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そこら辺にいるただの中年ねこまたさんが、過疎地の山奥に秘密基地店を借りて、間も無く1年が経とうとしている。
通信制高校に進学したカピ子にとっても、中学生になった猿くんにとっても、ねこまたにとっても、ポーンと生きる場所が変化したかのような1年だった。
暗闇の井戸の底に住んでいた貞子一家が、井戸の外に出た。
気持ちの上ではそれくらいの大きな変化だ。
このたび、ねこまたとちょんまげてる爺様とポイズン教祖な婆様は、3人で協力して秘密基地店にて小さなイベントを開催した。
相変わらずポイズン教祖婆様の教祖ぶりはなかなかよものであったが、井戸の底より這い出たねこまたの手にかかれば、ぺっぺっぺのぺ〜であしらえる程度のものなのさ。
「いいですか、教祖婆。我々ポイズンマザーの口から出る全ての指示は、ほぼクソバイスなのです。」
「我が子への1番良い対応は、クソバイスで指示を出す事ではなく、失敗も成功も全てへ〜いいやんで納める。ただそれだけなのです。」
「選択する権利を子どもに返す。本人の悩みを本人に返す(出しゃばって解決しようとしない)。失敗する権利を子どもに返す。四苦八苦する時間を子どもに返す。つまり、だまっときゃあいいんです。」
(⚠️あくまでも、子どもチームがそこそこの年齢に成長したからできる作戦 ちびっこ宇宙人は放置できない説
)
そう繰り返し(自分にもポイズン教祖婆様にも)言い続けているうちに、なんとなく婆様もほんの少し変わってきたのかもしれない。
今婆様は、おっさんボーイ息子(ねこまたの実弟)の人生に口を出すのを辞め、「へーそうなんや。いいやん。自分で決めたら良いよ」という返事だけをがんばってしているらしい。
そうそう上手くはできないけれど、1年前よりもずっとずっと、ポイズン教祖婆様は他人のことよりも自分の事を考えるようになっている。
ねこまたや、ポイズン教祖婆様からポイズンがいい感じに抜けて来たのは、自分の足で立って歩き始めたカピ子のおかげであると言っても過言ではない。
ねこまたが、過干渉クソバイスを辞めて放置した事が、カピ子の人生の全てに勝手手前に責任を負おうとする事を辞めたことが、
結果的にカピ子の自立をうながす事になった。
ポイズン教祖婆様の目から見ても、カピ子にあきらかにできる事が増えて、しっかりとした意思を持ち始めた事を感じるのだと思う。
あれ?
おっさんボーイも私が口出ししなくてもいいんかな??むしろ、口出ししない方が良いのかも??
と、初めて実感し始めたらしい。
今回は前回のイベントとは違い、ねこまた、ちょんまげ爺、ポイズン教祖婆様の3人が、3人それぞれに自分のしたいようにしてみるという作戦にしてみた。
(こっぱみじんになった前回のイベントがこちら↓)
結果は、、、、、?
ちょんまげ爺→30000ゼニー
ポイズン教祖婆様→6000ゼニー
ねこまた→4000ゼニー
を稼ぐ事ができた。
くたくたに疲れたけれど、各々にとってそれなりに充実した1日を手に入れた
「自分以外の人間に、自分の意見を押し付けない。」
「他者が楽しんでしている事に、ダメ出しをしない。」
ただこの2つを守るだけで、ポイズン婆さん、ポイズンおばさん、マイペースすぎる爺さんが協力して小さなイベントを開催する事ができたのだ
秋らんまんの山奥の、静かな静かな秘密基地。
ほんの数週間前は、蚊取り線香を焚かねばとてもじゃあないが過ごせなかった秘密基地。
冬が来るまでのシーズンは、ハイキングを楽しむ人々がちらほらと通る。
どうやら、今日の1日はポイズン教祖婆様も楽しかったらしい。
疲れた疲れたと愚痴っておられるけれど、表情は明るい。
自分が作った作品をたくさん手に取ってもらえたちょんまげ爺もご満悦だ。
日々が忙しくなって来たねこまたは、秘密基地店を十分に活用できているとは言えない。
月に5000ゼニーの家賃も、無駄と言えば無駄に違いがない。
それでも、ねこまたは秘密基地店の賃貸契約をもう1年続ける事に決めた。
ねこまたの日常は来年は今年よりも忙しくなるだろう。
月に1度さえも秘密基地に足を運べない日も来るだろう。
秘密基地店を借りるために支払うゼニーは、ねこまたがねこまたの為だけに支払う代金だ。
ねこまたは、自分で稼いだ銭を惜しむ事なくただ自分のために使っている。
月に5000ゼニーは、
ねこまたがねこまたの人生を楽しんでいる証。
それでいいのだ。
今日は5のつく日