サザエさん―面白い落ち(154)

 

春の陽気で眠りこけて、アレ生きているのと思われたお婆さんがいました。

 

朝日文庫版43巻〔131頁〕・昭和47年

『コメカミに絆創膏を貼って、着物を着てエプロンをした、相当にお年を召し、顔中皺だらけのお婆さんが、お茶のみ茶碗を乗せたコタツに足を突っ込み、座布団の上に腰をのせ、柱に凭れて眠りこけています。何処からか、おばあさん!おばあさん!!と呼ぶ声が聞こえてきます。お婆さんは、何の反応を示さず、続けて眠りこけています』

『サザエさんのお父さん、カツオくん、ワカメちゃんが、お婆さんが柱に凭れて、深く眠りこけている縁側にやってきました。お父さんが、「おばァさーん!」と大きな声で呼びかけると、カツオ君とワカメちゃんも、負けじと、大きな声で、「おばァさーん!!」と呼びかけています』

『すると、お婆さんは、目を覚まし、スクッと身を起こし、膝まづくと「ハイハイ」と言っています。そして、着物の襟口を合わせて、身を整えると「いらっしゃいまし!!」と大きな声で言いました。ワカメちゃん達3人は、驚いたような表情で、ホッとしています』

『カツオ君が「ホラ、生きてるじゃないか」と言い、三人は、立ち去りました。起こされたお婆さんは「なによあんたたちおだんごじゃないの!!」と傍にあったお盆を掴み、皺だらけの顔面の中で、目玉だけを大きく見開き、大きな口を開けて怒っています。ホッとした様子のお父さんとカツオ君とワカメちゃんはホッとして、笑いながらその場を離れました』

 

お婆さんは、梅林のお団子屋のマカナイさんだったのです。

どうやら、客もなく、初春の陽気とコタツに突っ込んだ足の温かさに、つい、柱に凭れて眠りこけてしまったようでした。

そんな年老いたお婆さんは、カツオくんたちには、

「あのお婆さん死んじゃっている」

ように見えたようです。

 

この梅林は、何処かで見たような梅林にそっくりに描いてあります。

確か、横浜の三渓園の梅林の中のお茶屋さんによく似ています。

似ていると言うだけですが、眠りこけたお婆さんがいたら、同じような思いをするかもしれません。

カツオ君達は、お婆さんに呼びかけて、目を覚ましてくれたので、ホッとしています。

 

面白いのは、このお婆さんの姿、生きてはいないのではないか?と思わせるように、深く眠りこけてしまった姿、呼びかけられて目を覚ました姿、大きく口を開けて起こっている姿など、実に面白く可笑しく描いてあります。

 

カツオ君達が、眠りこけているお婆さんを見つけ

あのお婆さん生きていない

と思った表情もまた可笑しい。

 

春の陽気のなかではこんな光景もあるのかもしれませんね!

 

日本テレビ番組の「笑点」は、大好きです。

放送時間に直接視ますが、その後、録画しているのを1回以上必ず見ます。

司会の歌丸さん以下皆さん実に面白い応答をしてくれます。

 

三遊亭園楽さんは、行き過ぎですね!

まだ、元気に頑張っている歌丸さんを拝んだりしています。

歌丸さん、何時までも長く続けて欲しいと願っています。

 

このお婆さんは、笑点の歌丸さんにそっくりだ。

もし歌丸さんが柱に凭れて眠りこけているのを、園楽さんが見たら、駄目ですよ!手を合わせる悪戯は!

ホラ、歌丸さん目を覚まして、園楽さんの座布団、みんな取りあげたではありませんか! 

サザエさん―怖い床屋さん(2)

 

髭を剃っている若い女性の理容師さんに、「イーシやきイモーォ」は危険です。

 

朝日文庫版43巻〔42頁〕・昭和47年

『サザエさんのお父さんが、床屋に来ています。バーバーチェアに座って毛を剃って貰っています。理容師は、若い女性です。その理容師さんが、お父さんに、「北陸トンネルの事故の事故は大変でしたね」とでも、世間話を話しかけながら、鋭利な剃刀で頭を剃っています。お父さんは、目を閉じ、穏やかな、眠っているような顔をしています』

