Ψ(さい)のつづり -19ページ目
地下鉄が
地上に出たり
もぐったりしてから
本格的に
地上に出ると
ゆうえんちが
あって
そこでは
所狭しと
ジェットコースターや
小さな観覧車が
ひしめき合い
まばゆい
非日常を
醸し出していた
こんなところ
と
冷ややかな一瞥をくれて
次の駅まで
進むと
わたしの
にくき
学校があった
もう昭和じゃなかったけれど
学校は嫌でも
行かなきゃいけないし
辞めちゃいけないものだった
何度も
辞めようとしたけれど
許されなかった
それは
わたし以外のだれかの
自慢の種だったから
人が
どんなに憧れる学校でも
自分が好きじゃなきゃ
意味がない
消え入りそうな自分で
もがき続けた
わたしに
久しぶりに
会いにいった
あのころ
あおのころの
苦しさや
憤りに
耐えてよかったんだよ
なんて
言うつもりはない
けれど
すべてが余すところなく
いまの
わたしを構成している
それは
すべてが
わたしの
愛してやまない
一部分になっているってこと
そういう風に
いまは
なったってこと
それから
ゆうえんちが
いまも変わらない光を
放っていることに
ほっとしたような
懐かしいような
気もちになれたってこと
それはいま
はっきりと
言えるんだ
そういう時が
いまあるのは
あのころが
あったからなんだよ
気休めにきこえるかもしれないけれど
ありがとう
本当に
ありがとう
愛しているよ
ずっとずっと

からすがなくから
起きましょう
からすは
なんとなく
お寝坊さんな
イメージだけど
朝も
きちんと
早起きです
かーかーと
からすが
呼ぶから
外をみたら
電柱のてっぺんで
待っていた
起きたか
起きた
お待たせしました
意外と早かったね
今日も
一日
よろしくね

知らないことが
いっぱいあるって
最高に
うれしいこと
もちろん
当たり前に
知っているべき
ことを知らないのは
恥ずかしいこと
でも
物知り顔で
知ったかぶりっこは
もっと
恥ずかしい
知らないことの中にも
知らなくていいことも
たくさんあるけれど
そこは
美しく
選んで
探求の
旅へ

ああジュールベルヌのように
想像の翼を広げ
地底に
海底に
おりていってみよう
この
大好きな
地球には
果てしない魅力がある
もちろん
月からながめる
瑠璃色の地球も
いつか
みてみたいけれど
地に足つけて
さらに下へ
下へ
ちょっと怖い気もするけれど
おりていこう
もっと
もっと
奥へ
奥へ
自分が
ご縁をいただいて
うまれてきた
地球のことを
深く
深く
知りたい
どうして
こんなにも
たまらなく
愛おしいのか
どうして
こんなにも
美しくて
素敵な
星なのか
少しでも
お返しをしたい
と思う
わたしに
何が
できるのか

とねりこトンネルの
近くで
お話しましょう
そう
誘ってみたけれど
会う時間を
惜しむように
電話で用件をきかれた
がっかりもしたけれど
それは
別れを惜しんでくれることを
期待していただけ
面と向かって
お話することが
大切だと思いこんでいたけれど
そんなことをする
必要はお互いになくて
取り越し苦労だった
二度と会わなくなることが
まったく大したことで
ないかのように
事務的なトーンで
電話を終えてみれば
逆に
すっきりした
自分がいて
伝えることを
危惧していた
自分の愚かさを
笑った
だれもかれも
自分のことで
手いっぱいで
他人のことを
顧みる余裕なんて
ないんだ
だからこそ
わたしは
自由で
だれにも
気をつかわずに
自由に
飛びたてばいい
飛びたった途端に
お互いのことなんて
とおく
とおく
記憶の彼方へ
忘れ去って
しまうんだろうから
変な罪悪感なんて
いらないんだ
自分の責任は
自分でとる
だれにも
借りはないんだから


