サザエさん―面白い落ち(146)

 

上司に渾名をつけてからかうのは慎みましょう。

 

朝日文庫版38巻〔39頁〕・昭和44年

『ここは、マスオさんの職場です。部屋の奥の壁を背にした机に部長が座っています。耳の上の髪の毛が残っていますが、その上の方はツルツルのハゲです。メガネをかけ書類を読みながら、お茶を飲んでいます。その前方の方で、マスオさんと同僚が立ち話をしています。同僚が、真面目な顔をして、「流感がまたのさばりだしたな」と口を尖らして言いました。マスオさんも同感だと言わんばかりの顔をしています』

『マスオさんが、同僚に「流感か!あいつは早いとこぶちのめすにかぎるんだ」と頭の後ろに両手をあてて、偉そうに言いました。同僚も、そうだそうだと、言わんばかりの表情です。部長は、相変わらず、お茶を飲んでいます』

『マスオさんと同僚は、「どうかんどうかん」と言いながら、その場を離れました。部長は二人を見ています』

『部屋を出たマスオさんと同僚は、「部長のアダナ「流感」にしてから」(同僚)「大ぴらでわるくちいえてスカッとするナ」(マスオさん)と言い、2人とも大きな口を開いて高笑いしています』

 

マスオさんの上司の部長は、のさばっているのですか?

「フグ田くん、ちゃんと仕事をしたまえ!」

とでも言うのですか?

とにかく、好きになれない上司なんですね。

そんな人いますね!

マスオさんの同僚も、上司が嫌いなようですから。

かなり嫌な上司なのでしょう。

 

そんな嫌いな奴を、「ぶちのめしたい」と言う願望があっても、会社で、暴力でぶちのめしたらだ!

そこで考えたのが「渾名でからかう」

流感とは面白いアダナですね。

 

流感か!あいつは早いとこぶちのめすにかぎるんだ」

と強力なことが言える。

流感の渾名を戴いた部長も、流感が自分のことと判らず

「そうだそうだ、君たちが言うように流感は早いとこぶちのまさんといかんよ」

と思っていることでしょう

 

マスオさんは、どうやら、上司とうまくやっていけないタイプのようですね。先日は、腰の弱った上司を「リュウマチが行く」とからかつていた。

その時は、上司が耳が遠くなっていた上司「竜馬がゆく」と聞き間違えて助かったばかりでしょう。

 

上司をからかっていると「本当に首になりますよ」。

そうなったらサザエさんが困るでしょう。

マスオさん、上司をからかうのは、慎みましょう。

サザエさん―面白い落ち(145)

 

上司をからかうマスオさん、危ない、上司は耳も遠くなっていたようで助かった。

 

朝日文庫版37巻〔55頁〕・昭和43年

『マスオさんの職場の奥の窓際に、窓を背にした机に上司が座っています。その上司は、随分のお年寄りで、眉毛は釣り上がり、口も真一文字に食いしばったような顔つきです。きつい顔をして両手で持った書類を、老眼鏡の奥から見ています』

『その上司が椅子から立つ上がり、マスオさんと同僚の机の前を通りかかりました。上司は、急に立ち上がると腰が痛むらしく、腰を曲げ、両手で腰を叩きながら歩いています。それを見たマスオさんが、机の上の書類に何かを書き込みながら小さな声で「リュウマチがいくか」とからかいました。隣の同僚には聞こえたらしく、マスオさんの方を見てニヤリとしています』

『上司は、マスオさんの前でスクッと立ち止まり、大きな声で「フグ田くん」と大きな声で叫びました。マスオさんは、ビックリして立ち上がり小さな声で「ハハィ」と言い、小刻みに震えています。同僚もまずいと思ったのか、顔を伏せています』

 

上司はどうしたのでしょう?

「リュウマチとは何事だ!!けしからん」

とでも叱りつけたのでしょうか?