『理容師さんは、お父さんの禿げた頭の上の方に、剃刀の刃を当てています。世間話は、続いています。話題は、変わり、二人は、日航機の墜落事故のことを喋りはじめました。理容師さんが、「日航機に墜落事故では、大勢の犠牲者が出ましたね」などと言い、お父さんは「日本では、かってなかった大きな航空機事故だね」などと言っているのでしょう。お父さんは、理容師さんの話題が、少し怖い事故のことばかりで、多少ウンザリしているような表情です』

『床屋さんの前の道路を、石焼き芋屋さんが、芋焼き道具を乗せたリヤカーを引いて、「イーシやきイモーォ」と、大きな声で叫びながら通りかかりました。お父さんのハゲ頭の上に剃刀の刃を滑らしていた理容師さんは、ヒョイと声のする方を振り向いています』

『お父さんが、床屋から出てきました。お父さんは、頭をクルンでしまうように、包帯をグルグルと巻いています。理容師さんは、お店の入口に立ち、深々と頭を下げて、謝り、お父さんを送りだしています』

 

お父さんが、床屋さんで怖い目に遭いました。

しかし、お父さんは、床屋さんで何処を剃って貰っていたのでしょう。

理容師さんは、ハゲ頭に剃刀の刃を当てています。

そこら辺には、毛はないはずなのにと思うのですが、禿げた頭でも、産毛でも生えてくるのでしょうか?

とにかく、剃って貰って、気持ちよさそうです。

 

しかし、理容師の女性は、お喋りのようです。

鋭利な剃刀を禿げ頭に当てながら、お父さんに話しかけてきます。

お父さんも、一緒になってお喋りをしていましたが、理容師さんは、身近に起こった大事故の話ばかりするので、お父さんもウンザリしている様子です。

 

そんな時、店の外を、石焼き芋屋さんが、大きな声で

「イーシやきイモーォ」

と叫ぶものだから、大好物の石焼き芋だと、理容師さんは、ヒョイと振り向きました。

 

大丈夫かな!と思った瞬間、鋭利な剃刀が、お父さんの、頭に○○○と恐ろしい事となりました。

 

床屋さんから出てきたお父さんの痛ましい姿。

お父さんの頭部と耳の回りが、包帯でクルクル巻きにされています。

 

痛かったでしょう。

しかし、お父さんは、包帯を巻かれた姿でプンプン怒りながら床屋から出てきました。

 

矢張り、床屋さんは、怖いところですね。

特に、女性の理容師さんのいるお店では、石焼き芋屋さんのデッカイ声が聞こえてくると、怖いことが起こらないとも限りません。

 

どうも判らないのは、お父さんのようなハゲ頭に剃刀の刃をあてるのでしょうか?

 

今日テレビを見ていたら、日本大好きの外国の人が、侍のようにチョン髷を。自分で器用に結っているのです。

暫く、見ていたら、自分で、サカヤキに剃刀をあて綺麗に、生えている髪の毛を剃っていました。

そして、長い髪を結ってチョン髷にしていました。

このように頭部に毛が伸びてくる人なら、剃刀で剃るのは判りますが、完全にハゲ頭と思っているサザエさんのお父さんのハゲ頭を剃るのは何故でしょう?

まさか、お父さんは、頭頂部を毎日剃って、禿げ頭にしているとは思いませんが。

サザエさん―怖い床屋さん(1)

 

耳を切り落とされたら大変です。

 

朝日文庫版37巻〔112頁〕・昭和43年

『ノリスケさんが、床屋にきています。バーバーチェアに座って髭を剃って貰っています。理容師は、まだ若い青年です。ノリスケさんは、チェアに座って目を閉じて、ユッタリと髭を剃って貰っていました』

『隣のバーバーチェアでは、親方が、同じように、客の髭を剃っています。その親方が、ノリスケさんの髭を剃っている若い理容師の方を振り向くと「オイみみをきるなよ、のこしときなよ」と叱りつけています。ノリスケさんは、それを聞いてヒヤ―ツと、ビックリ驚いています、』

『開いたままの障子の奥に、おかみさんが、トーストでパンを焼いています。焼いたパンを手に持って、親方の方に示し、「のこしているヨ」と叫んでいます。親方は、おかみさんが手にしたパンを見ています。パンの耳が残っているのを確認できたようです。ノリスケサンも、おかみさんの方を見ています』

『ノリスケさんは、冷や汗をかいていますが、ホッとしています。親方も耳のついたパンを見て、ホッとしたようで、客の髭を剃っています』

 

こんな場面に遭遇すると、髭を剃って貰っているお客さんは、ビックリするでしょうね!

