Ψ(さい)のつづり -17ページ目
燃やせ燃やせ
パッションを
燃やせ燃やせ
自分の中で
あなたに
名前を与えたのは
あなた自身
あなたにしか
できないことがあることを
忘れないため
ここに生まれた理由を
思い出すため
生みの親を通して
つけられた名前は
あなたが決めた名前
生みの親を選んだのも
あなた自身
だから
問答無用で
言い訳無用
世界に飛び立つ
ロケットの燃料は
自分の中に燃えている
パッション
パッションがある限り
燃料不足になることは
ない
パッションを
煮詰めると
コンパッションが芽生える
自分と
他者へ向かうパッション

幼いころ
車に乗せられると
酔ってしまって
ぐったりしていた
外をみるといいとか
窓を開けて外の空気を吸うと
いいとか
いわれたけれど
さほどの
効果はなかった
ぐったりしながら
見上げた空には
お月さまがみえて
車が走っても
走っても
お月さまは
ついてくる
道をまがっても
とまっても
ずっと
同じ距離感でいて
こちらをみている
別に自分の用事でなく
車に乗せられていただけだったから
いくらでも
お月さまと
見つめあえた
気分がよかったら
にらめっこでも
じゃんけんでも
できたんだろうけど
普段は
元気いっぱいの
わたしの鎮静

深く浅く
浅く浅く
深く
もぐったり
息継ぎをしたりを
繰り返しながら
水による
癒しと
安らぎを得る
何度も
何度も
繰り返すうちに
新しい
世界線に
乗り換える
内側に眠っていて
自分でも
気付いていなかった
傷の
癒しとともに
新たな扉が開き
過去に生きた自分と
過去に生きた祖先との
邂逅が待ち受けている
過去に生きた自分は
わたしの魂の一部
過去に生きた祖先とは
血が繋がっていて
DNAを引き継いでいるから
わたしの物理的な
からだに
しっかりと
食い込んでいて
わたしであり
わたしではない
けれども
いま生きているのは
わたしだから
どんなに危なっかしくても
主導権は
わたしにあって
わたしが
舵取りをしなければならない
いつも応援してくれて
ありがとう
支えてくれて
ありがとう
わたしは
羅針盤をもつ
探究者
針路を決めて
進んでいく
振り返らずに

めがねに
いろは
いらない
いつだって
透き通って
澄んでいて
思い込みという名の
フィルターのかかっていない
状態で
世界を
みたいから
そう思っていても
自分に近づいてくる
多くの
人たちを
本当に
まっすぐ見ることが
できているのか
見た目に
声に
雰囲気に
年齢に
あらゆる要素に
惑わされていないか
逆に
どう見られているのか
二度と会わない
相手を
不快にする必要はないけれど
気を使いすぎる
必要もない
萎縮なんてしなくていい
わたしはわたし
若さが
すべてだという
幻想は
いま
この瞬間に
完全に
滅した

わたしたちが
うまれて
名がついてからというもの
何万回も
何億回も
その名で
呼ばれる
幼い頃は
わたしは
ぼくは
の代わりに
名は
という話し方が
ほほえましいような
受け止め方を
されていたけれど
最近は大人になっても
なんとなく
その言い方が
許されている
甘えん坊みたいな雰囲気が
いつまで続くのか
続けられるのか
どこかで
区切りがくるのだろうけれど
自分の名に
愛着があるということは
幸せなこと
知り合って
とりあえず
名乗りあうことから
はじまり
どうやって
呼びあうかで
距離感がわかるように
名前を呼んだり
呼ばれたりすることで
お互いの関係を
確かめあったり
間合いをとったり
縮めようとしてみたり
水面に浮かぶ鴨の脚のように
なんだか
水面下で
いそがしい
昔は
戦ですら
やあやあ我こそは
と
名乗りあう
この國では
礼にはじまり礼におわる