 

そうではありませんでした。

気を良くしているのです。

 

老眼鏡をして、書類が読みづらそうでしたから、目は衰えていると、思っていたら、耳もかなり遠くなっていました。

そのため、マスオさんは、叱られずに済み、助かりました。

 

上司は、次のように言ったのです。

『湯気が立つくらいに怒ってはいるのですが「りょう馬が行くなんておセジはやめたまえ!!」と言うと、マスオさんの前から離れていきました。マスオさんは、思わず「ほっ!」と言い、同僚もホッとした表情です』

 

上司には、リュウマチ竜馬と聞こえたのです。

耳が遠くなっていて本当に良かった。

マスオさんは、腰を叩き長ら歩いている上司の姿を「リュウマチ」が行くなんて言ってしまった。

上司本人も、「リュウマチ」と正しく聞いていたらシ、ョックだったでしょう。

しかし、坂本竜馬などと言われたら、腰を痛めた老人でも、悪い気はしません。

「そうか、俺は、歳は取っても、部下たちには竜馬に見えるのか」

と気分良くしたのでしょう。

怒って見せたのも、嬉しくなった照れ隠しでしょう。

サザエさんの素直な落ち(37)

 

先の読める支配人の憂鬱

 

朝日文庫版38巻〔125頁〕・昭和44年

『【こどもドリームランド】という遊園地です、その入場門には、超満員の客であふれています』

『その遊園地の支配人室のドアーを勢い良く開いて、従業員が入ってきました。部屋の奥には大きい机で仕事をしていた支配人がいます。従業員は、支配人に向かって、「しはいにんマンインの入りです」と息せき切って報告しています。それを聞いた支配人は、騒ぐこともなく、冷静に、渋い顔をして「てばなしでよろこべるか」と言い放ちました』

『支配人は、机をドンと叩くと、「十数年後、核家族は3.5人にへるんだゾ」と怒鳴っています。従業員は、ビックリして茫然と立っています』

『突然、支配人は、頭を抱えて机に伏せると、体を震わせて「そのときケイエイはどうなる」と泣き言を言いました。従業員も、そんな支配人を目の前にして悲しそうな顔をしています』

 

描かれている【こどもドリームランド】の入場門付近の混雑は、まるで、東京ディズニーランドのようです。

確かに繁盛しています。

従業員は、喜んでいますが、支配人は、悲しそうです。

支配人は、十数年後核家族の数は、3.5人に減ってしまうと予測したのです。

その時、そうなると、この【こどもドリームランド】のケイエイは、行き詰ると予測したのでしょう。

 

今、核家族の数は、この支配人の予測通りに、3.5人くらいになっているのではないでしょうか?

3.5人位の核家族の数となっても、東京ディズニーランドは、ますます、繁盛しているようですね!

しかし、支配人の心配通りになったと思わせるような遊園地がありました。

 

このこどもドリームランドの支配人の憂鬱を見て、横浜市の戸塚区に【横浜ドリームランド】が在ったことを思い出しました。

ここには、家族・親戚連で3~4回は遊びに行きました。

ドリームランドと言うものの小規模の遊園地で、開園当初は繁盛したかもしれませんが、今は、閉鎖されてしまいました、ありません。

 

閉鎖の理由は。核家族の数が減って行ったこととは関係ないでしょうが、サザエさんのこどもドリームランドの支配人が予測したようなことが起こる可能性があったかも知れません。

 

支配人の心配はさておき、核家族の数の減少は、人口減の深刻な社会問題でしょう。

サザエさん―面白い落ち(144)

 

口紅は、危険ではないのですか?

