結局、
医者になった
30年くらい前に感じたこと
と
今現在感じていることは全く同じ。
中枢神経の変性疾患を代表する
認知症の『予後』において、
どのくらい、
この30年で変わったのか❓
朝日新聞より。
否定しない
認知症介護、
演じて学ぼう
俳優がコツ伝授
認知症の人と介護者を交互に演じるワークショップ(WS)を、俳優で介護福祉士の男性が全国各地で開いています。
認知症の人の気持ちや、その言動を受け入れるコミュニケーションを疑似体験することで互いのストレスを減らし、よりよい介護につなげてもらうのが狙いです。
10日午後、香川県丸亀市で開かれたWS「演じて看(み)る!?」。
老いや認知症をテーマにした劇団「OiBokkeShi(オイボッケシ)」を主宰する菅原直樹さん(36)=岡山県奈義町=の指示のもと、約40人の参加者が2人1組で認知症の人と介護者のやりとりを演じた。
まず、介護者が「ご飯の時間ですよ」と声をかける。認知症の人は「お姫様になりたい」などと見当違いのことを言い、介護者は「いいですね。では王子様を連れてきましょう」といった肯定の言葉を返していく。
菅原さんによると、認知症は時間、場所、人物がわからなくなる見当識障害や記憶障害のほかに、介護への抵抗や暴力などの行動・心理症状(BPSD)が現れる。症状が進んでも喜怒哀楽は残るため、言動を否定されると意固地になり、BPSDを増幅させることもあるという。
その結果、
感情的なやりとりが続けば介護者も消耗するが、「認知症の人が見ているストーリーの脇役になって言動を受け止める演技が役に立つ」と菅原さん。
「言動を否定して嫌な気持ちになるのではなく、受け入れることで今を共に楽しんで」と助言した。義母(91)の介護をしているという参加者の女性(61)は「否定してばかりでは介護する側もつらい。実生活でも演技を取り入れて接したい」と話した。
菅原さんは、劇作家・平田オリザさんの劇団で俳優をしていた27歳の時、生活の支えにと介護の世界に飛び込んだ。
勤め先の老人ホームには菅原さんを見かけるたびに「あら、時計屋さん」と話しかけてくる認知症の女性がいた。毎回間違いを正していると互いにストレスが募る。「時計屋さん」を演じたところ、心が通い、菅原さんの求めに応じてくれやすくなったことに気づいた。
東日本大震災後、岡山に移住し、2014年からWSを始めた。好奇心を持って今の姿を受け入れる▽役者になって言動をいったん聞いてあげる▽失敗を正して感情を損ねない――という具合に演じることで介護者の心理的負担は軽くなり、食事や排泄(はいせつ)などの介護もしやすくなると伝える。年100回近く開き、1万人以上にコツを伝授。参加者からは「優しくなれた」「関係が良好になった」などの声が寄せられる。
菅原さんは「認知症になってできないことが増えても、瞬間を楽しむことはできる。意識的に演技を取り入れ、円滑なコミュニケーションに役立てて」と話している。