自分の髭を剃っている理容師が、見るからに、未熟、当たって貰うと、何だか、頼りなさそうなタッチだと思っている。

そんなところに、

親方が

「オイ耳をきるなよ、残しときなよ」

と怒鳴るのが聞こえてくれば、

「ヤバイ、耳を落とされるかも知れんぞ」

と怖くなるでしょう。

 

親方が言ったは、おかみさんが焼いているパンの耳のことだとわかり、

ノリスケさんもホッとしています。

 

ノリスケさんは、一寸だけ、床屋さんとは怖いとこだと思ったでしょう。

 

しかし、この床屋の親方とおかみさんは、時折、お客さんを選び、同じようなことをやって、カラカッテ楽しんでいるのかもしれません。

サザエさん―面白い落ち(153)

 

サザエさんのお父さんの頭の天辺で大事にされて残っている一本の髪の毛は、意外なところで役に立つたのでした。

 

朝日文庫版43巻〔307頁〕・昭和47年

『新幹線の車内のようです。いや、そうではないですね。食堂車のドアを押して、新婚旅行らしい若い男女が出てきました。男は、スーツを着て、つま楊枝を咥えています。女は、つば広帽子を被り、ミニスカートのスーツを着た、目の大きい美人です』

『自分達の席のある車内に戻ってきました。席は、全席が前方を向いています。前部空席で、後の方から車内に入った二人は、きょろきょろして、「ぼくたちのせきは?と探しています』

『その車内の前方のドアからサザエさんのお父さんが、ハンカチで手を拭きながら現れました』

『サザエさんのお父さんが席に着きました。すると、自分の席を探していた男性が「お―あそこあそこだ」と女に指で示しています。そこには、ツルツルの頭の天辺に一本の髪の毛が真直ぐに立っている頭がありました。お父さんの頭の横に〈人は人知れずなにかの役にたっている〉添え書きがしてあります』

 

サザエさんのお父さんの独特の頭、あの頭の下の方には、その回りにグルリと髪の毛は残っています、しかし、上の方に登っていくと、全くツルツルです。

しかし、ツルツル頭の天辺には一本だけ元気な髪の毛が残っています。

その毛は、真直ぐに立っています。

この頭の毛は見たら、直ぐには忘れないでしょう。

 

若い男女が食堂車から出てきます。

ドアを押して開けています。

新幹線のドアは、確か自動開閉ではなかったでしょうか?

もしそうであれば、押し開くのではなく、スライドして開く筈です。

 

ドアを押していますから、乗っていたのは新幹線ではないようです。

 

2人が、自分の客車に戻ると、後から見る座席は空っぽで、乗客がいません。

だから、自分たちの席が何処だったか判りません。

 

全く空っぽの座席、何だかミステリですね。

どうしたのでしょう。

そんな異様な雰囲気の列車に、サザエさんのお父さんが、手をハンカチで拭きながら現れました。

異様な光景です。

いや、お父さんは、トイレから出てきたのでしょう。

 

若い2人から見た、そのオジサンの目印は、禿げた頭の天辺にある一本の多少ウエーブのある、真直ぐに伸びた髪の毛です。

頭の下の方には、グルリと髪の毛が残っていますが、上の方はツルツルです。

しかし、ツルツル頭の天辺には、一本の髪が確りと残っているのです。

 

そんな頭は、サザエさんのお父さん独特の頭です。

お父さんは、この一本な髪の毛を大事にしているのです。

ある時は、お父さんは、ワカメちゃんが、お父さんの靴を磨いている靴ブラシを使い、鏡を覗き込みながら、残った一本の髪の毛の手入れをしていました。

このように大事にしているためか、永い年月、抜けずに残っています。

 

こんなに大事にしている髪の毛が、他人様のお役に立ったのです

そうですね、この独特の頭の天辺の一本の髪の毛は、他人様が一度見たら忘れられないのものかもしれません。

だから、他人様のお役に立ったのです。

 

