とねりこトンネルの

 

近くで

 

お話しましょう

 

そう

 

誘ってみたけれど

 

会う時間を

 

惜しむように

 

電話で用件をきかれた

 

がっかりもしたけれど

 

それは

 

別れを惜しんでくれることを

 

期待していただけ

 

面と向かって

 

お話することが

 

大切だと思いこんでいたけれど

 

そんなことをする

 

必要はお互いになくて

 

取り越し苦労だった

 

二度と会わなくなることが

 

まったく大したことで

 

ないかのように

 

事務的なトーンで

 

電話を終えてみれば

 

逆に

 

すっきりした

 

自分がいて

 

伝えることを

 

危惧していた

 

自分の愚かさを

 

笑った

 

だれもかれも

 

自分のことで

 

手いっぱいで

 

他人のことを

 

顧みる余裕なんて

 

ないんだ

 

だからこそ

 

わたしは

 

自由で

 

だれにも

 

気をつかわずに

 

自由に

 

飛びたてばいい

 

飛びたった途端に

 

お互いのことなんて

 

とおく

 

とおく

 

記憶の彼方へ

 

忘れ去って

 

しまうんだろうから

 

変な罪悪感なんて

 

いらないんだ

 

自分の責任は

 

自分でとる

 

だれにも

 

借りはないんだから

 

 

 

 

秋の

 

空気に

 

入れ替わると

 

心も

 

しっとり

 

ひんやり

 

落ち着いて

 

いったん

 

リセット

 

秋分からの

 

後半戦に

 

備えます

 

心が

 

落ち込んで

 

どうしようもない

 

年もあるけれど

 

今年は身体と

 

半分こ

 

みたいだから

 

少しゆっくり

 

過ごそう

 

まあるい

 

まあるい

 

おつきさまが

 

のぼるころ

 

きんもくせいが

 

かおるころ

 

新しい

 

一年がはじまる

 

 

 

 

 

 

 

ある日

 

森の中に

 

行かなくても

 

くまさんと

 

であっちゃう

 

そりゃあ

 

たまげて

 

イヤリングも

 

落とすでしょうよ

 

ところが

 

いまでは

 

落としものどころか

 

スマホで

 

撮影するため

 

人が

 

近寄っていく

 

くまさんは

 

ごはんを

 

食べながら

 

戸惑う

 

ちょっと

 

落ち着かないんですけど

 

驚かして

 

追っ払おうか

 

でも

 

とりあえず

 

食べれるだけ食べて

 

また

 

来られるように

 

ちょっと猫かぶっておこうか

 

ここの食べ物はおいしいし

 

ひとりだから

 

ぼちぼち

 

様子見

 

だけど

 

あんまり

 

勝手に

 

撮影しないでほしいな

 

くまっちゃう

 

動物園じゃ

 

あるまいし

 

 

 

 

 

 

 

 

不甲斐ないと

 

自分を嘆くことはない

 

だって

 

歩がいなかったら

 

世界は成り立たないでしょ

 

歩ひとりぼっちじゃ

 

弱々しくて

 

何の役にも立たないように

 

見えるかもしれないけれど

 

歩がひっくり返れば

 

めちゃくちゃ

 

強くなれるし

 

ひっくり返らなくても

 

連繋プレーで

 

玉将を

 

とれる時だって

 

あるでしょう

 

だから

 

歩が要るし

 

その他大勢じゃ

 

おわれない

 

鮮やかな

 

テンプロ・マヨールが

 

いつか

 

発見されたように

 

いまは

 

地に埋もれていても

 

必ず

 

飛躍のときは

 

訪れる

 

永遠に開かない

 

扉は

 

ない

 

要らない歩なんて

 

あるもんか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何度も

 

何度も

 

同じ場面を

 

おもい返し

 

反芻する

 

反芻の数だけ

 

きもちが絡まり合い

 

醜いかたまりになり

 

吞みくだせなくなる

 

何かが起こるとき

 

原因があって

 

結果がある

 

そう思うのは

 

3歳以上の

 

おそらく人間だけ

 

かしこい犬は

 

3歳くらいの

 

知能があるというし

 

ことばの種類も

 

いくつかは聞き分けられる

 

それでも

 

雷が鳴ったとき

 

 

これは

 

雷だから

 

光っているんだ

 

雷だから

 

音がすごいんだ

 

でも

 

じきにやむよ

 

なんて風には

 

考えないから

 

大きい音も

 

すごい光も

 

ただ

 

ひたすらに

 

恐ろしく

 

しょんぼり

 

尻尾を巻き

 

耐える

 

でも

 

結局のところ

 

原因がわかったところで

 

あまり慰めには

 

ならないのかもしれない

 

大きい音と

 

すさまじい光は

 

理屈抜きで

 

恐ろしいから

 

それに

 

ものごとの

 

原因は

 

おそらく

 

ひとつじゃない

 

そして

 

その答えに

 

納得がいくかは

 

別問題

 

自分で原因を見つけ

 

それで納得できればもうけもの

 

納得できないなら

 

反芻をやめて

 

さっさと

 

忘れるが

 

勝ち