 

朝日文庫版38巻〔112頁〕・昭和44年

『サザエさんが、飲食店に来ています。ラーメンを頼みました。コック帽を被り、白衣に前掛けをした、太ったご主人が、運んできたラーメンをテーブルの上に置いて立ち去ろうとしました。すると、割り箸を持って食べようとしたサザエさんが、箸を持った手をチョコチョコと動かして、ご主人を呼んでいます。テーブルには、表面が赤いカマボコでトッピングされた美味しそうなラーメンのドンブリが置いてあります。ご主人は、呼ばれて立ち止まり、振り返っています』

『サザエさんは、戻って来たご主人に、表面が赤いカマボコを割りばしで挟み、ご主人の方に差し出し、カマボコを指さし、表面が赤いと文句を言っているようです。ご主人は、右手を頭の後ろに回し、恐縮しています』

『文句を言うと、サザエさんは、ラーメンを食べもしないで、直ぐ、ハンドバックから口紅を取り出すと、コンパクトの鏡を見ながら、唇に塗っています。ご主人は、そんなサザエさんを、イヤな顔をして見ています』

 

そんなサザエさんを見て、ご主人はどうしたのでしょうか?

 

『お客さん、折角注文した美味しいラーメンを、何故食べないんだい!失礼じゃないか!』

と怒ったのでしょうか?

 

サザエさんは、最近、食べ物の安全性に、気を使い過ぎているようです。

ラーメンにトッピングされている赤く着色されているカマボコを気になり、多分、こう言ったのでしょう。

『オジサン、これ、なーに、この表面のドギツイ赤色は、食べさせてはいけない赤色の着色剤が塗ってあるんじゃないの!危険な着色剤を塗っているようなこんなもの食べられないわ!』

と言ったのでしょう。

折角ご主人が運んできたラーメンは、食べていませんから。

 

ご主人は、

「大変失礼なお客だ、ラーメンを食べもしないで、口紅を塗りはじめた。

その真っ赤な口紅こそ、危険な着色剤じゃないのかい?

わしには、同じようにしか見えないが!

食べないんだったら食べないで良いよ。チャントお代は払って帰ってくれ!」

と、食べてもらえなかったラーメンを下げてしまいました。

 

四コマ目の落ちは次のようでした。

『ご主人は、赤いカマボコが乗ったままのラーメンのトンブリを持って「クチベニだって食ってるわけだけどかまわねえンかなァ」と愚痴りながら下がっていきました』

口紅の色素は、本当に害はないのでしょうか?調べればすぐわかりますが、

 

口紅の色素も、カマボコの着色剤も害はありません。

安心して使い食べてください。

 

サザエさんンも、ご主人も、余計な心配をしただけです。

特に、サザエさんは、食品添加物の安全性について、仲の良い奥様達と研究していますから、カマボコの赤い色が気になっただけです。

サザエさん―面白い落ち(143)

 

防腐剤なしのカビの生えた食べ物は食べられますか?

 

朝日文庫版38巻〔35頁〕・昭和44年

『サザエさんが、仲のいい奥さんと一緒に、別の仲のいい友達の家を訪問しています。サザエさんはセータを着た質素な姿です。仲のいい奥さんは、髪をアップに結い上げて、和服を着てオシャレをしています。2人は、訪問先のリビングのテーブルでコーヒーをご馳走になっています。そこへ、目じりが釣り上がったメガネをかけ、柄物のエプロンをかけた中年のオバ様が出てきました。そのオバ様も、サザエさんと仲のいい奥さんです。その奥さんが、右手に楊枝を挿した棒の様な食べ物を乗せた皿を持ち、左手には、楊枝を挿した四角に切った食べ物を乗せた皿を持ち、「かるくめしあがっていらして」と勧めています』

『オバ様は、手に持った皿を「何にもないけどカビの生えたチーズよ」と言いながらテーブルの上に置きました。それを見ていた、髪を結いあげた仲のいい奥さんが「マ~~ぼうふ剤がはいっていませんのネ!」と楽しそうに言いました。サザエさんも、興味深そうに見ています』

『オバ様は、黒いトーストを皿に積み上げて持ってきました。そして、「黒いパンに、いろのわるいソーセージよ」と言いながら持ってきました。髪を結いあげた奥さんが、思わず「ひょうはくざいも」と言うと、サザエさんがすかさず「しきそもなしネ!」と言いました』