このツルツル頭の天辺の一本の毛が、席を探していた2人に、貴方達の席はここですと言わんばかりに、指し示していたのでしょう。

 

サザエさんのお父さんの頭の天辺で大事にされて残っている一本の髪の毛は、意外なところで役に立つたのです。

サザエさん―面白い落ち(152)

 

マスオさん、4人で出来ることが、麻雀の外にもありました。

 

朝日文庫版42巻〔107頁〕・昭和46年

『マスオさんの職場です。二つ並んだ机の一つに座っている同僚が、見ていた書類を片付けながら、既に、席を立ち帰り支度を済ませて立っている他の同僚に、「ぼくんちでこんやどうだい」と誘っています。すると、誘われた同僚は、「いいねえ」と乗り気です』

『言い出した同僚が、心配そうな顔をして、「四人そろうかな」と不安そうです。するとそこへ、マスオさんが、自分を指さしながら「ボクいくいく」と慌てて現われました』

『マスオさんは、そう言うと、自分のロッカに行き、スーツの上着を取り出し、口笛を吹きながら、楽しそうに着ています』

 

マスオさんは、同僚の家で麻雀を楽しめたのでしょうか?

ばらしますが、また、違っていました。残念ながら、マージャンではありませんでした。

 

『同僚の家に行くと、既に、3人の同僚たちがいました。椅子に座った3人は、チェロヴィオラヴァイオリンを持っています。集まって、弦楽四重奏を始めるようです。ヴァイオリンをひくメンバが不足しているので、マスオさんにやらす積りのようです。四人で麻雀をやると思ったマスオさんは、青ざめて「室内四重奏ケッペル568だって」と愕然としています』

 

先日は、麻雀に誘われたと、喜んで馳せ参じましたが、コーラスの集まりでガッカリしたことがあります。

今回は、室内四重奏を始めたグループでした。

 

マスオさんは、ヴァイオリンを始める積りはないと思います。

また、喜んで駈けつけたのに、麻雀ができず、ガッカリしています。

 

音楽が全然の者にとって、室内四重奏とはどんなものか判りません。

四人で、弦楽器を奏でて楽しむようです。

弦楽器は、チェロヴィオラ、2本のヴァイオリンのようで、マスオさんはヴァイオリンを担当させられるようです。

チェロヴィオラ、1本のヴァイオリンのメンバーは揃っているので、マスオさんはヴァイオリン担当です。

 

麻雀は止めて、ヴァイオリンを始めれば、その内、演奏できるようになりますよ。

サザエさん―面白い落ち(151)

 

高齢カセイフさん!サザエさんのお父さんは、自分よりはるかに高齢のカセイフオジサンに驚いています。

 

朝日文庫版38巻〔129頁〕・昭和44年

『サザエさんとお母さんは、夜、何処かへお出かけのようです。サザエさんは、スーツを着て、ハンドバックを持ち、直ぐ出られるようです。お母さんは、着物の羽織を取り出して、玄関の方を見て「かせいふさんきたようよ」と言い、サザエさんがそれに答えて「そうね」と言いました』

『サザエさんが、台所に行くと、お爺さんが、流し台に向かって何かをやっています。サザエさんが、近づくと、お爺さんは、サザエさんの方を振り返り「きょうは母の日だからトウちゃんが」と話し始めました。サザエさんは、お爺さんを見て驚いています。お爺さんは、髪も薄くなり、ボサボサの頭をし、無精ひげを生やした、皺のあるお爺さんです』

『お爺さんは、続けて「行けよとコドモらが」と言いながら台所の床を雑巾がけをし始めました。サザエさんとお母さんは、仕方なさそうにお爺さんを見ています』

『サザエさんとお母さんは、家を出たようです。居間には、お父さんが1人、食卓の前に座り、並べられたオカズのお皿に箸を突き出しながら、左手の持ったお茶碗をお爺さんの方に突き出しています。お爺さんは、電気釜の傍に座り、両手でお盆を持って、神妙な顔をして、お茶碗を受取っています』

 

サザエさんとお母さんは、今晩、お出かけのようです。

子供達も見当たらないので、何処かへ行ったのでしょう。

1人残されるお父さんのため、お母さんは家政婦さんを手配したようです。

 

ところが、来てくれた家政婦さんは、大変なお爺さんの家政夫(カセイフ)さんでした。

こんなお爺さんのカセイフさんが何故来たのでしょう?

