サザエさん―怖い床屋さん(2)
髭を剃っている若い女性の理容師さんに、「イーシやきイモーォ」は危険です。
朝日文庫版43巻〔42頁〕・昭和47年
『サザエさんのお父さんが、床屋に来ています。バーバーチェアに座って毛を剃って貰っています。理容師は、若い女性です。その理容師さんが、お父さんに、「北陸トンネルの事故の事故は大変でしたね」とでも、世間話を話しかけながら、鋭利な剃刀で頭を剃っています。お父さんは、目を閉じ、穏やかな、眠っているような顔をしています』
『理容師さんは、お父さんの禿げた頭の上の方に、剃刀の刃を当てています。世間話は、続いています。話題は、変わり、二人は、日航機の墜落事故のことを喋りはじめました。理容師さんが、「日航機に墜落事故では、大勢の犠牲者が出ましたね」などと言い、お父さんは「日本では、かってなかった大きな航空機事故だね」などと言っているのでしょう。お父さんは、理容師さんの話題が、少し怖い事故のことばかりで、多少ウンザリしているような表情です』
『床屋さんの前の道路を、石焼き芋屋さんが、芋焼き道具を乗せたリヤカーを引いて、「イーシやきイモーォ」と、大きな声で叫びながら通りかかりました。お父さんのハゲ頭の上に剃刀の刃を滑らしていた理容師さんは、ヒョイと声のする方を振り向いています』
『お父さんが、床屋から出てきました。お父さんは、頭をクルンでしまうように、包帯をグルグルと巻いています。理容師さんは、お店の入口に立ち、深々と頭を下げて、謝り、お父さんを送りだしています』
お父さんが、床屋さんで怖い目に遭いました。
しかし、お父さんは、床屋さんで何処を剃って貰っていたのでしょう。
理容師さんは、ハゲ頭に剃刀の刃を当てています。
そこら辺には、毛はないはずなのにと思うのですが、禿げた頭でも、産毛でも生えてくるのでしょうか?
とにかく、剃って貰って、気持ちよさそうです。
しかし、理容師の女性は、お喋りのようです。
鋭利な剃刀を禿げ頭に当てながら、お父さんに話しかけてきます。
お父さんも、一緒になってお喋りをしていましたが、理容師さんは、身近に起こった大事故の話ばかりするので、お父さんもウンザリしている様子です。
そんな時、店の外を、石焼き芋屋さんが、大きな声で
「イーシやきイモーォ」
と叫ぶものだから、大好物の石焼き芋だと、理容師さんは、ヒョイと振り向きました。
大丈夫かな!と思った瞬間、鋭利な剃刀が、お父さんの、頭に○○○と恐ろしい事となりました。
床屋さんから出てきたお父さんの痛ましい姿。
お父さんの頭部と耳の回りが、包帯でクルクル巻きにされています。
痛かったでしょう。
しかし、お父さんは、包帯を巻かれた姿でプンプン怒りながら床屋から出てきました。
矢張り、床屋さんは、怖いところですね。
特に、女性の理容師さんのいるお店では、石焼き芋屋さんのデッカイ声が聞こえてくると、怖いことが起こらないとも限りません。
どうも判らないのは、お父さんのようなハゲ頭に剃刀の刃をあてるのでしょうか?
今日テレビを見ていたら、日本大好きの外国の人が、侍のようにチョン髷を。自分で器用に結っているのです。
暫く、見ていたら、自分で、サカヤキに剃刀をあて綺麗に、生えている髪の毛を剃っていました。
そして、長い髪を結ってチョン髷にしていました。
このように頭部に毛が伸びてくる人なら、剃刀で剃るのは判りますが、完全にハゲ頭と思っているサザエさんのお父さんのハゲ頭を剃るのは何故でしょう?
まさか、お父さんは、頭頂部を毎日剃って、禿げ頭にしているとは思いませんが。