『3人は、テーブルについて、オバ様が、「けっこうなものばかり!」と言うと、サザエさんが続けて「いただきまーす」と言い、コーヒーを飲みながら、テーブルに出された食べ物を食べています』

 

食べ物の安全性を問題にした時期がありました。

食品添加物、例えば、防腐剤、漂白剤、着色剤などの危険性が問題視され、これらの添加物を使った食品は危険で、食べてはいけないと言う運動や、主張する書籍が続けて出版された時期がありました。

 

食品添加物として、防腐剤を使用しないと、食品は長期保存ができない、カビが生える。

防腐剤を添加していない食品がもてはやされるのは判りますが、カビの生えた食品はいただけません。

 

子供の頃、餅にカビが生えて、餅を食べる時、包丁で生えたカビを削り取り、焼き餅にして食べていたことを思い出します。

カビは、食べてはいけません。危険です。

サザエさん達奥さんは、防腐剤も漂白剤も使っていませんと言う、カビの生えた、色の黒い食品を食べようとしています。

 

食品着色剤も危険だと騒がれました。

着色剤としては、合成の塩基性染料が使用されていた古い時代もありましたが、その危険性が問題となり、自然の有色色素が着色剤として使用されていると思います。

 

カビが生えている食べ物は、直ちには食べたくありません。

高級なチーズの表面にはカビが生えているようですが、カビは取り除いて食べる筈です。

 

しかし、最近は、和食の味噌、醤油などは、カビの一種を活用した発酵食品の筈です。

防腐剤、漂白剤、合成着色剤等の改良や使用しない食品の開発、上市がなされている筈であり、最近は「食べてはいけない」などの本や主張は目立たなくなっている。

 

しかし、防腐剤なしのカビの生えた食べ物は食べられますか?

 

サザエさんの素直な落ち(36)

 

モーニングサービスとは、当然、モーニングを着てサービスすることです。

 

朝日文庫版37巻〔105頁〕・昭和43年

『ノリスケさんが、レストランの店先にいます。店の入り口に、置いてある【9時よりモーニングサービス】と書いた立て看板を、これにするかと言わんばかりの表情で見ています』

『ドアを押して店の中に入って行きました』

『ノリスケさんが注文したモーニングサービスを、大きなお盆を両手に持って、初老のウエィターが運んできました。お盆には、トースト、ゆで卵、コーヒー、ミルク、砂糖、ベーコンエッグなど沢山乗っています』

『ノリスケさんは、初老のウエィターが置いて行った伝票を、直ぐに確認しました。その高い料金に驚いて、空になった大きなお盆を小脇にかかえて戻っていく初老のウエィターを良く見ると、モーニングを着ています。ノリスケさんは、「ただモーニングを着てサービスするだけ・・・」と呆れています』

 

朝、トースト、コーヒー、ゆで卵などを、安価に食べさせてくれる軽い朝食をモーニングサービスと言い、時折利用していました。

ウエィターは、ウエィター皿にコーヒー、トーストなど乗せて運んできます。

これらを安価に提供してくれるのです。

 

しかし、ノリスケさんが立ち寄ったレストランでは、モーニングサービスとは言え、食べ物が盛り沢山です。

こんなに沢山サービスするのかな?

モーニングサービスの筈だ。こんなにたくさん、安くしてくれるのだろう。

 

伝票を確認する。高い!これではサービスになっていない。おかしい。

ウエィターの初老のおじさんをよく見ると、モーニング服を着ている。

 

食べ物の種類も多く、伝票の料金も高い、モーニングサービスなのに変だと思っていたらそうだったのか。

ノリスケさんが立ち寄ったこのレストランでは、ウエィターのオジサンがモーニングを着てサービスするから、モーニングサービスと言うのか。

 

これは、インチキだ!

