Ψ(さい)のつづり -16ページ目
緑の稲
黄金の麦の
季節は遠く
今年の
豊穣に
感謝をささげる
刈取り後の稲の茎が
己をさくさくとさせることで
土が乾きすぎるのを防ぎ
雀の食べ物を用意しながら
茶色の田は
来年のために
しばし休息する
すでに
麦畑は耕され
ひそかに
種まきも済んでいる
芽が出ては踏まれ
芽を出しては踏まれながら
一番寒い時期を
たくましく
過ごすのだろう
空の青さが
大地一面に広がる
寂寞を
なだめ
雲の鳥が
見守る
低い軌道を描く
太陽は
遠慮がちに
暖かさを
分け与え
主役の
月に
そそくさと
舞台を明渡し
役割を
全うする

冷え込んだ朝
ホーム横の信号で
トラックが
停まった
ぶきゃーと小さな悲鳴が上がる
小さな駅のホームは道より少し高いから
思わず振り向いた
その荷台には
ぶたさんが
ぎっしり
よろけても
転ばないくらい
ぎっしり
裸んぼうで
トラックの揺れに合わせて
押し合いへし合いしていた
寒そうだけど
ぎっしりだから
寒くないかな
丸々と太ったぶたさん
満載のトラックの
行き先は
誰に
聞かなくてもわかる
わたしは
どのぶたさんでもいい
目を合わせて
感謝を伝えようとしたが
みんな
みんな
目を閉じていた
もう
わかっているんだね
今日あなたたちの
身に起こることを
わたしたちは
みんなみんな
あなたたちの
いのちを
いただいているんだね
わたしは
ぶたさんたち全員に
愛と
平和と
感謝を
できるかぎり
念じた
通じたかどうかは
わからないけれど
信号が変わり
ぶたさんたちは
みんな行ってしまった
今日も
わたしはちゃんと
生きます
いのちを
いただいて
生贄は遠い過去の話じゃない
こうやって
毎日毎日
どこかで起こっていること
生きていくことは
いのちをいただいて
繋いでいくこと
ありがとう
ありがとう
ありがとう

秋と冬が
押し合いへし合い
つい最近までは
秋がどっしり
大きなかぼちゃのように
鎮座していて
ここ数年
秋が
なかったと
皆さん
おっしゃるから
と
太いさつまいものように
ずっしり
居座っていたけれど
はいはい
もう師走なので
さすがに
また来年きてね
と
冬に押され気味
おかげさまで
銀杏も
もみじも
とても
きれいで
長持ちしたけれど
風が
どかんと
吹き荒れて
飛ばすよ
大掃除モード
きりりと冷え込んで
年末が近いのよと
みなさんに
知らせなきゃ
さあさあ
買い物もいいけれど
断捨離
大掃除
サンタも
となかいも
年神さまも
いらっしゃる

ねえ
世界は
第一アドベント
祝祭の
季節だよ
どうしたの
浮かない顔をして
わからない
こわいゆめをみて
夜
何回も
目が覚めるんだ
とっても
眠いのに
ずっと
あれこれ
考えていて
頭が痛くなる
いま
外はきらきらの
季節だよ
少し寒くなってきたけれど
外で
わくわくの空気を吸って
頭もこころも
重たい空気を入れ替えたらいい
先の準備をするのは
いいけれど
心配は
しなくていいんだよ
大丈夫
すべては
天の神様によって
最善に
しつられられているのだから
だれもかれも
使えないと思えても
ひとりぼっちじゃない

ああどうして愛は
いともたやすく
憎しみに
おきかえられてしまうのでしょう
独占欲
支配欲
期待
執着
いろんな要素が
どんどん
からまりあって
愛をひっくり返してしまう
憎しみは
プラスのものを何も生み出さないけれど
マイナスのものは生み出し続けるエネルギー
そのエネルギーを
プラスにひっくり返せたら
どんなにいいだろう
どうすれば
ひっくり返すことが
できるだろう
憎しみをひっくり返せば
愛になるのだから
結局は
真実の愛
何かとひきかえじゃない
見返りを求めない
無償の愛なのかも
しれない


