Ψ(さい)のつづり -45ページ目
再会は
遠くから
眺めるだけ
受け身の
わたしは
駆け寄ることも
声をかけることも
できずに
察して
声を
かけてもらえるのを
待つだけ
ただ
目が追いかけてしまうのを
止めるのはむずかしい
新たな映像を
焼き付けようとして
結局
あわただしく
時が過ぎ
わたしは
帰る時間になってしまった
目を合わせることさえなく
きっと
二度と会えない
再会がこんな風なら
余計に
わたしは
何を
望んでいたんだろう
わたしは
何を
待っていたんだろう
わたしは
どうすれば
立ち上がれるんだろう
あなたの
思い出を
きれいに
整理して
心の棚にしまって
取出しては
しまい
しまっては
取出して
ながめる
そんなことから
何もうまれないと
わかっているのに
そんなことから
喜びは
得られないのに
わたしは1歳前で
時が止まっている
進みたいの
本当は
成長したいの
当たり前でしょ
だけど
もう少し
もう少し
何事もなかったふりから
涙が
溢れだして
そして
止まるまで
しばし

とおく
遠くの山に
風がおき
木々に
合図を送る
木々は
いっせいに
身をくねらせ
うねりを起こし
風の力を
増していく
そのころ
少し涼しい
週末に
運動会を
やりましょう
熱中症予防
負担軽減
感染防止のため
午前だけでおわり
ご飯はおうちで食べましょう
そして
とうとう
一氣に
頂上から裾野へ
勢いよく
風は
転がり
駆けおりる
空では
稲光が
応援する
飴がほしいのは
だれかな

すぎな姫
わたしは
あなたのことを
誤解していました
つくしの
袴時代はかわいいけれど
清楚な袴を脱ぎ捨ててみれば
髪の毛ぼうぼうの
やまんばになり
ぬいても
ぬいても
どんどん
どんどん
はえてきて
大変なことになるって
でも
あなたと
たたかうなんて
意味のないこと
あなたは
それだけ
生命力に
あふれていて
地下から
豊かな
栄養を
吸い上げているっていうことだから
その栄養を
お裾分けしていただくことにしました
袴と裾って字が似ているもの
うふふ
あなたはいくらでも
生えてくるし
抜こうとしても
容易には抜けずに
必ず千切れます
だから抜かずに
ちょきちょきして
洗って乾かす
乾かしたのはそのままお茶になるし
ホワイトリカー漬けで
チンキにもなる
とりあえずは
どんどんお茶で飲んで
すぎな姫の生命力と
図太さを
わたしも
いただくわ
ありがとう

まだあじさいの季節には
ちょっと早いけれど
ちゃあんと準備しています
枯れ木のようだった真冬を経て
まだ寒い早春のころから
みどりのはっぱをそうっと用意して
桜の咲くころから
いきいきと
はっぱをしげらせ
湿度を増してきた最近では
つぼみをいっぱいつけて
さあ準備万端
嵐でも
雷でも
ウェルカムよ
しっとりも似合うし
吹き飛ばされはしないわ
あんなに大きなお花を
たくさん咲かせても
平気なんだから
実は逞しいのよ
今年の色を
いま
土の中で
ねっているところよ
グラデーションを
お楽しみにね

うかうかしていると
足もと
すくわれる
うかうかしていると
風に吹き飛ばされる
うかうかしていると
背後から
巨大な
スーツケースが
降ってくる
うかうかしていると
うきうきできなくなる
あたふたしない
わたしになる
新しい
まったく
新しい
わたしに
なる