インチキではない、立て看板には【9時よりモーニングサービス】と書いているだけで、お安くしますとは書いてないと言うのですか。

 

サザエさん―面白い落ち(142)

 

気持ちの良い髭そりは、良く切れる剃刀とシャボンが必要です。

 

朝日文庫版37巻〔70頁〕・昭和43年

『今日は、サザエさんのお父さんが、浴衣掛けで床屋の前に立っています。床屋のサインポールもグルグル回り、営業中です。お父さんは、床屋の前でギョッとしています。床屋の入口のドアに、「だんこねあげはいたしません」と書いた大きな貼り紙が貼ってあるのです』

『お父さんは、その店の中に入りました。白衣を着た、お店の細身のご主人がいます。細長い顔をして頑固そうな作りです。お父さんは、そのご主人に近づくと、右手でご主人の肩を思い切りバシッとたたき、「そのきがいがたのもしい」と褒めています』

『お父さんは、理容椅子に座りました。ご主人は、剃刀を持ち、首の後ろを剃りはじめようとしています。ご主人は、お父さんに、「お客さんもきょうりょくしてくださいとお願いしています。お父さんは、おう揚に「むろん」と答えました』

『ご主人は、「シャボンなしですゾ」と言うと、首まわりを、シャボンもつけないで、剃刀を当て剃りはじめました。お父さんは、その痛さに顔をゆがめて悲鳴を上げています。ムロンと言った以上文句も言えず我慢をしているようです』

 

床屋で髭を剃って貰う、気持ちの良いものですね。

理容師さん専用のカミソリと言うのでしょうか、アレは良く切れるようですネ。

余りにも切れそうで、余計なことを考えると、恐ろしい事を想像したりします。

 

以前は、床屋での髭そりは、この理容店専用のカミソリを使うのが当然でした。この剃刀をベルト状の皮で刃を研いでいる理容師さんが、カッコよく見えました。

泡立て容器で細かなシャボンの泡を立て、顔や首のまわりに、柔らかい刷毛で塗ってくれます。

その後、剃刀を当てて、撫でるように剃ってくれます。

良く切れ、痛くも何ともありません。心地よいものです。

 

研いだ、良く切れる剃刀でも、シャボンを塗っていなければ、どうなんでしょう。

そんなことは、今まで経験ありませんので、痛いのか痛くないのか判りません。

しかし、シャボンなしで、剃って貰っているサザエさんのお父さんの顔を見ると、酷く痛そうです。

その顔を見てみると、眉毛は、一直線になり、痛くてたまらんと言う形相です。口も斜めに食い絞り、今まで見たこともないような形相のお父さんになっています。

シャボンがなければこんなにも痛いのでしょうか?

値上げ反対のご主人に、これほどまでに協力をしなければならないとは思いませんでした。

お父さん、他の店に言った方が良いのでは?

そんなに痛いのはシャボンのせいだけではなく、剃刀がよく砥げていないか、ご主人の技が劣り、毛が切れないのではないでしょうか?

 

最近、床屋さんにも、いろんな理容師さんがいて、髭そりにも独自の技を持っている人がいるようです。

使う道具とワザが一様ではなく、様々です。

皆さん上手に剃ってくれます。

サザエさんー口数の多いカツオ君(4)

 

やり過ぎだよ!カツオ君

 

朝日文庫版36巻〔18頁〕・昭和42年

『朝早く、カツオ君が、自分の家の前の道路を松葉箒で掃いていると、縞柄のパジャマを着たチョビヒゲのオジサンが下駄ばきで走ってきました。カツオ君がいるのに気付くと、「たいへん ごうとうにやられた」と叫びました。カツオ君はハットして棒立ちになっています』

『カツオ君は、一大事と近くのお店の公衆電話に駆けつけると、直ぐに、受話器を取りました。110番に電話をしています。「110番?タタキだから、そうさ第1課にきてもらうよう」と指示しています』

『受話器を持って耳に当て、お店の棚に肘をついて、格好をつけると、「かんしきのおうえんもたのみますョ、ホシの足どりはムロンつかめてないが・・・・・」などと言っています』