オジサンの言っていることから、わかりました。

 

お爺さんの奥さんは、家政婦専業のようです。

今日は、母の日です。

子供達が、言ったのでしょう。

「お母さん!今日は、母の日だ。俺たち、コドモは、今日くらいはお母さんに休んで貰いたいよ」

ところが、お母さんは、

「今日は、是非お願いしたいと頼まれているところがあるんだよ、顔馴染みの人だから断ることは出来ないの!

子供達は、

「お爺さんがいるじゃないか、オヤジ!今日くらいお母さんの代わりに言ってあげなよ」

と強く言われ、お爺さんは仕方なく、

「偶には、よそのうちにいってみるか」

と出かけて来たと言うことでした。

 

このお爺さんが、とても可愛らしく可笑しいお爺さんです。

先ず上から、

頭の上に髪の毛は、ボサボサと、十数本くらいしか生えていません。

眉毛は、濃いのですが、長く伸び垂れさがっています。

頬と口周りには、深いしわがあり、デッカイ鼻の下には、チョボチョボと無精髭が生えています。

如何にも、毎日、何もしないで過していそうなお爺さんが、そのままサザエさんの家に現れたようです。

 

子供達に派遣されたお爺さんは、良く働いています。

久しぶりの楽しい仕事なのでしょうか?

洗い物をしたり、床掃除をしたり忙しそうです。

 

とうとう、サザエさんのお父さんの、晩御飯のお世話をしています。

お爺さんの、エプロン姿、お父さんが差し出すご飯茶わんを受取ろうとお盆を差し出す姿等は、矢張り可愛く見える高齢の家政夫(カセイフ)さんです。

 

その姿が、面白く可愛く可笑しいお爺さんでした。

サザエさん―面白い落ち(150)

 

マスオさんは、麻雀屋に来て遊んでいました。すると不思議なマージャン卓がありました。

 

朝日文庫版37巻〔86頁〕・昭和43年

『電灯の下で4人のオジサン達が麻雀をしています。その中にマスさんがいます。麻雀に夢中のマスオさんは、楽しそうな笑顔をして、牌を掴んで持ち上げ、棄てています。4人は、多分、会社のマージャン仲間のようです』

『暫くして、マスオさんは、時間が気になり、右横の仲間に「なんじ?と聞きました。仲間は、直ぐに腕時計を覗きこんで、「まだ九じだ!と答えました。マスオさんは、まだまだ、時間はたっぷりあるなと思ったでしょう。各人の前には、それぞれ、二段に積み重なった麻雀牌が揃っています』

『突然、マージャン卓の、マスオさんの正面と左横の2か所の側面から、ロボットの腕の様なものが現われ、その腕の先の手のひらのような機械で、きれいに並んでいた麻雀牌を「ガラガラ」と引掻き回し、崩してしまいました。四人は、驚いて唖然としています』

『すると、麻雀屋の入口のドアの横に置いてある机の前に座って、編み物をしていた店のおかみさんが、ニコニコしながら「ゴメンなさーい、そこ運てん手さん専用のテーブルなの」と言いました。おかみさんの後ろ壁には「交通安全運動」と書いた貼り紙が貼ってあります』

 

マスオさんは、今日は、マージャン屋さんで、仲間とマージャンです。

何だか、今日は、たっぷりやってやるぞといった雰囲気です。

 

途中で、時間が気になる。今、何時と仲間に聞くと、まだ9時だと言う.

まだまだこれからだ!

と思ったとたん、一体全体、何事でしょう。

マージャン卓の横に取り付けられた、ロボットの腕の様なものが現われ、折角綺麗に並べられた麻雀牌を引掻き回してしまいました。

 

全自動麻雀卓は聞いたことはありましたが、見たことはありませんでした。

U-TUBEで見てみました。

全自動麻雀卓は、麻雀牌を掻き混ぜた後、綺麗に並べる機械で、

綺麗に並べた麻雀牌をガタガタに、引っ掻き廻すものでありませんでした。

 

運転手専用のテーブルは、何故、こんなことをするのだろうと考えてみました。おかみさんの後ろの貼り紙には

「交通安全運動」

と書いてあります。

 

