じゃあ、次いこうか・・・という感じで、彼女の緊縛が始まった。



縄の世界に囚われていて、彼の縛りにもずっと憧れていた彼女。

見学だけでいいよ、と言っていたけど、そんなわけにはいかないものねw



私の時と同様、指示に従って準備運動をし、慣れた表情で腕を後ろに組んで待つ。

私は縄を準備する彼の腕に、しばしぼんやりと見とれていた。

喉が渇いていたことに気づいて、ソファに戻りお酒を流し込みながら見学。


腕に、胸に、縄がかけられ、締まっていく。
その見事な手元にも目を奪われたけれども、ときどき気になって彼女の顔を見た。

彼女も私のように感じているのかな。


でも、彼女はとても冷静に見えた。

時々、自らの腕や胸を締め付ける縄の目を確かめるように見回したりして。

泣いちゃうかもしれない、と言っていたのにな・・・ちょっと意外だった。

やっぱり彼女は慣れてるから平気なのかな・・・私は雰囲気に飲まれやすいのかも。


途中で、もっとそばで見てごらん、と呼ばれて、間近で縛っていく様子を見ていた。

初心者の私とは少し違う縛り方だったのかな、少しだけ長い時間に感じた。

ちょっと「吊り」のようなこともした。

ほんとにあんな風に吊られてしまうんだ・・・すごい・・・

こともなげに持ち上げる、彼の力にも驚いた。


力で捻じ伏せられることを、想像した。

もしかして、抵抗など出来ないことを刷り込まれてる・・・?


その時は、さすがに彼女も苦しそうに呻いて、気持ち良さそうな表情を見せた。


あんな風にされたら、私はどうなってしまうんだろう。

でも・・・されてみたい・・・いつか。


苦しさと不思議な気持ちよさに揺られていると、体を起こされて縄が解かれた。


彼は穏やかな声で何か解説をしながら、あんなにきつかった縄を緩めていく。

結んでいたところはほとんどなくて、すっすっと通していくだけで見事にほどけていく。

解いていく音が小気味いい。


もう、終わり・・・?

少し物足りないような気持ちで、腕を眺めると、そこには初めて目にする縄目。

なんだかいとおしい気持ちになって、触れてみる。


彼も彼女も、初体験の私の反応を面白がっていたのだろうな。

ほんとに感じちゃってたこと、わかっていたよね。

思わず照れくさくなって手で顔を覆うと、頬が熱かった。


でも、素直になれた自分にちょっとほっとする。

だって今回、目標だったのは、照れずに思い切り感じること。

せっかくこんな機会をいただいたのだもの、みんなで楽しみたかった。
ううん、もちろん私自身が。


全部委ねて、ちゃんと感じて、自分がどうなるのか、知りたかった。

だから、出だしはOK♪

まだまだ終わらない・・・はずだから。


これから待っているだろうコトにも、覚悟ができた。



「大丈夫ですか」

そんな優しい問いかけをされるわりに、ぐいと縄を引く力は遠慮がない。


「こうすると入るんですよ」

後ろ手に縛られて仰向けに倒された私の肩を掴み、体重をかけられる。

やわらかいベッドの上だけれども、縄は締まり、押しつぶされて、息が止まるかと思った。

でも、なんだろう・・・力が抜けていく。気持ちいい。

縄酔い、という言葉を思い出したけれど、それとは違うんじゃないかと思った。

ただ、抵抗できないことに、身を委ねるのが気持ちよかった。

苦しいのだけれど・・・なんだろう、この感覚。


ライトを当てられて、思わず顔を背けた。

恥ずかしくなったのと、息が苦しいのとで顔が歪む。

静かな音、シャッターが切られているのがわかる。


うぅ、と思ったら、手拭いの猿轡を咬まされた。

私ったら、そんなに声を出してたのか・・・

口を塞がれたことで、胸の鼓動はさらに速くなる。

気づかれたくないと思ったけれど、体が熱くなったのがわかったかしら。


急におなかの上に膝で乗られる。

遠慮も迷いもなく。

苦しさに呻きながら、ライトを感じながらシャッター音を聞く。

これが本当のSのやり方なんだ。



初めから、笑い通しだった。
何もかも彼のおかげ、というより、企みどおり。
仕組まれたコースに乗せられて、笑っているうちに酔わされて。

いえ、そんなに酔ってはいなかったはずなのにね。

オンラインでの付き合いだけは長い、彼と彼女。

顔を合わせるのが初めてとは思えないくらい、打ち解けておしゃべりは弾む。

修学旅行のノリそのままに、笑い転げながらお酒も進む。


ひとしきり飲んで、彼女が先にシャワーを浴びる。
待つ間も、ころころ笑いながらのお喋り。
でも、ほんとはドキドキしていて何を喋ったのか思い出せない。
だって、平気な顔をしていたけれど、初めてなんだもの、こういうコト。


すぐに私の番になり、バスローブを手にバスルームへ。
いよいよ始まるんだ、ということばかりが頭の中で渦巻く。
そう、ご主人様の顔は浮かばなかった。
濡れた髪を直しながら部屋に戻る。


また少し喉を潤したのだったかな、「それじゃ始めましょうか」

照れても仕方ないと思いながらも、後ろを向いてワンピに着替え、
指導されるまま、素直に準備運動をする。

「大丈夫そうですね」


言われるとおりに腕を後ろで重ねると、さっそく縄が巻かれていく。
思ったほど痛くはない・・・と思っていると、
ときどき予想しない力でキュッと引かれて呻き声を出してしまう。
わざとなのか、偶然なのか、ときどき乳首の先に手が触れ、甘い声が漏れる。
耳元で説明を加えながら、腕を、胸を、縄が締め上げていく。
ほとんど目を閉じてしまっていて、どうなっていたのか、あまり覚えていない。
ただ手際よく、自由を奪っていく彼の手に、声に、感じていた。


あっという間に上半身緊縛の出来上がり。
黒いシートの敷かれたベッドに倒され、撮影の準備が進む。


上手すぎる。とても太刀打ちなどできない。


抵抗などしても無駄なことだったに違いない。

初めから諦めて、身を委ねてしまって、良かった。


これからずっと苦しむことになるかもしれないけれど。