『すると受話器の向こうから「刑事ドラマのみすぎだよガチャン」ときられました。カツオ君は、その勢いにビックリしています

 

カツオ君、また余計なことやったようだね。

ゴウトウにやられたオジサンが、やりたいように、やらせたらいいのに、余計なことして、怒られた。

 

君の電話は、緊迫感がなかったんだよ、だから、刑事ドラマのテレビ見すぎの少年からの電話だとバレテしまった。

カツオ君は、どんなテレビの刑事ドラマを見ていたんだ。

 

刑事ドラマは、沢山あって、何を見ようかと迷うと思うが、今、テレビに流されている刑事ドラマに詰まらないのがあるよ!

カツオ君は、こんな刑事ドラマを見ていたんじゃないのかな?

 

そのドラマは、「相棒」と言うんだけど、刑事を演じている主演の役者が、大根役者さんで、全く迫力ないんだよ。

本物の刑事さんを知っているが、こんな刑事さんは、刑事さんではない、只のオジサンだ!

テレビでは、この刑事ドラマを長い事やっている。何故か判らない!

 

カツオ君は、こんな刑事ドラマの刑事さんを見ていたのかな。

だから、カツオ君の言っていることに迫力がなく、受話器の向こうの人は、戯言だと見破ったんだ。

 

刑事ドラマも、見ても良いが、下手な役者の演じる刑事さんは見ない方がいいよ。

 

サザエさんー口数の多いカツオ君(3)

 

またやったね!カツオ君

 

朝日文庫版35巻〔137頁〕・昭和42年

『和服を着て、派手な帯を閉め、髪を結い上げたオバサンが、お母さんを訪ねてきました。オバサンは、青年の見合い写真を拡げて、お母さんに見せながら、「会社でもごひょうばんがいいし」と推薦しています。お母さんは、オバサンが拡げて持っている写真の青年をジーッと見ています』

『オバサンは、写真を拡げて見せながら、青年のことを懸命に説明しています。「親孝行で、近所でも愛想のいい大人しい方だと皆さん口を揃えて・・・・・・」

『何時の間にか、お母さんの後ろにカツオ君が座っていました。オバサンの言うことを、しっかり聞いていたのか、突然、「じゃシンブンにのるはんにんみたいな人だ」と口を挟みました。オバサンとお母さんは、2人とも口をあんぐりと開き唖然としています』

『カツオ君は、怖い顔をしたサザエさんに襟を持ち上げられ、引っ張られています。カツオ君は、まだ減らず口を叩いています。「と意外な顔で語った、なんて殺人犯のこと書いてあるヨ」』

 

カツオ君の言うとおりだよね!

凶悪事件の犯人について、テレビの報道で、犯人を知る人達のコメントは、見合い写真の青年を褒めるおオバサンに似たようなことを言っているネ。

カツオ君の言う通り

「大人しく良い人でした。愛想㋒のいい人でした」

などと語ることが多い。

 

最近も、殺人事件を含む凶悪事件が多く、元県警などのオジサンが、忙しそうにコメンテーターとしてテレビに出て来て、犯人像を予測することが多い。

コメンテーターのオジサンは、オバサンみたいに犯人を褒めることはないが、近所の人達は、褒めていることが多い。

 

しかし、カツオ君、オバサンが持ってきた写真の青年を、新聞にのる犯人のようだと、オバサンに面と向かって言うのは大変失礼なことだよ。

サザエ姉さんが怒るのは当然だ。

 

カツオ君!口数は減らす必要はないが、口数の多い君を躾けるお姉さんの身になって、正しい、褒められる事を言うようにしよう。

サザエさんーカツオ君の先が思いやられる

 

美しすぎて「バスにのってトコヤに出かけるほど、きむずかしいとこある」カツオ君

 