おかみさんは、交通安全運動に協力できる全自動麻雀卓を、このお店に備えたようです。

 

タクシの運転手さんや、車を運転するその他の人達にもマージャン好きな人がいるでしょう。

そんな人達に何時までも、マージャンをやって貰ったらいけない。

「麻雀が原因の過労で交通事故を絶対に起こさせない」

と思った麻雀屋さんのおかみさんが考えた、交通安全運動に協力する麻雀卓を備えている麻雀屋さんだったのです。

 

「車を運転する人は、9時過ぎまで麻雀をしてはいけません」、

と言うお店です。

マスオさんも早く切り上げて、帰らないとサザエさんに叱られますよ。

サザエさん―面白い落ち(149)

 

マスオさんは、矢張りマージャンが好きでした。煩いと言いながら、誘われると一緒にやるほどでした。

 

朝日文庫版34巻〔100頁〕・昭和42年

『マスさんが、サザエさんとタラちゃんと一緒に旅行中です。今日は、大変疲れてしまい、夕食も済ませると、蒲団を並べて床に就きました。疲れていたタラちゃんは、サザエさんの横で、直ぐ眠ってしまいました。マスオさんも眠ろうとしますが、隣の部屋から、マージャンをしている声が煩くて仕方が有りません。マスオさんは、遂に、枕元に置いてあった電話の受話器を取り、フロントに電話をしました。フロントに、眉を逆立てて「フロント?となりのマージャンがうるさくてねむれないだがネ」と文句を言っています』

『隣の部屋では、浴衣を着たオジサン達が、咥え煙草でマージャンに夢中です。瓶ビールも3本も飲み干し、盛り上がっています。部屋の電話機のベルが鳴りました。1人のオジサンが受話器を取ると、フロントのお兄さんが、隣の部屋の人が喧しくて眠れないと文句を言っていると伝えました。受話器を取ったオジサンは、「たまーの連休じゃねえか、うるさきゃこっちきていっしょにやりな」と返しています。マージャン卓を囲んでいる他の3人も「そうだそうだ!!とはやし立てています』

『フロントのお兄さんは、マスオさんに、隣の部屋の返事を伝えています。マスオさんは、そうかと言わんばかりの顔をして受話器を耳に当てています。サザエさんとタラちゃんは、目を覚まし、煩そうな顔をしています』

『暫くすると、マスオさんの寝床は、空っぽです。隣の部屋から、さらに大きな声が響いてきました。サザエさんは、「いくやつもいくやつだ!!」と眉毛を釣りあげカンカンに怒っています。タラちゃんも完全に目を覚まし、泣き出しそうな顔をしています』

 

マスオさんは、矢張り、マージャンが大好きでした。

旅先で、隣の部屋のマージャンが煩いと文句を言い、煩ければ一緒にやれと言われて喜んで行ってしまう、サザエさんが、ますますイライラするほどのマージャン好きでした。

 

思い出します。

若い頃、マージャンをやり始めました。東京本社に勤務の頃、勤務時間が過ぎると、先輩に誘われて、日本橋から、赤坂にあった会社の寮に出かけました。

4人は何となく揃うもので、楽しく、その後、しばらくの間、続けていました。多分、カモにされていたのでしょう。

カモも強くなれたら、マスオさん位にマージャン好きになっていたでしょうが、強くなれず、夢中になれず、弱いままのカモでしたから、その後は。お付き合いのマージャンでした。

 

マージャンの、楽しさ、面白さは、好きな人達には堪らないようですね。

会社の旅行では、宴も終わりそうになると、マージャンのメンバーが何時の間にか募られ、宴が終わると直ぐに、マージャン卓が運び込まれ。マージャンが始まります。

何時までも何時までも夢中でやっています。

間もなく朝です。それほど夢中でやっています。

見ていると、阿保です、そこまで阿保にはなれません。

翌日のバスの中では、メンバーのほとんどが眠りこけています。

メンバーの中に、確りと目が開いているタフな野郎はいなかったと思います。

 

「それほどまでしてマージャンはやらなくてもよい」

と言うのが、マージャンが好きになれない理由だったようです。

 

しかし、マージャンは、良くできた、遊びです。

上手くなり、稼ぎたいと思ったことはありますが、夢中になれませんでした。

 

