さまよい

 

さすらっていた

 

何十年も

 

田舎へあこがれが

 

自分の中で

 

美化されすぎて

 

小さすぎる世界に

 

絶望もした

 

大好きだった場所から離れ

 

大好きになった場所からも離れ

 

とりたてて

 

好きでも

 

嫌いでもない場所に落ち着き

 

同じ店

 

同じ道

 

同じ顔触れ

 

半径二キロ以内で

 

一生を過ごす人たちのように

 

何度も

 

何度も

 

反芻した

 

繰り返すほどに

 

安心と

 

安定と

 

なれ合いに

 

牛のまだら模様のように

 

すこしずつ

 

すこしずつ

 

染まり始め

 

心も

 

身体も

 

朽ちはじめていた

 

このまま

 

飛び上がるほどの幸せもない代わりに

 

すごく嫌なこともなく

 

平穏な歳月を

 

過ごしていくんだろうということを

 

受け入れるほどに

 

心が朽ちていくと

 

身体が

 

空氣を取り込めなく

 

なっていった

 

そのことに

 

氣づいたとき

 

自分の心と身体を一番大切にする

 

と決めた

 

そんな当たり前のことを

 

氣付くのにずいぶんと時間がかかった

 

そのためには

 

いらないものを

 

すべて手放す

 

ひとつひとつ

 

捨て去る

 

その作業は

 

はじめには全く想像できないほど

 

すさまじく

 

感情の揺れも伴い

 

いまだ

 

続いているけれど

 

そして

 

完璧に片付いた

 

という瞬間は

 

まだまだ先かもしれないけれど

 

振り向いたら

 

もう

 

あのときの

 

朽ちかけの

 

わたしは

 

いなかった

 

いまの

 

わたしは

 

わたしを

 

愛していて

 

そのことに

 

心が震えるほどの

 

幸せを感じ

 

ここに

 

います

 

愛と感謝が

 

おのずと

 

溢れだし

 

世界に

 

ミルクのように

 

広がっていき

 

天の川銀河まで

 

流れて

 

ひとつになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもは

 

涸れていて

 

石ころだらけの

 

殺風景な川

 

橋もかかっているけれど

 

ごつごつ道をものともしない

 

ジムニーなら

 

川底まで

 

下りていける

 

水はないから

 

それでも

 

地下には

 

雪解け水を

 

秘めていて

 

あるとき

 

じわりじわり

 

滲み出したかと思うと

 

次第に

 

こんこんと

 

湧き出し

 

くっきりとした

 

蛇の尾の川になる

 

清廉な水は

 

飛び上がるほど

 

冷たく

 

氷のようでいて

 

そのまま飲めるほど

 

美しい

 

もっと

 

近づきたいけれど

 

何も寄せ付けない

 

凛とした

 

自立

 

 

 

 

 

 

 

この暑さをものともせず

 

とんぼは

 

元氣に

 

すいすい

 

およぐ

 

空を

 

およぐ

 

その

 

透明の

 

はねで

 

あなたの

 

おめめをよくよくみたら

 

ぜったいに

 

宇宙のお方だと

 

確信しました

 

もしくは

 

宇宙のお方に

 

派遣された

 

斥候

 

そのおおきなおめめは

 

宇宙への

 

通信機

 

その向こうでは

 

だれか

 

崇高なお方が

 

人間たちが

 

ちゃんとしているか

 

チェックしているのでは

 

お口はもぐもぐ

 

何やら食べている様子なのは

 

見せかけで

 

宇宙への報告を

 

しているのでは

 

夏から秋にかけて

 

あなたたちが

 

たくさんうまれて

 

およぎ回り

 

たくさんの

 

報告が

 

天に届き

 

よいこはよいが

 

わるいこは

 

冬から春への

 

年越しを

 

許さんぞう

 

なんて

 

なっていたら

 

こまるので

 

だれがみていなくても

 

うそ

 

ずる

 

なまけは

 

ご法度よ

 

なんて

 

想像が

 

たくましく

 

なるような姿を

 

あなたはしていますね

 

とんぼとんぼ

 

あなたは

 

どこへ

 

いくのやら

 

 

 

 

 

 

 

300メートル台の

 

小さな小さな

 

山に登る

 

山に登るといっても

 

登山ではなく

 

地べたそのものの標高が

 

300メートルはあるから

 

こんもりとした

 

丘の

 

神社の階段を

 

あがっていくだけ

 

そこに至る国道周辺の景色は

 

一変して

 

15年の

 

歳月と

 

家々の代替わりを

 

彷彿とさせ

 

曲がる細道を

 

通りすぎそうになる

 

記憶とあまり違わない山だが

 

神社になっていた

 

訪れる人がいないのは

 

以前のまま

 

蚊の格好の餌食になりながら

 

のぼっていくと

 

お参りができるようになっていた

 

以前うちの犬がここを走り回って

 

お世話になりました

 

ありがとうございました

 

以前から神社だったのでしょうか

 

そうだったら

 

大変な失礼をいたしました

 

お許しください

 

きつねにつままれる

 

とは

 

まさに

 

このこと

 

なのかもしれないと

 

思いながら

 

当時は

 

おそらにいた

 

同行者に

 

きいても

 

知る由もない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別れの予感を


まといながら

懸命に

日々を

生きる

片手に余るほど

大きな無花果に

かじりつき

コガネムシのように

その甘さを味わう

どこから

どうやって

その甘さを

蓄えたの

わたしも

あなたのように

内面を

素敵に

充実させたい

そしてあるとき

パンパンになった

わたしから

輝きが

あふれだし

世界を

甘い

栄養たっぷりの

愛で

包み込む