朝日文庫版35巻〔115頁〕・昭和42年

『カツオ君の頭の髪の毛は、随分伸びています。カツオ君の頭はイガグリのようです。今、床屋さんの前に立って、「ここはやすみか」と呟いています。床屋の入口の横に置いてあるサインポールは回っていません、止まったままで、入口のドアには、「りんじ休業」休業の漢字に、わざわざ【きゅうぎょう】ひらがなで振り仮名をして、大きく書いた紙が貼ってありま』

『仕方なく、他の床屋にやって来たカツオ君は、店の中の椅子に座って散髪中の男の子が目に入ってきました。その子を見て、カツオ君は、「もっかケンカ中のやつ」と呟くと、店の中に入りませんでした』

『カツオ君は、更に、他の店にやってきました。カツオ君は、ドアを開いて店の中に入りました。そこには、3人のお洒落な理容師のオバサン達がいて、カツオ君を見ると、3人で「いらっしゃい」と声を揃えて迎えてくれました。カツオ君は、オバサン達を見て「女のりはつしさんばかり」と呟いて、棒立ちになっています』

『マスオさんは、会社の仕事も終わり、バスに乗りました。するとバスの中に散髪したての綺麗な頭のカツオ君がスマして座っています。それを見たマスオさんは思わず、「へーバスにのってトコヤに!そんな頭かるのでも、きむずかしいとこあんなァ」と感心しています』

 

カツオ君の独白です。多分こんなことを言っているでしょう。

 

僕には大変な悩みがあるんだ!

鏡に僕の顔を映して、よーく眺めると、磯野家の中で僕の顔だけが違うんだ!

美しすぎるんだ!

僕は、

「多分、生まれた時、産院の看護婦さんが、他の綺麗な赤ちゃんと取り間違えたんではないか」

と、鏡を見る度に思ってしまうんだ!

 

今日も鏡を眺めていたら、いつも思うように、美しすぎる。

しかし、今日は、いつもと、一寸だけ違って見える。

何時ものように美しくない。

何故かな?とじっくり見ていると、髪の毛が伸びすぎて、顔のバランスが変わっている。

 

何時もの美しい顔に戻さなければと思い床屋に行くことにしたんだ。

僕の馴染みの床屋に来てみたら、

「アレ!今日は、りんじ休業と貼り紙がしてある」

今日は止めようかと思ったけれど、僕の美しい顔が崩れているのが気になる。

早く元に戻さなければと思うと帰れない。

そうだ、少し遠いが、あそこの床屋に行こう。

やってきたら、僕と仲の悪い、まずい顔した目下喧嘩中の奴が、床屋の椅子に座って、散髪して貰ってる。

アイツが来るようなこの床屋は嫌だ。

他に行こう。

 

何処にあるかな、

僕は、近くに床屋しか知らなかったので、バスに乗って探しに行った。

どこでもいいや、折角だから遠くへ行こう。

バスを降りて探し歩いていたら、理容店と看板が出ている綺麗な床屋さんがあるぞ、サインポールもクルクル回っている。

何だか綺麗なお店だ!ここにしよう。

ドアを押して入ったら驚いた。

店の中のソファーに座っていた3人のお化粧をした理容師のオバサン達が、一斉に声を揃えて大きな声で「いらっしゃいませ」と歓迎された。

1人の理容師さんが、ソファーからすぐ立ち上がり、俺の手を取ると椅子に座らせてくれた。

僕は、そのまま椅子に座り、理容師のオバサンのなすがままに任せたんだ。

 

「お坊ちゃま、終わりましたよ」

と言うので、眼の前の大きな鏡のなかの僕を見たら、

「矢張り僕は美しい、磯野家のみんなと違う」

と改めて確認した。

 

バスに乗って帰っていたらマスオさんが乗って来た。

磯野家の者ではないマスオ兄さんは僕のことをどう思っているのだろう?

ボクが磯野家のものとは思えないほど美しいと思っているのだろうか?

きっと、僕が美しすぎるので

「バスにのってトコヤに!そんな頭かるのでも、きむずかしいとこあんなァ」

と思っているに違いない。

 

磯野家では美しすぎるカツオ君の先が思いやられる。