2021年5月27日
5月27日は、「沈黙の春」の著者としても有名な海洋生物学者 レイチェル・カー
ソンの生まれた日です。1907年のその日、アメリカのペンシルべニア州に生まれま
した。
カーソン女史は、人間も自然の一部であるとの思いから、生涯を懸けて”いのち”の
大切さを訴え、政治をも動かしていきました。そして、1964年に56歳で病に倒れ
亡くなります。
晩年に取り組み、亡くなった翌年に刊行された「センス・オブ・ワンダー」という
著書のタイトルから、このブログの名前をつけました。
東工大教授の若松英輔氏による「センス・オブ・ワンダー」に関する解説では、
この本の冒頭部分の著者の言葉を紹介しています。
それは、『単なる驚きではなく、命の尊さへの強い思いから、すべての子どもの
成長を見守る善良な妖精に呼びかけることが出来たら、世界中の子ども達に、生涯
消えることのないセンス・オブ・ワンダー(神秘さや不思議さに目を見はる感性)を
授けて欲しい と頼むでしょう。この感性は、やがて大人になるとやってくると倦怠
と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的な
ものに夢中になることなどに対する変わらぬ解毒剤になるのです』と、未来に
向けた大切なことの示唆が語られています。
1962年、雑誌「ニューヨーカー」に抜粋が掲載され、続いて単行本として出版さ
れるやいなや、全米で賛否両論の議論が沸騰しました。まだアメリカが高度成長の
拡大期にあり、活況にあった時代、大規模な農業の規模拡大に向けて、大量に散布さ
れた殺虫剤DDTや農薬などの化学物質が環境汚染を起こし、野生動物や自然の生態
系を破壊するだけでなく、人間の体内で濃縮され、次世代にも及ぶ生命の危機にさら
すとして、警告を発したのでした。
やがて、その見直しの動きが広がり、政治をも動かしていきました。
改めて、「沈黙の春」(原題:Silent Spring)の名前を考えてみました。
このタイトルは、何の規制も無しに化学物質を使い続けると、地球の汚染が拡大し、
春が来ても小鳥も鳴かず、世界は沈黙に包まれるだろうというメッセージになって
います。「この世界は人間だけのものではない、動物も直物も一緒に住んでいるのだ」
という思いが強く表れています。
沈黙の春が刊行されて、60年近くとなりますが、環境問題の脅威を伝えた世界の
先駆者として、認知されています。
今日、地球の温暖化の問題を始め、世界的に環境問題の重要性の意識が高まり、
SDGSという言葉も広く知られるようになっています。
そのような中、改めて、人類の未来を築くために、人間だけでなく、動物や植物、
更に自然との共生の大切さを感じた一日でした。
以 上