Ψ(さい)のつづり -41ページ目
こんなに
壮大で
すばらしい
世界が
あるなんて
子どものころですら
オペラが
歌でできた
舞台だって
おぼろげに
知っていた
ミュージカル映画より
もっと
荘厳で
難解な世界
だからこそ
ずっとずっと
水に閉ざされた
戸のように
開けてみようとしなかった
実は
その氣になりさえすれば
いとも簡単に開くとも
知らずに
オペラグラスの向こうには
世にも美しい
光景が広がって
指揮者の振るタクトの
まほうに
かけられて
ただただ
幸せな気持ちで
魅入る
世界の悲しみも
個人的な
事情も
なにもかもが
そのときばかりは
舞台の前に
ひれ伏していた

世界は
うたで
できている
光があり
音があり
歌になり
詩になり
表現になる
こころのままに
愛を伝え
希望をひろげ
世界を
包み込む
美しい
さまざまな
いろがうまれ
波がうまれ
風がおこる
流れがあり
循環があり
とどまることを
しらない

さあ
飛び立とう
だれにも
見えない
わたしだけの
翼で
向かい風なんて
もろともしない
だって
その分
揚力が
得られるから
飛び立ったときには
もう
高く
高く
遠くへと
舞っている
そして
わたしを
待っている
地へと
運んでくれるだろう
高いところから
小さな
模型のような
今までいた
世界に
別れを告げ
古い
わたしを
脱ぎ捨てて
三回転宙返りのあと
見事な
着地を
決める
人に
魅せるためじゃなく
わたしが
やってみたいから

低い軌道を通って
今日も
日が暮れていく
一日のはじまりと
一日のおわりは
お天道さまが
決める
いまを生きる
わたしたちは
暗くても
活動できてしまうけれど
冬は
静かに
本を読んだり
お風呂に長く入ったり
するのに
やっぱり
向いている
暖炉の火が
ぱちぱちはぜるのを
みていたり
星を眺めたり
静かな時間を
過ごしていると
いつもは見えない光が
みえたり
いつもはきこえない音が
きこえたり
いまなら
どんなことが起こっても
驚かないだろう
不思議はわたしたちの思い込み
世界にはまだみぬ
たくさんの
ものごとが
うけいれる
こころの準備ができた人たちを
気長に
待っていてくれる
そんな
やさしいまなざしを感じる

トンボ玉から
とんぼ飛べ飛べ
ドラゴン目指し
とぼとぼ歩く
田んぼみち
霜柱が
さくさくと
鳴る
ぼんたん
ぶんたん
ぼんぶるこんぶる
千両
万両
うさぎのおめめ
おみみもつけて
てとてとて
鏡開きは
まだ先か


