぱり
陰陽と関係があると
踏んでいるが
どうも
秘密
らしい

世界にまたひとつ
虹がかかる
大地にまたひとつ
煙があがる
海峡にまたひとつ
渦ができる
夜空に飛び交う
こうもりもいなくなり
またひとつ
星が流れる
秋空のとんぼも
見かけなくなり
またひとつ
サイレンの音が
通り過ぎる
木々が剪定され
飛ぶ虫の
居場所がなくなり
所在無げに
あたりを飛び交う
雲間から
光の柱がおり
天と地をつなぐ
まるでワームホールのように
軽やかに
とてつもなく
美しく
滑らかに

さまざまな淡い
グラデーションで
色づく木々
山々は
美しい
ヴェールを
纏って
風にゆれながら
おいでおいでをする
寒くなって
木々が
葉っぱを落とす前に
会いにおいで
山の神も
待っています
今年も
豊かな実りを
ありがとう
感謝して
おいしく
いただきます

ああ
絵が描けたら
このこころを
キャンバスにのびのびと
色鮮やかに
表現するのに
ああ
彫刻ができたら
このたましいを
石にまざまざと
目に見えるように彫って
あらわすのに
どちらの
能力も
宇宙のかなたに
置いてきてしまった
わたしは
ことのはを
つむいで
ことのはで
世界を
彩り
うそ
いつわりのない
ほんものを
愛して
表現しよう

蜂くんと
ともに
暑い夏を
過ごした
蜂くんは
暑ければ
暑いほど
活発に
その金色の身体を
脱力させて
あちらこちらに
とびまわった
何かを手に入れ
巣に持ち帰り
また飛び立つ
働き蜂っていうことばのとおり
いや
それ以上の
働きぶりだった
でも
人間の働きバチとは違い
日が暮れるころには
ちゃんと巣に帰り
大きな身体には小さすぎる巣に
びっしりくっついて
お休みしていた
秋がきて
急に蜂くんは大人しくなった
巣をみると
ぎっしりの蜂くんが
何をするでもなく
飛び立つでもなく
ただもぞりもぞりと
存在していた
嵐のあと
巣をみたら
巣は壊れることなく
ちゃんとあって
蜂くんだけが
ちりぢりに
そこらへんの葉っぱに
団子になっていた
でもちゃんと生きていた
季節は冬に向かい
気温はどんどん下がり
寒い日が続いたあと
暖かい日がきて
蜂くんは
日の当たるところで
あきらかに
あったか~い
と
いかつい仮面に
似合わない
日向ぼっこをしていた
また寒くなり
暖かい日がきて
似合わない日向ぼっこを
しているはずの
蜂くんをさがしたら
跡形もなく
消えていた
いや
巣は残っていた
からっぽの空き家となって
あんなにたくさんいた
蜂くんは
消えた
まさに
消えたんだ
どこへいくとも告げず
かといって
死骸も残さず
きれい
さっぱり
消えてみせたんだ
巣もすでに
ぼろぼろで
土に還ろうとしはじめている
寒くて朽ちる前に
暖かい日に
消えるとは
想定外で
美しい
さりぎわ


