サザエさん―面白い落ち(149)
マスオさんは、矢張りマージャンが好きでした。煩いと言いながら、誘われると一緒にやるほどでした。
朝日文庫版34巻〔100頁〕・昭和42年
『マスさんが、サザエさんとタラちゃんと一緒に旅行中です。今日は、大変疲れてしまい、夕食も済ませると、蒲団を並べて床に就きました。疲れていたタラちゃんは、サザエさんの横で、直ぐ眠ってしまいました。マスオさんも眠ろうとしますが、隣の部屋から、マージャンをしている声が煩くて仕方が有りません。マスオさんは、遂に、枕元に置いてあった電話の受話器を取り、フロントに電話をしました。フロントに、眉を逆立てて「フロント?となりのマージャンがうるさくてねむれないだがネ」と文句を言っています』
『隣の部屋では、浴衣を着たオジサン達が、咥え煙草でマージャンに夢中です。瓶ビールも3本も飲み干し、盛り上がっています。部屋の電話機のベルが鳴りました。1人のオジサンが受話器を取ると、フロントのお兄さんが、隣の部屋の人が喧しくて眠れないと文句を言っていると伝えました。受話器を取ったオジサンは、「たまーの連休じゃねえか、うるさきゃこっちきていっしょにやりな」と返しています。マージャン卓を囲んでいる他の3人も「そうだそうだ!!」とはやし立てています』
『フロントのお兄さんは、マスオさんに、隣の部屋の返事を伝えています。マスオさんは、そうかと言わんばかりの顔をして受話器を耳に当てています。サザエさんとタラちゃんは、目を覚まし、煩そうな顔をしています』
『暫くすると、マスオさんの寝床は、空っぽです。隣の部屋から、さらに大きな声が響いてきました。サザエさんは、「いくやつもいくやつだ!!」と眉毛を釣りあげカンカンに怒っています。タラちゃんも完全に目を覚まし、泣き出しそうな顔をしています』
マスオさんは、矢張り、マージャンが大好きでした。
旅先で、隣の部屋のマージャンが煩いと文句を言い、煩ければ一緒にやれと言われて喜んで行ってしまう、サザエさんが、ますますイライラするほどのマージャン好きでした。
思い出します。
若い頃、マージャンをやり始めました。東京本社に勤務の頃、勤務時間が過ぎると、先輩に誘われて、日本橋から、赤坂にあった会社の寮に出かけました。
4人は何となく揃うもので、楽しく、その後、しばらくの間、続けていました。多分、カモにされていたのでしょう。
カモも強くなれたら、マスオさん位にマージャン好きになっていたでしょうが、強くなれず、夢中になれず、弱いままのカモでしたから、その後は。お付き合いのマージャンでした。
マージャンの、楽しさ、面白さは、好きな人達には堪らないようですね。
会社の旅行では、宴も終わりそうになると、マージャンのメンバーが何時の間にか募られ、宴が終わると直ぐに、マージャン卓が運び込まれ。マージャンが始まります。
何時までも何時までも夢中でやっています。
間もなく朝です。それほど夢中でやっています。
見ていると、阿保です、そこまで阿保にはなれません。
翌日のバスの中では、メンバーのほとんどが眠りこけています。
メンバーの中に、確りと目が開いているタフな野郎はいなかったと思います。
「それほどまでしてマージャンはやらなくてもよい」
と言うのが、マージャンが好きになれない理由だったようです。
しかし、マージャンは、良くできた、遊びです。
上手くなり、稼ぎたいと思ったことはありますが、夢中になれませんでした。
マスオさんのマージャンの実力が、どれ位のものなのか判りませんが、間違いなく好きなようです。