マスオさんのマージャンの実力が、どれ位のものなのか判りませんが、間違いなく好きなようです。

サザエさん―面白い落ち(148)

 

マスオさんは、麻雀が好きでした。

 

朝日文庫版31巻〔6頁〕・昭和40年

『夕食も済ませマスオさんは、電灯を灯し、その下に寝転んで、傍に灰皿を置いて、タバコをすっています。腕枕をして天井をぼんやりと眺め「たいくつだなァ・・・・」とこぼしています』

『俯けになり、タバコをフ―ツと吐き出して、「だれかマージャンにでもさそわんかな」と独り言を言っています』

『そこへカツオ君が「四人のうち一人けついんができましたからいらっしゃいませんかって」と大声で言いながらマスオさんが寝転んでいる部屋に入ってきました。マスオさんは、ガバッとはね起きると「まってました!!と大喜びです』

『3人が集まっている家に駆けつけると、その部屋には3人の男性と、ピアノの前に座っている女性がいました。3人の男性は、女性の引くピアノに合わせ楽しそうに唄を歌っています。マスオさんは、「コーラスか」とガッカリしています』

 

マスオさんは、矢張り、マージャンが好きでした。

寝転んでいるより、マージャンをしたい、それほど好きなようです。

マージャンは、四人でするもので、勿論、カツオくんもそれは知っているはずです。

 

カツオ君は、マスオさんをカラカッタようです。

コーラスは、四人で唄うものとは決まっていませんが、四人で歌っていた仲間なんでしょう。

たまたま、友達の家に遊びに来ていたカツオ君は、オジサン達が

「今日は、○○くんが風邪を引いたそうだ。誰か歌えそうな奴はいないかな」

と言っているのを聞いて、家で退屈にしていたマスオさんに教えてやったようです。

「四人のうち一人けついんができましたからいらっしゃいませんかって」

と聞けばで、マージャン好きのマスオさんにとって、マージャンです。コーラスではありません。

『カツオくん何処の家だいそれは』

と聞いて駆けつけたようです。

マスオさんは、ガッカリしたでしょう。大の大人が、ピアノに合わせて歌うのですから。

 

サザエさん―面白い落ち(147)

 

マスオさんは、麻雀狂?のようです。

 

朝日文庫版38巻〔132頁〕・昭和44年

『マスオさんの職場に、顧客がマスオさんを訪ねてきました。マスオさんは「ヤ・どうもどうもお待たせしまして」と言いながら、ドアを開けて応接室に入って行きました。応接室の中に、テーブルの椅子に座り、残り少なくなった短髪をポマードで押しつけたようにセットし、鼻の下には、少しだけ髭を生やした中年の小太りの紳士が、今か今かとマスオさんを待っていたようです』

『小太りの紳士は、礼儀正しく、「こういうものでス」と言いながら、名刺を、マスオさんに差し出しました。差し出された名刺は「北三郎」と言う名刺です。マスオさんは、その名刺をじーっと見ています』

『マスオさんは、受取った名刺を、両手で翳すように、しみじみと見ながら「ほーペーさんとおっしゃるんですネ」と感心したように言いました。お客さんは悲しそうな顔をして「「きた」です」と打ち消しています。マスオさんの後ろから、お茶を運んできた女子事務員さんも名刺を見ています』

『女子事務員さんは、応接テーブルにお茶を置くと、「マージャンのしすぎだワ」と呆れたと言わんばかりの顔をして、応接室を出ていきました。マスオさんは名刺を持ったまま、恥かしさに、顔を真っ赤にしています。お客さんは、素知らぬ顔をしています』

 

北は、〔きた〕ですよね!

しかし、マスオさんのようにマージャン好きには、「北」の文字を見るとどうしても「ペー」と出てくるのでしょう。

でも私のように、ときたまにしか、麻雀をしない者では、「北」の牌を掴んできたら「きた」来たと、素知らぬ顔をしています。

北さんも「きた」と呼ばれず、「ペー」と言われることは、滅多にないでしょう。

 

マスオさんは、麻雀狂のようです。麻雀をやりすぎると「北」「ペー」と読んでしまうようです。

サザエさんも、マスオさんの麻雀好きには困っているのではないでしょうか?